やはり俺がシンフォギアの世界にいるのは間違っている   作:にゃにゃにゃす

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第20話

問題

地上に天を仰ぐほどの塔なんてもの作るには人も金掛かるし、ましてや秘密裏になんて不可能だ。だったら人も金も気兼ねなく使える環境且つ、秘密裏に造るにはどうしたらいい?

…正解はー

 

「…灯台もと暗しとはよく言ったもんだよ。カ・ディンギル…地上に造れないなら、地下に造れば良かったんだ。」

「何を言って…?」

「俺たち特異災害対策機動部二課の本部は地下深くにある。……移動手段はこのエレベーターシャフト。」

「…?……ッ!?まさか、これが!?」

「カ・ディンギル…まさか二課本部に造るとはな。最近行われた防衛システムの強化と称して、実際はコイツの完成が狙いだったのか…。」

 

そんな馬鹿な話しあってたまるかってんだよ。俺たちが普段何気なく使っていたエレベーターこそが敵の切札なんて普通考えもしねぇわ。

 

 

「急ぎ司令に連絡を。」

「了解しました。……ッ!?ダメです、連絡がとれません。…通信を妨害されている可能性が高いです!」

「チィッ!もはや、なりふり構わず強行する気だ。貴方達はデータの抜き取り作業を。…俺が本部に直接向かいます。」

「畏まりました。」

「お、おい!だったら、スカイタワーの敵はどうするんだよッ!」

 

スカイタワーにいるのは飛行タイプの超大型ノイズ。姉さんと響、近接戦闘タイプの2人だけでは分が悪い。俺が行かないと地上に投下されたノイズと空中のノイズは、倒しきれない。

 

「最終決戦だ。もう俺たちも、なりふり構わってられねぇな。」

 

……緋維音は今日で全ての片をつけるつもりだろう。司令の言葉に触発されて、こちらが仕掛ける前に打って出やがった。だったら、俺たちは全力でヤツの目論見をねじ伏せなきゃならねぇ。

 

「クリス、姉さんと響を頼む。」

「はぁッ!?お前はどうするんだよ!?」

「さっきも言ったが、俺はリディアンに急行する。カ・ディンギルが何かは分からないが先手を取ってヤツの目論見を潰す。……だから、頼む。俺の大切な人達を助けてくれ。」

「……。」

 

頭を下げて、懇願する。現在、飛行タイプ並びに大量のノイズ相手にはクリスのイチイバルが最も秀でているのは間違いない。

飛び道具を使える点、あの2人の援護だって容易くできる。

 

黙ったままのクリスが、大きな溜息を吐いた。……ダメか?

 

「仕様がねぇな。わかったよ、アタシがスカイタワーに向かう。た・だ・しッ!…無茶ばっかりしてんじゃねぇぞ。」

「…善処する。すいません、誰かこの子をー「手配は完了しています。どうぞ、車へ。」

 

流石はエリート集団。緒川さんの同僚なだけはある。

 

「じゃ、しばらく別行動だな。」

「あぁ、2人を頼む。…また、後でな。」

「絶対だかんな?約束、守れよ?」

「おう。よしッ、行くぞ。」

「おうともッ!」

 

俺が片手を挙げるとクリスは思いっきりタッチした。

軽快な音を最後に俺たちは、駆け出した。最終目的は同じ。今はただ、別の場所へそれぞれ向かうのだった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

スカイタワー付近。二課のヘリから飛び降りた響の一撃により、飛行タイプの超大型ノイズは1体減り、今は3体が上空を飛び交っていた。

駆けつけた翼が蒼ノ一閃を打ち出すも、小型ノイズに当り、超大型までは届かず。

 

 

「頭上を取られる事が、こうも立ち回り難いとは!」

「翼さん。私たちもヘリに乗ってー」

 

