平凡な俺の機体がキチガイスペックな件について《完結》   作:賢者

8 / 25
とある飛空士シリーズいいですよね
お兄さんマジ泣きしちゃいましたよ


グーでボコしてフライアウェイ

チュンチュンと小鳥のさえずりで目が覚める。

 

今現在は午前6:30

 

俺は身支度を手早く済ませた後同居人を起こす。

 

「オイ、起きろシャル…寝坊しちまうぞ~」

 

出来るだけ長めに寝顔を見るために小声で起こすのは俺が悪いだろうか?

 

今日は運が悪いことに一回の声掛けで起きた。

 

いつもは最低二回や三回声をかけなければ瞬きさえしないシャルがどういう

風の吹き回しだろうか?

 

「少なくとも嫌な予感しかせんな…」

 

「人の布団で何ブツブツ独り言言ってんのさ、この変態」

 

この毒舌にも少し免疫が出来たので今回も華麗にスルーする。

 

「いや、お前が声掛け一回で起きるなんて珍しいから今日嫌なことが起こるんじゃないかな~

なんて思ってたんだよ」

 

「失礼しちゃうな、僕だってちゃんと目覚ましをセットすれば起きられるんだよ?」

 

そうこれまでシャルは目覚ましをセットし就寝していたのだ。

 

それがどう言う訳かこの頃目覚ましをセットせずに就寝してしまうことが多い。

 

理由を聞けばうまくぼかされて聞き出せないので今のところは諦めている。

 

俺はこの頃の習慣となったISの教科書を読みながらの朝食をとるために食堂へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはISバトルアリーナ、俺と一夏は実戦経験が圧倒的に少ないため放課後いっつもここで訓練

と言う名のワンサイドゲームをさせられている。

 

因みに今のところ俺は30戦中20敗3分け7勝、一夏は30戦中20敗5分け5勝と言う戦績だ。

 

このワンサイドゲーム全ては一夏のために仕組んだものだ。

 

俺は一応師匠の下で厳しい訓練は受けてきている。

 

だが一夏は未だずぶの素人並の腕前としか言いようのないのだ。

 

あれが本番になるとキレッキレの動きになるんだからすごい、アレが主人公と言うやつだろうか?

 

俺は何とかストライクの機体の性能のおかげで勝ちを一夏より多くもぎ取っているが量産機で一夏

とやったら間違いなく俺が負けるだろう。

 

「ホント羨ましいお前に非リア充代表俺からのプレゼントだ、受け取りやがれこの腐れ外道が!」

 

「いきなりぶっ放すな!よっしゃまたやってやろうってんなら相手になんぞこの野郎!」

 

「二人ともバカみたいな掛け合いはよしてよ…僕たちが同レベルなんて思われたら君たちの

せいだよ?」

 

さり気にシャルの毒舌が混じっているがここは気にしない…いや気にしたら負ける。

 

すると会場の一角から女の子の歓声が聞こえてきた。

 

「ねぇ、あれって」

 

「うそ!?ドイツの第三世代型じゃない!?」

 

「まだ本国でトライアル中だって聞いたけど…」

 

その中心には銀髪のロリッ子…多分あれがシャルの言ってたラウラって子なんだろう。

 

それにしても、それにしてもだ

 

「あれメチャクチャイタイな…」

 

「太郎もそう思う?やっぱり銀髪で眼帯ってどう頑張ってもイタイ人にしか見えないよね」

 

俺がそんな感じにシャルと話しているとオープンチャンネルでラウラが一夏に話しかけた。

 

「…おい」

 

「なんだよ」

 

不機嫌そうな感じで受け答えする一夏…しかし実態は隣で繰り広げられている『ラウラちゃんは

イタイ子』議論を聞いて笑うのを必死にこらえているだけであったりする。

 

ああいうのを俗に言う『良くも悪くもいい人』なのだろうか?

 

「お前も専用機持ちだそうだな。なら、話が早い。私と戦え」

 

「嫌だ。理由がねぇよ」

 

「貴様にはなくても、私にはある」

 

「・・・・」

 

一夏は真下を見て考え込む(ホントは少し耐え切れず少し吹き出すためにうつむいただけ)

 

「貴様がいなければ、教官が二連覇を成し遂げたのは目に見えていた。だから、私は貴様を認めない。あの人の弟など、認めるものか」

 

無言の返答をして一夏は今回は本当に考え込む。

 

ラウラが言っていることは第二回モンド・グロッゾのことであろう。一夏はその日謎の組織に

誘拐されてしまい、その後監禁されていた。

 

…がしばらくして決勝戦を放り出した千冬が救出にやってきた。

 

