アクセルの街にてキリト達が結婚式を挙げてから一月の歳月が流れた...
ようやく、ALOにおける結婚のシステムが完成し、導入の運びとなった。
そして、今回はそのモニターとして彰三が選んだプレイヤーである『キリト』と『アスナ』が結婚式を挙げる...
彼らはALOにおいて有名なプレイヤーであり、また現実においても恋人関係にあることは有名な話なので、二人に頼んだ...
と言うシナリオになっていた...
そして、今まさに結婚式が執り行われている。
ユイに手を引かれ、先に姿を表したキリト。
彼の身に纏う衣装は、アシュレイ渾身のタキシードだ。
そして、キリトは今、新婦であるアスナを待っている。
「それでは、新婦の入場です。」
司会のNPCの進行に合わせて扉が開く。
そこに、ショウ3に手を引かれたアスナが入ってくる。
アスナが身に纏うのもまた、彼らの仲間たちが集め、アシュレイが作り出した最高のウェディングドレスだった。
アスナがキリトの所までやって来る。
ショウ3とキリトは共に礼をし合う。
「キリト君...娘を...アスナをよろしく頼むよ...」
そう言ってショウ3は、キリトにアスナを託すのだった。
この時、キリトは思った。
やはり、彼女の親から直接頼まれるこの儀式は、結婚式に必要だな...
あの世界の人たちには悪いけど、俺たちにとっては、家族のいるここで、結婚式を挙げることに意味があるんだ...
そう、この結婚式にはキリトの家族も、アスナの家族も参加している。
そして、キリトたちにとって大事な仲間たちも...
そして、結婚式は続いていく。
「それでは、誓いのキスを...」
「キリト君...」
「アスナ...」
キスを交わし合う二人。
「今ここに、二人の結婚は成立しました。」
司会の宣言と共に、二人の身体が光に包まれる。
どうやら、ALOにおいて婚姻を結ぶと何らかのバフかスキルが掛かるようだ...
後に、ステータスを見たキリトは戦慄した。
~婚姻関係にある男女が一定以内の距離にいると、全ステータスが1.1倍される。
但し、離婚をした場合、全ステータスが0.9倍にされる。
そして、一度結婚をした者は、二度と他のプレイヤーと結婚は出来ない~
確実に、これは彰三からのメッセージだろう。アスナを不幸にしたら許さん...そう言われている気がした...
実のところ...キリトは勘違いしているが、この設定を作ったのは京子だったりする。
だから、キリトにメッセージを送ったのは彰三ではなく京子なのだった...
そんなことを知らない今のキリトたち。
キリト達を祝福する出席した多くのプレイヤー達。
そこには、様々な種族の壁を超えた集まりがあった。
ちなみに、一番号泣していたのはショウ3だったことをここに記す。
そして、最後のブーケトス...
この後の出来事により、ブーケトスは禁止イベントとなった...
何があったかは...皆さんの想像にお任せする...
式は披露宴に移る。
「いやぁ...まさか、ちゃんと酩酊状態になれる酒を作ってくるたぁ...ショウ3氏...スゴいっすね。」
披露宴には酒が用意されていた。それを見たクラインは、ショウ3...と言うより開発スタッフを誉める。
「当たり前じゃないか。クライン君。酔えない酒など酒ではない。そして、披露宴で酒が出ないなどあり得ない...あってはいけない。私自らが実験台となり、それはもう膨大なデータの中からレシピを開発したのだよ。」
この無茶ぶりのせいで、開発は数週間延びた...合掌...
「それでは、新郎新婦の入場です。」
キリトとアスナが手を繋いで現れた。
拍手で迎える一同。
「うぅっ...アスナ...良かった...本当に良かった...」
ショウ3は、ことある毎に泣いていた...
「あなた...」
それを慰めるのはキョーコ。キョーコも気持ちは同じだ...
いや...アスナが死んだときの後悔の念はキョーコの方が大きい...一番喜んでいるのはキョーコなのかも知れない...
