やはり俺がシンフォギアの世界にいるのは間違っている   作:にゃにゃにゃす

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UAが40000超えてました!ありがとうございます!
いつも読んでくれている方やお気に入りやしおりを挟んでくれてる皆様、この場を借りて御礼申し上げます。
本当にありがとうございます!!

さて、更新がいつもより遅かった理由は後書きにて、簡潔に書いてます。
興味のある方のみご覧下さいませ。


第23話

頬に鈍い痛みと仄かに熱が広がる。クリスに殴られた箇所を手で押さえる翼の怒りの矛先がフィーネからクリスへと移り変わった。

 

「何をするッ!?」

「…見てらんねぇーんだよ。そんな事しても、あの馬鹿の捻くれお人好しが喜ぶわけないだろ?」

 

怒りを隠さずに睨む翼に対して、クリスは怯まず、哀しげに翼を見つめるのだった。

 

「わかった様な口を利くな!あの子は…泣いていたんだぞ!?今でさえ悪夢に魘され、その度に涙を流している!」

 

だから、翼は八幡の家に暇がある時には泊まる様になった。

姉になると告げたあの日、涙を拭ってやると言ったから…声も出さずに静かに涙を流す八幡が心配でたまらなかったから。

 

「知ってるよ。私も見たからな。…アタシだって、奴に腸わたが煮えくり返ってる。おじさんが亡くなった原因を作った奴の近くにずっといた自分にもだ。……でもよ、アンタはアイツの姉貴なんだろ?だったら、アイツの…八幡が本当に喜ぶ事をしてやれよ!」

「……。」

 

まだ殺気にあてられて震える身体に鞭を打ち、響も翼と対峙する。

 

「翼さん。私はクリスちゃんの言う通りだと思います。…翼さんに、そんな事させたと知ったら、ハチ君は傷ついて悲しみます。だからお願いです。いつもの…優しい翼さんに戻って下さい!これ以上、ハチ君を悲しませないで!」

 

涙まじりの響の叫びに翼は何も言えなかった。怒りに身を任せて、このままフィーネを斬り裂きたい。そう思う自分がいるのは間違いなかった。

しかし、それは自身の為であって八幡の所為にした殺人衝動に過ぎない。

 

(本当に八幡が喜ぶ事…。あの子が…悲しむ…だったら……でも……私はッ!!)

 

2人の言葉を心で復唱し、葛藤する。

そして、翼は未だに怒りに震える拳をー

 

「ーぐッ!!」

 

自身の額に盛大に打ち込んだのだった。

 

「お、おい!」

「翼さん!?」

 

突然、奇行に走った翼に2人は驚愕した。めり込んま拳は、ひと時の間を持ってゆっくりと解かる。と同時に2人への重圧が霧散した。

拳を解かれたそこには憤怒に染まった修羅ではなく、いつもの風鳴翼に戻っていた。

 

「…すまなかった2人とも。もう違わない。」

「よかったぁ〜。いつもの翼さんだ。」

「ったく。また変な気起こしたらアタシの拳で起こしてやらぁ。」

「さて…。では、あの子が本当に喜ぶ事をしなくてはな。手初めにー」

 

静観していたフィーネに振り返る3人に、怒気も殺気もなかった。瞳は希望に満ちた輝きを放ち、己が使命と八幡に課せられ使命を果たさんとしていた。

 

「お前の悲願とやらを止めてみせよう!」

「3人でハチ君とまた笑う為に!」

「全力でぶっ潰す!」

「調子に乗るなよ、小娘ども!我が悲願の為、今宵の月を穿ちその欠片を落とすッ!」

 

フィーネの叫びに呼応したかねように、凄まじ音とともに地が揺れ、彼女達の身体をフラつかせた。

そして露わになるフィーネの切り札にして、悲願を達成する為の最終兵器。天を仰ぐほどの塔が、ついにその姿を見せた。

 

「荷電粒子砲、カ・ディンギルッ!止められるモノなら止めてみろッ!」

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

「Imyuteus amenohabakiri tron」

「Killter Ichaival tron」

 

紅い満月の下で、少女達の歌が響き渡る。

纏うは希望。夢見る平和な明日を求め、少女達の最終決戦が幕を開けた。

 

 

 

◇◇◇◇

 

フワフワと宙に浮いているような感覚の中、少年には声が聴こえた。

瞳を開くと、ただ真っ暗な闇しかなく、少年を困惑させた。

 

