この素晴らしいキリアスに祝福を!完結   作:アーク1

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プロローグ6

俺の前には、身の丈を大きく超える巨大なカエルがいた。

 

今回のクエスト目的のジャイアントトードの討伐だ。

 

予想より遥かにデカイ...が、その分、動きは鈍重そうだ。

 

俺が様子を窺っていると、ジャイアントトードは、その巨大な口を開けた...

 

と同時に口から何かが高速で向かってくる。

とっさに左に回避し、改めて見てみると、それはジャイアントトードの舌だった。

 

なるほど、これで獲物を捕らえて補食するわけだ...

 

さて、どうするか...ゆんゆんに近づかせないのが、まず第一だけど...

 

思案していると、後ろから

 

『ボトムレススワンプ』

 

どうやら、ゆんゆんが魔法を唱えたようだ。

すると、カエルの足元が泥沼になりカエルの体の4分の一ほどが埋まった。

 

なるほど、動きを止めた訳だ。よし、なら攻撃は俺が...と思いカエルに向かって動こうとすると...

 

『ライトオブセイバー』

 

またも、ゆんゆんの魔法が炸裂し、カエルは討伐された。

 

「やりましたね。キリトさん。」

 

笑顔で駆け寄ってくるゆんゆん。

 

 

俺は思わず苦笑いを浮かべた。

確かに、討伐はしたんだけど...これではダメだ。

 

これでは、ゆんゆんが一人で倒したのとなんら変わらない。

 

パーティーの戦いが出来ていない。今後のことを考えれば、今のうちに矯正しておいた方が良いだろう。

 

正直、俺が言うのもどうかとは思うが...

 

「ゆんゆん。君はパーティー戦は始めてかい?」

 

「は、はい...。そうです。私、何か失敗しちゃいましたか?」

 

不安そうに尋ねるゆんゆん。

 

「モンスター討伐って意味では大成功だよ。ただ...今の戦闘...ゆんゆんは一人で戦っていたよな。モンスターの足止めも、モンスターへの攻撃も。」

 

俺は、ゆんゆんにパーティー戦の基本を教えた。

ゆんゆんは、正に青天の霹靂と言った表情で聞いていた。

 

「つまり、パーティーを組む最大の利点は、パーティー一人一人に役割を持たせることで、負担の軽減と戦闘の効率化が図れるんだよ。」

 

最後にそう締めくくり、先の戦闘の問題を指摘。ゆんゆんは、泣きそうな顔で謝ってきた。

 

「初のパーティー戦で緊張してたのもあるんだろう。次に気を付けたら良いさ。」

 

そう慰めると、

 

「はい、頑張ります。でも、キリトさん凄いですね。登録したばかりの冒険者なのに?まるで歴戦の勇士みたいな説明でしたよ?」

 

うっ!?...そうだった。今の俺は、駆け出し冒険者。

 

「こ、故郷でそう言った学校があって勉強したんだよ。」

慌ててそんな言い訳をした。

 

「さて、後四体。今日中に終わらせたいな。さっきのカエルの動きを見る限り、俺も余裕がありそうだし、連携の訓練にしよう。」

 

あと、ソードスキルの実験も...

心の中でそう呟きながら、俺は今日の方針をゆんゆんに、伝えた。

 

2体目、ゆんゆんに指示を出して泥沼魔法で足止めしてもらい、ソードスキルを試してみた。スラントで一撃見舞ったが、まだ倒しきれていなかった。続け様にバーチカル・アークを放つと、今度こそジャイアントトードは絶命したようだ。

 

下位ソードスキルで倒せるなら、舌攻撃にだけ気を付ければ、然程驚異では無いだろう。

 

そう判断した俺は、3体目、4体目と連携の練習に宛てることにした。

最初と違い、上手く連携をとって戦うやり方に、ゆんゆんは楽しそうにしていた。

 

五体目も、難なく倒した俺たちは、アクセルの街に戻った。

 

カエルは一匹5000エリスで売れた上、クエスト報酬も合わせると、一人6万ちょっと。一日の稼ぎとしては、充分過ぎるだろう。

 

まあ、ゆんゆん一人でも、簡単にクリア出来たんだろうから、ゆんゆんの稼ぎを半分奪っているようなものだが...

