カズマが強制送還を受けた次の日...
「よ、カズマ。生きてるか?」
キリト一行がカズマの屋敷を訪れた。
「自分でやっといて、何言ってくれやがる。」
半眼でキリトを睨むカズマ。
「まあ、そう言うなって。あのままだと、もっと酷い目にあってたかも知れないんだぞ?」
「酷い目?」
キリトの言葉に、首を捻るカズマ。
「例えば、お前らが飲み食いしたり、壊したりした物品の金額を請求されたり...多分、金額聞いたらヒクぞ?」
その金額は、カズマ達の全財産よりも大きかった...
「...マジで?」
大真面目に頷くキリト。
カズマがアクアの方を向くと、顔を背けるアクア。
「お前...なにした?飲み食いだけで、そこまでいくハズないよな?」
「その...この間の宴会で宴会スキルを披露したときに、色々お城にあるものを消した...ような...気も...しま...す...」
「その金額は、アクアに請求するように掛け合おう。」
「待って、カズマさん...待って。謝るから...お願いよカズマさん。」
アクアを引きずりながら扉の方へ向かうカズマ。
「大丈夫だぞ?あのまま居座ってたら、そうなってたってだけだ。仮にも魔王を倒した英雄に、そこまではしたくないって言う事で、あの指命依頼が入ったんだよ。」
「お、驚かすなよキリト。」
ホッとするカズマ。
「それで?今日はそれを言いに来ただけでは無いのだろう?一体何をしに来たんだ?
ダクネスが、キリト達にお茶を出しながら聞いてくる。
「ああ、それなんだけど...エリス様からの褒美を俺たちも貰ってな。俺の方はアクアの提案のおかげで週一って言う制限こそあるけど、ALOにダイブできるようになったんだ。定員も10名までだから一緒にどうかと思って誘いに来たんだ。」
「本当か?ああ、でもフルダイブかあ...それって...大丈夫なのか?」
カズマはSAO事件を知っているため、警戒を持っていた。
「アミュスフィアは、脳を焼くなんて機能は無いし、何よりエリス様が調整した能力なんだから心配する事ないさ。」
その一言が決め手となり、カズマ一行の初VR体験が決まった。
フルダイブ中、身体は無防備になるため、キリトの提案で、キリトの家へ向かうことになった一行。
「ここが、キリトたちの家か...なんか周りが石作りの町並みだから、ログハウスって少し浮いて見えるな...」
「ねえ、カズマ...私たちの家になにか文句でもあるのかな?」
瞬間、とてつもない殺気を放ち、カズマを問い質すアスナ...
「滅相もございません。」
カズマはすぐに、訂正した。
「そうだぞ?暖かみがあって...良い家じゃないか。」
ダクネスが平然と答えるあたり、アスナの殺気は指向性を持って、カズマのみに放たれていたらしい...
「じゃあ、中に入ろうか。ようこそ、我が家へ。」
そう言って、皆を中に先導するアスナ。
中に入ると、外からは想像できないほど広く、カズマたちは驚く。
「なあ、キリト...この家、こんなに広かったか?」
「ああ、それはエリス様が追加してくれた機能でな、空間を圧縮して三倍位まで広くできるんだよ。」
他の機能の説明も受け、カズマのパーティーは、固まってしまった。
「まあ、家のことは置いといて、ここなら安全にダイブできるから、安心してくれ。じゃあ、皆...これを目元まで被ってくれ。被ったら『リンクスタート』の掛け声でダイブが開始される。後は、事前に説明した通り、種族を決めたら、能力や見た目なんかはこちらの世界の自分が参照されるからそのつもりで。」
キリトの説明を受け、全員が準備を調える。
そして...
『リンクスタート』
カズマたちが気がつくと、そこはキリトたちの家と同じ作りの家だった。
だが、お互いの姿を見て、同じ場所ではないことを確信する。
カズマは、サラマンダーを選んだため、髪が赤くなっていた。
アクアは、ウンディーネを選んだため...見た目殆んど変わらず(笑)
めぐみんは、闇と言う言葉に惹かれてインプを選んだようで、藍色の髪をしていた。
ダクネスは、ゆんゆん同様、空を飛びたいとシルフを選び、いつもの金髪が少し緑がかっていた。
「へぇ、これがこの世界の俺たちの姿か。」
「カズマの髪...真っ赤ですね。」
「サラマンダーの特徴みたいだからな。そう言うめぐみんは、藍色みたいだぞ?」
「ふっ...我が種族は闇を司りし闇妖精。きっと、この世界で強大な力を持っている種族に違いありません。」
「わ、私はどうだろうか?カズマ。」
ダクネスも、カズマに自分の容姿を聞く。
「少し、緑っぽくなってるな。」
「それだけか?」
「うん。それだけ...」
「...」
興味津々で、お互いを見ているカズマ達。
しかし、一人だけ後悔している人物がいた...
