やはり俺がシンフォギアの世界にいるのは間違っている 作:にゃにゃにゃす
諸事情により更新が遅くなりました。
またお付き合い願えたら嬉しいです。
生きるか、死ぬか。
戦場に立つ者にとって、己が判断と選択を違えてしまえば、それ即に死へ繋がる。
マリア・カデンツァヴナ・イヴ。
彼女は判断を違えてしまった。
自分の意思の甘さ、先を読む考えの浅さ。
故に今、マリアを追い込んだのは彼女自身に他ならなかった。
「せいッ!」
予定外にして想定外。比企谷八幡の乱入によって、ノイズは次々に無へと還っていく。
ノイズ達の間を擦り抜ける様に斬り裂く稲妻の如き鋭い刃と鮮やかな身のこなし。
八幡が駆けた場所には、たた炭だけが残されていた。
「いったい……彼は何者なの!?」
「こちらも行くぞ!…一つ目の太刀〜 稲光よりッ!」
歌に続いて刃を突き立てて斬り込んでくる翼に、マリアは纏ったマントをヒラつかせて迫る刃を回避していく。
大振りになった翼の一閃を跳躍して回避した瞬間、翼の歌を遮る程のけたたましい音とともに、眼前を眩い光りが支配した。
予想もしてなかった八幡からの攻撃に身体が硬直した。
そして息を飲むマリアを爆煙が飲み込んだ。
【閃光業雷】
八幡の放った雷の刃がマリアに直撃……には至らず、寸前でマントにより防がれた。
だが閃光業雷の威力は殺せず、完全に体勢を崩したマリアに更なる追撃が迫る。
「幾千、幾万、幾億の命…すべてを握り振り翳すぅ〜ッ!」
ステージを低空飛行する翼。その右手に握るは双剣。指を巧みに使い、超高速で回転させ、またその刃の切っ先より炎を灯す。
そして、2人の影が交差する刹那に炎の斬撃が煌めいた。
【風林火斬】
「散る覚悟はあるかぁ〜ッ!!」
「くぅッ!」
苦し紛れにマリアはマントを前方へ展開。これが功を成し、斬撃を防ぎは出来たが炎が顔を掠めて反応が鈍る。
「話しはベッドで聴かせてもらう!」
八幡の参戦から終始、姉弟コンビが優位に戦闘を進めていた。
その証拠にノイズは既に1匹残らず殲滅され、何とか凌いでいたマリアも背後を翼に取られチェックメイト。
そんな折、微かに聴こえた空を裂く音とモーター音に、八幡の脳内で警報がなった。
(新手かッ!?)
「首を傾げてぇ 指からするり落ちていく愛を見たぁの……」
次いで聴こえた姉とは違う歌に、緊張の雷が躰に駆け巡る。
視界でそれを捉えた刹那に、八幡は翼に目掛けて駆け出した。
「姉さんッ、6時方向に60度ッ!」
「ッ!!」
八幡に指示された方角と角度へ炎を灯した双剣を翼自身の正面で高速回転させ、自身を襲う何かを次々に弾き飛ばす。
突然の襲撃者。それは会場の壁を高速移動しながら飛び、翼への追い討ちを始めた。
【α式・百輪廻】
数えるのも面倒な数量の小型円盤が刃を回転させながら次々に放たれた。
その直後だった。彼女の背後からまた別の1人が空に飛び上がるとー
「行くデスッ!」
【切・呪りeッTぉ】
手に握る大鎌の刃を根本から分裂させて翼へと投げ飛ばしたのだった。
翼の左右の死角を突いた軌道へ刃は回転しながら襲いかかる。
完璧なコースへ放った本人の口角が吊り上がる。
直撃する。そう思う彼女だが、それは早計過ぎた。
何故なら翼は1人で戦っているわけではない。
「させるかよ。」
翼のサイドを挟む様に、五芒星が描かれた紙が飛んできた。
他者から見れば、ただの紙切れ。
されど、陰陽師が扱うそれはただの紙切れに有らず。
放たれた鎌の刃が呪符に接触する間際、防御障壁が起動された。
甲高い音を鳴らし刃が弾かれた事に、奇襲した乱入者2名は驚愕するのだった。
