図書委員の奏でる旋律と綴られし恋歌   作:ネム狼

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水着回後半です


青春の海、お似合いのポニーテール

 二人と合流し、俺達は最初に何をしようかについて話し合った。海の家に行って配布アイテムを貰うか、海で遊ぶか、という意見が出た。海で遊ぶという意見はあこちゃんが出した。俺と燐子先輩は話し合うことにした。

 

「燐子先輩、最初海で大丈夫ですか?」

「いいよ、あこちゃんの……意見に……賛成」

「ホント!?ありがとりんりん、チカ兄!」

 

 あこちゃんが笑顔で言った。この子には笑顔が似合う。魔王モードに入らなければ普通の中学生何だが、今の時と魔王モードの時じゃ全然違うな。

 

 しかし、魔王モードって燐子先輩が命名したんだよな?我はーとかっていう時になることをそう呼ぶそうだ。それはいいとして、燐子先輩、大丈夫なのか?ガウンがあるから上着は大丈夫、なんて言ってるが、不安だ。

 

「燐子先輩、上着いいんですか?」

「私は大丈夫だよ。千景君だって……腹筋のこと……言われたくないでしょ?」

「それはそうですが……。何かあったら言って下さいよ?」

「うん、頼りにしてるからね」

 

 燐子先輩は微笑みながら言った。相変わらず眩しいな。胸元を見ないようにって必死になってるのに、この人はこんな俺に笑顔を向けてくれている。こんな穢れた想いがバレたらおしまいだ。

 

「あと千景君、バレてるからね」

「へ?何がですか?」

「何がって……その……アレだよ」

 

 

――私の胸、見ないようにしてたんだよね?

 

 

 俺は核心を突かれた。目を逸らし、必死に隠すことにした。仕方ないだろ!耐えるのに大変なのに、気づかれたら終わりじゃん!燐子先輩、俺のこと何でも知ってるような気がしてこええよ!

 

 

▼▼▼▼

 

 

 私は千景君とあこちゃん、二人と海に行くことにした。というか私、大丈夫かな?普段の私なら海に行くことすらない。でも、今回は違う。NFOの限定アイテム、そして何より……千景君がいる。これだけあったら行くしかない。

 

「りんりーん、どしたのー?」

「え!?な、何でもないよ!」

「ホントにそう?さっきからチカ兄のことずっと見てるけど……」

「見てないよ!決して千景君が女の子ぽいなぁとかポニーテール似合うなぁとか、そんなこと全く思ってないよ!本当だよ!」

「いやいや、本音駄々漏れの時点で説得力ないよ」

 

 私は手を抑え、失言したことに気づいた。ヤバい!千景君に聞こえてないよね!?聞こえてたら私、死んじゃうよ!さっき何も怖くないなんて言ったのに、早速フラグ回収するって……情けないよ。

 

 どうしよう、千景君に聞かれたらどう言おう。聞こえてるって思うと恥ずかしくなる。今の千景君はポニーテールにしてるせいか本当に女の子っぽくなってる。千景君ってこんなに綺麗だったっけ?

 

「りんりん、そんな年収低いように手を抑えなくても……」

「だ、だって!千景君に聞かれたら……」

「大丈夫大丈夫!チカ兄が聞いてる訳ないよ!"少しだけ距離が空いてる"だけだから!」

 

 

――それ完全に聞かれてるじゃん!

 

 

 そんなことを思っていると、千景君が近づいて来た。これ聞かれる!?聞かれるよね!?私は決心した。これは正直に言おう。言うしかない。聞こえてるんだ、それならそれでいい。

 

「燐子先輩」

「な、何かな!?」

「海、綺麗ですね」

「そうだね……」

 

 言われてみると確かに綺麗だ。これはあれかな?何もないってことでいいんだよね?安心してもいいんだよね?