だが、乗ってきたヘリは黒煙を上げて爆散した。有力な攻撃手段もなく、超大型からは降り注がれる小型ノイズ。地上と上空のノイズを同時に相手するには、あまりにも分が悪過ぎた。

 

待ったなしで迫る小型ノイズを拳と刀で迎え撃つも、このままではジリ貧であった。……だが、あと1人いれば状況は変えられると翼は確信していた。

 

「あの子はまだ来ないのッ!?」

 

比企谷八幡。彼が到着さえすれば、響とどちらか1人が地上戦に。またどちらかが空中のノイズを対処できると踏んでいたのだ。

翼は、まだ姿を見せない八幡に向け通信を入れる。

 

 

「八幡、今何処にいるの!?」

《悪い、俺はそっちに行けない。》

「……はっ?」

 

この弟は何を言っているんだろうか?そう翼は思ったのは一瞬だけで、今は何をする気だ?と考えていた。八幡の声は篭った感じがしたのでヘルメットを被っている、つまりはバイクで移動中なのは翼は理解できていた。だからこそ、この子は何処で何をするつもりなのか不安になる。

 

「な、何を言ってるのハチ君ッ!?」

《大丈夫だ。助っ人を頼んどいた。》

 

八幡が言い終わるや直ぐに、空中を飛び交っていた小型ノイズが弾丸に撃ち抜かれた。次から次に連続掃射された弾丸がノイズ供に風穴を開けていく。

 

弾丸が飛んできた場所に2人が視線を移すと、赤いシンフォギア・イチイバルを見にまとった雪音クリスがいた。彼女のアームドギアの銃口から白い煙が空へと登る。

 

「勘違いするなよ。アタシは八幡に頼まれたから、来ただけだ。お前等と馴れ合うつもりはねぇ。」

《助っ人の雪音クリスだ。ツンデレの16歳。好きな物はアンパン。以上だ。》

「誰がツンデレだッ!?」

「誰もそんな話しをして欲しいわけではないッ!」

「ハチ君どう言う事ッ!?」

《悪いが俺もー……ブツンッ…ツー…ツー…》

 

突如として八幡との通信が途絶え、再度繋ぐ事ができない。疑問に思う中、翼は本部に連絡を経由しようとするも、本部にも通信が繋がらない。

 

「何がどうなっている…?」

「八幡?チィッ、また妨害か!オイ、八幡はテメェ等の本部に急行してる。」

「本部に?何でハチ君が?」

「話しは後だ!来るぞッ!」

「今は致しかたないか……。立花、あの子に空中のノイズは任せる。」

「は、はい!」

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

「姉さん?姉さんッ!…くそッ、また妨害か。」

 

バイクは既に法定速度を超過しており、警察に見つかれば、即追跡は待ったなしである。だが、アクセルは緩めない。急がなければ先手を打てず、また後手に回る羽目になる事は必然だった。

 

ようやく小さくリディアンが遠目で見えた時

 

ーキィンッ

 

あの不快な感覚が八幡を襲う。そして、視界の先にあるリディアンの敷地内に大型ノイズが現れた。

 

(クッソがッ!やられた!)

 

今は放課後になっているとは言え、部活生と教師の多くはまだ校舎残っている。見捨てて本部へは行けない。

それにー

 

「未来…頼むから避難しててくれよ。」

 

バイクの速度を更に上げ、エンジンが唸る。最大限、周囲に気を配りながら走り抜ける。その最中にも、あの不快な感覚は何度も八幡を襲う。その度に不安と焦りが生まれる。

 

そして、内に生まれた不安は的中した。

 

「リディアンが…。」

 

破壊の限りを尽くされた校舎。普段なら、この時間は吹奏楽部の奏でる音楽や声楽部の美しい歌声が聴こえてくる。

なのに…今は銃声や破壊音、上がる生徒達の悲鳴しか聴こえない。

 

「八幡さんッ!」

「ッ…緒川さんッ!」

 

