やはり俺がシンフォギアの世界にいるのは間違っている   作:にゃにゃにゃす

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UAが25000を突破!……しそうです笑
皆様に感謝感激のガトリングです!


第17話

世間が待ちに待った風鳴翼の復帰ライブが開催される今日。朝から新聞もテレビも姉さんの話題で持ちきりだった。なんなら昨日から、テレビに姉さんが映りまくっていた。

 

今もテレビに映るのは昨年の姉さんのライブ映像で、やはり今日についてコメンテーター達が、こぞって自己解釈を述べていた。

好き勝手に見当違いな事を言ってらぁ。

 

 

「さぁてと。そろそろ行ってくるわ。」

 

学院から一度帰宅して、普段着に着替えてからライブ会場に向かうと幼馴染みーズとの約束。現地集合だけど、巡り会えるかしらん?

 

 

「行ってらっしゃい。」

「おう。行ってきます。」

 

クリスと秘密裏に同居して早12日が過ぎた。

近頃では、家に帰ると出迎えの言葉が自然と互いに出る様になる始末だよ。まぁ、いい事ではあるんだけどね。

 

おっと、そろそろ急がないとライブに間に合わない。

 

ーキィンッ

 

……嘘でしょ?

 

「うっわ……マジかよ…。」

「どうしたよ?」

「ノイズ……出た。」

「なにッ!?」

 

最悪のタイミングでノイズを感知した。まだ家の中でGが出た方がマシだった。いや、待て待て。Gは1匹いたら他にも多数潜んでいるってテレビで言っていた気がする……うん、やっぱり今のなし。どっちも嫌だわ。

 

はぁー……出現場所はライブ会場の真反対なのが、せめてもの救いか…。

2年前のあの惨劇なんて、2度と体験したくないからな…。

 

空気を読まずに出現したノイズに苛立つも、素早く通信機を取り出し、司令へ繋ぐ。

 

 

「比企谷です。ノイズの出現を感知しました。」

《なんだとぉおッ!?……くっ、こちらでも今出現パターンを検知した。現場に急行してくれ。翼と響君にも今から連絡を「司令、2人には連絡をしないでください。……姉さんは今日、歌を歌います。それは、防人でも戦う為でもない。歌が好きな風鳴翼として歌うんです。夢へと一歩踏み出す大事な日を無駄にさせたくない。…響にも今日はあの場所で姉さんのライブを最後まで観てもらいたいんです。言うなれば、これはリベンジなんです。」

《お前また、そうやって他人ばかりを……》

「違います。これまでの俺は自身の意思を捨ててきた。でも、今日は違います。俺は俺がそうしたいからするんです。今日のライブは俺た等3人が、それぞれ一歩を踏み出す大切な日なんです。」

《……。》

 

俺たち3人は、あの日あの場所から全てが始まった。

 

あの日から俺は二課に入って姉さん達と共に戦さ場を駆けた。

響は体内にガングニールを宿し、今は共に戦っている。

 

それぞれに思うところがある、あの惨劇。

だからこそ、姉さんと響には、あの会場でリベンジしてもらいたい。

叶うならば、過去の悲惨な記憶を、今日のライブで楽しい記憶にして欲しいとさえ願っている。

 

姉さんには夢を叶える為のスタートを切って欲しい。やっと踏み出せた一歩を無駄になんかさせてたまるか。

 

《…言いたいことは分かった。だが、1人では危険だ。せめて響君だけでもー》

 

チョイチョイと袖を引かれ、何事かと振り返るとチョンチョンと自分を指差すクリス。

ニッと笑う彼女は何も言わないが、言いたいことは予々理解できた。

司令の声はデカイからな、会話が聞こえたのだろう。

 

「司令。どうやら1人じゃないみたいです。」

《はぁ?……そういう事か…。わかった、上手くやれよ。》

「了解。急行します。」

 

クリスには出来るだけ目立たない事を強いてきた。

それは、緋維音がクリスを始末する為にノイズを差し向けるの阻止する為に。もし、その過程で一般市民を巻き込むなどクリスも、もちろん俺だって望んではいないからだ。

 

