やはり俺がシンフォギアの世界にいるのは間違っている 作:にゃにゃにゃす
やっと更新できましたー!!
もし、待っていてくれた方がいましたら、嬉しく思います
我らの学舎が一際騒がしくなる昼休み。
教室内ではいそいそと仲良しグループで集まったり、学食へ急ぐ輩などなど、長い休息時間を如何に有意義に過ごそうかと活気立っていた。
「よ、御両人。メシどうすんの?」
喧騒に包まれた室内であっても、無駄にイケメンの声は冴えて聴こえた。
転生したフィーネとの戦いを見て、俺達の秘密を知ってしまった林。それも有り、なんやかんやで最近は俺とクリスと林、このトリオでよく行動している。あと稀に綾野達も。
「ん。八幡、どうするよ?」
「あ?あー…すまん、今日は行くとこがある。」
「ふーん…急がねぇとあの馬鹿を見失っちまうぞ。」
「お見通しなのね…。」
「馬鹿って、響ちゃん?」
「…俺の妹を馬鹿呼ばわりとはいい度胸してるじゃねぇの。」
「俺だけ責めるの!?差別反対!男女平等!」
手でバッテンを作り騒ぐ林。
と、この間にクリスは教室から足早に退散していった。
え?何事??
「あ、雪音さん!待って!」
その影を追う様に綾野達が駆けていく。
あぁ…そう言うことね。
3人はクリスと仲良くしたいんだろうが…結構恥ずかしがり屋だし、人見知りもするし、なんならまだ学生生活になれていない。
と言うよりかは、一般的な"普通"に慣れていないのだから日々戸惑いの色を隠せていない。
故に追えば、逃げる。
待てば、逃げる。
兎にも角にも、逃げる。
不意に青い瞳とかちあった。
肩を竦め、駆けて行った4人の方角へチョイチョイと指を挿すと林はヤレヤレと首を振った後に追いかけていった。
よし、たぶんこれで大丈夫。
あくまでも、たぶん。
「さて、いきますか。」
てなわけで、やって参りました1年の教室。
ガラリとドアをスライドさせると、割りと近くに目的人物がいた。
……君、1人だけ上の空でボーッとしてるね。
まさかとは思うけど、授業中に怒られてないよね?お兄ちゃん、心配です。
放心している響の前にいた未来が俺に気付き、驚いたのかキョトンとしている。
あらやだ、可愛い…。
「ハチ君?どうしたの?」
未来の一言に室内はピタッと静けさを降臨。
ジー…っと視線が室内中から俺に降り注がれた。
……え?何、怖い。え?怖い。
何で皆黙ってコッチを見てるの??
「え??ハチ君?」
我に帰った響も気付き、やはりキョトンとする。
あらやだ……ウチの妹達ったら可愛いが過ぎる。
などと、独り勝手にほっこりしている俺にトタトタと近寄る響と未来。
「ん。響に用があってな。」
「私?なになに??」
「て言うか何で鞄もってるの?」
「とりあえず、響は鞄を取っておいでなさい。」
「よくわかんないけど、わかった。」
疑問符を浮かべる未来を他所に、素直に鞄を手に取る響。
「で、何かあるの?」
むッ……こう言う場合は何と言えばいいのだろうか?
サボろうぜ!なんて大々的に公言するわけにはいかないし、元よりする気がない。
ん〜……あッ。そうだ。
「よし。響、デートしようぜ。」
氷喰絶を使ったわけでもないのに、ピシッと固まる室内の空気。
さっきから一体全体、何なのかしら??
