「「「「「えええええええええええええっ!?」」」」」
キリトの爆弾発言に、その場の全員が大声で叫んだ...
「和人...結婚をすると言うことは、相手の人生を背負うと言うことだ...その覚悟はあるのか?」
数分後、真っ先に我に帰ったのは峰嵩だった。
峰嵩は、キリトに覚悟を説いた。
「もちろんさ。向こうでは俺たちも生活基盤を手に入れてるし、仕事もある。それに...既に使いきれない位のお金を稼いでるから...」
「そ、そうなのか?」
予想外の答えに戸惑う峰嵩。
「使いきれない...って、実際いくらあるのかしら...」
お金の話しに食いついたのは翠だった。
「えーっと...いくらだろ?家の財布はアスナが握ってるからなぁ...アスナ...今、家のお金っていくらくらいあったっけ?」
「う~ん...こっちの世界とは物価も違うし、難しいけど...多分、数十億って規模じゃないかな?向こうだとそんなに娯楽もないし、正直あまり使い道が無いんだよね。」
「和人ぉ。家に是非仕送りして頂戴?」
翠が、猫なで声を挙げながら、実の息子にすり寄る。
「無理だからな?そう言うことが出来ないから、このALOにしか来れないんだよ。それだって週一って制限あるし...」
変わらない母の姿に苦笑しながら、説明するキリト。
「ちぇーっ。折角仕事辞めて廃人ゲーマーに戻れると思ったのに...」
「お母さん...」
その物言いに、呆れるリーファ。
「桐ヶ谷君...本当にありがとう。これからも、明日奈をどうかよろしくね。」
次に復帰したのは京子だった。
「はい。京子さん。明日奈さんは必ず幸せにしてみせます。」
「あら?これからは『お義母さん』でしょ?」
からかい混じりの声に戻った赤くなるキリト。
それでも、意を決して、
「はい、お義母さん。」
キリトはそう答える。そのやり取りを見て、この人が黙っていない。
「私も、明日奈ちゃんに『お義母さん』って呼んで欲しいなぁ...」
「うぅ~...お義母さん。」
キリト以上に真っ赤な顔で、アスナは答えるのだった。
そして...
「めでたい。実にめでたい。キリト君...ありがとう...本当にありがとう。あの日、二度とこんな日が来ることはないと思った。だが、娘の結婚に立ち会える夢が叶うのだな...うぉぉ~ん。」
彰三は男泣きをしていた...
「え~っと...お父さん...言いにくいんだけど...お父さんっ...て言うか、この世界の人たちは向こうの世界に行けないから、式には立ち会えないよ?」
若干、言い辛そうに残酷な真実を伝えるアスナ。
「なんだって!?キリト君...どう言うことだね?私は、明日奈の父親だよ?その私が何故、式に参加できんのかね?教えてくれないかな?キリト君...さあ...」
彰三は、まるでこの世の終わり...と言った顔でキリトに迫ると、その肩を掴んでブンブン振り回しながら早口で捲し立てた。
「待って...彰三さん...話せない...話せないから...」
「お義父さんだろう。キリト君...」
「お...お...義父...さ...ん...」
「良し良いぞ。それで?さっきの答えは?」
なんとか、彰三が落ち着くよう宥めて、キリトはエリスから言われた事について、詳しく事情を話した。
「それに、この世界の俺たちの戸籍って、既に死亡扱いになってますよね?」
「そ、そうだった...」
キリトの言葉に、絶望する彰三...
「残念だな。キリトとアスナの結婚式...私も出席したかったわ。」
本当に残念そうに話すのはリズベットだ。
ほかの仲間たちも同様の表情をしていた。
「仕方ない。せめて後日にでも、ここでパーティーでも開きましょう。」
すぐに、思考を切り替えて代案を出すリズベット。
「ここでも、結婚とか結婚式が挙げられたら良いのにね?このALOには、そんなシステム無いからねぇ...」
それは、ほとんどリズベットの独り言だった。
だが、その言葉を耳に入れたものがいた。
「それだぁ!?...リズベット君。君は天才だ。何故、私はそんな簡単な事に気付かなかったんだ!?」
大声を挙げながら、リズベットを称賛するのは、もちろん彰三である。
「明日奈たちがこの世界でしか存在出来ないなら、この世界で結婚式を挙げれば良いだけではないか!?浩一郎...すぐに、会社に戻るぞ。ALOの開発スタッフを至急集めるのだ。」
完全にイッちゃった目で、そう告げる彰三。
「いや、父さん...そんな簡単には...」
「何を言うんだ。アスナの結婚式をお前は見たくないのか?」
「いや、見たいよ?僕だって、可愛い妹の晴れ姿は見たいさ。でも、そう簡単にシステムのアップデートなんて...」
「浩一郎よ...私はレクトの元とは言えCEO...多少の我が儘位言ってもバチは当たらんだろう。」
「いやいや、父さん...何言ってるの。会社を私物化なんて出来ないからね?」
「そうよ?あなた。ちゃんとメリットを伝えなくては...私に任せてちょうだい。大学で男どもを論破してきた私なら楽勝よ?」
「お、お母さん?」
自分の母親は、こんな人だっただろうか...
真剣に、悩むアスナ...
「そうと決まれば、あなた...今日の所は早めに落ちて、プレゼン内容を考えましょう。」
「そうだな。皆さん。そう言う事なので、今日の所はこの辺で...行くぞ?浩一郎。」
「...はい。」
浩一郎の背中は哀愁が漂っていた...
三人は、そのままログアウトしていった...
「ねぇ、アスナ...」
リズベットが何か言おうとするも...
「言わないで...私だって、あんな両親初めて見るんだから...」
アスナは、混乱していた。
「ま、まあ、これで私たちも二人の結婚式を見れる可能性が出てきたわけだし、結果的には良かった...と思うよ?」
リズベットはアスナを慰めるのだった。
「うん...そうだね。私もリズたちには祝福して欲しいし...良かった...んだよね...」
アスナは、その言葉に乗っかる事にしたようだ。
一方キリトは、峰嵩に結婚後のアドバイスを受けていた。
「和人...結婚生活を上手く続けるコツは一つ『嫁さんには逆らうな!』だ。」
「......それだけ?」
「そうだ。」
「良いこと聞いたわ。ねえ峰嵩さん。私、欲しいものがあるんだけど...」
「翠さん...少し待って頂きたい。」
キリトは思った...
ただ翠の尻に敷かれてるだけじゃないか...
そして、別れの時間となる。
「それじゃあ皆、また来週に...」
「私たちの結婚式も、まだ日取りは決まってないし...決まったら一応伝えるね。」
「それでは皆さん、また来週お会いしましょう。」
そう言って、キリトたちは帰っていった。
「リズさん...私たちはどうしましょうか。」
シリカがリズベットに訊ねる。
「決まってんでしょ?アスナのお父さんの話が上手く行くかわからないし、私たちは私たちなりに準備をしましょう?たとえ、システム上、結婚出来なくても、身内で集まって、擬似的に結婚式挙げたら良いんだし。」
リズベットが答える。
「おお、そりゃあ良い考えだ。」
クラインが真っ先に賛同する。
「じゃあ、アスナが着るウェディングドレスを用意したいわね。」
シノンが提案した。
「キリトのタキシードもな。金のことなら相談をうけるぞ?」
エギルも乗り気の様だ。
「サクヤさんやアリシャさんも招待したいですね。ユージーン将軍は...どっちでも良いか...それに、スリーピングナイツの人達も...」
リーファも、話しに参加した。
そうして、キリトの仲間たちはキリトたちの結婚式の話で盛り上がるのだった。