図書委員の奏でる旋律と綴られし恋歌   作:ネム狼

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久しぶりの更新です
遅くなってごめんなさい


先輩と後輩の初めての通話、イベント前の前哨戦

 五月、連休に入った。連休に入るということで題はいつもより多く出されたが俺は帰ってから真っ先に終わらせたから問題ない。もちろんNFOのログインは逃していない。それにこの連休はレイドイベントで忙しかったり、リアルのイベントにも行かなければならない。

 

 リアルイベントは連休の三日目だ。もちろんRinさんとあこ姫さんとも待ち合わせの件は話を付けたから大丈夫だ。しかし、このあこ姫さんだが、どこかで聞いたような名前な気がする。気のせいだろうか……。

 

 俺はあることを思い出した。そう、白金先輩と連絡先を交換したことだ。これは大きな進歩だと俺は思う。なんでだろう、なんでこんなにも嬉しいと感じるんだろう。こればっかりはよくわからない、試しに白金先輩と電話で話してみようか。

 

「でも大丈夫か?多分だけど練習で忙しいだろうからな。後にした方がいいか」

「何を独り言を言ってるの?」

「え?母さん居たのかよ!」

 

 ええ居たわよ、と母さんは部屋の入り口にもたれながら言った。いつからいたんだ、それにドアは開けっ放しにしてないはずだ。

 

「千景、夕方からNFOのイベントだけど、ご飯を食べ終わったらやるわよ」

「了解、今回のボスドロップとクエスト報酬は逃すわけにはいかないよ」

「その通り、私は一度もイベント報酬は逃したことはないけど、千景、あなたは頑張りなさい。期待してるからね」

 

 母さんはNFOサービス開始から今までイベント報酬を逃したことはない。なにせ廃人だからな。俺は何回か逃してたが、いくつかは復刻イベントで手に入れたからいい。だが、今回は何としてでも手に入れなければならない、そのために準備は整えたんだ。

 

 じゃあまた後でね、と言って母さんは部屋から出た。大丈夫だよな?白金先輩に電話しようとしたことは聞いてないよな?

 

 

▼▼▼▼

 

 

 私は今あこちゃんとNFOで曜日クエストを周回している。強化に必要なアイテムの採取を行い、あこちゃんにまた後でと言ってヘッドホンを外した。時計を見たらお昼になっていた。

 

 シャドウさんはまだ来ていないようだけど夕方くらいに来るのかな?

 

 椎名君は今何をしているんだろう。ゲームはやるって言ってたけど種類は聞いていないからわからない。この前椎名君と連絡先を交換したけど電話しようにも緊張してしまう。

 

 ここは私から電話を掛けてみようかな?いや、しばらく待つ?どっちにしようか私は迷ってしまった。

 

 迷っていたらスマホが鳴った。誰だろう?もしかして椎名君かな?私はスマホの画面を見て名前を見た。名前は……椎名君!?

 

「ど、どうしよう……。出た方が……いいよね?」

 

 せっかく椎名君が電話をしてくれたんだ、ここは先輩として話をしよう。でも、どんな話をしよう。いや、そんなことを考えてる場合じゃない。私は思い切って椎名君の電話に出ることにした。

 

 

「もしもし……?」

「もしもし白金先輩、こんにちは。すみません突然掛けちゃって」

「い、いいよ……私も掛けようかなって……思ったから」

 

 え、そうなんですか!?、電話越しに椎名君の驚いた声が聞こえた。椎名君から掛けて来るなんて、先を越されちゃったかな。

 

「椎名君、何やってるの?」

「今ですか?休憩してるところですね、さっきまでゲームをやってましたので」

「そうなんだ。そういえば椎名君って何のゲームをやってるの?」

「そうですね……。音ゲーとかシミュレーションとか辺りで恋愛系はたまにやる、こんな感じですかね」

 

 恋愛系もやるなんて意外だ。恋愛シミュレーションをやっている椎名君は想像できない。なんとなくだけど椎名君からは廃人の匂いがする、気のせいではなさそうだ。

 

 もう一つ私が気になっているのは椎名君の指だ。椎名君の指はどこかで見た記憶がある。そう、この前見たピアノの動画だ。私はなんとなくだけど椎名君の指を覚えている。聞いてみよう、聞けば何か分かるかもしれない。