「ここは…?」

《力ガ欲シイカ?》

「ッ!?また…?」

 

また聴こえた謎の声は己が遥か下から聴こえてきた。

視線を下に落とすと、そこには紫色の球体が闇に漂よっていた。

 

《汝、力ヲ求ムノナラ、我ヲ解放セヨ。》

「力…。」

 

甦るのは憎き敵の姿だった。

父と師を死に追いやった、一族の宿敵。彼女の最後の言葉が脳内に木霊し、身体が憎悪で満ちて行く。

理性を失いそうな程までに燃え盛る憤怒。

 

《我ヲ解放セヨ。力ヲ与エヨウ。》

 

紫色の球体が弾けると、そこには黒い影で出来た巨大な何かがいた。九つの尾を打ち鳴らし、八幡に手を伸ばすソレからは邪悪な笑みが見てとれた。

 

「力が…欲しい……。復讐する為にも、あの女を殺すために力を寄越せッ!」

 

八幡は手を伸ばした。復讐に走る彼の目に優しさも希望もない、濁りきった怒りにだけがあった。あと少しで巨大な手に触れると言う所で、己が胸部が光り、あまりの輝きに瞼を降ろした。

 

輝きが収束すると、目の前にあったのは、長年ともに戦い抜いてきた相棒、妖刀・白雪ノ華だった。

 

「ダメダメ。そんな力求めちゃ。君は人類守護の任に就く、安倍晴明なんだからさ。」

 

一瞬、また輝きを放った白雪ノ華はその姿を刀から人間へと変えていた。

 

「……は?」

 

驚きが憤怒を凌駕し、目が点になる八幡の前には、とんでもなく美しい少女が腰に手を当てて…ニヘラッと締まりのない笑みを浮かべていた。

 

「貴様ァァァアッ!」

「もう、煩いなぁ〜九尾は。君は殺生石でおネンネしててね。」

 

少女がパンッと両手を合わせると、九尾の化け狐が爆散し、光の粒子へと変わった。

キラキラと輝く光の粒子をバックに人懐っこい笑みを浮かべた少女が八幡の胸元を軽くノックした。

 

「もしも〜し。晴明さん起きてるでしょ〜?早く出てこないと晴明さんの恥ずかしい話を「あ、やべぇ晴明さん寝ぼけてた。おや、玉藻。元気か?」

 

少女の話しを白々しい言い訳の弁を述べながら遮った人物は、陰陽師の正装を身に纏った姿で2人の真上から登場した。

自分たちと同じ位置へ移動したその姿を見て、八幡は驚愕する。

鏡を見てるのかと錯覚してしまうほどに、自分と瓜二つの容姿をしていたのだ。

 

「さてさて……はじめまして。私は玉藻だよ。よろしくね、比企谷八幡くん。」

「あー…初代の安倍晴明だ。別によろしくしなくていい。」

「……ド「「ドッキリじゃない。」」…さいですか。」

 

やれやれと首を振る2人に若干の苛立ちを覚えつつも、何故この2人が目の前にいるのか?現実ではあり得ない出来事が起きていながらも、案外冷静な自分に驚いていた。

 

「ではでは…時間もあまり無い事なので、まずは私の魂の一部を持つ彼女が今何をしているのか…ご覧あれ〜!」

 

玉藻が指を鳴らすと足元が揺らぎ、波紋が広がっていく。そして、映し出されたのは、八幡の良く知る少女達だった。

 

「おやおや?…あちゃ〜……クリスったら翼にグーパンしたよ。てか、翼ってば恐いよ。」

「ほほぅ…なるほど。コヤツの為に怒り、コヤツを想い戦っているようだな。」

 

見た。聴いた。知った。

 

「姉さん…。」

姉は自分の為に怒ってくれた。

 

「クリス…。」

クリスは自分の為に姉を叱咤してくれた。

 

「響…。」

響は自分の為に涙を浮かべてくれた。

 

そして、今は一丸となってフィーネと戦っている。平和な明日を掴む為に戦っている。

なのに、自分はどうだ?