「デェスッ!?」
「そんな…!」
【閃光業雷】
驚く2人を目指して稲妻の刃が高速で迫る。
「やらせはしないッ!」
「チッ!」
フリーになっていたマリアが間に飛び込み、閃光業雷をマントで弾き飛ばした。
マリアを筆頭にステージへ着地したの3人もの装者。
対峙する翼の隣りへと八幡も降り立ち、ついつい舌打ちを追加してしまう。
新たに姿を見せた、ピンク色の装者と大鎌を携えた装者。
どう見ても自分等よりも歳下の2人がテロに加担しているのが、八幡からしてみれば負に落ちなかった。
騙されているのか、はたまたいい様に使われているのか。
「すまない、助かった。」
「ん。しっかし、装者が3人もかよ…。」
「…数ではこちらが有利となった。一応、投降の勧告でもしておこうかしら?」
さっきとは真逆に戦力的優位に立ったと、マリアは先程の八幡の様に2人へ見下した様に言い切る。
だが、彼は鼻で笑う。人を小馬鹿にしたようなその態度に、マリアの背後にいた2人の顔が一瞬で苛立ちに染まった。
「何が可笑しいの?」
「そのバカにした態度、気に食わないデスッ!」
「いやいや。なに仲間が増えただけで強気になれるのか不思議でよ。…お前達3人でかかっても俺と姉さんに勝てるわけないしな。」
「ッ!…あら、よく吠えるわね。私達だけでは貴方達2人に敵わないと?」
「試してみるか?それでも私は構わない。が、貴様達の言う数的優位も既に失われているッ!」
八幡と翼は同時にステージから後方へと大きく跳び、敵対する3人から一気に距離をとった。
3人の視線が遠ざかる2人へ集中する中で、マリアの耳に聴き覚えのある音……プロペラ機の音が入ってきた。
「上かッ!?」
見上げた先には、黄色と赤のシンフォギア装者。
二課所属の2人がマリア達を目掛け降下している真っ最中であった。
「土砂降りなッ!10億連発ッ!!」
【BILLION MAIDEN】
クリスのアームドギアがガトリング砲へと変わり、降り注がれる銃弾の雨。
マリアはマントを上へと展開し銃弾の嵐を弾き、残りの2人は左右にバラけて回避行動に移った。
重たい鉛玉の豪雨。
その衝撃に顔を歪め、耐え忍ぶマリアだったが不意に銃声が止まった。
「ぅッおぉぉッ!」
銃声と切り替わる様に聴こえた雄叫び。
発信源はマリアの直上からだった。
真っ直ぐに減速もせずに降下してきた響の拳が、防御で手一杯だったマリアを狙う。
降下の勢いが威力に加算された拳をマリアは紙一重で躱す。
避けられた拳はステージの一部を粉砕し、その威力にマリアはゾッとしながらもマントを鋭く伸ばして響へ反撃。だが、それをスルリと響は避けて八幡達の元へ跳ぶ。
クリスも八幡の隣りへ着地し、4人が武装組織フィーネの装者達と相対した。
「止めようよ、こんな戦い!今日出会った私達が争う理由なんてないよッ!」
「ッ!…そんな、綺麗事を…ッ!」
「え…?」
「綺麗事で戦う奴の言うことなんて信じられるものかデスッ!」
3人を説得しようとする響だったが、返ってきたのは否定。
尚も説得を続けようとする響に、ピンク色の装者・月詠調は本気の苛立ちを露わにし、こう言った。
「偽善者ッ。」っと。
「この世界には貴女の様な偽善者が多すぎる…だぁから そんな世ぇ界は 伐り刻んであげましょーッ!!」
「…響、説得は諦めろッ!」
再び、刃付きの小型円盤型を放ってきた調から、響を護るように八幡が飛び出して五芒星の障壁を展開する。
万が一、響の言葉が彼女達に届くなら…と考えていた八幡。
されど想いを紡いだ言葉は否定された。
ならば、もう戦う道しか残されてはいなかった。
「指示をッ!」