 

とりあえず、半分は、剣の代金としてゆんゆんに渡し、ゆんゆんが定宿している宿に泊まった。

 

もちろん、部屋は別々だぞ?

 

部屋に着くと、ユイと今日の出来事を話し合った。

 

異世界への転生、ゲームのような異世界。ギルドに登録、モンスターの討伐...

 

「こうして、ユイと二人でいると、アスナを助けるためにALO にログインしたときを思い出すな。」

 

ふと、そんな話題になった。

 

あの時は、アスナを助けると言う目的があった。

 

...でも、この世界にアスナはいない...

 

その事実が、どうしようもなく俺の心に寂しさを与えていた。

 

二日目は、ゆんゆんと討伐クエストを二つ程こなして終わった。

 

剣の代金も支払い終わり、これで気兼ねなくゆんゆんとパーティーを組めるだろう。

 

 

三日目...

 

ゆんゆんは、ライバル?に勝負を持ちかけるとのことで、今日はクエストには出れないとの事だった。

 

一人で、クエストに挑むのはユイに止められていたため、街を散策することにした。

 

こうして目的も無く、街を散策していると、やはりアスナの事を考えてしまう。

 

アスナに会いたい。

 

でも、それは願ってはいけない事だ。

 

それは、アスナの向こうの世界での死を願うのと同義だからだ。理屈では解っているが、それでもアスナに会いたいと言う思いは止められない。

 

もしかしたら、俺を追いかけて自殺するかもしれない。そう思って、転生に条件を付けた。

 

だが、もしかしたら新しい目標を見つけて幸せになっているかもしれない。

 

そう思う自分もいる。

 

それに...もし、俺を追いかけてここに来たら、俺はどんな風に接したら良いだろう。

 

自殺したことを怒るべきか、あるいは悲しむべきか、それとも来てくれた事を喜ぶべきなのだろうか...

 

アスナ...君に会いたい...

 

「パパ、元気を出して下さい。元気の無いパパを見たら、ママは悲しみますよ。」

 

俺の表情から心境を察したのか、ユイが声をかけて慰めてくれる。

 

「そうだよな。ごめんな、ユイ。お前だってママに会いたいだろうに...俺がくよくよしてたらダメだよな。」

 

そんな風に、ユイに話していると、広場の木の辺り...俺たちが始めてこの異世界に来た場所が光り輝きだした。

 

その光は、少しずつ収まり、中に人影が見える。

あれは...!!!

 

俺は、急いで人影に向かった。

その人物は、少しの間呆然としていた。俺は、万感の思いでその人物の名を呼んだ。

 

「アスナ...」

 

「キリト君。会いたかったよ、キリト君。うぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

アスナは、直ぐに振り向き、泣きながら俺に抱きついてきた。

 

「俺も会いたかった、アスナ。」

俺も泣いていたと思う。泣きながらアスナを抱き締めた。

結局、こうしてアスナを前にして思ったのは喜びだけだった。

 

悩む必要なんて無かったんだな...

 

それから、少しの間俺たちは動かなかった。

そして、アスナが落ち着いたころ、ユイに気づいたようで、ユイが声をかけた。

 

「ママ、会いたかったです。とっても」

「ユイちゃん、私もだよ。会いたかった。」

 

そう言って、小さな妖精にアスナは頬を寄せた。 

 

ここで、あまり長居すると人が集まってくる。今はここを離れて改めて、アスナとゆっくり話したい。

 

そう思った俺は、再会の喜びに感動しているだろうアスナに声をかけた。

 

「アスナ。これからのこともあるし、とりあえず俺が泊まっている宿へ行こう。」

 

アスナは、直ぐに了承してくれて、俺たちは手を繋ぎ、宿へ向かう。

 

これからも、俺の隣にはアスナがいてくれる。

それが、嬉しい。

 

もう、俺はアスナといることに遠慮なんてしない。アスナといる時間を大切にする。

 

俺たちの時間だって、限りなくあるわけじゃない。そう知ったから...

 

俺は、これからの事に希望を感じ、宿へ向かった。




次回から、本編開始となります。
アスナ合流の経緯を知りたい人は、マザロザifの本編を読んで下さい。
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