「……すまん。」

「良いってことよ。コンディションは悪くねぇ。一気に殲滅してやらぁ!」

 

本人は、努めて明るくそう言う。マジでお前、姉さん並みにいい女だよ。

 

有り余る体力を使い果たす勢いで、元気に部屋から飛び出そうとするクリスだが…

でも、ちょっと待って。

 

「待て待て。俺がバイクで先行するから。2人同時に行ったら俺が匿ってたのモロばれだからな。あとギアは監視カメラがない場所で纏ってくれ。」

「…面倒だが、仕方ないか。わかった、アタシが行くまで無茶するじゃねぇぞ?」

「おうよ。じゃ、また後で。」

 

ここから二手に分かれて移動を開始した。

バイクを法外速度で走らせる。時には壁を走り、時には建物を乗り越えるなどと、違法行為の甲斐あって割と早く到着した。

 

バイクから降りて、建物の陰から状況を把握。

 

……デカブツが一体。要塞型か…ヤツがノイズを増殖させてやがるのか。

腕時計を覗くと、ライブ開始時刻だった。

姉さんの出番までに間に合わせたいが…私情は捨てる。焦りも禁物。

安全且つ速やかに、そして完璧に奴等を屠る事だけに集中する。

 

 

「友里さん、こちら比企谷です。現場に到着しました。避難は?」

《民間人及び、周辺の港に作業員も船もなし。いつでも行けるわ。》

「了解。これより、状況開始します。……こい、白雪ノ華ッ!》

 

走ると同時に、白雪ノ華と漆黒の鎧を身に纏い、小型ノイズの群へ斬り込んだ。

一刀両断しながら、流れる様に呪符を全面に展開して飛んで迫るノイズの対策をとる。

思惑通りにノイズは呪符の雷や空気爆弾で消し飛ばせたが

 

 

「チィッ!そうくるよなッ!」

 

要塞型からノイズを砲弾とした、砲撃が予想通りに始まった。

白雪ノ華で斬り裂くが、その隙にまた飛行型及び人型ノイズが迫る。

 

【氷槍天昇】

 

白雪ノ華を地に差し込んで、俺を中心に氷の槍が地より現れ、地上のノイズを悉く貫き、飛来したノイズの進路を妨害する。

普段であれば、この技だけでも結構な量を削れるのだがー…

 

《八幡君、敵の増加率が損耗率を上回っているわ!気をつけてッ!》

「了解。クッソが…!」

 

しかし、減ってもまた要塞型がノイズを吐き出す様に増殖させてやがる。マジで面倒な事この上ない。

身体を屈めて、有りっ丈の力を込め、地を両脚で弾く。

 

空へ高々と跳んだ俺の周囲に、氷の剣を具現化させる。

更にそれに雷を纏わせ、威力の底上げをしー

 

【氷剣落雷】

 

一気に放つ。

広範囲に降り注がれたそれは、相当数のノイズを貫く。標的を外しても凄まじい輝きを放つ雷が地を走り、ノイズを消し炭にした。

 

「でも、残っているよね……。」

「だったらぁぁぁあああッ!!」

「クリスッ!?」

 

予想よりもかなり早めに到着したクリスは既にギアを纏っており、腰部アーマーを解放して、既にミサイルの発射態勢に入っていた。

 

 

【MEGA DETH PARTY】

 

大量のミサイルが一斉掃射で、空地問わずに大量のノイズを消しとばした。

やっぱ、イチイバルは対ノイズにおいて超有利だよね……。

その火力はちょっと狡い。

 

「まだまだぁぁッ!」

 

【BILLION MAIDEN】

 

ガトリング砲に変化したイチイバルのアームドギアが火を吹き、ノイズに次々と風穴を開けていく。

撃ち漏らしが、あれば俺が素早く斬ることで、クリスへノイズが向かわない様にする。

 

「デカブツまでの道を!」

「任せろッ!おんりゃぁぁぁあッ!」

 

