この素晴らしいキリアスに祝福を!完結   作:アーク1

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桐ヶ谷家の人々

「えーーーっ!?アスナさん...お兄ちゃんからプロポーズされたんですかぁ?」

 

アスナから告げられた言葉に、リーファは大仰に驚いた。

 

今、リーファとアスナは二人でリーファのホームにいる。

 

キリトには、大事な話があるからと言って席を外してもらっていた。

 

今ごろ、アスナの家族の相手をしている事だろう。

 

「うん。ほら...キリト君...この間、お父さん達に私を幸せにするって言ってくれたでしょ?」

 

「はい。お兄ちゃん...凄く格好良かったです。」

 

きっぱりと告げるリーファに、少し冷や汗をかくアスナ...

 

「まあ...それには同意するけど...それでね、その言葉を形にするためにって、あの後プロポーズしてくれたの。」

 

あの兄にそんな甲斐性があるとは...

つくづく、兄を変えたアスナに敬意を抱くリーファ。

 

「でもね...」

 

アスナは一転、陰りのある表情になる。

 

「結婚って、本当ならお互いの両親に挨拶して、両家を繋ぐものでしょ?でも、私はキリト君の両親に挨拶していない...それに、キリト君だって、口にはしないけどお母さんやお父さんに会いたいと思ってると思うの...リーファちゃん...なんとかキリト君のご両親をここに連れてきて来れないかな?」

 

「私も、あれ以来何度も、両親をALOに誘ってはいるんですけど...家の親は二人ともアレで結構忙しい方でして、それにアミュスフィアも買わないといけないし、いい返事を貰えてないんですよね...」

 

そう言って、困り顔になるリーファ。

 

「アミュスフィアなら、お父さんに言えばなんとかなると思うよ?なにしろ自社製品だし...」

 

「いえ、流石にそれは...」

 

リーファが断ろうとするも、アスナは既にショウ3に向けて、メールを送っていた。

 

「OKだって。近日中に二台送るそうよ。住所は変わってないよね?」

 

アスナの行動力に、断るタイミングを逃すリーファ...

 

「アスナさん...まだ問題はあるんです。二人とも、私が何度も誘うものだからALOに何があるのかって、毎回聞いてくるんですよ...でも、どう答えたら良いか...」

 

「うーん...確かにキリト君...和人君に会えるって言っても信じては貰えないよね。私の場合は、お母さんが自らログインしてくれていた訳だし...」

 

「うーん...仕方ない。アスナさんが折角お膳立てしてくれたんだし、出たとこ勝負で誘ってみます。お父さんはともかく、お母さんなら時間さえあれば誘えると思いますよ?もともとゲーマーですから。」

 

「お願いね。リーファちゃん。」

 

リーファの言葉に、リーファの手を取って真剣にお願いするアスナ。

 

「はい。頑張ります。」

 

そう言って、リーファはログアウトした。

 

その夜...

 

「あ、お母さん。話があるの...」

 

そう言って、直葉は母の翠に話をした。

父の峰嵩は、今日も遅いようだ。

 

「なあに?直葉。」

 

「私と一緒にALOにダイブして欲しいの...」

 

「また、その話?そりゃあ、お母さんだって、出来ればやってみたいところだけど...時間もお金も無いから、無理よ。まあ、そのうちにね。」

 

「アミュスフィアなら、問題は無くなったよ?近日中には届くから。」

 

その言葉で、一瞬固まる翠。

 

「直葉...あんた...一体何をしたの、アミュスフィアを、二台も買えるようなお小遣いは出してないし...まさか...援交...は無いわね...そんな時間、今の直葉には無いものね...」

 

「当たり前でしょう。」

 

大声で否定する直葉。

 

「じゃあ、どうやって二台も手に入れたの?」

 

「アスナさんの...お兄ちゃんの彼女のお父さん...覚えてる?」

 

「もちろん覚えてるわよ。あの和人にあんな可愛い彼女が出来たのも仰天だったのに、その親はあの『レクト』のCEOをやってるって言うじゃない。もう、お母さん心臓が飛び出るかと思ったわ...」

 

おちゃらけて翠はそう言った後、声のトーンを落として、

 

「それに...彰三氏は和人の葬儀にも顔を出してくれたからね...向こうも、娘が自殺して大変だっただろうに...」

 

そう続けるのだった。

 

「それで?その彰三氏がどうしたの?」

 

一転、明るい声に戻った翠は話を戻した。

 

「うん。今、アスナさんの家族みんなALOを始めたんだけど、私がお母さん達にもプレイして欲しいって話をしたら、自社製品だから無料で送るって言われちゃって...」

 

「直葉...あなた...」

 

流石に顔色が悪くなる翠...

いくら、先方が金持ちで自社の製品だと言っても、いい大人がじゃあ...と言って受け取るのは非常識極まりない...

 

「わ、私がおねだりした訳じゃないよ?気が付いたら、話がどんどん進んでたんだから。」

 

「それでもね、大人として面子ってものがあるのよ...ハァ...向こうに電話でお断りの連絡をしないと...」

 

そう言って立ち上がった翠は、結城家に電話を掛けた。

幸い、連絡先は和人の葬儀の時に書いてもらっている台帳がある。

 

「あ、もしもし?結城さんのお宅ですか?私、桐ヶ谷和人の母で翠と言います。」

 

そう言って、電話越しに話すことそ三十分...

電話にしては、随分と長い...

