平凡な俺の機体がキチガイスペックな件について《完結》 作:賢者
受かってればいいなぁ
佐藤SIDE
全く不遇だと思う。
美人に囲まれて何言ってんだと言われるかもしんないが正直好きな子が毎日隣にいるとか
本当に天国以前に超辛い。
毎日身だしなみをしっかりとして、アピールをして、楽しくしゃべる。
こんな日常さえ送れない非リアだった俺が一つ屋根の下、好きな子と同じ寮で寝食を共に
する……よく間違いを起こさなかったと自分をほめてやりたいぐらいだ。
だけどそれももう終わる。
赤い大剣が俺の腹をきれいに割った。
ストライクのシールドエネルギーも底をつき灰色の装甲が自己主張を始めた。
まだ思いすら届けちゃいないのに、まだ告白すらしちゃいないのに死ぬと言うのも全く…
『何故諦める?』
誰よ?死神様が俺の記憶でも覗きに来たのか?
『何故逃げる?』
……逃げてなんかないさ、ただ俺の実力が無いからこうやって二度目の臨死体験を経験
してるんだろーが
『何故抗おうとしない?』
抗ったさ、でもその結果がこれだ。
『この世界は引き金を引く指しか持たぬような……そのような世界かね』
まさか、んな事あるか。現にこうして剣で殺された
『我々のように人を憎み、羨み、競い、妬み、そのような醜い喰らい合いをを見て、
感じた君はどう思うかね』
知るか、才能なんざ持たねぇ事を理解している人間が羨む以外できるもんかよ
『本当にそう言えるか?君は人に何かを望んだことが無いと、人に何かを求めたこと
は無いと、自らの欲に従ったことは無いのかね?』
……ない、とは言い切れんな。
『自ら育てた欲を御しきれていない君が人を思うなど愚の骨頂、見たまえ織斑一夏を
彼は強くなりたいと言う欲に素直に従い、抑え、開放しあの強さを手に入れた。
君は何を欲するのかね?すべてを破壊する力か、すべてを守る力か』
んな、大層なもんはいらないね。俺が欲しいのは大切な奴を守りきる程度の力だ。
『なら受け取りたまえ、君が望んだ力だ。これで君は完成したまえ、私は不完全で
十分だ』
でも、この体はどうするんだ?もう動けねぇぞ
『物事はそうそう頭の中で引いた図面通りにはいかぬものさ。君の近くにもいる
だろう?計画の根本から壊してしまう人間が』
アレを人と呼んでいいのかね?
『あれも人さ、まごうことなき人だ。他者より強く、他者より先に、他者より上を望み
実現させただけの人にすぎんのだよ。それよりもいいのかね?君には待たせている
ものがいるのだろう?』
そうだったな、あんがとさん。仮面の男
『その名で呼んでくれるな。仮面はとうの昔に破壊された。今の私は過去に縋り付く
ことしかできぬ哀れな亡霊でしかない。』
そう言うなよ。人は覚えられてるうちはまだ生きてんだぜ?
『破壊を叫んできた人間がまだ生きていると知れたら彼はどう感じるかな?』
知りませんよ、俺は自分の知っていることしか答えられない。
『では行きたまえ、君の知っている全てを私に見せてみろ!』
オーケー、んじゃままずは……ランチャーパック換装、手っ取り早く1機落とすぞ‼
ストライク‼‼
落ちていったはずのガンダム、確実に殺したはずのパイロット。
嫌にあの時の情景が思い浮かぶ。
いやあの時は弟の方だったか?どうでもいい
「毎度毎度ォ……何でそう俺の前に出てくんだよォ、エェ!?ガンダムさんよォ‼‼‼‼」
「知るか、テメェの事情なんざ知ったこっちゃねぇ。俺はただ惚れた女を守りに来た
だけだ」
「もう一度殺してやるよ、俺のガンダムでなァ‼」
瞬間、彼の方から白銀に輝く腕が彼をはじいた。
「そいつは出来ねぇ相談だ。なんせオメェは俺に落とされるんだからな」
「大きく出たじゃねぇか、落とせるもんならやってみやがれ‼アァ!?見世物の
ガキが‼」
一角の堕天使が翼を開いた。
「
その瞬間、白銀の装甲に赤い血流のようなラインが奔り背中に大きな翼が出来た。
「ニュータイプってのはどんなもんかはわからない……でもコイツはそいつらを導く
為の力なんだってのは理解できる」
手には巨大化した雪片二型改『アロンダイト』が握られている。
「行くぞ、戦争屋。アンタを討つ、今日ここで‼」
「出来るもんならやってみやがれ、えぇ?ガキの分際で粋がってんじゃねぇよ‼」
銀色と赤色の二度目の衝突、今回は銀色に軍配が上がった。
(機体性能が上がっただけじゃねぇ……んだよこの力はよォ!?)
