やはり俺がシンフォギアの世界にいるのは間違っている   作:にゃにゃにゃす

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お久しぶりです。
諸事情で更新が遅くなりました。
※コロナ絶許


第8話

乾いた風吹く。

水分を失った枯れ葉がカラカラと転がり、秋の音連れを知らせてくれる。

つい最近まで生温った風は、少しばかりの肌寒さを私に感じさせる秋風へと変わっていた。

 

骨身を凍えさせる程ではないけれど、肌を冷やす風。

 

だけどを私の心はぽっかぽか!

だってぇ、昨日はデデデ……デートしちゃったし!!

ハチ君とデート!

高校生になってから初めてのデートだよ!?

 

…そりゃ〜私を元気付けようとしてくれただけなんだろうけどぉ〜……

 

「ふふふ〜ふん♪」

 

スマホのロック画面を見て、ついつい上機嫌に鼻歌が出てしまう。

でも仕方ないよね?

 

「響、早くしないと置いてっちゃうよ?」

「あ…待ってよ未来〜。」

 

朝の通学路、親友は結構先で私を待っていた。

 

ロック画面はハチ君と2人で撮ったプリクラ。

それをもう一度だけ見てからポッケに入れて、私は未来の元へと駆け出した。

 

 

迷いが消えた訳じゃない。

何が正しいのかだって解っちゃいない。

今だって間違っているんじゃないかって、恐怖に私は縛られている。

 

だけど……進む。

突き進む。

だって、大好きなハチ君が見守ってくれてる。それだけで私の脚は前に踏み出せる気がするんだ。

 

 

 

第8話

 

 

いつも通りの学院生活。

授業を受け、昼を過ごし、放課後を迎えた。

 

マリア達との戦いが嘘だったかの様に、The平和。

 

そんな平和な一コマに、異常なモノがいた。

 

我がクラスメイト数人である。

 

朝からドス黒い闇のように暗い瞳が俺を映していた。

この世の呪いの全てを宿したとしか思えない双眼に、八幡の心中はマグニチュード8を観測したよ。

 

 

放課後になった今でも、綾野を筆頭にヤバい瞳をした連中が俺を捉えて離さない。

 

怖い。とにかく怖いのである。

 

そんな放課後。

 

 

いつもなら帰宅している俺を含めた帰宅部員達は居残って、ペンキを使って看板作りや、ミシンや手作業で衣服の製作に勤しんでいた。

いつも静かな校舎内は学年問わず、生徒達で活気立っていた。

 

私立リディアン音楽院の学際まで、あと一週間。

 

学院生活の楽しみを目前に控え、皆こうして居残って作業している訳だ。

 

「比企谷くーん。正門の看板見てくれないかな?」

「あとペンキ持っていくのもお願い。」

「あ、はい。」

 

誰の仕業やら…俺は何故か今日だけ3年生のとあるクラスの手伝いに借り出されていた。

 

誰の仕業……3年の教室……

うん、この時点で犯人は確定してるよな。

 

ヤレヤレと未開封のペンキ4つを持とうとした時、スッと横から腕が伸びてきた。

 

「私も一緒に行くよ。」

 

1つ持ち上げて微笑んでくれたのは、姉さんのクラスメイトだった。

 

「大木先輩、すいません。」

「いいのいいの。無理言って手伝ってもらってるんだから。ごめんね?どうしても男手が欲しくって。」

 

そうなのです。

2年生から下は各クラスに最低でも2人は男子生徒がいるが、3年生だけは女子校時代の名残りで男がいない。

 

どうしても力仕事を頼みたかった大木先輩達は、駄目元で姉さんに頼ったらしい。

そんで姉はアッサリ了承して俺を召集。

にも関わらず……

 

「うん、頼んだ本人は居ないんですもんね。」

 

教室に到着するや

「頼んだぞ。」の一言で、俺と入れ替わりで帰りやがった。

 

1人残された俺は非常に居心地の悪かったし、気まずかったですよハイ。

せめて、不承不承ながら了承しました…みたいな空気で頼んだなら、仕方ないかな?って思えたよ。

でも、爽やかな笑顔で肩ポン…で帰りやがったからな?嫌がらせだよな、これ。

 

たぶん、この前勝手にプリン食べた仕返しだと思います。

 

「あははは。仕方ないよ、トップアーティストだもん。きっと忙しいんだよ。」

「だからって普通、弟呼び出して置いてきますかね……よっと。」

 

姉のクラスメイト達がいる校門付近でペンキを下ろすと、我先にと言わんばかりにペンキを強奪された。

……こっわ…。

 

「ありがとう、比企谷君。いや〜男手があると助かるねー。」

「高坂先輩、ペンキはここでいいですか?」

「うん。大丈夫だよ。」

 

校門付近には、目が騒がしく思える程に彩りの看板が多数。

まだ完成していないクラスの連中は、楽しそうに笑いながら作業に打ち込んでいた。

 

青春。

正にそう呼べるような世界がそこにはあった。

 

キラキラと眩しくて、暖かくて……なのに、その光景の一部に自分がいるのが不思議で、何故か場違いな気がしてならなかった。

 