アクアだった。
「どうしたんだよアクア。」
あまりの落ち込みように、少し心配になったカズマが声をかける。
「いや、私...水妖精ってことでウンディーネを選んだじゃない?でも、よく考えてみたら、ウンディーネって私の部下の天使に支える精霊の事なのよね...私...水の女神なのに...ウンディーネを選ぶって...どうなんだろうなって...」
カズマは、その独白を聞いてスルーすることに決めた。
「ちゃんと、ログイン出来たみたいだな。カズマ。」
カズマ達が、騒いでいると先にログインしていたキリトが部屋にやって来て声をかけてきた。
「早速だけど、会わせたい連中もいるから、広間に来てくれるか?」
キリトは、そう言ってカズマたちを促す。
カズマたちが広間に着くと、
『カズマ一行、ALOへようこそ』
と書かれた看板があり、そして中にはキリト達、カズマが知っている人間の他に、キリトのこの世界の仲間であるリズ達が、笑顔でカズマ達を歓迎していた。
そのうちの一人、クラインがカズマに声をかける。
「お、お前さんサラマンダーだな?俺は、お前さんと同じサラマンダーのクライン。『風林火山』って言うパーティーのリーダーをやってるんだ。よろしくな。」
クラインの自己紹介に、自分も答えるカズマ。
しかし、カズマには少し気になる事があった。
「あの...クラインさん?」
「クラインでいいぜ?」
「じゃあ、クライン。風林火山のクラインって言ってたけど...もしかして○○ってゲームやってなかったか?」
「やっぱり...俺だよクライン。カズマだよ。」
「???...!?...もしかして、レア運だけのカズマさんとか、インしたらいつもいるカズマさんとか言われてた、あのカズマか?」
「...はい...そうです。久しぶりですね。クラインさん...」
その悲しい覚えられ方に、少し落ち込むカズマ。
「ま、まあ良いじゃねえか。それにしても、まさかお前さんもキリトと同じ所に行ってるとはなぁ。まあ、若くして死んだとしても、こうして他の世界で生きてるんだ。運が良かったじゃないか。」
クラインが、慰める。
「そうだな。そうだよな。」
クラインは、知り合ったゲームでもそうだった。面倒見が良く凄く良いやつだった。
そして...
「ところで、カズマ。あの一緒にインしてきた女性達は、お前の仲間だよな。頼むカズマ。紹介してくれ。」
そして、女にモテなかった。
「おい、カズマ。女にモテなかったのはお前もだろ?お前があんな綺麗な女の子と知り合いになれたんだ。俺だっていつかは...」
「ふっ...クラインよ。俺をキリトのようなテンプレハーレム野郎と一緒にするなよな?いくらクラインでも許さないぜ?」
カズマは、アクア達の奇行とそれに伴う苦労の愚痴を散々クラインにぶちまけた。
流石のクラインも顔が引き攣る。
「まあ、何が言いたいかと言うと...キリトのヤツは爆発しろと。」
「そうだな。その通りだ。」
キリトの方を見る二人。
今もキリトの周りは女の子だらけだった。
「キリトめ...」「キリトめ...」
ちなみにこの頃、アクアは得意の宴会芸を披露していた。
めぐみんとダクネスは、ゆんゆんに飛行の体験談を聞いて目を輝かせていた。
そうして、お互いの親睦を深めた二つの世界の仲間達は、この後も大騒ぎをして盛り上がるのだった。
次のログインの時には、キリト達が指導している初心者の二人を交えて、戦闘や飛行の練習を行った。
そして、あっと言う間に月日は流れ、半年がたった。
この日は、キリトとアスナ、ユイの三人だけでログインしていた。
皆、それぞれ事情がありログインできなかったのだ。
三人で、ゆっくり空を散歩していると、モンスターに襲われているシルフの女性プレイヤーを見つけたアスナ達。
急いで、助けたその女性はアスナの顔を見ると、一瞬驚愕の表情を浮かべた。
だが、なんとか思い直すと、
「危ないところを助けてくれて、ありがとう。」
その女性は、そう言って感謝を伝えた。
「いえ、無事で良かったです。ここら辺は、少し強いモンスターがいるから気を付けた方が良いですよ?」
アスナが、アドバイスを贈る。
「そうなのね。こう言うゲームってはじめてで、よくわからなかったから...本当に、ありがとうね...えっと...」
「あ、私...アスナって言います。」
アスナの自己紹介に、再び驚く女性。
しかし、今度はすぐに平静に戻り、
「私は、キョーコよ。よろしくアスナさん。」
その女性は、そう名乗るのだった。
一旦、マザロザifに戻ります。