やはり俺がシンフォギアの世界にいるのは間違っている 作:にゃにゃにゃす
今回はいつもより短めです。
それでは、どうぞ!
今日も今日とて、政府の行動制限により風鳴邸から出られずにいる4人はと言うと……
「そう、そこで"ず"を打ち消しの意味で訳すわけだ。」
「なるほど…解れば楽勝だぜ!」
「…??何も…わからない…だとッ!?」
学生らしく、今は勉学に勤しんでいるわけだが…途中から参加したクリスが興味深そうにしていたからマンツーマンで教授してる。
人に教えるってのは、自分の復習にもなって丁度いいのですよ。
……なんか隣りで姉が頭を押さえて震えてるけど無視だ、無視。
内容を理解できたクリスは上機嫌に鼻歌を歌うその正面では、珍しく響が淡々黙々とノートにシャーペンを走らせていた。
「…よし、じゃぁ次の問題解いておいてくれ。その間に響の勉強見てくるわ。」
「おーよ!今のアタシにかかればお茶の子さいさいだ。」
「…ッ!?サイン?コサインとは…何なのだ!!?」
「姉さんや、1+1=?」
「2だッ!」
「それさえ解れば生きていける。」
「馬鹿にしているのかッ!?」
してますとも。アンタのやってるそれ、1年生の問題集です。
俺は2年生で貴女は3年生。オーケー?
とは決して口には出せない。まだ八幡は斬られたくないもの。
荒ぶる姉を素通りし、響へ近寄る。お、日本史か…どれどれ…
と響のノートを見た途端に血の気が引いた。
未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来陽だまり未来未来未来未来陽だまり未来陽だまり未来未来
「っ!!?」
高速で走るペン先が残した文字は以上で異常だった。
尚も永遠に"未来"の文字が量産されている。
「ひ、響…?」
「未来未来未来未来未来未来未来会いたい未来未来未来未来会いたい未来未来未来未来未来会いたい未来未来会いたい未来…会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい」
「ひぃッ!?」
「「??」」
光りを失い、闇に取り込まれた淀んだ瞳は瞬きすらしていなかった。ノートを見ているようで、別の何処かを見ているような気がした。そして、口からはブツブツと念仏のように未来と唱える幼馴染み。
……。
こ、壊れたぁぁああぁッ!?
まさか…未来ニウム不足か!!
つーか、怖い怖い怖ぁぁああぁい。
「お、おーい…響さーん??」
「未来未……………ん?どうしたのハチ君?」
「いや、お前こそどうした!?ノートを見てみろ。」
「ノートを…?ひぃッ!?」
「書いた本人すらもッ!?」
なんでやねんッ!何で書いた君がノート見て悲鳴を上げてるわけ!?
あれか?呪われたんか!?何かに取り憑かれてる系なの??
「あ…あははは…未来に会いたいよぉ…。」
「いや、だからってコレはやめなさい。見た人が怖いから。」
◇◇◇2日後◇◇◇
「「「……。」」」
俺と姉さんにクリスは、その場に突っ立ったまた動けずにいた。
理由は目の前にいる。
「未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来未来」
幼馴染みの名を呟きながら、一心不乱にノートに何かを書いてる響の背中から得体の知れない恐怖を感じる今日この頃。
姉さんの方へ振り返ると拳を構えていた。バッとクリスを見てみると同じく握り拳。
……仕方ねぇなぁ〜……
「「「ジャンケン……ポォォオオォンッ!」」」
暫しの沈黙が流れた先には、握り拳の女性陣と指二本を突き出した俺がいた。
「ちょせぇ!」
「防人に敗北はない!」
「…畜生ッ…!!」
言い訳のしようもない敗北は、俺に大変気の重い任務を与えがった。
響との接触である。
普段の明るく騒がしい響ならまだしも、目が死んでるような…イッてるような狂気滲みた瞳をした彼女は地雷としか思えなかった。
ゆっくりと恐る恐る接近する。
セカセカと動く彼女の手が記したノートを見た俺は驚愕した。
あまりの衝撃に開いた口が塞がらない。
「会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい」
「肖像画…だとぉッ!?」
ノートには本物の様に精巧に描かれた小日向未来がいた。リディアンの制服に袖を通した見返り笑顔美人がノートに顕現していて、素直な感想を述べますと……
絵メッチャ、うまッ!!?君にそんな特技があったなんて、お兄ちゃんは知らなかったんですけど!!?
ドン引きするくらい上手いんだけど!!
「ひ、響さんや……。」
「会いたい会いた…ん?ハチ君?…って、なんじゃこりゃぁぁああぁ!?未来じゃぁぁねぇかぁぁあぁあ!!」
「えー……。」
2日前と同じ反応。無気力になった際、無意識に"未来欲"が発動していると仮定しよう。
では、現状を打破するにはどうしたらいいか?
