タイムスリップ令和ジャパン   作:◆QgkJwfXtqk

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135 第2次世界大戦-02

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 取り合えず日本は、当座の軍事予算として100兆円を用意した。

 その上で、国際連盟安全保障理事会戦争補完委員会の管理下で行われた軍事行動に関して()()()()()()()()()()を行うと宣言したのだ。*1

 ()()で、である。

 G4諸国他、世界各国もある程度の経済発展はしているのだが、にしても法外と呼べる資金の用意であった。

 日銀と財務省は共同で、400兆までであれば問題なく処理できるとの宣言を出していた。

 貯め込んでいた外貨、金、或いは資源を惜しげも無く提供すると言う宣言でもあった。

 目的は勿論、ドイツとの戦争の早期終結である。

 ドイツとの戦争で影響を受けるヨーロッパは、世界でも上位の市場なのだ。

 そこが戦争如きで荒らされてはたまらないと言うのが、日本の経済界の本音であった。

 日本の貿易相手としてヨーロッパ亜大陸自体がそれ程に重要と言う訳では無いのだが、フランスやオランダなどの植民地を抱えた国家や、それぞれの貿易相手国が世界中に居るのだ。

 即ち、ヨーロッパがくしゃみをすれば世界が風邪をひく ―― そういう繋がりがあるのだ。

 であれば、日本が気楽に愉快に経済活動を継続するには世界が平和である必要があった。

 世界の片田舎の戦争に、兆単位での資金を流し込むことを国民が是とするのも、これが理由であった。

 日本は、善意などではなく徹頭徹尾、日本の都合に基づいて戦争へと加わるのだ。

 

 

――ブリテン/事前状況一般

 ブリテン政府は、先ずはオランダを支援する必要がある(見捨てないとのアピールの)為、緊急展開部隊でもある水陸両用戦部隊(第7コマンド旅団)のオランダ展開を決定した。

 第7コマンド旅団は戦車や装甲車、果ては野砲までも保有する機甲部隊であり、日本やアメリカの海兵隊を念頭に置いて編成された、強襲も可能な着上陸部隊であった。

 元々は海外への緊急展開部隊として構想された部隊であり、故に重装備の輸送に関しても高速性が重視され、専門の大型艦 ―― 日本の貨物船を真似て設計された水陸戦母艦(RORO船)アルビオンが用意されていた。

 7隻の建造が予定されているアルビオン級であったが、現時点では2隻しか就役していなかった。

 2隻では第7コマンド旅団の装備の全てをオランダまで一度に輸送できる訳では無かったが、それでも1週間あれば可能であった。

 流石にドイツ軍の越境には間に合わないが、それでも十分な展開速度であった。

 この他、航空部隊の派遣も決定した。

 最新鋭のジェット戦闘機を含む200機規模の部隊を派遣する事をオランダ政府に約束した。

 しかしながら、此方は簡単に派遣させられる訳では無い。

 運用する為の基盤 ―― 整備部隊や基地防空部隊の展開や、大量の燃料弾薬予備部品といった物資の備蓄が無ければ、航空部隊は十分な活躍は出来ないのだから。

 事前に行われていたブリテンとオランダとの防衛協議によって、ブリテンの航空部隊が展開する場所(野戦航空基地)も土地と建物だけは用意されてはいたのだが、如何せんドイツとの開戦が早すぎて、物資の備蓄などが殆ど出来ていなかったのだ。

 この為、ブリテンは手持ちの戦闘機で航続距離の長い機体(レシプロ戦闘機)を当座の防空用として投入する事となる。

 とは言え、別段苦境を覚悟した戦いになる訳では無い。

 ドイツ空軍もまだ完全にジェット戦闘機化は成されては居ないのだから。

 何より、投入される機体で主力となるスワロウFG.1C戦闘機(アドバンスト・スワロウ)は、その価値は聊かも減じて居ないというのが大きい。

 自動航行が可能なアビオニクスは、長躯戦闘を無理なく遂行する事が出来るし、高性能なFCSは言うまでもない。

 そして何より近代化改修(アドバンストモデル化)によって得られた短距離空対空ミサイル(AAM-6)の運用能力が持つ意味は大きかった。

 射程に収めれば必ず墜とす(シュート・アンド・キル)

 ある意味でF-7Cは、第1世代型はもとより第2世代型ジェット戦闘機と比較してすら凶悪な機体であった。

 この他、ブリテンは北海に海軍空母機動部隊を展開させる事としており、ドイツに航空優勢を与えるつもりはさらさら無かった。*2

 又、ブリテン海軍では戦艦部隊の出撃準備を進めさせていた。

 新世代(ポスト・ヤマト級)戦艦として建造されたヴァンガードを筆頭に、新型戦艦だけでもキングジョージ5級が4隻とライオン級が2隻が就役しており、その他にも近代化大改装を終えたフッドやネルソン級戦艦、リヴェンジ級戦艦が控えているのだ。

