やはり俺がシンフォギアの世界にいるのは間違っている   作:にゃにゃにゃす

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1人、師走を先取りしております。まだ…11月なのに……



フロンティア事変
第1話


2年前、特異災害ノイズのライブ襲撃から始まった戦いの記憶。

 

あの日から俺には勿体ないと思える、共に戦場を駆ける仲間と全力を持ってサポートしてくれる仲間達ができた。

 

戦いの日々の中で大切な仲間を失い、今度は幼馴染みが二課に加わり…いざこざも多いに起こる中で、今隣りに並んで立つ彼女と再会。

 

そして、信じていた仲間の裏切りと激しい死闘の末に俺達は平和を手にした。

 

今日、ここに戻るまでの2年間の記憶。

あまりに濃ゆ過ぎる内容に、八幡胸焼けしそうだよ。

 

 

騒動から1ヶ月後にリディアン音楽院高等科は新校舎に移設され、登校再開と同時にクリスが編入してきた。しかも我がクラスに。

その際に色々と悶着があったが……まぁ其の内に話すとしよう。

 

やがて夏休みに突入したものの、やはりと言うか何というかバビロニアの宝物庫から出てくるノイズと戦う日々は継続している。

 

お陰様で8月過ぎて、漸く実家に戻れた。

それが今。

隣りではソワソワ落ち着かないクリス。顔も身体もガッチガチに固まってるよ?大丈夫なのか、これ?

 

そして俺は約2年ぶりに実家のドアを開いたのだった。

 

 

第1話

 

 

「たでぇまー。」

「お、お邪魔しみゃす!」

 

緊張のボルテージはMAXを打ち抜いた。まるで俺のように噛んでしまい、耳まで真っ赤になるクリスが超可愛い。

キッ!っと睨んでくるけど怖くないからな?

 

クリスが羞恥心に震える中、リビングに繋がる扉が向こう側より開かれた。2年ぶりに見る母親の姿に少々胸が高鳴る。カーチャンの足元には我が家の愛猫、カマクラ様もいた。

 

プイッとしてリビングにUターンしたのを見て心は泣いた。

 

「おかえり、八幡と…えッ!?」

「ん。…コイツが言「クリスッ!!」

 

説明しよかうとした俺の眼前を一瞬で横切る黒い閃光。

速くない?と言うより速すぎない?

隣りを見て見れば、カーチャンがクリスを抱き締めていた。

1度離れてクリスの顔を見た、と思えばまた強く抱き締めてるし。

抱き締められてるクリスは……え?あ…え?と困惑して、俺に目で助け求めてるし…

 

「なぁ、とりあえずリビングに行かない?」

 

俺の発案により、今は3人ともリビングのテーブル付近に鎮座している。

さっきの状況から、カーチャンがクリスと認識していたのでクリスとの再会に至る経緯と今クリスが置かれている状況説明をする。

事前に司令から許可を貰っているので、響についても話しをしなくちゃならなくってシンドい。

 

流石に話しの内容が衝撃的過ぎて、カーチャンの顔が百面相になってた。

 

「そう…響ちゃんにクリスも戦っているのね。」

「あぁ。…質問は?」

「そうね……クリス、貴女の後見人は誰がなっているのかしら?」

「二課の司令がなってる。他に誰も知らないし…。」

「なら、私がなるわ。親友の忘形見である貴女は私にとって娘同然。八幡、弦十郎さんには私から後で連絡させて頂戴。」

「だってよ?クリスはそれでいいのか?」

「あ…うぅ…でも、迷惑じゃ「そんな訳ないでしょ。さっきも言ったけれど、貴女は娘同然なの。だから、迷惑なんてコレっ………………ぽっちも思ってないわ。」

「溜めたねぇー……。」

 

いつもの強気な姿は鳴りを潜め、クリスはモジモジしながらコクンッと頷いてカーチャンの案に乗るのだった。

 

「クリス…生きていてくれてありがとう。また、貴女に会えて嬉しいわ。」

「あ…う…。」

 

そして再び熱い抱擁。クリスは恥ずかしがりながらも、その温もりに身を委ねている。優しい時間がゆっくりと流れていく……

その真っ只中でカーチャンの双眼がカッ!と大きく開かれた。

 

「そぅだ!この際、ウチの養子になりなさいな!うん、それがいいわ!早速、役所に行かなくてはね!」

「えッ!?」

「ちょッ…落ち着け!」

 

