平凡な俺の機体がキチガイスペックな件について《完結》   作:賢者

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マジかわええ……
響よ、金剛よ君たちはどうしてそこまで俺を苦しめる

可愛すぎなんだよ、ドチクショウ‼‼


「僕の言いたい事分かってくれる?」「おう、勿論」

一夏SIDE

 

「ドォォォォォォォラァァァァァァァァァァ‼‼」

 

「もっと楽しもうぜェ‼この戦争をよォ」

 

赤い光と白い軌跡が再びまじりあう。

 

ガキリ、と言う金属音と共に自身の得物から敵の獲物を捕らえた鈍い感触が伝わって

くる。

 

(またかよ……意外と面倒だ、経験の差ってやつは)

 

一夏はその実力の違いから全力で敵と相対したことは無い、と言うか自分でそれを

禁じていた。

 

全力を出せば文字通り相手を壊してしまう……そんな強迫観念に駆られて無意識のうち

に体が全力を出すのを拒んでいた。

 

今もそれは続いている。

 

忌々しい枷だと思う。

 

強者ゆえに、強者だからこその枷……挑戦者はその高みを見ることすら叶わない。

 

挑戦者への侮辱、なのに今はその枷に彼は感謝していた。

 

(久しぶりだ……面倒と思う以上に心が荒ぶって仕方がないのは)

 

彼はもう諦めていた。

 

自分より強いものはもう現れない、自分と同じ実力の持ち主は現れないと

 

昔はみんなを守るために力をつけていた。

 

必死こいて守るための力をつけていったのに千冬姉さんに迷惑をかけた。

 

何だったのかと脱力してしまった覚えがある。

 

そこからだろうか?自身の戦いに楽しみを見出したのは

 

学校では猫を被り、外ではケンカに明け暮れた。

 

本当に楽しかった。相手としのぎを削って勝利と言う栄光をつかむために必死に抗う

様はみじめとしか言えないようなモノでも楽しかった。

 

勝利を得るのが容易くなっていき、相手も寄ってこなくなった時には喪失感さえ覚え

てしまったほどに気持ちがよかった。

 

その渇きが今ここで癒されていく。

 

赤い装甲を身にまとった堕天使(愛しの妖精)が俺を満足させてくれている。

 

久々に頭に血が上り、体が沸騰し、血潮がうずいた。

 

目の前の敵は全力で潰すに値する敵だ、今持てるすべての力を奴にぶつけてやろう。

 

そんな考えが頭を埋め尽くした。

 

「壊れんなよォ……赤いのォォォォォォォォ‼‼‼‼‼」

 

「ハッハァ‼そう来なくッちゃァなぁ‼だがワリィな……ここで打ち止めだ」

 

「アン?何言ってやがる」

 

コイツとの戦闘は此処からがいいところだろうが、途中でやめるだと?ふざけるな

 

「俺は遊び足りねぇぞ……赤いのォォォォォォォ‼」

 

「赤いの、赤いのうるっせぇガキだな。テメェはよォ……一つ重大な考え違いをして

るぜ?」

 

言われた瞬間頭が急速に冷えていくと同時に自身の置かれた状況を見て悟った。

 

「テメェは『戦い』を楽しんでるようだが、俺が楽しんでるのはよォ……」

 

周りにはセシリアのブルーティアーズと同じような無線兵器が所狭しと並んでおり

気付けば敵の機体の装甲も分厚く、肩にはドでかいキャノン砲まで装備、おまけに

奴の主力武装であるはずの大剣は二本へと増えている。

 

一次移行(ファースト・シフト)その言葉が浮かぶと同時に初めての感情に酔いし

れた。

 

俺詰んだわ

 

「『戦争』なんだよォ‼標的者(ターゲット)さんよォ‼」

 

今……今、目の前の女は俺をターゲットと呼んだか?

 

確かに奴は一回も佐藤の事をターゲットとは言っていないが何故?