……俺、この教室に恐怖心しか抱いてないんだけど。
「…ふぁいッ!?」
「よし、行くぞー。」
真っ赤に茹であがり、変な返事をした響の手を取り教室から抜け出す。
流石と言うか、何となく察した未来が苦笑しながらヒラヒラと手を振って見送ってくれている。
よく出来た妹だよ、まったく。
《えぇーッ!!?》
俺達が出た数秒後に、凄まじい音量の叫びが後方から聴こえてきた。
……俺、2度とあの教室に近づかないと思う。
だって怖いし。あと、怖い。
「ハ、ハチ君!?どこ行くの!?」
「街。英語でtownだ。」
「え?……え??え???」
てなわけで、学院を抜け出して制服のまま街に繰り出した我々なのであった。
校門を堂々とスルーし、久々に2人で街中を歩む。
グギュルル〜……。
不意にデカイ腹の虫がなった。俺じゃなく、隣からだよ。
またもや真っ赤になって、両手で慌てて腹を押さえ、チラッと伺う様に俺を見てきたので、グッと親指を立てておいた。
あ、項垂れた。
「…お、ここだ。」
「ふぁ〜良い匂いがぁ〜…。」
数分後。
熱した網で肉や野菜を焼く俺達がいた。
カルビにロース。
タンに丸腸。
注文した品々を所狭しと網で炙り、その匂いが鼻腔から脳を刺激し、食欲を高める。
「あぅ〜……ぅぅ…。」
「……。」
焼いている間、響は犬に負けないくらい涎を垂らして"よし"の合図を待っていた。
肉が焼け、ゴーサインを出す。余程腹が減っていたのか、響は白米片手にガツガツと肉をかき込む。
焼いては食べ、追加し、ガツガツと平らげていく。
見てるこっちが気持ちの良くなる食べっぷりだな。
いっそ、爽快と言えるほどに。
「「ご馳走様。」」
腹八分に抑えた俺に対して、響は満足満腹って感じた。
腹をサスサス…ポンポンとし、幸福にフニャっていた響の瞳がカッ!と見開いた。
「じゃないよ!え!?何で焼肉!?」
「食ってからの唐突のツッコミ…腹減ってたんだろ?」
「そうだけど…学校抜け出しちゃったし……。デ、デデデ…デートとか突然言い出すし…。」
いやいや。君が遊ぶ時はデートって言うじゃん?だから真似しただけだよ?
あと、モジモジしながらの上目遣い……うん、可愛い。
八幡的にポイント高い。
そら、ポチッとな。
ーカシャッ!!
「ちょ、何で写真撮ったの!?」
「ん?可愛いかったから。……送信完了。」
「か、かわ!?……って、誰に送ったの!?」
「未来様宛に。さて…店出るぞ〜。」
「あ、ちょっと待ってよぉ!」
支払いを済ませて店を後にする時、店員さんは訝しげな視線を俺達に送っていた。
平日の真昼間から焼肉を食う高校生…うん、怪しさしかないな。
つーことで、やってきました。
前回、クリスときた場所ショッピングモールへ!
さてさて……やる事は決まっている。
最優先事項は……コレだ!!
「制服だとマズイので、服を買い、着替えます。」
「えぇー……」
とりあえず、例のレディース店に行くと……いた。
クリスを着せ替え人形にした、チョットこちらが引くテンションの店員さんがいた。
俺を見るや、グルンッと首を回し、響をロックオン。
ニマァ〜とやらしい笑顔を浮かべた瞬間、響の手首を掴み試着室に投げ捨てた。
……相変わらず客の扱いが雑だ。
「あー……とりあえず、大人っぽいコーデで頼みます。」
「ちょっと、ハチ君!!?」
グッと親指を突き立て、ウィンクで星を飛ばしてきた店員さん。
……うん、なかなかヤバめな人だけど、コーディネートは完璧だから任せましょう。そうしましょう。
響が着せ替え人形と成り果ててる間に、俺も服を購入。
店員さんに適当に大人っぽくと伝えると、白のVネックシャツと紺のジャケット。それから黒のデニム。
ふむ……よく分からんが、大丈夫だろう。
レディース店に戻ると、店員さんが待ってました!言わんばかりにウィンクしてきた。
クイッ!っと親指で試着室を示し、案内する。
ウキウキとしながら店員さんがカーテンの端を掴み、シャーッ!とご開帳。
ビクッとなった響は俺と目が合うと、テレテレと照れながら
「どうかな?」
なんて言うもんだから、ポチッとな。
「また写真!?は、恥ずかしいよッ!」
「似合ってるぞ〜。」
「ふぇ!?……あ、ありがとう。」