自身の怒りに呑まれて力を求めて、復讐に走ろうとした。

闇に負け、力だけを求めた自分を恥ずかしいと思えた。

 

「君は良い仲間を持っているね。生きていた時の私達もあんな感じだったのかな?…やっば!」

 

玉藻と初代の身体が淡く発光し始めた。それはタイムリミットが近づいている合図だった。わちゃわちゃと慌てる玉藻の頭に、晴明が手を置いて押さえつけた。

 

「時間がないから、よく聴け小僧。俺は緋維音の暴挙を止めろと言い残しちゃいるが、子孫は揃いも揃って勘違いし過ぎだ。俺は止めろと言ったが殺せと言ってねぇ。」

「それからね、凄く言い難いんだけど…私達は緋維音を1人にしたくなくて、晴明さんは麒麟に、私は白雪ノ華に魂の一部を紛れ込ませていたの。でも、時が流れすぎてもう限界が来ちゃった。だから、お願い。緋維音を止めて。そして、伝えて欲しい。私達はまだ今も信じてるからって。」

「ちょっと待ってくれ。限界って…それに麒麟って何?」

「は?お前が使ってる戦鎧だろうが。アレには四霊が一体、麒麟の角で作られたモンだ。……アレはお前の仲間が戦っている武器の初期型だ。ただ使うエネルギーが俺たち陰陽師の神通力ってだけだ。そもそも神通力とは……あーもう、時間がねぇし面倒だッ!」

 

胸倉を掴まれ、引き寄せられた八幡の額に晴明が指を当てると、様々な情報が脳に流れ込んできた。膨大すぎる情報量に、脳が焼け切れそうな感覚に陥った。重すぎた負担は、八幡の意識を奪い始める。

 

「…秘技とお前に必要な情報を流し込んだ。あとは自分で整理してケリをつけろ。…あとは任せたぞ、俺の名を継ぎし者よ。」

「あの子達はもう戦ってる。だけど大丈夫!私があの3人を死なせはしないから。絶対、ぜっーたいにッ!だから、安心して……目覚めなさい。」

 

薄れ行く意識の最中、光となり消え去る2人を見送り、八幡は意識を手放し……

 

 

そして、目覚めた。

ハッキリと意識が戻っておらず、ただ自分が誰かにおぶられているのだけは分かった。うまく焦点の合わない目に映ったのは大きな背中と後頭部だけだった。

 

「…親父……?」

 

懐かしい姿を見た気がした。

昔、修行の帰りには歩けない八幡は父親におぶられていた。

一定のリズムで上下する身体が、また八幡を眠りへと誘う。

 

「…すまん、俺だ。」

「??……司令ッ!ー痛ッてぇ……。」

「ハチ君!良かった……本当に良かった…!」

 

安堵の涙を浮かべる未来が真後ろで八幡を支えていた。

その真横には緒川もいて、全員が生きている事に八幡は胸を撫で下ろした。

 

「未来…。司令、すいません。下ろしてください。」

「あぁ。よっと。」

 

応急処置された腹部は血で染まり、貫かれた箇所は焼けるように痛い。

激痛に耐える中、先程の夢の様な出来事がフラッシュバックする。

玉藻と初代安倍晴明との対面。晴明により与えられた情報は知識となり、八幡の脳内で暴れまわっていた。

 

「…痛ッ。」

「ハチ君!」

「大丈夫だ。…司令、俺は地上へ行きます。姉さん達が戦ってるんで。」

「馬鹿を言うな。そんな大怪我して…俺に血箋華を使って神通力だって余裕もないだろうが。」

 

図星だった。神通力は残り僅か。傷からは激痛。

とても戦場に赴けるとは思えない状況だった。

 

「…俺は安倍晴明です。だからー」

「復讐しに行く……わけじゃなさそうだな、こりゃ。」

 

ガシガシと頭を掻き毟り、強い眼差しで見上げる八幡の覚悟を感じ取った弦十郎は司令官としては最低最悪の行動に出る。

 

「ハァ…わかった。行ってこい。」

「司令!?」

 

八幡を引き止めない弦十郎に緒川は驚愕した。

この状態の部下を戦場に送るなど、死を命じるに等しい。いくら本人の立案であっても、司令官なら突っぱねるべきであった。

 

「…ありがとうございます。」

 

傷口を塞ぐ包帯をキツく締め直し、痛みに耐えながら走り出した。

 

「兄にッ!!」

「ーッ!」

 

未来の叫びに八幡は立ち止まる。

懐かしいその呼び名は未来の癖だった。中学生になる前に直った癖は、非常時の今になってまた現れた。

 

「そう呼ばれるのも久々だな…。大丈夫だ。必ず4人で帰ってくる。」

「あッ…!」

 

再び走り出した彼を止めれる者は、この場には居なかった。

 

全力に近い状態で走りながら、懐から紅の呪符を取り出す。

 

