やはり俺がシンフォギアの世界にいるのは間違っている 作:にゃにゃにゃす
現在、我が家にて例の男組みを招き今回の経緯や、これからの事を推測する会議を行なっている。
「響君が言うには、ネフシュタンと翼の戦闘中に、敵は空門ノ杖ではなくソロモンの杖と言っていたらしい。ま、正式名称がなんであれ、ノイズを操るのは我々にとって脅威であることに変わりない。」
「今回の襲撃は響の拉致だったそうですね。…俺が不在時に一気に戦力を投下してきたと言う事は……確実にいます。」
「内通者…ですか。響さんを狙った理由が不明なのもまた問題ですね。」
「しかもこちらの戦力は大きく削がれ、頼りは八幡君のみ……。敵は何者かはわかりませんが、リディアン周辺を襲っている事から狙いは他にもあると思われます。」
「サクリストD…デュランダルですね。」
デュランダル。
それは現存する数少ない完全聖遺物。
現在二課本部に最深部、通称アビスにて保管されている。
「敵は既に完全聖遺物の1つネフシュタンの鎧を所有している。更なる力を求めてなのか…はたまた別の狙いがあるのかは解らん。理由は何にせよデュランダル狙いなのは確かだろうな。」
「…政府はどう動くと、司令はお考えでしょうか?」
「まだ、本決定ではないが移送計画が持ち上がっている。場所は永田町最深部の特別電算室。通称記憶の遺跡。そこならば…と。」
「二課本部以上の防衛システムとは思えませんが…。」
その後、有力な対策案はでず、改めて後手に回るしかないと言う現実に嫌気がした。
敵の正体は不明。
内通者も不明。
敵戦力は未知数。
しかし、こちらの事は筒抜けである。
……どうしろと?これ積んでね?
「…ふぅ。今日は解散とするか……ん?」
司令の言葉で解散ムードになる中、司令は何かを見つけ、それの前で歩みを止めたい。
「懐かしいな…。まだ、1年しか経ってないと言うのに。」
「写真ですか?」
緒川さんと藤尭さんまで、飾ってある写真立てを興味津々に見てる。
余り見られると恥ずかしいのです……。
4枚入れの写真立て。
今、司令達が懐かしげに眺めているのは、リディアンの入学式後に本部で撮った写真だった。
我ながら自分とは思えないくらいに、無邪気に笑う俺がいた。
俺を挟むよう右に、乱雑に頭を撫でてくる奏さん。左に俺の肩に手を乗せ、口を開けて笑う姉さん。後ろは司令に了子さん、藤尭さんと友里さんと緒川さん。
皆んな笑顔で、暖かい写真。
……俺の宝物の1つである。
「これは、御家族ですね。仲の良さが表れた1枚ですね。」
「こっちは、響ちゃんと写ってますね。2人とも幼いなぁ。…ん?八幡君、これは誰だい?」
藤尭さんがした質問。
それは最後の1枚に写っている女の子だろう。
まだ幼い俺と手を繋いで笑っている女の子。
ーーどこに居ても探して見つけて、会いに行く!!
少女との昔の約束。
交わした約束。
そして、果たせてない約束。
「…昔馴染みです。今はどこにいるのやら…。」
「……さて、今度こそお暇するとしよう。じゃぁな八幡。」
「お邪魔しました、八幡さん。」
「おやすみ、八幡君。いい夢を。」
「はい。おやすみなさい。」
今度こそ帰っていく大人組に別れを告げ、部屋に静寂が訪れる。
なんだか、久々に1人になった気がする。
特に最近はノイズの処理や、予想外な事の連続で常に誰かといたからな…。
いや、別に寂しくないし?
寧ろ元の鞘に戻ったって言うか、ビバボッチライフ!的な?
