平凡な俺の機体がキチガイスペックな件について《完結》 作:賢者
千「立候補、推薦は問わない。誰か代表者にふさわしいと思う者はいないか」
クラスメイト「「「「一夏君がいいと思いま~す」」」」
一「俺じゃなくて実力もしっかりあるセシリアの方がいいと思うんだが」
セ「私の腕ではクラスの皆様に迷惑をかけてしまいますわ、それに貴方は専用機が来るのでしょう?ソレの慣らしには代表になっていた方が都合がよいと思いますわ」
箒「一夏……諦めろ、人間は諦めが肝心だ」
一「俺は面倒くさい事と猫が一番嫌いなんだぞ……」
セ「猫が……嫌い?」
一「あぁ、どこでも毛玉は吐くし、爪たてるし……あんなののどこがいいんだか?」
セ「(ブチ)それは犬も同じではないですか?散歩中はフンをまき散らすし、無駄吠えはするしで犬の方が野蛮ではありませんこと?」
一「(ブチ)セシリア……俺はお前とは仲良くなれる気がしたんだがな……」
セ「私もですわ……一夏さん……」
一「犬か!」 セ「猫か!」
二人「どちらが可愛いかを証明するために(お前)(貴方)に決闘を(申し込みますわ‼)(申し込む‼)」
千(胃薬、胃薬っと)
俺は悪くない……せっしーをあんな性格にしたやつが悪いんだ‼(つまり俺)
執事とは……一般に事務を管轄する者を意味し、高位の人物の家や寺社で家政・
事務を執りしきる者を指す単語だ。
因みに皆さんの馴染み深いマンガで言えば黒○事の所作などを思い浮かべれば
いいかもしれない。
その他にも主人の身の回りの世話などをしている使用人も一般人からしたら執事
に見えるかもしれない。
なぜ冒頭にこんな話を持ってくるのか?まぁ理由は簡単である。
「シャルロットお嬢様、本日の紅茶は学校から手配していただいたダージリンで
ございます」
「ん、ありがと」
シャルロットと我らが主人公?の佐藤太郎がソレの真似事をしているからだ。
勿論これにも理由はある。
その理由の一端は彼女の専用機である「ラファール・リバイブ」のカスタム時に
おこった謎のIS乱入事件である。
あの事件で図らずも加害者の立場にまわってしまったラウラはキリリとした
軍人然とした(軍人なのだが)立ち居振る舞いから見る影もなく気を落として
いった。
千冬もラウラを元気づけようとしたものの如何せんそう言う相手と接したことが
無いので逆に墓穴を掘ってしまった。
そこで白羽の矢が立ったのが佐藤太郎である。
彼はシャルロットとの掛け合いから見てもわかる通り年齢には似合わぬような
達観したような言葉でのらりくらりと口撃を躱しつつ彼女の気を収めると言う
無駄にハイスペックな特技を持ちあわせており、今回の「ラウラを元気づける」
と言う高難易度のミッションへと抜擢される要因となった。
彼は『イージス』と呼ばれるISにケガを負わされておりラウラの隣のベッドで
療養することとなった。
そこで何があったかは知る術はないがラウラは日本に詳しいと言う自分の
部下からの『お世話になった男性には敬意を持ってお兄様と呼び最高の敬称
としてにぃになるものがあるらしい』と言う間違った助言を与えられそれを
勘違いした乙女シャルロットが彼へ「私を1日お嬢様として扱って」と言う
要求をしたためこうなっている。
因みにコレは余談ではあるが佐藤とシャルロットの思い浮かべているお嬢様は
完全に違うものである。
佐藤は皆様の思い浮かべている通りの主従の関係、シャルロットは日本の漫画の
影響でお嬢様=恋人と考えていたらしく執事の恰好をして現れ今もこうやって
お世話をしてくれている佐藤に見惚れながらも少し落胆したような表情を
浮かべている。
「シャルロットお嬢様、非常に言いにくいことなのですが本社から機体のデータ
を寄越すようにと催促のメールが来ております」
「やっぱりさっさとやった方がいいのかな……どう思う?」
「私もお嬢様の意見に賛成でございます、日本の諺にもあるのですが『面倒事
は何よりも先に終わらせよ』……先人の言葉に従った方が今回は建設的かと
思われます」
勿論そんな諺は無いのだが日本の事を未だよく知らないシャルロットには表情筋
を1㎜も動かさない彼の言葉を鵜呑みにしてISの整備室へと足を運んだ。