キリトの挨拶が始まった。
「皆さん...今日は俺達のために、こうして集まっていただき...本当にありがとうございます。俺達が結婚式を(この世界で)行うのは不可能だと...そう...思っていました...」
「本当なら...俺達をここまで育ててくれた両親や、俺達を支えてくれた仲間たちに祝福してもらいたい...それが叶わない事を残念に思っていました...ですが、皆さんの...特にショウ3を始めとしたALOのスタッフの人たち...それに衣装の為の素材集めや、友人達への連絡、それに金銭面でも...支えてくれた仲間たち...本当に大勢の人々のお陰で...こうしてここで...結婚式を挙げることが出来ました...」
「本当に...本当にありがとうございます。そして、どうか...俺達の新しい門出を祝福し、これからも見守ってください。」
「あなた...和人は立派になったわね。」
「そうだな...」
キリトの挨拶を感慨深げに見守る桐ヶ谷夫妻。
「それでは...乾杯」
『かんぱーい。』
ケーキ入刀...
これに使用されたのは、キリトの失われた最強の武器エクスキャリバーだったりする...
この後、お色直しやシリカたちの出し物などが続く。
そして、
アスナから両親への言葉...
流石にメール機能のあるこの世界に手紙は作れなかったようだ...
「お父さん、お母さん...今日は本当にありがとうございました...二人が私を生み、育ててくれたからこそ、私は、キリト君と出会い...こうして結婚することが出来ました。私は今...本当に幸せです...」
「でも...だからこそ...今日ほどあの時の事を後悔した日はありません...私は...二人の愛情に答えられないどころか...否定さえしてしまいました...私は...これほど二人に愛されていたのに...ゴメンナサイ...ゴメンナサイ...」
アスナは最後まで言う事が出来なかった...そこでアスナは泣き出してしまう...
キョーコもショウ3も...そんなアスナを放って置けず、アスナを抱き締めて話しかける。
「もう良いのよ。アスナ...確かに貴方のしたことが間違ってないなんて、口が避けても言えないわ...でも、私だって貴方への接し方を間違えたわ。」
「私も...仕事を理由にお前を放っていたことを後悔したよ。私たちは皆...間違えたんだ...」
二人もまた、自身の後悔を告白した。
「だが、今こうしてやり直すことが出来た...だからアスナ...笑ってくれないか?こんな目出度い席で、泣き顔なんて見せたら、キリト君に失礼だろう?」
ショウ3は、そう言ってアスナに笑いかけた。
「お父さん...ハイ...」
そして、先程言えなかった最後の言葉を伝える。
「お父さん、お母さん、私は...二人の娘として、幸せになります。キリト君と一緒に...だからどうか...見守っていてください...」
こうして、ハプニングこそあったが披露宴は幕を閉じたのだった...
そのまま無礼講の飲み会へと突入...
クラインが、飲み過ぎて吐いたり...
リズ達が酒を理由にキリトに迫ったり...
アスナが女性陣を蹴散らしたり...
と賑やかに時間は過ぎていった。
そして...
「皆...今日は本当にありがとう。」
「最高の結婚式になりました。」
「また、お会いしましょう。」
別れの時間となった...
「キリト...アスナ...本当に結婚おめでとう...」
クラインの言葉を、筆頭に別れの前に改めて二人を祝う面々。
『私からも、祝いの言葉を贈らせてもらおうか...』
突然姿を表した男に驚く一同...
「...茅場...」
キリトは、その男の名前を呟いた...
そう、そこにいたのは茅場昌彦だったのだ。
警戒するキリトに茅場は苦笑する。
『警戒は必要ないよ...キリト君。本当に君たちを祝いに来ただけさ...君たちは、システムすら超越した存在だ。私が憧れた存在と言っていい。そんな二人が結婚したと言うのでね...こうして祝いの言葉を贈りに来たのだよ。』
『キリト君...アスナ君。結婚おめでとう...』
そう言って、本当に何もせずに消える茅場...
「何しに来たんだか...」
苦笑いを浮かべながら呟くキリト...
改めて、別れの挨拶を済ませ異世界へと戻るキリト達。
「キリト君...今日からは本当の意味で夫婦だよ?よろしくね?」
アスナの笑顔は...輝いていた...