星屑の大海に手向ける「藍色」の艦   作:ソルジャーODST

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宇宙世紀0095年、ある宙域を輸送艦隊が進んでいた。

そこに現れる襲撃者達、護衛を務める艦が砲火を浴びせ襲撃者達に牙を剥いた。

1時間近く続いた戦いを制したのはー


※2019/4/22 誤字修正


「藍色」は星屑を見て、過去を思い出す

「艦長、敵MS全機撃破確認しました。増援は確認できず。護衛目標は健在、『ワレ被弾ナシ』との通信が入っています」

「第二種戦闘配置へ移行。モビルスーツ隊は帰還だ。対空監視班はスマンが警戒を継続してくれ」

「了解。第二種戦闘配置へ移行。モビルスーツ隊は帰還してください。対空監視班は警戒を厳に。ミノフスキー粒子散布は終了。現在濃度低下中。レーダーの回復まであと……」

 

つい先程までの喧騒はどこへ行ったのか。オペレーターの声だけが異常に響く艦橋に私は居た。ふぅ、とため息が聞こえる。操舵の方からだ。彼の戦闘時の緊張は生半可なモノでは無いだろう。そう思った時、ふと気づいた。私も同じように息を吐き出していた事に。そして、自分が歳を取ったということにも。気づきついでに物思いにふけってしまう。これもまた自分が歳を取ったという証拠にほかならないな。

 


 

ミノフスキー粒子が発見・発明されたことで、戦争の有様は有視界戦闘の時代へ逆戻りとなった。そして、ジオン公国が地球連邦政府へ独立を求めた宣戦布告と、ほぼ同時に投入された人型兵器MS(モビルスーツ)の登場でそれまでの宇宙戦闘、ひいては戦争自体が変化を強制された。

 

本来、宇宙空間に於いて作業を円滑に進めるために開発されたMSは、そのサイズに合わせて造られた巨大な銃を手に持って戦争へ投入された。あの当時、私は地球連邦宇宙軍に所属しサラミス級宇宙巡洋艦『インディゴ』に副長として乗っていた。

 

私かそれとも『インディゴ』か、もしくはその両方かは分からないがとにかく私が運が良かったのは間違いない。開戦後に行われたジオンの『ブリティッシュ作戦』に於いて、『インディゴ』は緒戦で被弾し早々に戦線を離れたのだ。それはまだMSが戦場へ投入される前の話だった。

 

ミノフスキー粒子によって通信が遮られ戦闘の様子が分からない中、私達の艦は連邦軍の宇宙基地の一つであるルナツーへ何とか無事に着くことができた。エンジンを含めたバイタルパートへの被弾は無かったために、最大速力を維持して戦場を離脱できたからだと思っている。

 

ルナツーへ入り、艦の修復作業が始まろうとした時にその戦いの結末を聞いた。数で遥かに勝っていた連邦軍が敗走した、と。その後はハッキリと覚えてはいない。ルナツーへ命からがら逃げ延びた者達の収容や怪我人の治療、戦闘可能な数少ないサラミスの一隻である『インディゴ』を使ったルナツー周囲の単艦哨戒など、到底生きた心地のしなかった時期だということはハッキリと覚えている。

 

その後、ワッケイン司令の指揮下で『インディゴ』は雌伏の時を過ごす。それはあの「伝説のMSとその母艦」が現れるまでだったが。

 

RX-78ガンダムとその母艦であるホワイトベース、彼らが現れたことによって私はまた苛烈な戦場へ立つこととなる。

 

ホワイトベースはガンダムとその前に設計されたMSであるRX-77ガンキャノンやRX-75ガンタンクを擁するものの、寄港していたサイド7でジオン軍の襲撃を受け、正規のクルーのほとんどを喪失してしまい代わりにほぼ素人でクルーの大半を構成したという冗談みたいな艦だった。

 

そしてガンダム。少年が乗っていたこの機体はMSにより変化した戦場をさらに変化させたMSである。それまでは戦闘艦にしか搭載出来なかったメガ粒子砲を、MSサイズまで小型化した「ビームライフル」を装備していたのである。これにはジオン軍の誇るエースの一人「赤い彗星」のシャアも驚愕したと噂されていた。さらにこのガンダムは当時のMSを遥かに上回るスペックを持ったスーパーマシンであった。

 

連邦軍はガンダムのデータを元にしたMSの量産に成功した。それがRGM-79ジムである。初期型は不良品も多く決して活躍したとは言えないが、この機体の登場により連邦軍は雌伏の時を乗り越えて反撃することが出来たのである。

 