「…って誰に言い訳してんだか…。」
先程の写真立てを見る。
少女が眩しい笑顔を俺に見せていた。
……文字にすると変態みたいだな…。
「ったく、お前は何処に居るんだ?」
◇◇◇◇
あれから再び平和な時が流れた。
だが姉さんは目を覚まさず、毎日見舞いに行けど失う恐怖と不安は拭えなかった。
放課後も見舞いに訪れたが、意識は戻っていなかった。
遣る瀬無い気持ちのまま外に出ると、帰宅途中の未来とばったり。
「あ、ハチ君。…何故、病院から?」
「ちょっと野暮用でな。…響、一緒じゃねぇの?」
「なんか…朝起きたら修行と書かれた置き手紙かあったの。」
ムスッとし、片頬をプックリと膨らます。
ふむ、美少女はそんな顔も可愛いのだからずるいな。
俺も真似てみるか?
やめよう、未来から冷たい眼差しで射抜かれるイメージしか湧かない。
てか、何してんの響。
修行って…どうやって?
未来はムスッとしているが、心根は寂しんだろうな…。
……あ、そう言えば…
「…まぁ、アレだ。駅前のクレープ食い行くか?約束、まだ果たせてなかったしよ。」
「うーん…うん、そうしよっかな。」
てなわけでクレープを食いに駅前まで来たのだった。
しっかし、流石にこの時間は学生がめちゃくちゃ多いな。
…俺たちも学生なんだけど。
最近、色々あり過ぎて学生だと言うことを、偶に素手忘れそうになるけどね。
「なんかあったの?元気、あまりないね。」
「…まぁ色々な。良くわかったな。」
「まぁ、響程じゃないけどハチ君も分かりやすいからね。」
「そんな事言うのは、お前と姉さんと小町くらいだぞ…。」
「姉さん…ね。」
「何だよ?」
「別に。なんでもない。」
なんでもないと言いながらも、物言いたげな顔で俺を凝視する未来から視線をそらす。
君、幾ら何でも見過ぎだからね?
と思ってたら、真後ろからも視線を感じた。
なんなの?
八幡の顔になにか付いてんの?
「あれ、ヒナ?」
「あ、本当だ。」
「小日向さんもクレープを食べにいらしたのですか?」
「うん。みんなも来てたんだ。」
どうやら未来の友達だったらしい。
つか、ヒナってあだ名初めて聞いた。
…アホの子は、ミックーって呼んでたし。
何なら俺はヒッキーだったし…。
アレ、マジで引きこもりって意味かと思ったからね。
「ヒナ、その人…って比企谷先輩!?」
「え!わ、本物だ!」
「お、おう、本物だぞ?」
その驚きはどう言う意味なのかしらん?
気持ち悪いとかキモいとか気持ち悪いとか比企谷菌的な意味なら、今日の枕は濡れてしまう事でしょう。
もちろん、俺の涙でだ。
「あ、うん。ハチ君の奢りで「「ハチ君!!?」」……え、うん。」
俺も未来も何がなんだか分からず困惑する。
この子達は一体全体、何に驚いてるんだ?
「小日向さん達、もしかして…お付き合いなされているのですか?」
……このお嬢様口調が特大な爆弾落としやがった。
俺たちのやり取りって、側から見たら恋人同士に見えるのか?
でも、君達のそれは盛大な勘違いである。
「「それだけはない。」」
「うっわ…揃って真顔だ。」
「こちら側が気持ち良くなるくらいの否定ね。」
「あらぁ〜…では、どのような御関係でしょうか?」
「俺と未来は幼少期からの幼馴染みだぞ。」
「ちなみに響もね。」
まあ普通、友達にわざわざ幼馴染みとか言わないしな。
俺の場合は言う友達がいないんだけど……。
「そうなのね。…ビックリしたぁ。未来と響がまさか"あの"比企谷先輩と幼馴染みとは驚いたわ。」
「…ハチ君、自首しよ?」
「まず俺が犯罪起こしたと言う前提をやめてくれない?」
ついでに、その手にあるスマホも仕舞おうね。
3回画面タッチしないで…
110はやめなさい!