 

しかし考えてみれば単純な話だ。

 

織斑千冬、彼女は今でも莫大な権力を持つ。

 

それが今ー本人がどう思っているかは置いておくがー自分と言う希少価値が高く、

将来を約束されてしまった有望株が身内にいるのだ。

 

地位が上がらないはずが無い。

 

覚えのないところでまた迷惑をかけてしまった……

 

(すまないね……千冬姉ぇ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「叫ぶなよマセガキ共、お前らも同じ運命辿るんだ。有難く思えよ?」

 

「フン、嫁を落としたくらいでいい気になるなよ?奴は私たちの中では3番目に

強いのだからな‼(確かこういえばボコボコにできるってクラリッサが言っていた気

がする)」

 

「フン、別にアレを倒してしまっても構わんのだろう?(姉さんから借りたアニメで

強者を6回も殺した英霊の言ったセリフだ、問題ない)」

 

「今までこのブルーティアーズのおかげですべてを乗り越えてきたのです……今回

だって‼(ぶっ潰してやりますわ)」

 

何だろう?一夏やられた時の方がコイツら生き生きしてやがる。

 

一夏SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤SIDE

 

おいおいおいおいおいおいおいおいおいおい冗談じゃねぇぞ!?一夏の信号がロスト

しやがった!?!?」

 

「落ち着いて佐藤、相手は目の前にいるんだよ‼」

 

分かっちゃあいるが驚きを隠すことは出来ない。

 

俺が倒れが倒れた後の後始末を数十秒で片づけた人間がこんなにあっさりと墜ちる

ものなのか?

 

答えは否である。

 

自分が彼の事を過大評価してしまっているのはわかってはいるがそれでも早すぎやし

ないだろうか?

 

しかし時は彼に味方をしてくれない。

 

「クハッ、んだよアレパターン変えてきやがって面倒な」

 

「でも、そんなに大幅に変わってないわよ。今さっきのを喰らったのはアンタの失態ね」

 

そう敵が行動パターンを変えてきたのだ。

 

しかし、それはごく単純な行動ゆえに戦況に大幅に作用した。

 

 

 

ビットの攻撃参加

 

 

 

これがどれほどの脅威を持つか、ガンダムを見る機会のある皆様ならば容易に想像が

つくだろう。

 

莫大なエネルギー量を持つ弾丸とビームを纏ったビットの波状攻撃は彼らの創り上げ

た戦場を悉く塗りつぶしていった。

 

じりじりと距離を詰められ、その距離を取りなおすためにじりじりと後退する。

 

正に悪循環である。

 

しかもこの機体の向かっている先が一夏を墜としたであろうあの赤いドレスを纏った

戦争屋モドキなのだ。

 

面倒くさい事この上ない……と言うか面倒くさいで済ませられる範囲ではない厄介

ごとだ。

 

そして面倒事は死神をも呼び込んだ。

 

「よォ、元気してるか?」

 

快活ながらも人を食ったかのような高い声が後ろから響く。

 

前からシャルの悲鳴らしき声も聞こえた。

 

ずぶりという音を聞いて嫌な予感しかしないものの目を下へ向けるそこには

 

 

 

赤い刃が仲良く整列していた。

 

 

 

綺麗に平行に並んでいる赤い大剣は彼の体を食い散らしながら自己主張を続けている。

 

(男勢、コレで全滅とか笑えんな……たはは)

 

そう思いながらも最後の抵抗とばかりにビームライフルを後ろに向けたがやはりと

言うべきかビットが邪魔をしてきた。

 

 

「クソッたれ……敵の接近に気づけないとか……3流かよ……」

 

「いいや、テメェは4流だよ」

 

そんな言葉が耳に流れ込んでくると共に意識が零れ落ちた。




「君はいっつもそうやって自分の世界に入り込んじゃうよね……ったく」

そう言うと彼は快活に「いいじゃん」と言いながらまた本へと目を落とした。

幾らなんでもこれは酷いと思う。

自分で言っては何だがこれでも美少女の類でも相当上位に入る容姿を持っているはずだ。

これでは僕に魅力がないみたいではないか。

「僕の言いたい事分かってくれる?」

「おう、勿論」

彼はそう言うと一息ついてこういった。

「俺の事好きなんでしょ?」

この時の僕は頭に思い浮かぶ限りの罵倒の数々を彼に浴びせるしかこのほてりを消す
方法が思いつかなかった。
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