緒川の登場は八幡にとっては嬉しい誤算だった。二課内でも頼りになる彼が司令と合流できれば…今はそれが最善だと自分自身に言い聞かせる。

 

(責任感の強い未来だ…避難誘導の手伝いをしている可能性が高い。)

「緒川さん、未来の身の安全確保をお願いします。」

「わかりました。…八幡さん、カ・ディンギルの正体はー」

「二課本部とリディアンを繋ぐエレベーターシャフト。犯人は…櫻井了子。」

「やはり、ですか。…では未来さんの身の安全を確認次第、司令に急ぎ伝えます。」

「頼みます。…白雪ノ華ッ!」

 

【閃光業雷】

 

駆けていく緒川の先のノイズを雷の刃で吹き飛ばし道を作る。彼が校舎に飛び入ったのを確認し、顔面に手を翳す。掌から光の粒子が溢れ出て、それはやがて黒い鬼の面となり、八幡の素顔を覆い隠した。

 

「先ずは一課の連中と合流しなくちゃ、なッ!」

 

ノイズを斬り裂きながら走りを止めず、銃声のする方へ天高々と飛ぶ。空中で身体を捻りながら、周囲の状況を目視確認をする。

母校に沸くノイズの群れに舌打ちし、両手をいっぱいに広げる。

 

【氷剣落雷】

 

降り注がれる雷を纏う氷の剣。それは逃げ惑う生徒を追うノイズや、一課の武装部隊が相手しているノイズを串刺しにし、一気に無へと葬り去る。何が起きているのかわからない生徒達は足を止めて空を見上げる。

そこには黒い鬼が宙を舞っていた。

 

「止まるなッ!シェルターに急げ!」

「は、はい!」

「ひ、ひぃッ!?」

 

八幡の一括で生徒達は悲鳴と返事を返しながらシェルターへと駆けていく。八幡は呆けている一課の部隊の前に着地し、仮面を外す。

 

「特異災害対策機動部二課所属、比企…安倍晴明です。この場は俺が預かります。貴方達は学園関係者、及び市民の避難誘導を。」

「あ、あぁ。了解した。おい、行くぞ!」

 

隊長らしき厳つい男の指示の元、部隊は市民の避難誘導へと駆けて行った。再び仮面を装着し、接近するノイズ目掛け駆けていく。

右も左もノイズだらけ。唯一の救いは飛行タイプが居なかった事だ。

 

 

「フッ…ハァッ!」

 

休む暇など皆無だった。己が持つ技術、速さ、経験をフル活用しノイズを次々と炭へと変えていく。一閃の稲妻の様に、八幡が駆けた場所には閃光が走りノイズは無へと還っていく。

 

宙へと飛び、生徒に襲いかかるノイズ供へ呪符を飛ばし、空気の爆発と雷で葬り去る。戦闘開始から、そう時間は経っていないにも関わらず、八幡の額には汗が流れ始めた。いつもの様に、避難が完了済みかほぼ一般市民が居ない状況とは違い、今は逃げ惑う生徒や市民が大勢いる。多を守りながら戦う。犠牲者を出さない為にも1匹たりとも見逃せない。その状況から限界まで集中し、周囲に気を配る戦いが八幡の体力をごっそり奪っていく。

 

「チィッ!…拉致が開かねぇ。だったら…白雪ノ華ッ!」

 

【氷喰絶】

 

天へと伸ばした白雪ノ華か淡く発光。地を彷徨うノイズは身体中から氷柱が生えていき、やがて全てを氷が呑み込んだ。

 

「喰い尽くせぇぇえッ!」

 

砕け散ったノイズは氷共々、白雪ノ華に喰われた。白雪ノ華は満足したかの様に数回発光し、やがていつもの真白い刀身が露わになった。

一気にノイズを喰いし、汗がポタポタと地面に垂れ跡を残す。

 

 

 

「大丈夫、焦らないで。落ち着いてシェルターに避難してください。」

 

小向未来は一課の隊員と共に校舎内の避難誘導に協力していた。自身より他の生徒の避難を優先する。

 

「私、他に逃げ遅れた人がいないか見てくる。」

 

クラスメイト3人娘にそう告げ、駆け出す。いつもは出さない大きな声で呼びかける中、窓の外を見て絶望する。

 

「学校が…響とハチ君の帰る場所が…ッ!」

 

何も出来ない。自分自身は戦う事も2人が帰る場所すら守れない。それが歯がゆく悔しく悲しかった。

 

ーパリンッ!