 

「椎名君って……ピアノやってる?」

「ピアノですか……?どうしたんですか白金先輩、何かありましたか?」

「私ね、この前……ピアノの動画……見たんだ。なんかゲームの曲……だったかな?その曲を……ピアノで弾いてた動画……なんだけど」

「そんな動画ありましたっけ?見間違いじゃないんですか?」

 

 まだしらを切るつもりだ。コメントならわかるかもしれない、あのコメントを書いたのは私でRinとは何を隠そう私のことなんだから。

 

「じゃあこのコメントに……聞き覚えある?最後のところに……聞き惚れてしまいました……ってあると思うんだけど……」

 

 そのコメントを言った瞬間、椎名君は黙ってしまった。これは正解かもしれない、私はそう確信した。確信したら口元が緩んでしまった。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 どうしてわかったんだ?知らないふりをしたのにこんなにあっさりとバレるなんて……。俺はこれ以上しらを切ってもしょうがないと判断し、負けを認めることにした。

 

「正解です、白金先輩」

「やっぱり椎名君……だったんだね。ピアノ……上手だったよ」

「そんなに褒めないで下さいよ、照れるじゃないですか」

 

 俺は口元を緩ませて言った。こんな直接言われたら照れるに決まってる。ヤバい、ニヤけそうだ。

 

「でも本当のことだよ。ピアノができるなんて……意外だったし、カッコいいなって……思ったから」

「白金先輩、これ以上褒められると死にそうなので言わないで下さい」

「し、死んじゃうの!?ごめんね椎名君!」

「いやなんというかですね……。それくらいに嬉しいということです!誤解招いちゃってごめんなさい」

 

 なにをやってるんだろう俺と白金先輩は……。まあ嬉しいっていうのは事実だ。ニヤけそうになるのを俺はずっと堪えていて腹筋も痛い、ここでニヤけてるのがバレたら白金先輩に笑われてしまう。それだけは避けたい!

 

「あ、そうだ。白金先輩、明後日になるんですけどその日って空いてますか?」

「明後日?ごめんね、その日は……あこちゃんと約束してて……空いてないんだ。誘ってもらって……ごめんなさい」

「全然大丈夫ですよ。空いてるのかなって気になっただけですので、気にしなくていいですよ」

 

 本当にごめんなさい、白金先輩は申し訳なさそうに謝った。こんなことを言わせてる俺も悪いよな。先輩なのに言わせてる時点で俺が悪いんだ、俺も謝ろう。

 

「俺もごめんなさい!白金先輩を謝らせるようなことになってしまって……」

「椎名君は悪くない!断った私が悪いよ、椎名君は悪くないから……」

 

 俺と白金先輩は悪くないだの、ごめんなさいだのを数分に渡って繰り返した。それも約十五分くらいだった。だから何をやってるんだ俺は!

 

「そろそろ切りますね白金先輩、あこちゃんとの約束、楽しい一日になるといいですね」

「ふふ、ありがとう。椎名君も……風邪引かないようにね?じゃあまた学校でね。じゃあね」

「はい、じゃあまた学校で。さよなら」

 

 俺は電話を切り、スマホを机に置いた。どのくらい話したんだろう、多分一時間半くらいかもしれない。白金先輩との初めての通話だったけど、話せてよかったな。さてとNFOのレイド、頑張るか。あとは明後日のリアルイベントだが、何を着ていこうか。

 

 

▼▼▼▼

 

 

「はあ、疲れた。椎名君の約束、断っちゃったな」

 

 あこちゃんとの約束とはNFOのリアルイベントのことだ。椎名君の約束よりゲームの方を優先させるなんて私らしくない。せっかく椎名君とお休みの日に会えると思ったのに、自分でそのチャンスを潰すなんて、先輩として情けない。

 

 学校で会った時はまた謝ろう。私の心の中は椎名君の約束を断ってしまったという罪悪感で一杯になった。ごめんね、椎名君……。

 

 

――この時まで私は予想していなかった。

 

 

――このリアルイベントで君と会えるなんて……。




お互いに行くところが一緒でしかも知らない状態で会うと
色んな意味でヤバいよね
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