プラチナの鐘が鳴った時、旋律は奏でられる
なお、この回では二人は付き合ってません
あと名前で呼び合ってます
今回は本編とは別の世界線となっております
旋律と恋歌、少女に生誕の祝福を
十月十五日、燐子先輩の誕生日まであと二日。俺は先輩の誕生日に備えてプレゼントをどうしようか考えていた。
先輩は何が欲しいのだろう、オンラインゲーム?それとも何だ?俺がピアノで聞きたい曲を弾いて先輩に聞かせるか?後者はいいとして、問題はプレゼントだ。
「千景君、一緒に帰らない?」
「いいですよ。燐子先輩と帰りたかったので、ちょうどよかったです」
ここで燐子先輩と会うとは……。多分誕生日の話をするかもしれないな。プレゼントについては先輩に聞いてみるか。
俺は燐子先輩と一緒に帰っている道中、誕生日プレゼントは何が欲しいかを聞いた。しかし、先輩の口からは予想外な言葉が出てきた。
「千景君、誕生日プレゼントの……ことなんだけど……何でもいいよ」
「え!?な、何でもですか……」
「私ね、千景君から貰える物なら……どんな物でも嬉しいんだ」
先輩は笑顔で言った。何でもいいって、そんなことを言われたら困る。だが、こんなこと先輩には言えない。そうなると、自分で選ばないといけない。それは俺にとってはプレッシャーでしかない。
今日はまだ時間はある。帰りに買い物をして、それで選ぶか。この人は楽しみにしているんだ。誕生日を不意にする訳にはいかない。選んだプレゼントが先輩を喜ばせることに繋がるのなら、俺はそれで満足だ。
俺はライブハウス前で先輩と別れた。先輩は練習があるというとのことだ。とりあえず、買い物に行こうか。さて、プレゼントは何にしようか。燐子先輩、楽しみにしてて下さいね。
▼▼▼▼
千景君と別れ、ライブハウスに入って練習の準備をする。友希那さん達も準備を始めているり私は深呼吸をしてキーボードの前に立った。しかし、私の頭の中には千景君がどんなプレゼントを選ぶのか、そんなことで頭がいっぱいだった。
「燐子、燐子ー」
「は、はい!」
「大丈夫?ぼーっとしてたけど……」
「大丈夫ですよ?何ともないですよ?」
「じゃあ何で上の空かな?もしかして、千景のことで考えてたのかな?」
顔に出てたかな?千景君のことを言われたということはバレてるよね?恥ずかしい、プレゼントのことで楽しみにしているなんて言えない。あこちゃんは目をキラキラさせながら私を見ているし、今井さんと氷川さん、友希那さんに至っては顔をほっこりさせてる。やめて!私をそんな目で見ないで!
「燐子、千景のこと好きなんでしょ?」
「へ!?そ、そんなことは……」
「白金さん、モロバレですので、隠しても無駄ですよ?」
「そうよ燐子。貴女、顔に出てるわよ?」
「そうだよ!りんりん、白状だよー!」
皆にバレてた。駄目だ、これ以上隠しても意味がない。私は何故上の空になってたのかの理由を話した。千景君のことは好きだけど、私は彼に告白出来ていない。そもそも好きだと気づいたのがつい最近なんだ。
理由を言ったの後、誕生日のことで話をすることになった。その話は約三十分程続き、私は中々練習に集中することが出来なかった。早く誕生日にならないかな?このままだと私は恥ずかしさのあまり死んでしまう。
▼▼▼▼
色々とあって、燐子先輩の誕生日当日となった。俺は燐子先輩に渡すプレゼントを何とか選ぶことが出来た。一昨日は迷ってばかりで選べなかったが、昨日もう一度買い物に行って選ぶことが出来た。先輩に聞かせる曲も決まった。決まったといっても前にやった曲だがな。
俺は早めに家を出て、喫茶店でコーヒーを飲みながら燐子先輩と待ち合わせをしている。先輩は今Roseliaの人達、湊先輩達とファミレスに行ってお祝いをしているんだろう。午前はRoselia、午後は俺と一緒に出掛けることになっている。先輩と一緒にいられるのはとても嬉しいが、あまり振り回さないようにしよう。