「あはは、本当仲良しだね。…比企谷先輩は人気だからね。2、3年のお姉様方は勿論、特に1年生には凄い人気だもん。」
「確かに、良く皆様お話しされてますもの。」
「えー……ハチ君が?」
「いや、そんな汚物見るような目で見ないでくれ。つーか俺が人気とか……ドッキリ?」
どうせ、そこらでドッキリ大成功の看板持った奴がいるんだろ?
「いえいえ、人気なのは本当ですよ。比企谷先輩、迷子の子を案内してあげたり、転びかけてた子を助けたり色々してましたよね?」
「助けながら女子高生にボディタッチ……やらしい。」
「未来さん、別に下心なかったからね?」
本当だよ?
俺は姉さんがいたから困らなかったけど、リディアンって無駄に広いんだよ。
だから、迷子になって困ってる子がいたから道案内しただけだよ?
「それに、見た目もカッコいい。性格はクールなのに優しくて、テストも毎度学年5位以内の頭脳。先輩達の話しだと運動神経だって良いって聞いてるよ。」
「お、おぉ…マジか。」
マジか…マジか!
こんかに褒められたのいつぶりだろう?
あ、人生初だったわ。
おい、隣りの未来がうへぇって顔になってるのは何で?
「クールじゃなくて人見知り。優しいは…まぁだいたい。テストは友達いなくて遊ばないからだよ。運動神経は…確かに良かったね。見た目は…よくわからないや。」
「あ、あはは。ヒナは比企谷先輩に詳しいね?」
「響も同じくらい知ってるよ。」
「あ、うん。そうなのね。」
なんかヒソヒソと話し始めた3人娘。
やっぱり……
両想い……
だって此処……
とか聴こえてきたが、話し声が小さくて良く聞き取れない。
未来も、ん?と首を傾げて俺を見てくるし…
とりあえず俺も首を傾げといた。
「まぁいいや。ハチ君。そろそろ順番回ってくるよ。」
「おう。…何にするよ?」
「ブルーベリーとストロベリーのクレープがオススメですよ!食べさせ合うと恋が成就するミックスベリーってやつですよ。」
「ここのクレープ屋はそれで有名になったんですしね〜。」
「そうなの?あ、クレームブリュレ1つください。」
「俺はチョコバナナで。」
「「「「えッ!?」」」」
「「…ん?」」
何でこの3人娘は驚いてんの?
つか、店員さんまで…なんで??
俺と未来は再び首を傾げる。
普通に注文しただけなのに…なんでなのん?
「え……え?本当は両想いです、的なオチじゃないの!?」
「「いや、ないから。」」
「こんなに息合ってるのに!?」
「そりゃ、幼少期から一緒にいれば…な?」
「ね?だいたいハチ君はタイプじゃないし。」
「だろうな。別に気にしてない。」
「知ってる。」
俺たちのやり取りを見て、ポケーと口を開けて固まる彼女達。
クレープを受けとり、列から離れると3人は慌てて注文していた。
「モグモグ…甘くて美味しぃ〜。ハチ君、一口食べてみる?」
「おう。んっ……ん。美味いな。ほれ、食べるだろ?」
「ありがとう。はむっ…ん。王道の味だね。」
「…ナチュラルに食べさせて合ってますわ。」
「これで付き合ってないなんて…!」
「信じられないわね。て言うか…未来が…
《羨ましい!!》
「うぉ!?なんだ!!?」
凄いハモりが聞こえた。
合唱レベルの揃った声があちこちから聞こえて八幡ビックリしたよ。
未来も大きな目をパチクリとさせてるし、なんだったんだ今の?
周囲を見渡すと多くの人にサッと顔を逸らされるし…なんか顔赤いし…
別に見たくらいで、顔を赤くするまで怒らなくてもよくない?