裾が短めなベージュのジャケット。インナーは白のタートルニットで、下は黄色のプリーツスカート。
さらに髪型まで変わっていた。
「髪もしてもらったのか。編み込み?」
「あ、うん。前髪を三つ編みにしてサイドに流して、いつものピンで纏めてもらったの。」
「……。(ビシッ!)」
無言で敬礼する店員さん。
キャラは濃ゆいが、やはり可愛いを作るスペシャリストだ。
最大限に生かされた響の可愛さ。普段はしない、ネックレスや腕輪までしてるしオシャレ〜。
ホクホクと満足気な店員さんに代金を払い店を後にする。
「お、お金!」
「気にすんな。偶にはプレゼントもいいだろ。…もしかして、嫌か?」
「う、ううん!!…えへへ、ありがとうハチ君!」
嬉しさ全開と言わんばかりに、全力で右腕に抱きついてきた響を引き連れて歩く。
こうして歩くのも久々だ……昔は逆サイドに小町も引き連れてたから、身動きが中々取れなくて大変だった。
お次は響が観たい映画があると言うので、施設内の映画館へ。
観たいと言ったのは珍しく恋愛モノで、少々驚いた。
上映中、隣りに座った響は時折りハラハラしたり、ドキドキしたり、ウットリしていた。
顔に出易いというか……わかりやすいわ。
「いや〜良かったね。最後は幼馴染みを選んでくれて良かったよ!もしかしたら、クラスメイトと付き合うんじゃないかってハラハラしたよ〜。」
と言うのが響の感想だった。
…俺の感想?……キャラメル味こそ至高である。以上だ。
「…次は何するよ?」
「んー…あ、アレ行こうよ!」
響が指をさすはゲーセン。
久々にクレーンゲームやレースゲームで遊び尽くし、折角だからと腕を引かれ、いざ
女性の指示に従ってポーズを取る中、響は楽しそうにはしゃいでいて、ついコチラも笑みが溢れた。
それからも店を冷やかして回って、今はカフェで休憩中である。
いつもの様に、太陽の様な明るさに戻った響はパフェを頬張り、幸福に打ちひしがれていた。
「ふっふふ〜ん♪…ん?うわぁー…ハチ君、砂糖入れ過ぎだよ。」
「…あ?こんくらい、普通だろ?まだマッカンより苦いんだぞ。」
「まず比較対象が世間一般向けからズレてるよ。」
「馬ッ鹿、お前…二課にはクリスと緒川さんと言うマッカン仲間がいるんだ。あの2人なら同じ事するだろ。」
「クリスちゃんなら、前にカフェへ行った時、ブラックで飲んでたよ。」
「なん……だ…と……?」
「て言うか……マッカンはコーヒーじゃねぇ。マッカンはマッカンだ。って言ってたよ?」
マジか……マジか!!?
クッ……だが、クリスがマッカン仲間である事には違いない。
……かくなる上は、緒川さんをカフェに誘って……いや、そんな人を試すような事、緒川さんには出来ねぇ!!
「……ハチ君、ありがとう。」
「んだよ、藪からスティックに。」
「ス、スティック?………あ、そう言う意味か。」
「なんだろ…言った俺が恥ずかしくなってきた。」
冗談が通じないで、一旦考えられて理解されると謎の羞恥心にかられるよね。
「ふふふ。本当にありがとう。元気付けようとしてくれて。…私、しっかりしなきゃなのに。」
「安心しろ。アネモリと比べりゃ、お前はしっかりしている。」
「それ、翼さんの事??もー、怒られちゃうよ。」
「慣れてる。」
「慣れちゃダメだよ!?…でも、なんだかんだ言って、ハチ君は翼さんを1番信頼してるよね……。同年代の人に指示を仰ぐハチ君なんて、初めて見たよ。私が知っていたハチ君なら、自分だけでどうにかしようとしてたから。だから驚いちゃった。」
「……。」
「仲良いって分かってたけど……ううん、本当は分かってたつもりだったんだ。私は何も分かってなんかないんだ。何も分かっていない、知らない。だから…。」
「響。前に俺が言った事、覚えてるか?」
仲間と信じ、信頼していた了子さんとの激闘。
命の火を燃やし尽くすような戦いの最中で、俺はかつて先生に言われた言葉を響に与えた。
「言ったろ?間違ってもいい。悩んで、傷ついて、躓いて…それでも真っ直ぐに突き進めばいい。」
「でも…。」
突き進んだ結果が"偽善者"呼ばれ。
だから、響は揺らぎ、立ち止まり、臆病風に吹かれた。
でもよ、それがなんだ?