んなもん簡単だ。
「響…正座。」
「え!?…はい。」
いつもの腑抜けた顔ではなく、険しい顔つきの俺の指示に響は素直に正座した。俺も対面で正座する。
さて……
「いいか、響。今まで俺たちは変な言行動で何度か本気で未来を怒らせた事があるな?」
「あ…うん。」
それが?と思っているであろう響がクイッと顔を傾ける。あら、可愛い仕草ですこと。
「ーキッ!!」
「ひぃッ!?な、なんだ!?」
一瞬だけ、殺意の篭った視線を感じた。主に姉さんの隣りあたりから……
「ハチ君??」
「ぅえッ……んんッ!何でもない。えっとだな……響、未来から本気で怒りをかった時を思い出せ。」
「う、うーん?…………うぇッ!」
「えずくなよ…。」
思い出しただけで、えずくって……試しに俺も思い出してみるか…。
……。
…………。
………………。
「うぁえぇ…。」
「ハチ君も人の事言えないじゃん!」
「あぁ…うん、ごめんね?……ところで、何故ドMでもない俺たちが思い出しえずきをしたかと言うと……。」
「…言うと??」
一拍間をおくと、響がゴクリ…と喉を鳴らした。
心して聞くがいいさ。
「……たぶん、未来と感動の再会の後に過去最高レベルで怒られると思うからだ。」
「……ゔぇッ!?」
「考えてもみろ…決死の特攻。行方不明の俺たち。しかし、実は隠れて生きてました。……キレるわな。」
「あぁわわわわッ!!ど、どどどうしようッ!?助けてハチえもん!!」
誰がハチえもんだ。出せるものは白雪ノ華と麒麟くらいしかねぇよ。しかも未来相手には何の効果もありゃしない。
「……一緒に怒られような?」
「ひぃえぇ!!恐いんだよ!?未来ってば、本気で怒ると超恐いんだよッ!?」
うん、知ってる。
だから、敢えて言おう。
誰か俺たち2人を助けてください!!
「何がどうしたと言うのだ?えずいたかと思えば、ワタワタと…。」
「この馬鹿に何て言われたのか知らねぇけど、まずは落ち着けって。な?」
「どどうしよう、2人とも!絶対未来に怒られちゃうよぉ!!」
「小日向が…?怒るとどうかするのか?」
「超恐いんですッ!日本に上陸したシン・ゴジラ以上の迫力で怒られるぅぅぅ!」
君、それは言い過ぎ……じゃねぇな。
怒ったらあの可愛い微笑みの背後で、ゴゴゴッ……!って音が聞こえるもんな。
「小日向って確か…。」
「ん?コイツだよ。」
響作の見返り笑顔美人をクリスに見せると、目がまん丸に大きく開いた。
え?なに?
「やっぱりコイツは…アタシがフィーネから逃げてる時に助けてくれたヤツじゃねぇか。」
「え…未来が?クリスちゃんを?」
マジ?そんな繋がりが??
「あぁ……雨の中で倒れたアタシを運んで介抱してくれたんだ。確か"ふらわー"?ってお好み焼きの店のおばちゃんにも世話になった。…コイツはお前等の何なんだ?」
「親友だよ。私にとっては大切な陽だまりの様な存在。」
「しっかり者の妹って感じだな。響と一緒で幼少期からずっと一緒だった。」
「そっか。良いよな、そう言うの……今度会ったら、ちゃんとした礼を言わなきゃな。…コイツ、良いヤツだよな。」
「うんうん!超良いヤツだよ。可愛いし、優しいし、料理上手だし、頭も良いし。どんな私でも隣りに居て手を繋いでくれる、大好きな親友だよ。…そぉだ!今度みんなで、フラワーのお好み焼き食べに行こうよぉ!おばちゃんの作る渾身の1枚は頬っぺが急降下作戦だよ!」
「わかった!わかったから、近いんだよッ!」
「ふふん、良いではないか〜良いではないか〜。」
「は・な・れ・ろッ!!」
親友を褒められ喜ぶ響を姉さんと一緒に温かく見守る。
閉じ籠もった生活ばかり且つ、未来欲でおかしくなっていた響より、やっぱり騒がしい方が断然良い。
しかしだな……
「楽しみの前には折檻が待っているがな…。」
「あぅッ!?…そーだったぁ〜…。」
マジ、行動制限が解除される日が心底恐い。
マッカン1箱……いや、3箱で許して貰えないだろうか?
……無理か。
それか2週間後。
未来と感動の再会を果たした翌日、やはり正座で響共々しこたま怒られましたとさ……くわばらくわばら。