 世界第3位の大海軍(ロイヤル・ネイビー)の誉はここにあり、そう言わんばかりの武威であった。

 とは言え訓練などで弾薬を消費していたり、或いは整備を受けている艦が少なからず居る為、先ずは北海北部海域の封鎖 ―― ドイツ海軍の通商破壊戦阻止準備が主となっていた。

 オランダに向けてドイツ艦隊が出撃する兆候は掴んでいたが、フランス海軍程度で対処できるだろうとの判断から、一歩引く形で見ていた。

 フランスも、45000t級の大型戦艦であるアルザスこそ間に合わなかったが、リシュリュー級3隻とガスコーニュ級3隻の計6隻の新鋭戦艦が就役しているのだ。

 ビスマルク級を中心としたドイツ艦隊なぞ対応は余裕であろうと見ていた。

 

 

――フランス/事前状況一般

 このタイミングでの開戦は、フランスにとって想定外であった。

 主にアフリカの海外県(植民地)の治安回復にフランス本土の部隊を派遣しており、そこに対ドイツ戦争計画の中核を成す電撃部隊(エクレア・ユニット)の人員も含まれていたからだ。

 栄光のフランス陸軍本土部隊(グランダルメ)は部隊総数こそ大して減っていなかったが、人員の2割から3割が抽出され派遣されていた。

 これ程の決断が出来たのも、ドイツが自分から戦争を行わないだろうと推測さればこそであった。

 まさか国連加盟国相手に戦争を仕掛けるはずがないとか、まさかG4を相手に戦争を自分から挑むとは、とフランス政府は考えていたのだ。

 その点に於いてあるフランス人政府高官は、ドイツの理性を高く評価し過ぎていた事を反省すると述べる程であった。

 とは言え、ドイツは現時点でオランダとポーランドと言う二正面作戦を行っており、戦力をフランス側へと動かす気配も、フランスとの国境線に配置されている部隊が能動的に動く気配も無かった。

 西で守って東で戦う(ファニー・ウォー)、その様なドイツの狙いが透けて見えた。

 その推測を、開戦以来行ってきた航空偵察 ―― ドイツ領内へと強行突入し生還した偵察機が持ち帰った情報と、日本の偵察衛星が収集し伝達されてきた情報が補強していた。

 フランス-ドイツ国境線から100㎞圏内のドイツ陸軍部隊は極めて不活発であったのだ。

 恐らくはドイツ西方の陸軍はその戦力の多くをポーランド攻略に引き抜かれているのだろう。

 であれば、フランスのする事は1つだった。

 全力でドイツを殴る。

 当初は戦力不足もあって守勢攻撃を主体とした国土防衛を考えていた*3が、相手が弱体と成れば話が変わる。

 営々と策定していた対ドイツ戦争計画(アウステルリッツ・プラン)に基づいた作戦の実行が命令される事となる。

 第1段階として、アルザス地方から一気にドイツ領内へと侵攻し、ライン川沿いにルール工業地帯まで一気に制圧しドイツ経済の背骨をへし折る。

 第2段階は、北ドイツ平原を西進し一気にベルリンを攻略すると言うものであった。

 ルール工業地帯とベルリンと言うドイツの骨格を掌握し、他の地域は他の参戦国に任せると言う姿勢でもあった。

 見事なまでに己の都合を優先したフランスであったが、覇権国家(G4)はそれが許されると考えていた。

 問題は()()()()()と言う事であった。

 

 

――日本/事前状況一般

 ドイツのトチ狂った宣言に、ある意味で一番激怒したのは日本であった。

 事前に予定していた短期決戦に向けた戦争準備が一切整わぬうちに開戦する事となったのが理由であった。

 なし崩しで意味が分からぬままに戦争状態に突入したソ連とは異なり、万全の戦争計画を立てて行う初めての戦争と言う事で、割と日本人はノリノリだったのだ。

 それは、日本海上自衛隊が大艦隊の整備計画を立てて、それがほぼ無批判で通った事が示してもいた。

 兎も角、陸の主力となるフランスと海の支配者となるブリテンを支え、とっとと戦争を終わらせようと考えていた日本の戦争計画はドイツのオランダ侵攻によって一気に潰えた。

 とは言え、部隊や物資の集積と言う手間が加わっただけであり、その分の戦争期間が伸びると言うだけであると言うのも、日本の正直な感想であった。

 取り合えず山東半島のドイツ領を潰し、予定されていた戦力を欧州へと派遣する事が決定され、粛々と実行される事となる。

 とは言え問題もあった。

 オランダに侵攻したドイツ軍対策である。

 本来であればブリテン島に展開した第8ミサイル師団による対地攻撃が可能であるのだが、現時点で第8ミサイル師団はブリテン島に展開するどころか未だ書類上の存在でしかなかった。

 これではどうにも支援のしようが無い。

 とは言え、出来ませんとは言えない。

 これは日本とオランダとの関係に因る話では無く、国際連盟安全保障理事会戦争補完委員会の要請でオランダに緊急展開する事となったブリテン駐屯の第2海兵旅団に対する責任であった。