 

側のガラスが割れて、3つの影が目の前を通り過ぎた。それが何なのか理解した時、小さな悲鳴が漏れた。ノイズ。人と接触した場合、両者とも炭へと変わり朽ち果てる。明確な死が今目の前にある。

怖い。そう思った時に、ノイズから氷柱が生えていき間もなく氷人形となり砕け散った。

 

「な、何が起きたの…?」

「未来さん!無事で良かったです。」

「緒川さん!」

「ここは危険です。八幡さんがノイズを引き付けている今の内に避難を。」

「ハチ君が…わかりました。」

 

緒川に引き攣られ二課本部へ繋がるエレベーターへと駆けていく最中、窓の外を見てみるとノイズが氷漬けになったり、空から降り注がれた剣に貫かれたりしていた。

閃光が走った。そこには黒い鬼の仮面を被った人物が絶え間なく動き回り、ノイズを殲滅していた。

 

「ハチ君…。」

 

さっきのノイズは八幡が倒してくれた。助けてくれた。ならば、することはたった1つの礼だ。

 

(いつも気づかない間に助けてくれるんだね…。)

 

スゥ〜っと息を大きく吸い、グッと腹に力を入れ、今日どころか生まれて1番の大きな声を出す。

 

「助けてくれて、ありがとうぉ!!負けないでぇッ!」

 

エレベーターに乗り込む直前に見えたのは、親指を立てた左手を高々と空に掲げた八幡の後ろ姿だった。

 

(身内からの礼と応援…やっぱ、嬉しいもんだな。)

 

たったそれだけの事。だが力は漲る。頑張れる。

 

「これで、ラストッ!」

 

最後の1匹を白雪ノ華で突き刺す。……守りきった。そう思うと、一気に戦闘の疲労が襲ってきた。フラつく身体に喝を入れ、座り込みたい衝動を心の奥底へ捻り込む。

 

「…休みてぇ…でも、本部に向か「きゃぁぁぁああぁッ!!」ッ、悲鳴ッ!?」

 

悲鳴の発信源は前方の2階。逃げ惑う少女達と男子生徒がいた。4人を追いかけますのは、3体の小型ノイズ。今まさに、身体を細めて彼女達へ襲いかからんとするノイズ。

 

「やらせるかよッ!!」

 

駆け出し、跳躍。勢いは殺さないまま窓ガラスを蹴破る。その音が少女達の耳に入った時、黒い何かぎ目の前を横切り、ノイズは消えていた。

 

否。

真横の壁に、黒い装束の八幡に足裏で押さえつけられていた。そのまま踏み潰し、残り2体と対峙すしたー時には2体共に塵と化していた。

いつの間にやら振り抜かれた純白の太刀は、危機的状況にも関わらず、彼女達を魅了する。

 

「…怪我はないか?」

「は、はいッ」

「助かりました。」

 

ツインテールの女子生徒はキレのある返事をし、金髪の男子生徒は八幡に礼を述べた。

そうか、と言って黒い鬼面の下で安堵の息を吐く。

 

突如、床に亀裂が入り、下の階からノイズか八幡目掛けて飛んできた。

 

「クッ!?」

 

救出後で気が緩んでいた八幡の反応はコンマ数秒遅れた。ノイズは八幡の真下から飛び出して、その鬼面を吹き飛ばした。

 

 

 

 

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