しかも、大体が同じリディアンの生徒たちだし…。
「ハァ…。」
「ん?どうかしの?」
「いや……今度は響と3人でくるか。」
「そうだね。ご馳走さま、ハチ君。」
「おう。じゃ、食ったし帰るか?」
「うん。3人とも、また明日。」
「気をつけて帰るんだぞ?」
「「「あ、はい。」」」
未来の学友達と別れて、帰ってる道中。
隣りの未来からの視線が凄い。なんか…凄い。
ジー…っと見てくるですけど。
「何だよ?」
「ハチ君、変わったね。3人の話し聞いて、改めてそう思ったよ。昔のハチ君なら知らない人に声掛けて助けたりしなかった。今日、初対面の3人に話しかけられてもキョドらなかったし。」
「んだよいきなり…。そりゃ2年もすれば人は変わるし、特に周囲が変化すりゃ変わりやすくなるだろ。それにどっちかと言えば"変わった"じゃなくて"成長した"じゃね?
「ハァ…。なんかやだな……。最近じゃ、響も何か見つけて頑張ってる…私だけが置いていかれてる気がする。」
「未来?」
「……なんでもない。着いたね。送ってくれてありがとう。またね。」
微笑みを浮かべ、駆けていく未来。
ふむ……しっかし、置いていくね。
…否定はできねぇな。
命を懸けた戦いに出ていると、人として精神的成長が早くなる気がしないでもないしな……。
生きる為にも大人になろうとしているのやも。
なーんて考えてたら、息を切らしつつ走る響と自転車に跨った司令がリディアンの裏門方面へ曲がっていくのが見えた。
「……。」
……あ、修行か。
と思いながら、とくに慌てる事なく後を追う。
にしても、朝からずっとしてたのか?
だとしたらハード過ぎんだろ…。
軽くジョギング程度で走ってみるも、案外すぐに追いつき並走する。
「よ、サボり魔。なーにしてんの?」
「うひぁ!!…ハ、ハチ君、驚かせないでよ!」
「で、何してんの?」
「修行だ。そら、こっから我が家までダッシュだ!」
「ひぇ〜!!」
熱血全開で、こちらまで熱くなるような勢いである。
ふむ、ダッシュか……しますかね。
という事で、いざ八幡ダッシュ!!
「ハァハァ…ひぃ…は、速…過ぎだよ……。」
「制服なのに良く走れるな、アイツは。」
風を切る如く走り、ヤクザが住んで居そうな風鳴邸にあっという間に到着。
坂道ダッシュだったが、大して息も上がる事なく走り終えた。
振り返ると、坂道の中腹でフラフラと走る響。
目的地に到着すると、話す事すら困難と思わせるほど、呼吸は乱れていた。
「一息ついたら、庭で筋トレだ!」
「ゼェ…コヒュ…りょ、了解です……し、師匠!!」
「……。」
全俺がドン引きした。
師匠って…しかも、うら若き女子高生がジョギングからのダッシュに続き、更に筋トレかよ。
「大丈夫か?」
「…大丈夫だよ。こんな事でへばってられないよ。私、強くなりたいから。だから、頑張る!」
「…何で強くなりたいんだ?」
「守りたいものがあるから。それに、いつまでも守ってもらうなんて嫌だから。だから強くなりたい。」
「そっか…。」
力強い眼差しが俺を捉えた。
未来、お前の言った意味がよ〜く解ったわ。
毎日一緒に居て、肩を並べて成長してきた響と未来。
いつも隣りにいたから、同じ早さで歩んできた。
しかし、響の成長が急に駆け足に変化した。
今の響を見てみれば、未来が置いてかれたと思っても、なんら不思議ではないな。
「…明日から修行、付き合ってやるよ。自分より強い相手と戦った方がいいからな。」
「わはぁ!いいの!?やったー!」
昔と変わらぬ笑顔で、嬉しそうに喜ぶ響だが一つだけ疑問が残った。
「学院に何て言って休んでんだ?」
「へ?風邪って事になってる。」
「だったら、ジョギングコースもっと考えて走ろうね。」
クレープの恋の叶うミックスベリーはとある作品からです。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございます。
また次週更新致します。