無論決勝戦は棄権して、だ。

 

その後、一夏の居場所を突き止めたドイツに借りを返すために千冬はしばらくドイツのほうで

教官をやっていた。

 

大方そのときにラウラと出会ったのだろう。

 

全てを考え見て出した一夏の答えは

 

「断る。戦う理由がない」

 

彼は戦わない決断をした。

 

もし今ここでやり合ったとしても相手の機体情報を知らずに戦うのは愚の骨頂だしそれに

ここでやりあったら外野がだまっていない(一夏は太郎との決闘…もといケンカを優先したわけ

ではない、決して)

 

「そうか……ならば、戦わざるを得なくしてやる!!!」

 

刹那視界に警告が表示され、ラウラが身に纏った黒い重装甲のISの左肩の砲が火を噴いた。

 

「こんな人が密集したところで戦闘を始めようなんて、ドイツの軍人は沸点が低いのかな?」

 

「それともなんだ?イタイ子特有の厨二病でも発症したか?」

 

しかしそれは佐藤とシャルの両名によって防がれる。

 

シャルはカノンの球を撃ち落とすために銃を撃ち、佐藤はストライクの軌道能力の高さで持って

一夏の前に躍り出て衝撃を盾で受け止めた。

 

因みにこの後に夫婦みたいに息が合っていたと言われると両名顔がリンゴよろしく

真っ赤になるので覚えておこう。

 

「私の邪魔をするな。フランスの第二世代型アンティークごときが」

 

「量産化の目処すら立たない第三世代型ルーキーよりはマシなんじゃないかな?」

 

「シャル君、それ何気に俺の機体もディスってる」

 

一触即発?の空気がアリーナの周りに流れ始めるが…

 

『そこの生徒! 何をしている!? 学年とクラス、出席番号を言え!』

 

そんな教師の一言で戦闘は回避された。

 

「興が削がれたな。今日のところは退こう」

 

そう言うと、ラウラは身に纏っていたISを除装して、くるりと背中を向けると、アリーナから出て行った。

 

「一夏、一応聞くけど大丈夫?」

 

「お前ケガしてたら容赦しねぇからな」

 

二人がそう言いながら、武器を収納する。

 

「大丈夫だ。ありがとな、助かった。あと、この銃まだ返してなかったな

ついでに佐藤今回はISなしでのガチバトルで決着な」

 

シャルルに答えて、ずっと持ちっぱなしだったライフルを返す。シャルルはそれを受け取ると、

すぐに収納した。

 

佐藤はと言うと一夏の答えに満足したのか笑みを浮かべながらアリーナを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、太郎」

 

「ん?何だ、シャル」

 

アリーナからの帰り道突然シャルは佐藤に問いかけた。

 

「いや、いつも熱血バカな佐藤と一夏だったらすぐにでも突っ込んでグーパンかますのに

今日はしないからどうしたんだろって思って」

 

「シャルさんや、俺たちへのイメージについて話し合わなければならないところがあるようだな」

 

「それで本音は?」

 

「グーでボコしてフライアウェイさせたかった」

 

「やっぱりね…そうだと思ったよ」

 

呆れながらつぶやくシャルに何とかイメージの回復を図ろうとする佐藤の必至な弁解が続いた。

 

「い、いやでもよ…いきなりぶっぱされたら誰でもキレるって…それに今回は相手の機体の情報を

知らないから喧嘩をしなかったんだぞ?そこは褒めてもらいたい」

 

「でもあのままぶつかってたら絶対喧嘩に交じってたよね?」

 

彼はそっぽを向きながら肯定する。

 

やはり、とシャルは彼の幼稚さに可愛さを覚えながら微笑する。

 

シャルは何故かこの平凡な男が第一印象から気になっていた。

 

これまで話してきて分かったのだが彼はやはりどこか達観した節がありそこら辺を生かした的確な

アドバイスでこれまで何人もの人間を救ってきたかを見ている。

(因みに何から救ってきたからかは言うまでもあるまい…)

 

しかし時折彼はどこかっ子供っぽさを感じさせるようなそんな行動をする時がある。

 

そんな彼を見るのがたまらなく好きなのだ。

 

寝ているフリをしながらこちらを眺める彼の優しそうなまなざしが好きだ。

 

今さっきのように恥ずかしさから顔をそっぽへ向けるしぐさをするが好きだ。

 

今はこの感情を伝えられなくたって構わない。

 

でもこれだけは言いたい。

 

「太郎、ほっぺにご飯粒ついてる」

 

「まじかよ!…ったくそう言うのは先に行ってくれ」

 

やっぱり本当の事は言えそうにない。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。