とんでもねぇ暴走し始めたカーチャンを止めなければならない。

あーだ!こーだ!と口がよく回る母親を宥めとめて、最終的にはクリスがカーチャンの事を"母さん"と呼ぶ事で事態は収拾された。

 

「にゃー…。」

「ナァ〜。」

「にゃ。」

「ナァ〜。」

 

アレから少し時間も経ち、クリスの緊張が解れた頃にカマクラがクリスに寄ってきて、今はクリスに撫でられながら猫語で会話してやがる。

 

 

 

「んで、小町は何時くらいに帰ってくるわけ?(なにアレ?超可愛い。)」

「あと1時間もかからないわよ。受験生だからね…(あら、やだ。スマホのカメラどれだったかしら?)」

「総武目指してんだって?塾でも上位クラスって聞いたし、頑張ってんだな。」

「まぁね。生徒会にも入ってるし、推薦貰えそうだとは言っていたわ。」

 

カシャッ!カシャッ……シャシャシャシャッ!

 

……まさかの連写機能でクリスを撮りまくる母親に絶句。

直後に俺のスマホがピロリン♪。開いてみると先程の写真が母親から送られてきていた。

 

あー……うん。

 

神はここにいた。

 

 

ガチャン!とリビングのドアの向こうで音がした。

 

お、帰ってきたな。

 

タタタッ……ごんッ!!

 

「「「ッ!?」」」

 

…ゴロゴロゴロゴロ……タタタタッ、ガチャッ!!

 

勢いそのままに開かれたドアから、愛する妹の小町が飛び出してきた。そして、そのまま俺に向かってダイブ。

ま、余裕で受け止めれるんだけどね。

 

「ただいま!お兄ちゃん、おか…え……り?」

 

間近で俺の顔を見た小町がカキッ!と固まる。

え?どったの?

 

「…誰?」

 

おっふぅ……。

 

「…お前のお兄ちゃんですが?」

「目が……濁ってないだとッ……!?ほぇ〜…目が違うだけで雰囲気変わるもんだねぇ。眼鏡までしちゃって。」

「あ……うん。…それよりデコは大丈夫か?」

「え?何が??」

 

いや、お前絶対転んだよな?滅茶苦茶オデコが赤くなってるよ?完璧な貼り付けた笑顔で無かったことにする小町がちょっと怖い。

 

「コラ、小町。お客さんが来てるのよ?」

「あ、そうだった。失礼しましたッ!……ってクリスお姉ちゃんッ!?」

「あははは……ひ、久しぶり?」

 

乾いた笑みの後に繰り返された熱い抱擁。さっきと違うのは小町がクリスの胸元に飛び込み、クリスが抱き締めた事だ。

 

カシャシャシャシャシャッ!

そして、母親は連写しておりました。

期待を裏切らねぇな。

 

 

 

 

 

 

アレからまた時は流れ、久しぶりの小町の手作り夕飯に舌鼓を打ち、今はリビングで団欒の時間を過ごしている。

 

 

 

「じゃ、クリスお姉ちゃんはお兄ちゃんと同じクラスなんだ?」

「あぁ。八幡の近くにいると毎日騒がしいったらありゃしねぇ。」

「ひでぇ言い草だな。」

「え?お兄ちゃんが騒がしいの?」

「いーや。八幡のダチが騒がしい。」

「……。」

「「……?」」

「…………はっ!?あまりの衝撃に小町の意識飛んじゃってたよ!お兄ちゃん、友達ができたの!?」

「お、おう。ま、1人だけどな。」

「わはー!遂に戸塚さん以外にも友達が……小町、うれしくて泣きそうだよ。」

「大袈裟な……。」

 

クリスは呆れてるけど、決して大袈裟などではない。

あのボッチ至高主義の俺に戸塚以外にも友達ができたのだから。

 

材木座??……知らないな……。

 

 

「あ、そうだった。小町にプレゼントがあったんだった。ホイ、これ。」

「ん?何かな何かな〜……コレって風鳴翼と今話題のマリア・カデンツァヴナ・イヴのライブチケットじゃん!?しかもスペシャルシートォォオ!?……どうしたのこれ!?誰から盗ったの!?」

 

妹達の俺に対する評価が低くて辛い。なんでお前らは揃いも揃って俺を犯罪者扱いするの?