今彼の所属している国スカンジナビアはISの技術力に関しては日本に次ぐ、いや
それ以上の技術を持つかもしれない国へとなっている。
各国は新設されたばかりの国の技術を盗もうと躍起になっているがあそこには
人外共しかいないのでこれを見ている諸外国の首脳は早めに撤退することを
お勧めする。
今、技術協力と称して実質の同盟をスカンジナビアと結んでいる国は日本、
ドイツ、フランス、中国等々皆も知っている大国が名を連ねておりその数約21
諸外国(日本を含め)はそれほどスカンジナビアの技術が欲しいのだろう。
シャルロットの専用機である『ラファール・リヴァイブ』もそれの影響を直に受け
機体がチューンナップされてきたと言う訳である。
シャルロットの新たな専用機である『ラファール・リヴァイブカスタム改』の
コンセプトは『超火力での対複数戦闘』
両腕に4門のガトリング砲、両肩にはマシンキャノン、頭部には2門のバルカン砲
両脚にマイクロミサイル、ホーミングミサイルを搭載しており他にも
格納されている武装としてアーミーナイフ、ヒートサーベル、大型ミサイルポッド
脚部クローラーユニット、灰色の鱗殻(グレー・スケール)の改良発展型として
開発された2連装バーストガトリング砲が搭載されている。
この機体のテストは残り模擬戦闘1試合のみを残し全てを終えている。
そして今日そのデータを上にあげることになっているのだが……
「お嬢様ッ、コレは、少々、やりすぎでは、ありませんかねッ‼」
「そんなことは無いよ?この機体全砲門を開いたらスペックシートの上では
ロシア全土を灰にできるっていうからね、まだそこまでじゃないでしょ」
「それでも、エールで、これだけって、その機体、バランス、おかしいでしょ‼」
「太郎~敬語、忘れてるよ~」
余裕の表情のシャルロットと苦悶の表情の太郎……
何故ここまで差が開いているのか?理由は機体のスペック差が埋まってきている
からである。
彼の勝利は元々この『ストライク』の性能に頼っていた部分が大きい。
シャルロットの『ラファール・リヴァイブカスタム改』は彼女用にチューン
ナップされたことによりストライクとの性能差が埋まっていった。
それの他に要因があるとすれば機体の火力の差だろうか?
現段階でのストライクは汎用型と言えば聞こえはいいものの相手機体の得意距離
に持ち込まれた場合の火力が全く足りない。
よってパイロットの腕、機体の相性から見てもストライクは完全にラファールに
負けていた。
「ハァ、ハァ……何その機体の弾幕、近付く事も出来ないし遠距離兵装も
当てられないじゃん」
「ビームライフルは何発か貰ったけどやっぱり決定的な隙にはならないね」
「やっぱり腕の差か?ここまで食いつけていったのは日ごろの練習のおかげだ
としても一方的すぎるぜ、ったく」
「いや、これでいいんじゃない?太郎は機体の性能で勝ちをもぎ取っていた
ようなものだからね。ここは重大な転機になるんじゃないかな?」
成程と思いながら思い人との壁を痛感する佐藤
彼と彼女は対等だと思っていた……なのにいつの間にか置いて行かれここには俺
一人しかいない。
この前までは一夏がいたはずだった。
なのに彼は自前の超人的な身体能力で壁を物理的に壊して行った。
この前までは箒がいたはずだった。
なのに彼女は思い人の実力を見るや否や彼と釣り合うべく剣術の稽古を始め簡単
に勝てなくなり遂には追い越された。
今は機体の性能差と言うアドバンテージがあるがそれもひと時の優越なのだろう。
他の代表候補生の友達も同じ、機体のアドバンテージが無ければすぐにぼこぼこ
にされて終わりだ。
それでも彼女だけはと信じていた……しかしそれは叶うことなく彼女の満面の
笑みによって砕かれていた。
この前まで埋まっていた宝箱が嘘のように軽くなっていく。
俺の今浮かべている笑みは嘘なのか、本物なのかもわからない。
只々軽かった。それだけの笑みだった。
だからなのだろう、ガレージに入り目の端に写った女の子に世話を焼いて
しまったのは……俺の心は知らず知らずに壊れていく……
誰にも気づかれず黙々と自分で壊していく。
久しぶりに書いてみての感想……
やっぱり好き勝手にやるのがいいわ