ミサイルとガトリング砲の嵐が大半のノイズを消し炭へと変えた。

要塞型の前面にいたノイズが一掃された今が好機。

 

【閃光業雷】

 

飛んだ雷の刃は、薄くなった前面の包囲網を破壊させ要塞型までの一本道を形成した。

 

白雪ノ華を霞の構えで腰を落とし、膝を深く曲げて脚に力を貯める。

前に傾いた一瞬に、溜めた力を解放。

 

地を這う様に跳躍した俺は、ブースターを使う事なく要塞型まで跳び、白雪ノ華を奴の身体に突き刺した。

 

「砕け散れッ!」

 

苦しそうに奇声を上げた要塞型ノイズであったが、白雪ノ華が内部からノイズを侵食し、数秒後には全身を凍りつき、砕け散った。

 

その間にクリスが残党を狩り、そしていつの間にやら姿を消していた。

 

……仕事早くね?

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「白雪ノ華エンゲージ!」

「ノイズの数が変動開始。これは…また増加した!?」

 

八幡の希望を聞き入れ、今回はシンフォギア装者なしでの戦闘となった。二課司令室では解析班の2人だけでなく、全員が八幡のサポートに躍起になっていた。

理由は至極簡単。

八幡の単騎出撃は2年間で初めての事であったからだ。

 

「八幡君、敵の増加率が損耗率を上回っているわ!気をつけてッ!」 《了解。クッソが…!》

 

友里は最新情報を随時、八幡へ通信する。

 

「司令、本気で八幡君1人で…。」

 

藤尭は焦っていた。八幡の単騎出撃の理由は聞いていたが、それでも響だけでも同行させるべきだと思った。

八幡の実力は認めてるし、疑いようもない。だが、それでも戦さ場では、数が物を言う場合があることは奏を失った1年前から重々承知していたからだ。

 

そんな折、司令室に煩いくらいにアラート音が鳴り響いた。

今度は何だと、藤尭は思った。その隣で相方とも言える友里が驚愕し、息を呑んだ。

 

大きな叫び声は司令室内に木霊する。

 

「ア、アウフヴァッヘン波形を検知ッ!コレは…照合確認ッ!」

 

巨大モニターに映し出された文字。

それは、

 

「コード、イチイバルです!司令ッ!」

「イチイバルだとぉぉおッ!?」

 

今の弦十郎の驚きは迫真の演技だとは、誰も知らない。

しかし、マズイと彼は思っていた。クリスが乱入するのは知っていたとは言え、姿を見せた時に心中では安堵してしまったのだ。これで八幡な身の安全と勝率が格段にあがると。

だから、この先どう反応したら良いのか考えがなく、そして思いつかないのであった。

 

「イチイバルって…例の雪音クリスですよ。八幡君がまた攻撃でもされたらー」

 

何も知らない友里の反応は当たり前だった。なんせ、クリスは前回の戦いで容赦なく八幡達にミサイルを打っ放したのだから。

また言葉に詰まる弦十郎に更なる追い討ちが迫る。

 

「いや…イチイバル、白雪ノ華を援護しているぞ!」

「なっ!?……ノイズの損耗率が飛躍的に上昇!八幡君ッ!……ん?司令、八幡君との通信が取れなくなっています!」

 

おいおい、と心は愚痴る。展開が早過ぎて思考が纏まらない。

通信拒否はクリスとの会話を聞かれない為とはわかっているが、状況の変動速度が尋常じゃなく感じ取れた。

 

(いや、待てよ…。)

 

しかし、己が取るべき道筋が見えた瞬間、彼の目に炎が灯った。

 

「八幡との連絡が取れないのであれば、せめて映像記録だけでも怠るなッ!友里は引き続き八幡を呼びかけるんだ!」

「「了解!」」

 

そこからは、焦ってはいるが我慢して見守っているスタンスをとる。

まさに渾身の演技である。

よもや、自分達の上司が演技しているとは思わない二課職員達は自分がやれる事に真剣に取り組む。

 