 

 

「盗ってねぇから…バイト先で貰ったんだよ。響と未来も行くし。」

「勿論、アタシもだ。」

「わぁい!ねね、お母さん…行っていいでしょ〜?」

「どれどれ…秋頃に開催ねぇ……ま、偶の息抜きには良いんじゃない?」

「やたー!ありがとう、お兄ちゃんッ!」

 

 

キラキラと輝き喜ぶ小町を見ているとホッコリする。

あー…実家マジ最高。帰りたくねぇや。

 

「あ、そうだ!お兄ちゃん、結衣さんからのメッセージ無視してるでしょ!夏休み遊びの誘いしたのに返事がないって今朝連絡がきたんだから。」

「……はぁ、由比ヶ浜が?知らねぇけど?そもそも明日には向こうに戻るし遊べねぇよ。」

「むむッ!?…クリスお姉ちゃんも帰っちゃうの?」

「そりゃ、コイツのバイクに乗ってきたからな。」

「うっそ!?お兄ちゃんバイクに乗ってるの?」

 

質問と驚愕の嵐。楽しい会話にクリスも笑顔で小町とキャッキャしている……なるほど、ここが楽園か……。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

東京湾付近の深海。

光りも届かない暗く冷たいその場所に、二課の仮設本部である次世代型

潜水艦が停泊していた。

 

作戦司令室には弦十郎を始め、藤尭や友里がいた。

 

「お疲れ様でぇーす。」

「お疲れ様です。」

 

元気の塊である響の声に、たちまち室内が温かく緩い空気にガラリと変わる。響と未来に続いて、翼と緒川も入室して一層賑やかになる。

 

「訓練お疲れ様。あったかいものどうぞ。」

「わはぁーい。あったかいものどうも。」

「もう、響ったら…すいません友里さん。」

「ふふ、気にしないで。はい、未来ちゃんもどうぞ。」

「ありがとうございます。」

「それで?翼との模擬戦はどうだった?」

 

八幡不在の為、翼が模擬戦の相手を買って出たので…是非!と嬉々として臨んだ響であったが……

 

 

「ぜ…全敗の完敗でヘロヘロです……。ハチ君の強さと違った翼さんの動きについて行くので精一杯でした…とほほ……。」

「刃と身体の動きの速さだけで言えば八幡の方が私より速い。立花が私の動きについてこれたのは、あの子の動きに目が慣れつつあるからだ。確実に強くはなっているのだから己が強さを褒めてやりなさい。」

「そう言って貰えると嬉しいです。……ハチ君てば中々褒めてくれないし。」

「だな。翼も今度、2人の訓練に付き合ってみると良い。八幡が思いの外スパルタで驚くぞ。」

「そうですね……その八幡から何か連絡は?」

「特にはない。久しぶりの実家だ。英気を養ってくれてればいいのだが……。」

 

その弦十郎の言葉に一堂顔を曇らせてしまった。

 

 

1週間前。

 

フィーネとの激しい死闘を終えた時に、彼女が弦十郎に渡したUSBに残されたデータの解析が終わり、八幡と装者3人に加えて未来を召集して開示された内容は驚愕するモノばかりであった。

 

情報処理班の2人が解析したデータをスクリーンに映し出し、友里が

詳しい説明を声に出し始めた。

 

 

「了子さんの残したデータを解析したものです。まず、八幡君が身に纏っている戦鎧についてのデータよ。」

 

アップでスクリーンに出された戦鎧のデータに、響を筆頭にクリスと未来も首を傾ける。一般人には到底理解できない内容であったが、ある程度の知識を持つ八幡と翼の表情が驚きに染まった。

 

「……要はプロトタイプ、ですか。」

「まさか…いやしかし、それなら納得できる点も幾つかある。」

「あの…2人ともどう言うこと??」

「……兼ねてより、シンフォギアシステムに近い力を持つ八幡君の戦鎧に疑問が多々ありましたが解析したデータが全てを物語っています。漆黒の戦鎧…名前は麒麟、コレはシンフォギアのプロトタイプと言えます。名前のとおり、これは四神獣の麒麟の角を媒介として造られたモノのようです。」

「四神獣?」

 

チンプンカンプンで頭に幾重もクエスチョンマークを浮かべる3人に、八幡はため息を吐いてから口を開いた。

 

「四神獣は伝説の生き物だ。麒麟と鳳凰、応龍に亀霊。その内の麒麟と言う神獣の角で造られたのが俺の戦鎧ってこと。」

「つまりは聖遺物でできているの!?」

「しかし…ならば何故なのだ…?」

「八幡の鎧は聖遺物の欠片を使ってるんだろ?だったら歌もなしにどうやって起動してんだよ?聖遺物の力を引き出すには相応のフォニックゲインが必要なはずだろ。」

 