まだこれからの長い人生の中で、今より辛い時は必ずやってくる。
間違いだって犯してしまうのが人間だ。
「大丈夫だ。間違った時は俺が…俺達が叱ってやる。だから、諦めず進め。…俺が今のお前にしてやれるのは、こんくらいのアドバイスだけだ。」
「…うん。わかった。ありがとう!」
「おう。」
吹っ切れたわけじゃない。
そんなのは見りゃわかるし、伊達に幼なじみを…コイツらの兄貴分をやってるわけじゃない。
だけど彼女は今、一歩前に踏み出した。
答えは見えず、道は険しく無限の選択肢。正に一寸先は闇だ。
だけど響は進める。
闇に飲まれる恐怖を弾き飛ばせる勇気を、彼女は持っているのだから。
デュランダルの暴走から再起した実績だってある。
立花響。
妹の様にいつも付いて回った彼女が、近い内に俺より先を歩んでいる気がした。
一方、その頃のリディアンでは……
「ねぇ……比企谷君が1年生の子とデートしてるって……本当?」
とある2年の教室内。ドス黒い闇を孕んだ幾つもの瞳がとある金髪少年と銀髪少女を捕らえて離さなかった。
少年こと小林亜沙は小さな悲鳴を漏らし、少女こと雪音クリスは訳の分からない事態に困惑していた。
「ねぇ……
《本当??》
「「ッ!!?」」
幾つもの重なる声に怯む亜沙は、助けを求める様にクリスに視線を送る。
2人はわかっていた。
八幡が今、誰といて何の為に学院を抜け出したのかを。
少年は特別に少女から事情を聴いていたから理解していた。
だが、理由が特殊で秘密な部分が多くを占める為、理由は話せない。
何より、自身を見つめる闇の瞳に竦み、恐怖で頭が回らなかった。
「さ、さぁーな。アタシ等も知らねぇ。本人に聴けよ。」
「あ、馬鹿!」
「あン?」
マズイと言わんばかりに焦る少年。馬鹿呼ばわりされた少女の額には若干の青筋が浮かんでいた。
そんな2人を他所に、2人に詰め寄った少女達の身体がプルプルと震えだしていた。
何かに耐えている。それだけはわかったが、銀髪少女にはそれ以上に理解できていなかった。
そして、2人を囲う少女達は爆発した。
「誰も比企谷君の連絡先を知らないッ!」
そうなのだ。
クラスメイトである彼女達は八幡の連絡先を誰一人として知らないのである。
何でだ?と彼女は思った。八幡の連絡先くらい、なんならトップアーティストの先輩の連絡先だって知っている彼女にとっては理解し難い会話の内容だった。
「て言うか、連絡先なんて聴けるわけないじゃない!雪音さんが編入する前は風鳴翼さんとずっと一緒にいたし!」
響と未来が入学するまで、いつも一緒にいた翼。彼女の近寄り難い有名人オーラに当てられ、彼女達は八幡に近づけなかったのである。
つまるところ、彼女達は八幡に近づけなかった蚊であり、翼は文字通りの虫除けだったのだ。
「小林君は空気を読まないでいれるから連絡先を聞けるのよ!」
「ちょっ、酷くね!?」
「だいたい、貴方達が3人でいると眩い美オーラに当てられて近寄り辛いのよ!?」
「……いや、まぁ眼福ではあるけれど……」
「「えー……。」」
その日、雪音クリスは知った。
隣人が意外にも人気者である事を。