図書委員の奏でる旋律と綴られし恋歌   作:ネム狼

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更新遅くなってごめんなさい
ライブ回になります


咲き乱れし青薔薇の宴、少年は何を想うのか

 今日は土曜日だ。学校も休みだから、さあ休もう!といつもはこんな感じだが、今日は違う。何故かというと、今日はRoseliaのライブだからだ。

 

 先週の月曜に白金先輩からチケットを渡され、来て下さい!と強く念押しするかのように言われた。白金先輩はキーボードを担当していると言っていたが、どんな感じなのか気になっていた。

 

 もう一つ気になっていることがある。それは、ライブの時の白金先輩だ。あの人は学校では静かだけど、本のことになると饒舌になる、それが俺の知っている先輩だ。じゃあライブではどうなるか、それは見てみないとわからない。

 

「時間は十時からだったか。そろそろ出ようかな」

 

 俺は私服に着替え、出掛ける支度をした。休日に出掛けるのは久しぶりだ。確か母さんと父さんはいたよな?

 

「母さん、出掛けて来るね」

「珍しいわね、千景が出掛けるなんて……」

「まあね。あれ、父さんは?」

「景久さんなら今日はさっき出掛けたわ。本を買いに行くと言ってね」

 

 そうか、父さんはいないのか。父さんは図書館の司書を勤めている。平日は司書、休日は家にいる。あと、母さんは常に家だ。本人曰く、出掛けるのはめんどくさいとのことだ。母さんはゲームは得意、さらに家事もできる、俺からしたらこんな母親でいいのかと思うが……。

 

「父さんいないならしょうがないか。とりあえず、行って来るよ」

「行ってらっしゃい。気を付けてね」

 

 ライブハウスの名前は確かcircleだったか。俺はスマホで場所を調べるためにマップを開いた。徒歩で十五分、そんなに遠くはないな。俺はライブハウスを目指して足を進めた。

 

 少し肌寒いな。さすがにTシャツにパーカーはまずかったか。まあいいか、いつ暑くなるかわからないし。それにしても思ったが、ライブを観る時って必要な物とかってあるのか?今持っているのは貴重品の財布とスマホ、あとチケット、このくらいしか持ってきていない。

 

 まあ大丈夫だろう。分からなければ調べればいいんだ。ライブの時の白金先輩は想像できないな。それに、衣装も

どんな物なのかも分からない。俺は心のどこかで思っていたのかもしれない。

 

 このライブで何かが変わるんじゃないのかと、本ばかりで退屈していた俺の人生を、何かを知ることができるんじゃないのかと、俺はそんなことを期待していた。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 もうすぐライブが始まる。

 

 私はライブ前なのに緊張していた。今日は今までとは違う。そう、今日は椎名君が来るからだ。椎名君は来てくれてるか、ライブは成功するだろうか、私は不安に駆られてしまった。

 

 椎名君に別の私を知ってほしいという理由でライブに誘ったけど、正直言うと、椎名君に何を言われるのかが一番

怖いと私の心が叫んでいた。

 

「りんりん、大丈夫?」

「白金さん、白金さん!」

「っ!?あこ……ちゃん、氷川……さん。どうしたん……ですか?」

 

 あこちゃんと氷川さんに声を掛けられた。二人共どうしたんだろう?心配そうに私を見ているけど、なにかあったのかな?

 

「白金さん、体調は悪くないですか?」

「りんりん、無理はしてない?」

「私は……大丈夫……だよ、あこちゃん。氷川さんも……心配をお掛けしてしまって……すみません」

「大丈夫なら良いのですが、無理はしないように気を付けて下さい」

 

 氷川さんはあまり無理をしないように、と心配そうに言った。あこちゃんもりんりん、しっかりね!と言ってくれた。ここで逃げちゃ駄目だ!ここで逃げたら、椎名君のことを知ることもできなくなってしまう。

 

「すう……はあ……」

 

 私は呼吸を整えた。自然と緊張は解れてきたようだ。よし、頑張ろう!

 

 私はライブに向けて準備を整えるために立ち上がった。今井さんや友希那さんからも大丈夫かと言われたが、大丈夫ですよ、と私は答えた。正直言うとまだ大丈夫じゃない。けれど、やるしかないんだ!

 

 

▼▼▼▼

 

 

 すごい人気だな。Roseliaが人気なのはクラスの男子が話をしていたのを耳に入れた程度だが、ここまでとは思わなかった。

 

 Roseliaの曲については動画に投稿されていたものを予習のつもりで何回か聞いたから大丈夫だ。そこは大丈夫なんだが、俺としては俺を知っている人、正確にはクラスメイトだ。この休みの日はできれば会いたくない。

 

「この行列だと、ぶっ倒れそうだな。気を付けないと」

 

 俺はライブハウスの中に入り、黒髪ショートヘアのお姉さんのいる受付の方へ向かった。

 

「いらっしゃいませー!一名様ですか?」

「ええ、そうです」

「了解!私は月島まりな、よろしくね!」

「は、はい。椎名千景です、よろしくお願いします」

 

 月島さんか。見た目からすると二十代後半に見えるな。いや、女性に年齢のことは厳禁だったな。母さんにも言われたことだった。

 

 ライブハウスのスタジオって広いのか?だとすると数名の客に囲まれて観るということだよな、俺大丈夫かな?

 

 スタジオに入って数分が経ち、ライブが始まった。周りが暗くなり、曲が始まる。この曲は「BLACK SHOUT」か。歌い出しが終わった途端、辺りが急に明るくなった。

 

 そこにいたのは白金先輩だけでなく、風紀委員の氷川先輩もいた。あの人もメンバーの一人だったのか!?い、意外だな。普段は真面目で厳しそうな一人なのに、ライブになると雰囲気が全く違う。

 

 俺は曲が流れている中、ずっと白金先輩のことを見ていた。学校の時の静かな雰囲気ではなかった。俺から見た白金先輩は……。

 

 

――とても輝いていた。

 

 

――楽しそうに、笑顔で弾いていた。

 

 

 俺は白金先輩の姿に夢中になっていた。その姿は本当に魅力的だった。

 

(全く違う、俺の想像していたものと違う。白金先輩、あなたはどうしてそんなに楽しそうなんだ?)

 

 周りの観客はとても盛り上がっていた。しかし、俺は呆然としていた。けれど、心の中では咆哮を上げるかのように叫んでいた。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 ライブが終わった。私は溜まった疲れを吹き飛ばすように息を吐いた。肩の力が抜けていくような感じがした。外は夕方だった。ライブ中に客側の方をチラッと見たけど、椎名君の姿はあった。演奏中、目が合ったような気がしたけど、気のせいかな?

 

「今日のライブは大成功だったね、友希那!」

「大成功なのは当然よ。そうでなければRoseliaのボーカルは務まらないわ」

 

 友希那さんは自信満々に言った。あこちゃんもいつもより相当元気だった。さすがは努力家だ。今井さんと氷川さんも輝いていた。私はどうなんだろう?

 

 自分のことは自分でわかっていても、ライブの時の自分がどんな感じなのかは他人に言われないとわからないものだ。今度椎名君に聞いてみようかな?

 

 私達はライブハウスを出て、外に向かった。その時、私の目に映ったのは私の後輩であり、気になる人だった。

 

「し、椎名……君!?」

「あ、白金先輩」

 

 

――どんな感じかを聞くのは今度では無くなったみたいです。

 

 

 




というわけでライブ回終わりです
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