「マリアは私が!八幡はその装者を!雪音、鎌の装者は任せたッ!」
「おうとも!おりゃぁぁあッ!」
翼の指示の元に、二課所属メンバーと武装組織フィーネは全面対決へ。
クリスがクロスボウから矢を放てば、鎌の装者こと暁切歌は前面で鎌を回転させながら突進。クリスに迫ると、愛らしい顔には似合わない巨大な鎌で襲う。
「近すぎんだよッ!」
距離を詰められない様に矢の雨を切歌に見舞う中、二刀流の翼がマリアと激突。火花を散らしながら両者一歩も譲らない激しい攻防戦へと突入した。
一方で調の相手を指示された八幡は防御で精一杯だった。
「わ、私はただ困っている人達を助けたいだけで!」
尚も会話での解決へと走る響を守る。その為、攻撃に手を回せずひたすらに打ち出されるα式・百輪廻を弾いていた。
「それこそが偽善ッ。…痛みを知らない貴女に誰かの為なんて、言って欲しくないッ!!」
「ッ!?」
【γ式・卍火車】
調のヘッドギアから2枚の巨大な回転鋸が響へと射出。
しかし、やはりその軌道に八幡が割り込んできた。飛来する回転鋸を目指して跳躍。それぞれの中心部へ雷を纏う裏拳と蹴りを放ち粉砕した。
「…さっきから黙って聞いてりゃ、テロリスト風情が…痛みを知らない?寧ろ、お前が響の何を知ってるんだっつーの。」
「知らないし、知る必要がない。そんな綺麗事と偽善を振りかざすソイツの言葉は受け入れられない。」
「ハッ、ならお前等が今しているテロ行為は"善"なのか?大勢の一般人を巻き込み、この日を楽しみにしていた者達を悲しませたお前等が?」
「…うるさいッ。」
「調、離れるデスッ!」
クリスと激闘を繰り広げていた切歌が八幡の背後から強襲。
だが、八幡は冷めた視線を切歌に送るだけでピクリとも動かない。
対して切歌は躰から熱を奪われた様な気がした。自分を捉えた赤い双眼が自分の頭の中、思考、心までも見透かしているような錯覚に囚われてしまう。
「ッ…デェェェイッ!」
得体の知れない恐怖に掴まれながらも、切歌は鎌をしならせ、八幡の頭上へ振り落とした。
今度こそは獲ったと確信。
スパンッ!
「ハチ君ッ!!?」
縦に真っ二つになる八幡を響は悲鳴のように彼の名を叫んだのだったが……
(およ…?手応えがないデス??)
空ぶったとさえ思えた、あまりにも軽いその感触が切歌に不信感を抱かせた。
確かに切歌は八幡を鎌で斬った。
だが今、目の前の八幡が揺らぎながら瞬く間に消えた。
立っていた場所にはヒラヒラと舞う人形の紙が1枚。
【式神空蝉】
式神。
陰陽師が使役するそれを八幡が忍術と掛け合わせたオリジナルの術。
式神とすり替わった八幡はと言うとー
「縛り付けろ、白雪ノ華ッ!」
「デデッ!?」
いつの間にか響の隣りを陣取り、白雪ノ華を地に刺していた。
切歌を囲うように、四方の床を砕き飛び出した氷の鎖。
(これは…すっごく不味いのデースッ!)
身体を硬直させアワアワとする彼女を捕らえようと迫る氷の鎖だったが、飛来した小型円盤が衝突。
火花が散り軌道を逸らされ、狙いとは別の場所へ突き刺さってしまった。
「調ぇー!」
「今ので切断できないなんて…切ちゃん、アイツ手強い。」
「アタシを相手に余所見とはいい度胸してるじゃねぇか!」
【BILLION MAIDEN】
クリスのガトリング砲が火を吹いた。
バラけて離れていく調と切歌を執拗に追いかけるように狙い撃つ。
ある程度の距離が出来た瞬間に、撃ち止めし響へと詰め寄る。
「鈍臭いことしてんじゃねぇ!」
「ご、ごめん…!」
戦いの最中でろくに動けていない響へ一括し、また射撃を再開。
ーキィンッ!