 

「やっぱりチカ兄って女の子だねぇ」

「え?俺が?」

「そうそう!何て言うかなぁ……まるでお姉ちゃんがいる?みたいな?」

「要は俺と燐子先輩が姉に見えるってこと?」

 

 そうだよ、あこちゃんが笑顔で答えた。私と千景君がお姉さん、何かそう考えるとあこちゃんが妹に見える。それはそれでアリかな。

 

 それにしても気のせいかな?なんかあこちゃんが地雷みたいな所に踏み込んでるような気がするんだけど、もしかして敢えて踏んでるの?そうだとしたら、あこちゃん、魔王どころか勇者だよ。

 

「チカ兄ってポニーテール似合ってるね」

「ありがと。髪長いし、今日は海だから縛っとかないと思ってな」

「……てりんりんが言ってたよ」

「燐子先輩が!?」

 

 あこちゃーん!地雷!地雷踏んでるよ!それは心の中で言っただけであって、口に出してないからね!私、心読まれてるのかな?

 

 

▼▼▼▼

 

 

 やっぱ俺って女なのか?だったらポニーテールやめるか?俺は髪をほどくことにした。しかし、ほどこうとした時、手首を握られた。握ったのは、燐子先輩だった。

 

「せ、先輩!?」

「千景君……似合ってるんだから……ほどかなくても……いいよ」

「……燐子先輩に言われたらほどき辛いじゃないですか」

「本当のことを……言ってるんだよ。千景君、今日だけは……ポニーテールにしてほしいんだけど……駄目かな?」

 

 こんなこと言われたら駄目って言えない。燐子先輩、貴女はズルい先輩だよ。そこまで言われるのは初めてだし、似合ってるって言われたら嬉しくなる。

 

 俺は燐子先輩に一日ポニーテールにします、と言った。燐子先輩は顔をぱあっと明るくし、ありがとうと微笑みながら言った。分かりやすい表情だ。今度から髪型変えようか、俺はそう思いながら二人と海の家に行くことにした。

 

 今回の配布されるアイテム、アイテムというよりは装備だ。それも見た目用で、麦わら帽子とのこと。確かもう一個アカウントあったから、そっちに使うか。

 

「千景君って……データもう一個……あったよね?」

「ありますよ。配布はそっちに回します」

「チカ兄、性能とかどう?」

「性能は水耐性の強化、水属性バフ、こんなところだな。とりあえずはアクセサリー用で使うかな」

 

 性能としてはアレだが、見た目では使える。ちょうど白のワンピースがあるから、今度装備して試してみるか。配布は貰ったから、休憩にするか。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 電車に揺られ、私達は海を後にした。あこちゃんは私と千景君の間に座り、疲れたのか眠っている。私も少し眠いけど、家に着くまで起きてよう。

 

「燐子先輩、泳げなかったんですね」

「千景君だって……泳げないよね?」

「まぁ俺も同じです。運動は得意じゃありませんからね」

 

 今日は千景君のこと結構知れた気がする。腹筋を褒められるのは苦手、ポニーテールは似合ってる、運動は苦手、結構収穫あるかな。私は千景君に気づかれないようによし、と小さく言った。

 

 千景君は着替え終わった後でもポニーテールのままだった。やっぱり見入っちゃうな。似合ってるっていうのは事実だから見ちゃう。

 

「あの燐子先輩」

「何?」

「機会があったら、燐子先輩もポニーテールにしてくれませんか?」

「わ、私!?」

「はい。燐子先輩のストレートもいいですけど、ポニーテールも見たいなって思ったんです」

 

 千景君に言われるなんて予想してなかった。千景君に言われたら断れないよ。私は千景君の顔を見て、いつかね、と約束した。千景君にはいつか見せようかな。たまには違う髪型にするのも悪くないし……。

 

 今思ったけど、サラッと私の髪良いって言ったよね?千景君ってたまに私のこと褒めてくれてるけど、気づいてないのかな?

 

 次の日、私は千景君に水着のことや髪のことで褒められたのが嬉しかったせいか、NFOで相当の周回をしてしまった。数え切れないくらいの数で、レアアイテムも大量に手に入ったという。

 

 周回を終えた後、千景君やあこちゃんから怖いと言われた。なんで!?




水着回終了
距離は少しずつ縮んでゆく
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