連邦宇宙軍の再編成及び反攻作戦の開始に伴い、ジオン軍の誇る宇宙要塞ソロモンの攻略を目的とした「チェンバロ作戦」が行われた。その際に『インディゴ』はワッケイン司令率いる艦隊に編入され、久方ぶりとなる大規模戦闘へと身を投じたのだ。MSを格納搭載できないサラミス前期型であった『インディゴ』は、上部甲板に臨時で編成されたジム隊を「載せて」前線へと向かった。

 

結論から言えばこの戦いに連邦軍は勝利した。そしてこの時もまた『インディゴ』は幸運だったと言える。ホワイトベースの僚艦の一隻として共に進み、大きな被弾も大破することもなく敵の防衛戦を突破できたのである。だが攻略作戦を指揮していたティアンム提督はジオン軍のMAの攻撃で乗艦が撃沈し戦死、他にも連邦・ジオン問わず多数の艦やMSそして兵士たちがこの宇宙(そら)に漂うこととなった。

 


 

「この宙域に漂うのは数多の英霊達だということを、私はいつまでも忘れることは無いだろう」

「艦長?」

「……気にするな。『一年戦争』を思い出していただけだ。まぁ、ここにくれば否が応でも思い出してしまうさ」

「コンペイトウ……いえ旧ジオン公国軍の宇宙要塞、ソロモンですか」

「ああその通りだよ少尉。さあ、コンペイトウ防空司令部へ通信を頼む。無事に届け物を持ってきたとな」

「了解しました。『インディゴ』よりコンペイトウ防空司令部へ。本艦を含む輸送艦隊の入港を許可されたし……」

 

少尉が防空司令部と通信を始めたその時、艦橋へ入ってきた人影があった。それは『インディゴ』所属のMS隊隊長である大尉だ。その彼とはこの艦内で最も長くそして古い付き合いだ。このタイミングでここへ来たワケもよく分かっているつもりだよ。

 

「艦長、此処にはやはり思うところがありますか」

「それはそうだろう大尉。何せ君と私の長い長い『宇宙(そら)の旅』はここから始まったのだからな」

「時が経つのは早いものですなぁ。あの時私は新米パイロットで」

「私はまだ副長だったな。よくもまあお互いに生き延びてきたものだよ」

 

私達二人は「チェンバロ作戦」の時に出会ったのだ。『インディゴ』に載せられたジム隊、その中でいつも最後の出撃コールをしていたパイロット。それが今の大尉である。

 

「あの戦いは酷かった。敵も味方もどこにいるか分からないなか、がむしゃらに戦ったものです」

「少しだけ後ろにいた私達も、僚艦を次々と見失い、そしていつの間にか沈んでいったことに気づきながら前へ進んでいたんだ。最前線の君達は言葉に出来ない程だったろうな」

「おかげで生き残ったのは私だけ、それもジムの左腕と両脚の膝から下を喪失した状態で、です。スプレーガンもサーベルも手持ちが無くなって、近くを漂っていた武器を拾って生き延びましたよ」

 

レーダーが使えない戦いとはこうなるのだ。どれが味方でどれが敵か分からない。戦場で気づけば敵陣ど真ん中に居たなどよく聞く話だ。大尉は強運と同時に生き残る強さを確かに持っていたのだ。その証拠にあの戦いを生き延びた。僚機は全て未帰還の中彼だけが生き延びたのだ。

 

「まさか私のジムの撃墜記録を見たジャブローが、新型を寄越すとは思いませんでしたなぁ」

「あの時は艦長と二人で驚いたよ。知っていたか大尉。まだあの当時はそれほど生産されていないコマンドが配備されたのだからな」

「さすがに知ってましたよ。『チェンバロ』で見なかった機体ですから。生き延びたとはいえひよっこの私にアレを使いこなすなど無理な話でしたよ。それでも何とかものにしましたけどね」

 

RGM-79GSジム・コマンド宇宙仕様。それが彼に届けられたMSだった。ジムを宇宙での戦闘能力及び機動性を強化する目的で改良された機体だ。

詳しい生産開始時期は分からないが実戦投入は一年戦争末期だったのは確かだ。当時は新米少尉だった彼と彼のジム・コマンドはインディゴのMS部隊として再度編成され戦争集結までそれが変わることは無かった。

 

「艦長、今晩は久しぶりに呑みませんか?」

「フッ、先を越されたか。私も誘おうと思っていた所だよ」

「ふふふ。それでは後でお邪魔致します。取っておきのスコッチを手に入れましたので楽しみにしておいて下さい」

 

そう言うと大尉は艦橋から退出していった。




唐突に、宇宙世紀のガンダムが書きたくなったので書きました。詳しくは知らないことが多かったので調べるの楽しいです。

サラミスが好きだったので最初の艦にしました。続けば違う艦に乗り換えていきます。

ジムも好きなので、コッチはドンドン出していきます。

誤字、脱字報告よろしくお願いします。
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