「ッ!?ノイズが出るぞッ!……会場中央部だ!」
「「「ッ!?」」」
ノイズの出現を感知した、言葉では言い表せない不快な感覚。
八幡の呼びかけに敵対する装者達は驚きに染まる。
対して二課所属の装者達は新たな敵襲の報せに顔を歪ませた。
そして、あの緑色の閃光が会場中央部から発生。
「わぁぁ…何あのでっかいイボイボッ!?」
響の叫び通りのイボイボした形状で、かなりの巨大なノイズ。
(見た目グロ過ぎない?つーか今までに見た事ないんだけど…)
幾度も戦場に立っていた八幡の知らない未知のノイズ。
アイコンタクトを翼に送ると彼女は首を横に振った。
ノイズの中には稀に特殊な攻撃をする個体がしばしばいる。
過去、戦ってきたノイズには背中の球体を飛ばす個体や、粘膜液を吐く個体がいた。
油断はしない。してはいけない。
そう彼が意気込む最中、マリアが両腕のアームドギアをドッキングさせて槍を形成したのだった。
「野郎…アームドギアを」
「温存していただと…!」
【HORIZON†SPEAR】
構えたアームドギアの矛先を展開し、エネルギー砲をノイズへと解き放った。
「おいおい、自分らで出したノイズだろッ!?」
エネルギー砲は直撃。
ノイズはぐちゃぐちゃに飛び散る中で、マリア達が退却し始めた。
「ここにきて撤退だと!?」
「待て…クソッ!」
追いかけようとするも、飛び散るノイズの肉片が邪魔をし八幡の視界と進路を妨害する。
「ノイズが…!」
驚きの叫びを上げる響に反応し、ノイズを見てみるとモゾモゾモニョモニョと気味の悪い動きをしながら身体が大きくしていた。
「ッ!?増えてやがるぞ、おい!」
「まさか、増殖分裂タイプ!?マジか…!」
攻撃しようものなら分裂し、増殖していく。手を出さずとも勝手に増殖。
このままでは会場に収まりきれずに、ノイズが外へと溢れてしまう。
そうなった時、外にいる避難民達が危ないのは明白。
だったらと、彼は白雪ノ華を天高く掲げる。
「クリス、上空に煙幕を張ってくれ!」
「おうよ!おりゃぁぁあッ!!」
【MEGA DETH PARTY】
複数の小型ミサイルを腰部のアーマーより発射。
会場の真上でミサイル同士を衝突、爆散させ上空を黒煙で覆い隠す。
万が一、衛星から映像を見られようとも今から起きる事象は誰にも見られない。
「八幡!」
「やれ、白雪ノ華ッ!」
【氷喰絶】
白雪ノ華の刀身が淡く発光するや、ノイズを瞬く間に氷漬けにしていく。
たった数秒で分裂し増殖したノイズは氷人形と化し、白雪ノ華が一層の輝きを放った。
「喰い尽くせぇぇえッ!」
そして氷と共にノイズは砕け散る。
炭も残らずに白雪ノ華に喰われたのだが、会場中央部に何やら脊髄のような骨格から足が生えた何かがいた。
「アレが本体…ッ!?」
4人が一斉に攻撃態勢に移行した直撃だった。
スゥー……と音もなくノイズはその場から消え去った。
「消えたの??」
「違う…逃げたんだ。」
マリア達は撤退し、ノイズは行方を眩ました。
敵の気配も感じられなかった八幡を筆頭に、全員が武装を解除した。
「…被害者が出なくて幸いとしておくべきか。ーッ!立花?」
「?響ッ!」
異変はそこで起きた。
いつもは明るい響が嗚咽を殺し、静かに涙を流していた。
慌てて年上組みが駆け寄る中、響は流れる涙を拭おうと必死になるも止める事はできなかった。
「どうした!?怪我をしたのか!?」
「へ、平気、へっちゃらです!」
「平気なものか!…どこか痛むのか?」
心配する翼には虚勢を張ろうとするも、見え透いた嘘をクリスが一蹴。
怪我をしたのかと響の身体を労わる中、響は八幡を見据えて口を開いた。
「私のしてる事って偽善…なのかな?」
「……。」
痛むのは胸の奥底。両手で胸を抑える響の頭に手を置き、優しくあやすように八幡は撫でた。
一時の間を持って彼は口を開く。
その表情は痛く哀しみに満ちていた。
ネフィリム「復かt「(作者)させねぇよ?」…解せぬ…。」