隠し腕とファングを操りながら相手の出方をうかがおうとするが淡い赤色を纏った
目の前の機体は全てを斬り伏せ、ねじ伏せ、前進してくる。
「クソッたれェェェェェェェェェェェェェェェェ‼」
一機に突っ込んで隠し腕で一閃、封じられたと分かるや否や一気に大剣を振り下ろす。
踏ん張りのきかない場所でのコレは幾らなんでも姿勢を崩さざるを得ない。
そこへ一気に攻撃を叩き込む予定だった。
「
残像を残した機体がこちらへ迫ってくる。
凄まじい加速度、赤い光、彼にとってソレは絶望と同義のものだった。
「またジャマすんのかよ……ソレスタルなんたらァァァァァァァァァァ‼」
蒼い光に一閃され落ちていく赤い機体の最後は全くあっけない物となってしまった。
赤と黄色の光線が交錯する。
競り勝ったのは赤色の光線、黄色を食いつぶしながら銀色に迫っていく。
銀色はかろうじて逃れるが予測したかのようなミサイルが迫ってきた。
実際は予測ではなく対象の熱源を辿って行ったっだけなのだがそれは些細な問題だろう。
しかし、赤色の光線を打った機体のパイロットは焦っていた。
(機体の性能がバカみたいに跳ね上がってやがる。前みたいに体が追いついてこれ
てねぇ……クッソ、これじゃあルーキとなんら変わらんぞ‼)
彼の機体ストライクはその姿を変化させていた。
背中にあるのはいつものエールストライカーではなく緑色の巨砲を二つぶら下げ、
両肩にミサイルポッドとバルカンを備え付けたランチャーパックである。
これは主に遠距離での攻撃を目的としており、近接武装は申し訳程度のアーマー
シュナイダーのみ取り出せる仕様となっている。
「佐藤、ヒーローよろしく助けてくれたのはいいけど大丈夫?」
「結構ヤバい、機体の反応に俺が追いつけてない」
「んじゃ、片方貸して。僕も撃つ」
「了解」
二人は散開しアグニを構える。
二条の赤が銀色を飲み込んだ。
うめき声が聞こえてくる。
大方、搭乗者であるナターシャ・ファイルスの自我が戻りかけているのだろう。
搭乗者を人質に取られる前に何としてでもシールドエネルギーを0にしなければならな
くなった。
「■■■■■■■■■■■■‼」
叫びながら突進してくるレギルス、しかし動きがおざなりすぎてビットの方も操作が
緩慢だ。
「んなんで俺たちを落とせると思うなよ」
右肩と左肩の全火力を一気に解放し、迎え撃つ。
シャルはアグニで援護してくれる。
「シャル一気に決めるぞ」
そう言うと同時にパックを換装、ランチャーからソードに変更した。
ソードパックは近接主体のストライカーパックである。
一刀の攻撃力は簪のビームソードには一歩劣るがそれでもビームサーベルよりかは十分
な火力を有する斬艦刀シュベルトゲーベルを装備している。
それが二本……その破壊力は押して知るべし、だろう。
「必殺二コル斬りィィィィィィ!」
二コル斬りとはまぁ言ってしまえば普通に大きく振りい被った横振りなのだがこれで
主人公はとある人物を倒してしまったためその人物の名を冠して称されている。
しかし、皆さんは覚えているだろうか?二コル斬りは斬艦刀一本で行われていたと
言う事を
「頼むぞ、シャルロット‼」
「任せてよ、最後の最後まで削りきってやる‼」
彼のもう一本の斬艦刀を構えて突っ込んでいく。
串刺しにされたレギルスはシールドエネルギーを最後まで削り切った。
これにて平凡な男の物語は終わりを告げた。
確かに物足りないものがいるのも事実かもしれない。
その後の話は後書きに書かれているはずだ。
彼らは全てを終えたわけではない、悩み苦しみ葛藤する日々が待っている。
しかし、その後の話はあなた方読者が補うのも一興ではないだろうか?
ここでこの物語は終わりを告げるがどうか彼らの事は忘れないでほしい。
以上だ、解散!……これからも良い旅路に付けることを願っている。
「ゴメン、ゴメンて」
「何でそんな事、臆面もなく言えるようになっちゃったのかなぁ」
この頃の彼は本当に意地が悪い。
合宿から帰ってきてからと言うものアプローチが目に見えて派手になってきた。
これを嬉しいと思える僕もたいがいなのだろうけど周りはそう思っていないらしく
生暖かい目でこちらを見てくる。
SAN値ピンチとはまさにこのことである。
「まぁ、自分の心に嘘をついちゃいけないってことに気づいたんだよ」
「それは前聞いたよ、んで実際のところどうなの?」
このことに関してだけ彼はかたくなに口を閉ざす。
まぁ、束さんが言うには彼のISが語りかけたのではないかと言う荒唐無稽なものだが
製作者の彼女が「ISには自我がある」と言っているのだ。一理あるだろう。
「なぁ、シャル……いやシャルロット」
真剣な目でこちらを見てくる佐藤、彼がこんな目をしたのは久しぶりだ。
「何?佐藤」
「改めて君に伝えたい。俺は君が好きだ」
知ってる、私もそうだ。
「君はどうなんだ?僕は君の答えが知りたい」
「僕は……僕は君の事が好きだよ?」
「いつか君に渡さなければならないものだから忘れないうちに渡しておくよ」
そう言って渡されたのは小さな小さなケース
「時期が来たら開けられるようになってる。束さん特製だからどんなことしたって
開かないよ」
一生懸命開けようとする私を笑いながらケースの説明をする。
「でもこれは俺の信念の表れでもある。これが開くまで俺は君を愛し続けると誓う」
だから君も良ければ誓ってくれないか?そう問いかけてきた。
彼はこういう事に関してはよく知恵が回る。
「まったくズルいや……頷く以外選択肢が無いじゃないか」