その時、弦十郎は思った。心が痛い、と。

 

「ノイズの殲滅を確認。それとイチイバルの反応消失しました。」

「八幡君との通信、回復しました!」

《こちら比企谷です。すいません、乱入者も居たので集中する為に通信を拒否してました。》

「…わかった。今から何名か現場に向かわせる。」

《了解。俺は……うし、姉さんのライブに急行しますんで。では。》

 

あいも変わらず一方的に通信を終える八幡に一同苦笑する。

と思ったら

 

《あー……自分の我儘に付き合ってもらい、ありがとうございました。で、ではッ!》

 

やはり一方的に通信を切る八幡だったが、一同は苦笑ではなく、微笑みを浮かべ、何人かはこう言った。

 

デレた。っと。

 

◇◇◇◇◇

 

 

姉さんのライブも無事見届ける事ができた。ギリギリで。状況を把握していた緒川さんのお陰で、特等席で観れた。そう…特等席で。

 

「よ、お疲れ。泣き虫姉さん。」

 

ステージ場で涙を流した姉さんが退がってきたので、労いの言葉をかけたが、本人は目が点になる。

こらこら、アイドルがしていい顔じゃねぇぞ。

 

「は、八幡ッ!?貴方、なんでここに居るの!?」

 

そりゃ、驚くよね。だってここステージのバックヤードだもん。一般人は入れない場所だし。なんなら特等席って言ったけど、俺がいたのはステージの脇道だからな。スタッフさん達の誰コイツ?って視線が超痛かった……。

 

「ノイズ殲滅してきたら、一般入口じゃ間に合わないって事で緒川さんの計らいで、ね。」

「殲滅って…1人で出撃したのッ!?なんて無茶を!!」

「どうどう!声抑えて。只でさえ目立ってるんだ、勘弁してくれ。」

「あぁ、もうッ!こっちに来なさい!」

 

プンプン怒りながら、腕を引っ張ってズカズカと歩く姉さんに誰も声を掛けない。いや、わかるよ。この人、怒ったら滅茶滅茶怖いもんね。

 

そのまま連れられた場所は、姉さんの控え室で緒川さんが出入口で見張ってくれている。

 

「っで?単騎出撃の言い訳は?」

 

トントンと早いリズムで指を腕で叩いてる辺り、怒ってますね。こりゃアイスを勝手に食った時の比じゃねぇや。

 

「そうしたかったから。」

「理由は?」

 

…やべぇ……言葉間違ったら斬られるやもしれん。

 

「……俺の我儘だ。ゴメン、もうしない……なるだけ。」

「ハァ…貴方の事だから、必要があればまたするんでしょ?分かってるわよ、そんな事。」

 

怒りの次は呆れですか…感情豊かっスね。

 

あ、目が怖い。なんだよ、まだ怒ってんのかよ!

 

「私と立花の為に無茶したのね?…ごめんね。」

 

と思ったら急にしおらしくなるし。怪盗百面相かよ。

 

「違う。司令にも言ったけど俺がしたいからしたんだ。」

「我儘って、そう言うこと?」

「うっ…まぁ、な。」

「そう。わかった。……でも、我儘って言うならもっと可愛いのがいいわ。」

「男の俺にそれは求めないで下さい。」

 

可愛い我儘…ね。

アレか、あざとく

せんぱーい、私が仕事手伝って欲しいじゃないですかぁ〜?ってヤツか?

……違うか。

 

 

「時間も時間だし、帰るわ。…なぁ、姉さん。歌うのは楽しかったか?」

「心底ね。…私はまた歌えたわ。うん、歌える。」

「ん。」

 

控え室を後にし、緒川さんの案内の元でバイクまで戻り、帰宅した。

部屋には既に明かりが灯っていた。つまり、彼女は既に帰宅済みである。一応、戦闘後に連絡は入れてるから無事のは確認済みだが、やっぱり不安があったので、安堵する。

 

解錠し、ドアを開ける。言う言葉は勿論コレ。

 

 

「たでま〜。」

「おかえり。」

 

 

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