「早めに来たのはいいものの、暇だな……。早く燐子先輩に会いたいな」
「千景君……だよね?待たせちゃったね……」
「先輩!あれ、いいんですか?湊先輩達と一緒なんじゃ……」
「千景君もうお昼だよ?」
俺は時計を見た。え、もう昼なのか!?早いな、てことは二時間待ったのか。まぁいいや、燐子先輩と会えたのならこれくらい、どうってことない。
「燐子先輩、どこか行きませんか?」
「どこか?じゃあ千景君の……お家でいいかな……」
「俺の家ですか?わかりました、じゃあ行きましょう」
「ごめんね……待ち合わせさせちゃって……回りくどかったよね」
「大丈夫ですよ。迎えに来たってことにすれば問題ないですよ。俺は燐子先輩と会えただけでも満足ですから」
先輩にそう言うと、先輩の顔が赤くなった。これは出掛けるのではなく、家デートということになるのか。プレゼントは鞄の中にある。包んでもらったから、傷は付いてない。
俺は先輩をエスコートしながら自分の家に向かった。やっぱり先輩、可愛いな。はぁ、ここまで先輩が可愛く思えるなんて、重症だな。俺は先輩のことは好きだ。だが、告白は出来ていない。いつ告白出来るのか、いつ付き合えるのか、それはまだわからない。
▼▼▼▼
千景君の家に着き、私は千景君の部屋に招待された。最初にピアノを聞かせてくれるとのことで、私は千景君の隣に座った。彼が弾いてくれる曲は「ホンノタビビト」だ。私もこの曲は聞いたことがある。千景君は自分の耳を便りに音を覚えたそうだ。所謂耳コピ、彼は凄いや。
「千景君、綺麗だったよ」
「ありがとうございます。先輩にそう言われると嬉しいです」
「ふふっ。そういえば……これって家デート……だよね……」
「燐子先輩、俺気にしないようにしてたのに……。口に出されると恥ずかしいですよ」
言われてみるとそうだ。私は両手で顔を抑えて千景君に赤くなっている顔を見えないようにした。ああ、私は彼の前で何てことを言ったのだろう。これじゃあ気まずくなっちゃうよ!
そんなことを思っていると、頭に何かが乗った。これは……千景君の手?また撫でられた。千景君に撫でられるのは嬉しいけど、恥ずかしいよ。
「千景君、わざとやってるの?」
「やってませんよ。先輩が可愛かったので、つい……」
「わざとだぁ」
こんなことでも私は嬉しかった。千景君と一緒にいられる、千景君に撫でられる。それは私の心を落ち着かせるには充分過ぎるものだ。
その後、私は千景君から楽しみにしていたプレゼントを貰った。何だろう、あこちゃんからはNFOのグッズぁったけど、彼は何を選んだのだろう。私は包みを開けた。箱?何なのかな?
「開けていい?」
「どうぞ。先輩なら喜んでくれると思って選んだので」
私は箱を開けた。これは……ネックレス?十字架のネックレスだ。千景君、苦労して選んだんだね。ありがとう、千景君。
「先輩になら似合うかなと思って選びました」
「ありがとう!千景君付けていいかな?」
いいですよ、と千景君は言った。千景君は何て言うかな?きっと似合ってるって言ってくれる筈だ。私はネックレスを付けて千景君に見てもらった。
千景君にここまでしてもらえるなんて、私は幸せ者ものだ。彼のことを好きになってよかった、彼と出会えてよかった。
「どうかな……」
「とっても似合ってますよ。眩しすぎるくらいに」
「ありがとう千景君」
「どういたしまして、燐子先輩」
私と千景君は見つめ合いながら言い合った。告白は出来なかったけれど、まだ先になるかもしれない。いや、今は出来なくてもいいかな。今は、彼と一緒にいられるこの時間を大切にしないと……。
誕生日回執筆完了です
今回の話は前書きにも書きましたが、本編とは繋がりはありません
この先の展開は読者様のご想像にお任せします