 第2海兵旅団の将兵の多くは日本国籍を欲した諸外国からの志願者であり、そうであるが故に、実戦に際しての被害などは兎も角として支援をおざなりに出来る話では無かった。

 日本と言う国家の信頼性に直結するからである。

 日本人は戦友(国民と国民予備軍)を見捨てない ―― その建前(金看板)に泥を付ける訳にはいかないからである。

 この為、日本は1つの決断を下す。

 当初は予定されていなかった戦略爆撃機(戦略飛行隊)の欧州展開である。

 この決断はシベリア共和国防衛戦略に始まって、様々な事に大きな影響を及ぼす事になるが、それをおして尚、日本は爆撃機部隊の欧州投入を決定した。*4

 ソ連をけん制する為、北極圏経由の無着陸横断を行うのだ。

 それが覇権国家の本気と言うものであった。

 

 

――アメリカ/事前状況一般

 アメリカは心底うんざりしていた。

 チャイナとの戦争が終わったと思ったら、ドイツが発狂したのだ。

 有象無象の次は狂人であるかと、本気で面倒くさがっていた。

 しかも主役は自分(アメリカ)では無い。

 脚光も称賛も浴びるだろうが、自分だけ(オンリー・ミー)では無いのだ。

 アメリカの政府も陸軍もやる気も湧かぬと言うものであった。

 只1つ、アメリカ海軍を除いて。

 アメリカ海軍はチャイナとの戦争で余り活躍する事が無かった為、今後の予算折衝の際に公言出来る成果(戦果)を欲していたのだ。

 民主主義国家の軍隊として、少なくない国費を投じて建造された戦艦や高速戦艦、空母、哨戒巡洋艦と言った艨艟の存在意義を示さねばならないのだ。

 幸い、と表現するのは聊か露悪的であるが、ドイツ海軍艦艇はチャイナとの貿易を護衛する為に大西洋からインド洋で活動していた。

 この撃滅と、ユーラシア大陸のドイツ領(山東半島)制圧で戦功を上げようと言うのがアメリカ海軍の合言葉になっていた。

 尚、アメリカ陸軍も、参戦には前向きであった。

 建前として、世界秩序の為の正義の戦争(ドイツ・サンドバック大会)であるので、正義の国家たるアメリカが参加せずには居られないと言うものがあった。

 又、国際連盟安全保障理事会常任理事国(ワールドオーダー)としての責任も声高に主張された。

 だが何よりの理由は、元手不要 ―― 日本がお小遣い(予算)を用意してくれて、名誉稼ぎが出来る好機なのだ。

 参戦しないと言う選択肢がある筈が無かった。

 

 

 

 

 

 

*1

 無論、武器弾薬食料その他の物資に関しては、日本が供給できるものは全て日本製で賄われる事が前提ではあった。

 ガソリンなども、日本で精製されたものが供給される事となっていた。

 その意味に於いて、100兆円と言う予算は全てが国際連盟側で戦争へ参加する国に配られる類のものではなく、ある種の日本の内需拡大政策的な要素を含んでいた。

 

 

*2

 尚、北海南部域に空母機動部隊を投入する事は、ドイツ潜水艦部隊に標的をプレゼントする様な行為であるとの批判がブリテン海軍の上層部から出ていた。

 だがその点に関しては日本連邦統合軍遣欧総軍が、哨戒機並びに水上艦/潜水艦部隊を対潜支援(エスコート)に提供する事で、批判の声は簡単に治まった。

 そもそも北海には、その全域を覆うには不十分ではあるものの水中固定聴音機の設置が進んでおり、ドイツ海軍の潜水艦が跳梁するのを許さぬ環境が整いつつあるのだ。

 十分な警戒を行えば、大きな脅威では無いとブリテン海軍上層部が判断するのも妥当な話であった。

 

 

*3

 オランダからの支援要請は受け取っていたが、どの様な形で実行するかはフランスが計画し実行するものであるとしていた。

 フランスに都合が良ければオランダを見殺しにしても構わない。

 そうフランス政府は非情の判断を行っていた。

 尚、この態度が明け透けであった為、オランダは親ブリテン色が濃くなっていく。

 

 

*4

 投入されるのは爆撃機だけではなくAC-2を装備する戦術飛行隊や電子航空団(電子戦部隊)警戒航空団(早期警戒部隊)は当然として、今まで日本連邦領域外へ展開する事の無かった無人(UAV)飛行隊までも含まれていた。

 無人飛行隊が運用するUAVは偵察や目標指示(ターゲティング)等を担っており、戦略飛行隊が戦術目標を相手にレーザー誘導爆弾を高高度(高度15,000)から投下する際に必要不可欠な部隊であった。

 特に、敵が防空火力を用意している様な環境への強行突入と目標指示(ハードターゲティング)任務は重要視されている。

 航空自衛隊としては有人機を投入するのはリスクが高いと判断しての事であり、それ故にステルス化された高速突入型UAVが開発される程であった。

 

 

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