麒麟の角から造られた戦鎧。同じく聖遺物の欠片からできているシンフォギア。彼女達の纏うシンフォギアは、彼女達が歌う事で高まったフォニックゲインにより力を発揮できる。

しかし、麒麟はシンフォギアのプロトタイプとしながらも歌を必要とせずに八幡は運用していた。

皆が疑問に思うのは至極当然である中で、八幡1人だけが顔を曇らせた。

 

「それについても解析済みよ。この麒麟は、千数百年前に初代安倍晴明の為にフィーネ…つまり前世の了子さんが造ったとされています。しかし、なぜ歌も歌わない状態でフォニックゲインを高める事もなく、シンフォギアにも似た力を使えたのか……それを今からモニターに出します。」

 

スクリーンは切り替わり、また新たな解析データが映し出された。

その瞬間、友里と藤尭以外の全員が息を飲んだ。唯一違った八幡だけが下唇を噛んで視線を1度だけスクリーンから離した。

そこにあったのは、八幡の力の源についてだった。

 

「八幡君……了子さんにも理解できてないのだけれど…君は常人ではあり得ない程のフォニックゲインを体内で作り出しているの。また外部からも無意識に取り込んでいると記されているわ。それ等を体内で神通力にエネルギー変換して麒麟を起動している……つまり神通力とは、体内にて高まったフォニックゲインと生命力が合わさったものみたい…それが白狐の血の特性だと記されていたわ。その…要するに八幡君の神通力で起動している麒麟は八幡君にしか扱えないと言う結論に至ったの。」

「えっと……つまりぃ?」

 

理解ができなかった響の質問は、言うなれば未来とクリスの代弁であった。

それに応えたのは、やや不機嫌気味な八幡であった。

 

「白狐の血を器とし、生成されたエネルギーを生命力と合わさった神通力で満たし起動する。だが、器が小さくては麒麟の運用は不可。」

「ッ!そうか…だから殺生石で血の覚醒を促しているのだな?」

「正解だ、姉さん。…血の覚醒で器を大きくし、神通力を大量に注ぎ込む。……だから血化粧を使った時は獣化しかける程に器の拡張で、扱える神通力の出力が上がったわけだ。……化け物じゃねぇか…。」

 

沈黙。室内の空気は一段と重くなった気がした。

誰も何も言わず、言えずしばしの静寂が訪れた。

その重たい空気を崩したのはクリスだった。

 

 

「化け物ねぇ…。そりゃ変態ロリコンホモ野郎だろ?人外としか思えない動きするしよ。」

「その誤解は解けんたんじゃなかったのか!?」

「さぁな。…八幡、お前の父親は化け物か?」

「…あ?人間に決まってんだろ。」

「だったらお前も人間だろ、馬鹿。」

 

ピシャリっと言い切り、反論や異論は認めないとムスッとした態度のクリスに八幡は怯む。何か言おうとするが直ぐに口を閉ざし、黙ってしまう。

どう反論しようにも自分のみならず、父親までも化け物になる結論しか思い浮かばなかったのだ。

 

「ハチ君は人間で私達の大切な幼馴染みだよ。」

「次にそんな風に言ったら私、許さない。」

「響…未来…。」

「八幡。確かに貴方には特別な血が流れている。でもー」

 

翼の人差し指が八幡の胸を軽くトンっと押す。

 

「私の弟は優しき心を持つ人間だ。…人は心の在り方で、鬼にも化け物にもなってしまう。それは私も含め、誰であってもだ。だから、血がどうとかだけで自分を化け物だと卑下するのはやめなさい。」

「…心の在り方……。」

 

押された場所に手を当てる。心臓の鼓動を感じ、そして暖かな温もりが心を締め付けた。

グッと引き締まった八幡の顔つきに、翼は優しく微笑みを浮かべて小さく頷く。

 

優しい空気になった室内に友里は安堵しながら、まとめに入った。

 

「シンフォギアが誰にでも扱えるわけじゃないのと同じ…いえ、それ以上に了子さんの造った四霊鎧シリーズは使用者が限定されます。……麒麟については以上となります。藤尭君。」

「続いて、了子さんの計画と日誌のデータからとある事実が判明しました。……千葉で起きた2度の大災害。アレは了子さんが起こしたモノで間違いないのですが……八幡君、君の父親と師匠の仇は了子さんではない。別の第三勢力が2人を殺害した可能性が極めて高いんだ。」

 

 

優しいかった空気が急速に冷たくなった気がした。

 

 

 

 

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