タイムスリップ令和ジャパン   作:◆QgkJwfXtqk

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154 第2次世界大戦-21

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 南部戦線、ドイツとイタリアとの戦局はイタリアの優位で展開していた。

 リビアの油田と日本との貿易が齎した外貨が、その原動力であった。

 だがしかし、自国の限界を正しく理解していたムッソリーニは本戦争に於いて無理をする積りは無かった。

 旧領(失われたイタリア)の回復、イタリアの下腹部でもあるエーゲ海の掌握、そして国際連盟(G4)に対する義理立てとしてのドイツ本土への侵攻。

 バランスよく果たす積りであった。

 それは、南部戦線がほぼほぼイタリア軍のみで行っている事も理由にあった。

 開戦前から駐屯していた日本の第13機械化旅団は今もイタリアに存在し続けているが、指揮系統の1本化と言う問題もあって、ドイツ本土への侵攻はイタリア軍のみで行われていた。

 だからこそなのだ。

 ムッソリーニは、この戦争に於いて近代国家が果てしなく獣性を発揮していると理解していた。

 或いは、国威とは軍事力であると。

 常日頃は温厚な(外交)しか見せない日本も、いざ戦争と成れば悪魔(悪鬼羅刹)の如く暴れまわる。

 そこに慈悲は無い。

 ()()()()()なのだ。

 今ある戦力を出来るだけ傷つけずに、戦後を迎えたいと思っているのだ。

 戦力こそが国際社会での発言力であると深く認識すればこそであった。

 そこには、かつて友邦国であるドイツへの感情など寸毫たりとも存在しなかった。

 イタリアはイタリアの都合、イタリアの国益が最優先なのだから。

 だが、状況が変わる。

 国際連盟安全保障理事会で策定された対ドイツ戦争方針(Finish dyeing Plan)が原因である。

 ドイツの国土、その津々浦々までも国際連盟加盟国の軍勢が軍靴で踏みにじらねばならぬ事となったのだ。

 無論、踏みにじるとは言っても戦時国際法を遵守した上での行動が要求されるのだ。

 慌て、困り果てるイタリア。

 イタリアにはドイツ南部域の掌握が要求されていた。

 兵員の規模だけで言えば不可能では無いのだが重装備、戦車や装甲車が致命的に不足していたのだ。

 更に言えば、地続きとは言え国外で大規模な戦力を運用し続けるには、兵站部門の貧弱さは致命的であった。

 戦車や装甲車を多用する現代戦に於いて燃料弾薬の補給と言うものの役割は極めて重い。

 そして、一言で補給と言っても、物資の調達もだが、必要な場所へ輸送する手段の確保も大問題であるのだ。

 船、汽車、自動車、或いは()()

 この1940年代に於いて日本は別格としても、前線や後方を問わない完全な自動車化を実現できていたのはアメリカしか無いのだ。

 現状のイタリアが大軍(陸軍の大多数)をドイツ国内へと展開させた場合、早晩に破綻するであろうと言うのが陸軍参謀本部の判断であった。

 補給能力が弱いのには理由があった。

 ドイツと袂を分かって以降、本格的な戦争を想定した軍の整備を行っていたイタリアであったが、その作戦計画はイタリア国内での防衛戦が主であったのだ。

 防衛している間に国際連盟(G4、特にフランス)がドイツを殴り殺す ―― そう言う想定で整備されていたのだから。

 国際連盟(G4)への恭順によって国家が安定(繁栄)している事を理解するムッソリーニであるが、国を傾けて(軍を壊滅させて)まで忠誠を示そうとは考えて居なかった。

 故にムッソリーニは国際連盟へと派遣している全権大使に対して、イタリアは可能な限り前進を試みるが国際連盟安全保障理事会が望む水準での前進は難しいと主張させた。

 それで合理的な国際連盟は折れるだろうと考えたのだ。

 ()()()()

 イタリアが侵攻できない理由を確認した日本がであるならば是非も無いとして大小輸送車両(MLシリーズ)*1年内(3ヵ月間)だけで5万両、送りつけると告げたのだ。

 無慈悲な日本の宣言に、慌てて周りを見たイタリアの全権大使。

 誰かが助け舟を出す事を期待しての事であったが、他の代表たちがそっと目を逸らしただけであった。

 否、ソ連の代表が少しだけ羨ましそうに見て来ていた。*2

 結果、イタリアに出来たのは、頑張りますと言う返事、そして送り付けられてくる5万両の車両に手配する運転手の早急な育成だけであった。

 

 