「あ、比企谷ぁーッ!!」

「あン?……林?」

 

柄にもない感傷に浸っていると、校舎の二階から叫ぶ林の姿が。

何やらジェスチャーをこちらに送ってくるが……

 

スマホ

 

指差し

 

俺を指差し

 

 

「スマホを見れってか?」

 

ほんの数分前に林からメッセージが届いていた。

その内容は……

 

 

 

 

雪音、逃亡。

 

 

「…おぅ…。」

 

予想できなかった事態に変な声出ちゃったじゃないの。

 

返答に代わりに首を横に振ると、林は大きなため息の後に手を上げてから校舎内に消えて行った。

 

はて…クリスの奴、何処へ行ったのやら……まさか帰ってないよね?

 

「そう言えば…比企谷君ってば昨日下級生の子と学院抜け出して、デートしてたんでしょ?噂になってるよ。」

「え…あぁ……正確にはデートじゃないんスけどね……。」

 

響を真似て"デート"って言っただけだしな。

なんなら昔から2人で遊ぶなんて、良くあったし。

無論、未来にも当て嵌まるわけだが。

 

「そうなの?噂じゃ、公然で堂々とデートのお誘いしてたって聞いたよ?確か…そ、立花響さん!……もしかして、彼女だったり?」

「まさか……幼馴染みで妹みたいな奴ですよ。」

「またまた〜。そんな冗談を。」

「いや、違いますからね?なんなら彼女いない歴、イコール年齢ですからね…。」

「うっそ!?マジで!?」

「比企谷君、人気あるのに…じゃじゃ、私が立候補するー!」

「ちょっと歩!?」

「それじゃ、私も!」

「瞳子まで!?」

「あんまり俺で遊ばないでください…。」

 

なんなの、このテンション……。

姉さんのクラスメイトだから変な事言えないし…。

もし失礼があったと姉に知られたら斬られちゃうかもだし。

 

「それはそうと比企谷君。さっきから校門の外からチラチラと君を見てる御人はお知り合いかな?」

「へ…?」

 

高坂先輩の指差す先には、私服の女性がいた。

彼女は先輩の言った通り、チラ…また、チラりと何度も視線を俺に向けていた。

 

校門の柱の影から。

事件を度々目撃する家政婦のように……。

ただサングラスを掛け、帽子を深く被っているせいで不審者としか思えない。

 

しかも、オドオドしてるし。

 

ここまで来たが、この先はどうしたら良いのか分からない。そう物語る視線が嫌でも俺に突き刺さる。

 

「どう見ても、比企谷君を見てるでしょ?」

「しかも外国の人だよね。」

「……まさか、彼女?」

「一旦、俺に彼女がいる説はヤメません?」

 

女という字を3つ合わせると"姦"となる。

なるほど、昔の人は的を得た字をお作りになったものだ。

 

「っで、知り合い??」

 

こちらの声が聴こえているのか、サングラス越しでもパァッ!と笑顔の華が満開になったと理解できた。

 

しかし…こう言っちゃなんだが、彼女はその見た目の怪しさからモノ凄く目立ってしまっている。

ここら一帯にいる生徒達は、こぞって彼女に視線が向いている。

 

つまりだ。

この状況下で俺が取るべき道は1つしかない。

 

「いえ知りません。あんな怪しい人物は知り合いにいません。」

 

時には嘘は必要不可欠になる場合がある。それが今だ。

 

「…ぇ……?」

「あの人、あからさまにショックを受けてるよ?」

「……。」

 

今、あの女性に話しかけに行ったとする。

そうなった場合はどうなるかなんて解り切っている。

 

全ての視線が俺に集中するに決まってるだろ?

そんなの八幡嫌だ。目立つの嫌い。

 

なのに……

 

「……(ウルウル)」

「はぁ〜……ちょっくら行ってきます。」

 

サングラス越しでも悲しんでいるのが見て取れた。

溜息を漏らして視線の主へと向かう他なかった……。

 

近づく俺に気づいた女性はアワアワしてからサッと校門の柱に消えた。

 

……今の動きにはなんの意図が??

 

そんな思いを抱きながら隠れた女性の前に立ったわけだが……

 

俺、海外の知り合いなんて……最近できた1人しか当て嵌まらないんですが?

あと敵のマリア・荷電粒子砲。

 

「ハロハロ〜。やっと会えたわね、八幡。」

 

てなわけで予想通りのセレナでした。

 

「……セレナ。」

「えぇ、約束通り会いにきたわよ。」

 

余裕を醸してるけど、さっき絶対焦燥にかられてたよね?

俺に気付いてもらえなかったらどうしようとか、知らないと言われて絶望感に迫られたよね?

 

まさか…無かったことにするつもりか…?