 

そして、翠が戻ってきた。

 

「ねえ、直葉...何かお母さんに話し忘れていることは無いかしら?」

 

翠は、にこやかに話し掛けてくる。

だが、目は笑っているように見えない...

 

「えーっと...なんの事かな?」

 

「キリト...ってプレイヤーに心当たり無ぁい?」

 

「えーっと...お兄ちゃんが使っていたアバターのプレイヤーネーム...です...」

 

「そうよね?私も自分の会社の雑誌で『SAOをクリアに導いた英雄』なーんて特集組んだから知ってるわ。それでね...さっき、明日奈ちゃんのお母さんと話をしていたんだねどね?なんでも、今ALOにキリトとアスナを名乗るプレイヤーがいるそうね?何か知らないかなぁ?黒の絶剣士さん?」

 

直葉は、観念して今までの事を伝えた。

正直、信じて貰えるとは思っていない。

それでも、伝えなければならなかった。

 

何故なら、自分の母親が恐ろしかったから...

 

「なるほどね。ねぇ、直葉。なんでもっと早く伝えなかったの?」

 

「いや、だって異世界に転生してました...なんて言っても信じられないでしょ?最悪、私が頭のおかしい子扱いされちゃうと思って...」

 

その言葉に、翠は実に心外だと言わん顔をした。

 

「直葉...貴方はお母さんを誤解しているわ。」

 

「え?」

 

「お母さんは、筋金入りのゲーマーよ?そんな私が異世界転生なんて面白ネタをスルーするような...そんな訳無いじゃない。今週中にはアミュスフィアを届けてくれるそうだから、日曜日にはお父さんも休ませるわ。皆でダイブしましょう。」

 

桐ヶ谷家で母に逆らえるものはいない。

夫の峰嵩は、自分の知らない間に、ALOをする事が決まった。

 

そして、日曜日...。

 

「それじゃあ、行くわよ?二人とも。」

翠の号令が掛かる。

 

「了解!」

直葉は、直ぐに返事をする。

 

「......了解...」

峰嵩は、しぶしぶ従う。

 

「「「リンクスタート」」」

 

いつもの合流場所に向かうリーファ一行。

ちなみに、翠はプレイヤー名『ヒスイ』

峰嵩は『タカミネ』と名付けた。

ヒスイはウンディーネ、タカミネはサラマンダーだ。

 

それを見たリーファの感想は...

 

「うーん...家の家族...見事に種族がバラバラだね。」

 

そして、合流場所に到着。既にキリトたちは集まっていた。

 

「おぅ!スグ。今日は遅かったな。ん?その人たちは?」

 

キリトはリーファたちに気づき近付いて声を掛けてきた。

 

すると、ヒスイが何を思ったか一歩前に出てキリトにニコリと笑い掛ける。そして...

 

右腕を振りかぶると、腰の入った見事なボディブローを撃ち込んだ...

 

「グハッ!?」

 

悶絶して倒れるキリト...

 

「和人...さんざん人に心配掛けといて、私たちに連絡も入れずに遊び呆けるとは良い度胸ね...覚悟は良いかしら?」

 

キリトは、ダメージから回復すると、恐る恐る尋ねた。

 

「...もしかして...お母様でせうか?」

 

「yes」

 

「ごめんなさい。」

 

土下座を敢行するキリト。

母は、基本的に放任主義だ。よほどの事が無い限り怒らない...たが、一度怒ると大変恐ろしかった。

 

以前、叱られている時に実の親でも無いくせに...って反論した事があった...

 

その後の事は二度と思い出したくないほど、キリトの中でトラウマとなっている...

 

...あの時も、ボディブローを食らったなぁ...

 

ー母の愛は、魂にまで響くのよ?ー

 

なんて言ってたけど...さっきのダメージ...アレは真実の言葉だったのかも知れない...

 

ガタガタと震えるキリトに、救いの女神が現れた。

 

「あの...キリト君のお母さんですよね?」

 

「そう言う貴方はアスナちゃんね?」

 

「はい。どうか、キリト君を許して貰えませんか?こうして、このALOに来れたのもキリト君が家族に会うことを願ったからなんです。まだ、現実世界に行くことは出来ないので、こう言う形でしか、この世界に戻って来れないんです。」

 

「ハァ...仕方ない。アスナちゃんの顔を立てて、許すとしますか。」

 

いつだって、キリトを救う女神はアスナなのだ。

アスナに感謝するキリト。

 

「和人...例え異世界でも、貴方が生きていて嬉しいわ。」

 

その言葉は不意打ちだった...

 

「母さん...ごめん...俺...折角母さんたちが俺を引き取って育ててくれたのに、何も返せずに死んじゃって...ごめん...ごめんなさい...」

 

キリトは泣いた...周りの目も憚らず...

 

「いいのよ、和人。こうして帰ってきてくれたんだもの。頑張ったわね。」

 

翠は、キリトを抱き締めながらあやし続けた。

 

キリトは落ち着いた時、あまりの恥ずかしさ落ち込んでいた。

 

「キリト君、落ち込んでる場合じゃないよ?こうして私たちの両親が揃ってるんだから、ちゃんと挨拶しないと。」

 

「...そうだな...えーっと桐ヶ谷家、結城家の皆様にお伝えします。この度、俺とアスナさんは結婚することになりました。」

 

「「「「「えええええええええええええっ!?」」」」」

 

その爆弾発言にその場の全員が大声で叫んだのだった...

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