――ソ連

 国際連盟加盟国としてドイツに対して宣戦布告を行ったソ連。

 その矛先は隣接するドイツ、ドイツ連邦帝国(サード・ライヒ)東方領となったバルカン半島であった。

 実利の為である。

 国際連盟安全保障理事会が参戦国に対し、内密で示した領土割譲許可(ドイツ領切り取り御免状)に基づいての事であった。

 国土の東半分、資源地帯でもあるシベリアを失ったソ連は、それに代わる領土を欲したのだ。

 日本の要請を受けてシベリア前線から引っこ抜いた戦力をヤケクソめいて投入していた。

 猜疑心と言う意味で他人を信用していないスターリンからすれば、心底からの博打であった。

 あの国際法に五月蠅い日本がソ連侵攻をした場合、いっそ全世界に日本に偽善性を嘲笑しながら死んでやる! そう言う覚悟の博打であった。

 ソ連の首脳陣一同を集め、覚悟の水杯ならぬウォトカでジョッキを満たし、それを一気に干してから全軍にドイツ侵攻を命じた程だった。

 それから1月以上が経過しても、日本は不可侵条約を破る事は無かった。

 そしてバルカン半島のドイツ軍は脆弱の一言であった。

 元よりドイツ軍は治安維持が目的で投入された部隊 ―― 東方領となった旧東欧諸国の反ドイツな人、或いは組織を潰す(弱いモノ虐めをする)為の部隊だった。

 過半数は戦闘訓練も不十分な、武装親衛隊(Waffen-SS)に無理矢理に組み込んだ()()()()()なのだ。

 酷いモノともなれば、刑務所からかき集めた模範囚の部隊すらあった。

 その為、装備や練度と言う点に於いて、とてもでは無いがソ連の正規軍を相手に戦える様なものでは無かったのだ。

 その他、現地住民を徴発した辺境警備師団なども促成されては居たが、こちらは国を奪われた民の部隊故に戦意など無いに等しく、ソ連軍を見れば我先にと逃げ出す始末であった。

 こうしてソ連軍は、破竹の勢いでバルカン半島をわが物へと変えていった。

 その勢いが止まるのは、アドリア海に近づいた時であった。

 具体的には、旧ユーゴスラヴィア王国の領土に入る時までであった。

 元より戦意に溢れ、ドイツへの武力を用いた抵抗運動を繰り広げていた土地なのだ。

 熾烈な抵抗運動が勃発する事となる。

 ソ連の国境線を超える時点では50を数えていた師団数も、抵抗するドイツ軍部隊が少なかったが為、治安維持任務に置いてきた結果、旧ユーゴスラヴィア王国領に入ったソ連軍部隊は11個師団に留まっていたのだ。

 ソ連本国との補給線の長さも相まって、旧ユーゴスラヴィア王国領での戦いは、ドイツ戦争とは別種の段階(ステージ)に突入する事となる。

 

 

 

 

 

 

*1

 MLシリーズの車両でイタリアに緊急的に提供される事となったのは、2t級トラック級のML-01と小回りの効く軽トラック級のML-03であった。

 日本の車両メーカーが量産性と堅牢さ、そして破損時の修復の容易さだけに焦点を絞って規格化したこの2つは、衝突安全性その他の問題で、日本国内での使用は不可能な日本製車両であった。

 とは言え腐っても日本車。

 オートマチックトランスミッションやパワーステアリングは採用している為、その操作性は諸外国のソレとは比較にならぬ水準であった。

 尚、MLシリーズは自動車メーカーからすると旨味(利益)は少なく技術的面白み(新規性)も無い車両であったが、何しろ台数が多く工場が全力発揮できた為、最終的な利益は相応に上がる事となる。

 この為、戦後に於いては日本の軍産複合体(戦争利益に関する陰謀論)に繋がる事となる。

 

 

*2

 ドイツとの戦争に参陣した国家に対しては無条件と言って良い程に適当に配られるMLシリーズであったが、その貴重な例外がソ連であった。

 MLシリーズを購入できない訳では無い。

 だが、その発注書の優先順位は限りなく後回しにされるのであった。

 日本連邦 ―― シベリア共和国と日本の関係安定化の為、日本にとってソ連は敵性国家として健在であって欲しいと言う側面があるが故の事であった。

 敵性国家である為、戦闘用の機材、或いは無線機などは機密保持の観点から禁止されていた。

 とは言え、他の加盟国からの融通を受ける(迂回購入する)事は可能であった辺り、単純に嫌がらせでしかなかったが。

 順番待ちに泣くソ連からすれば、順番を蹴飛ばして優遇されたイタリアは誠に以って羨ましい事であった。

 

 

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