(とっておきを使う羽目になるなんて…仕方ねぇか。)

 

たった3枚しかない、超貴重な代物。

それを握りしめたまま八幡は走り続けた。地上はもう直ぐ其処へ近づいていた。

 

同刻

 

少女達は優勢と言わないまでも、フィーネと渡り合っていた。

即席のコンビネーションとは思えない3人の息の合った攻撃に、フィーネの眉間に苛立ちの皺がよる。

 

クリスが撃ったミサイルを鞭で破壊し、爆煙が舞うと、その見えぬ先から翼と響のコンビネーションアタックが迫る。

 

1人に集中すれば、2人に死角から攻められる現状に徐々にフラストレーションが高まっていく。

 

それでも、完全聖遺物のポテンシャルは凄まじく、達人の域まで達した翼の剣技に響の持ち前のパワーと瞬発力に完璧な応戦をしていた。

 

だから見落とした。

 

クリスの構えた2基の大型ミサイル。狙いは自分だと思ったのがミスだった。

 

「本命はこっちだ!」

 

1基目は確かに自身へ放たれたので、空を舞うように飛行しながら容易く避けてみせた。

 

「ロックオン…アクティブ!スナイプー」

 

しかし、2基目の狙いはエネルギーが臨界に達しつつあるカ・ディンギルの発射口だった。

 

「チィッ!」

「デストロイッ!!」

「させるかぁッ!」

 

放たれた2基目にフィーネが夢中になる中、クリスと2人の視線が交わった。

クリスは困った様にぎこちない笑みを浮かべた。

 

「悪りぃな、あとは頼む。八幡に伝えてくれ。…見つけてくれて、ありがとうって。」

「クリスちゃん…?」

「待て、何をするつもりだ!」

 

翼の質問には答えず……放った1基目のミサイルがクリスの真上に来た時、彼女はその先端に捕まり月へ向け飛んで行った。

 

2基目はフィーネが振るった鞭により、敢え無く撃墜された。それでも、クリスは自身から意識を外す目論見は成功していた。

 

 

「もう一発は……はッ!?」

「クリスちゃん、待って!!」

 

響の制止の声を聴かず、超加速で夜空を飛び、雲を越え、青く美しい地球の地平線の丸みが見える位置まで彼女は上昇していく。その最中で、クリスは歌う。

 

 

「ーGatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el baral zizzl

Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el zizzl…」

 

母親譲りの澄んだ、そして彼女の愛らしさが表れた歌声は3人にも聴こえていた。

月とカ・ディンギルの射線に躍り出た彼女は、ミサイルから手を離し…そして、銃を構えた。伸びる砲身と、歌った絶唱のエネルギーが高まっていく。

 

放たれた月を穿つ一撃。

それをクリスは迎え撃ち、カ・ディンギルの放つエネルギー砲を押し止めた。

 

「押し止めているだとッ!?」

 

シンフォギアを玩具と切り捨てたフィーネは、今起きてる事象に驚愕する。

 

だが、嫌な音と共に徐々に銃身に亀裂が入っていく。絶唱の負荷から、クリスは口から血を流し、それでもエネルギーの放出を辞めなかった。

 

 

(アタシはずっとパパとママの事が大好きだった…だから、アタシが引き継ぐんだ……)

 

とうとう纏うギアまでにも亀裂が入る。限界を迎え、だが耐える。耐えて、歪んでいく視界の先を見つめる彼女の瞳は綺麗で希望に満ちていた。

 

(パパとママの代わりに…歌で……アイツが好きだと言ってくれたアタシの歌で、平和を掴んでみせる。)

 

ゆっくりと少しずつ、クリスの砲撃が押されて始めた。

 

(楽しかったな……。何だかんだで、アイツと過ごした3週間は楽しかった。)

 

訪れた限界。

 

(……八幡。約束守れそうにないや…。ごめん。)

 

均衡は崩れ、カ・ディンギルの放ったエネルギーがクリスを飲み込んだ。

最期に想い出したのは、彼とした2度目の約束だった。

 

 

 





8日前

なんか熱っぽいなぁ〜




医者「インフルだね。」
私「は?」
医者「インフルエンザだね。」

違う。言い方の問題じゃない。



5日前

順調に回復。良きかな、良きかな。

あ……鼻がムズムズする……クシャミが……

私「へクシュぁぁあああぁぁあッ!?」

ギックリ腰になった午前四時。


以上です。

※土曜日には後書きを削除致します。
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