 

 

「…なぁ、何で話しかけに来なかったんだ?」

「そんなの…引っ込み思案な私にできる訳ないじゃない。」

「はて、引っ込み思案とは?」

「無論、私だ。わかるでしょ?」

「いや、まだ会って2回目だがアンタは間違いなく引っ込み思案ではないと思う。」

「今は虚勢を張っているだけだ。」

「堂々と胸を張って言う事じゃないからね…?」

 

ヤバイ。

何がヤバイって…ずっと会話の主導権を握られっぱなしだ。

今まで主導権を握った事があるか?と聞かれてしまえば、無いんだけどね…。

 

 

「今日こそは御礼をさせて貰う。さ、行くわよ!」

「いや無理。今は忙しい。」

「…ぇ……?」

 

再度、哀愁を漂わせた彼女に俺は従う他なかった……。

 

先輩方に謝罪をしたら笑顔で許してくれたのが、せめてもの救いだった。

明日、もう一度謝っておこう。そうしよう、うん。

 

 

 

 

 

 

「っで?何処に行くんだ?」

「ん?…そうね……君との約束はご飯を奢る約束をしたのだったからな……何処かいい場所はないかしら?」

「俺に聴くのかよ……。」

「し、仕方ないじゃない!私はここら辺に詳しくない。しかも、君と会えるとは限らなかったから予約もできなかったのだから。」

 

そう言われちゃ、ぐうの音も出ない……わけない。

でもこれ以上、話しをややこしくしたくないので八幡は考えることにしたよ。

べ、別に面倒くさいからとかじゃ、決してないんだからね!?

 

 

「……ぁ。あそこなら丁度いいか。」

「…ん?」

 

 

パッと閃いたのは、息慣れていた店。

最近は忙しくて中々行けなかったが、久しぶりに顔を出しておきますかね。

 

道中、セレナの身体と心の距離感に困惑しながらも目的地に到着した。

 

ガラガラとドアをスライドさせて中に踏み入ると、いつもの優しい目をした微笑みでお出迎えをしてくれた。

 

 

「いらっしゃい。久しぶりだねぇ〜。」

「どうも。」

「おや、今日は1人じゃないのかい?」

「えぇ、まぁ。…いつもの2つお願いします。」

「あいよ。」

 

いつもと変わりない、人の良さが現れたおばちゃんの笑顔にホッコリしながら、カウンターの定位置に座る。

定位置は1番端な。ここ重要な。

 

「…ここは?」

「お好み焼き屋"フラワー"。馴染みの店だよ。ここら一帯で1番美味いお好み焼き屋だ。」

「おや、嬉しい事をいってくれるじゃないか。」

 

そう言っておばちゃんは背を向けて、注文の品を焼き始めた。

 

……こう言った店が初めてで珍しいのか、セレナの目は忙しなく動き、また落ち着きが欠けまくっていた。

 

 

「いつ以来だい?途端に顔を見せなくなって心配したよ。」

「すいません。色々あって……。」

 

最後に来たのは響達の入学前だったし…

 

……。

 

あれぇ??やべぇーくらいに来てなかったわ。

 

…実際…本当、色々あったからな。

 

「まぁ、元気そうでよかったさ。…初めて来た時は今にも消えてしまいそうな顔つきだったからねぇ…。」

「そんな顔してましたか、俺?」

「していたとも。…とても、10代でする様な目なんかじゃなくて心配したもんさ。けど、今の八幡君はいい顔してるよ。まず、目が濁ってない。」

「貴方、どんな顔していたのよ?」

「えー…こんな顔だけど?何、整形疑ってんの??……まぁ、確かに前に比べりゃ楽しんで生きてはいますよ。」

「人生は楽しんだモン勝ちってよく言うじゃないか。年取ってからも笑える思い出は常に作らなくちゃ〜ね。……ほい、お待ち。八幡スペシャルセットの出来上がり。」

 

 

俺達の前に置かれたのは豚とエビのお好み焼きとマッカンだった。

つーか、まだそのセット名なの??

 

「まるで八幡の為のようなセット名ね。」

「そうさね。なんせ、こんな甘いモノ飲む人間を見たのは初めてだよ。」

「人外みたいな言い方しないで下さい。最近はコレを飲む仲間がいるんですから。」

「あー…そう言えば、この間お客さんで居たねぇ……。人の三倍は食べる子と一緒にきた銀髪の子が注文してきた時は思わず聞き返しちゃったよ。」

 

うん、その2人にメッチャ心当たりがあるんですけど?

特徴が完璧一致する組み合わせ過ぎるんですが?

 

……え、て言うか俺と未来は??何で呼んでくれなかったん?

地味にショックなんですけど……。

 

ま、仲良くできていて安心もしてるんだけどな。

クリスは敵対していたし………響には、そんなの関係ないだろうけど。

 

 

「…ゴクッ……ゔぅ!?あっま!!?こんなの飲んだら体に悪影響だッ!!甘過ぎる!!」

「そこまで言うか…人生は苦いからコーヒーくらい甘くて良いだろ。」

「コレをコーヒーとは言わない!別の甘い何かだ!!」

「えー…こんなに合うのに。」

 

お好み焼きの甘辛いソースがマッカンの甘味と非常にマッチしていて、俺はやはりと言うか満足なわけだが……セレナ飲み物を別注文しやがった。

失礼な奴め。

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