タイムスリップ令和ジャパン   作:◆QgkJwfXtqk

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157 第2次世界大戦-24

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 国際連盟加盟国としてドイツ戦争に参戦した国家は数あれども、その中で最も1944年の冬をプレッシャーと共に過ごした国家はイタリアであっただろう。

 ドイツ領内への本格的侵攻、最低でもマインツ市及びプファルツ地方への侵出が()()される事となったのだから。

 その上で、可能であればと言う但し書き付きでバイエルン地方の掌握も要求されていた。

 ドイツ本土の南部域を握り、ドイツ東方新領域との往来を遮断する事が狙いであった。

 ドイツはオーストリアやチェコスロバキアなどより重装備を持った有力部隊を既に抽出済みではあった。

 だが、軽装備ではあっても増援が来られては面倒くさいし、或いは軍用の物資が送り込まれて来ても鬱陶しい。

 そういう事であった。

 誠に以って面倒くさい話であった。

 褒美代わりと言う訳では無いが、掌握したドイツ領を併合する権利が認められていた。

 フランスの国際連盟大使等は善意めいた笑顔を張り付けて、イタリアが偉大と呼ばれる(ローマ帝国が現代に復権する)機会であるなどと言った程であった。

 だが、正直な話として全く以って迷惑な話であった。

 イタリアの首魁(ドゥーチェ)ムッソリーニとしては、奪われた場所と言う意識の強い()()()()()()()()こそは欲すれども、併合したとしても民族の違いから高い統治コストを払う事になるのが見えている、ドイツ南部の併合などごめん被ると言う話であった。

 要らぬからしたくない。

 そう述べる事が出来れば、どれ程に幸せであっただろうか。

 だが、現実は非情だ。

 国際連盟安全保障理事会で正式に決まった事であり、更には日本などから作戦遂行の為の莫大な支援 ―― 万を超える車両等の提供などを受けてしまえば、出来ませんは勿論、したくありません等とも、口が裂けても言えぬのが実情であった。

 国家繁栄の為に覇権国家群(ジャパンアングロ)の靴を舐める覚悟のイタリアであったが、同時に、G4以外の国家に舐められる様な隙を与える積りもないのだ。

 相応の、古参の列強国の一角としての矜持をイタリアは持っていたのだから。

 故にイタリアは1944年の冬を、全力で戦争準備に傾ける事となった。

 

 

――イタリア陸軍

 戦争勃発時のイタリア陸軍の主力戦車は、40t級のP40/42戦車であった。

 正式にはCarro Armato P40/42(42年型40t級主力戦車)である。

 105㎜という大口径砲を持ち、避弾経始に配慮された装甲を身に纏い、主力戦車と言う新しいカテゴリーに相応しい機動力を持った戦車。

 恐竜的進化を遂げつつあるヨーロッパ亜大陸の同胞に比べれば、やや控えめと言って良い部分もあったが、1930年代の体たらく(戦車発展途上国ぶり)を思えば隔世の感を感じるというものである。

 特に、イタリアの戦車乗りにとっては。

 国民にもイタリアの誇りなどと称して盛んに宣伝され、ガリバルディと言う愛称も与えられていた。

 だが、このP40/42戦車が純イタリア製の戦車であるかと言えば、違うと言えた。

 主砲こそは、日本の汎用戦車砲である105㎜砲を手本としつつも独自に開発した50口径105㎜であった。

 だが、それを支えるベアリング類は日本からの全量輸入を行っており、その他に変速機や通信機器、暗視装置なども同じであった。

 又、装甲材やエンジン回りはブリテンとの()()()()であった。

 開発だけではなく、開発採用された400馬力級ディーゼルエンジンは全量がブリテンの工場で製造される事となっている。

 結果、P40/42戦車はイタリア国内のインフラ事情もあって40t級として生み出されたが、その戦闘力は50t級の戦車に決して引けを取るものでは無かった。

 G4の戦車群に対抗できる性能を得る為、車体規模を肥大化させざるを得ないドイツやソ連からすれば、腹立たしい現実とも言えた。

 それはG4に阿る事で得た政治力、或いは金の力(オイルマネー)のお陰であった。

 1944年冬の時点でP40/42戦車は初期量産型のα型と正規量産型のβ型、そして装甲配置などの改善と増加装甲を採用して防御力を強化した44年式γ型の3タイプが採用されており、併せて700両を超えて生産され実戦部隊に配備されていた。

 其処に、ドイツ戦争の勃発に従って発注した38式戦車M型の400両が加わるのだ。

 ドイツからすれば、柔らかい下腹部の正面にトンでもないモノが居ると言う心境であった。

 その上で、豊富な石油を背景にして大規模な演習などを繰り返してきたお陰で、操る将兵の練度も決して侮れない。

 それが、ドイツ戦争勃発時に行われたイタリア-ドイツの国境線地帯での交戦で、イタリアがドイツや周辺諸国の想像を超えた善戦をしてみせた理由であった。

 とは言え、その対価と言う訳では無いが現代の機甲部隊で戦車と並んで重視されている装軌装甲車(IFV)などは研究こそされていても、開発と生産は殆ど行われておらず、又、軍用自動車の装備率も高いとは言えなかった。

 野砲部隊の移動も、まだ大多数が馬匹に頼っていると言うのが実情であった。

 補給線は鉄道に頼っていた。

 原油産出国となっても、それがイタリアの限界であり。それこそが、イタリアがドイツ領内への侵攻を渋った理由でもあった。

 戦争は戦車だけで、前線部隊だけで行うものではないのだから。

 だがそれを日本からの支援が解決した。

 解決してしまった。

 結果、イタリア陸軍は大馬力で運転技術習得者の養成に努め、春に備える事となる。

 幸いにして、日本から齎された車両は、その悉くがトランスミッションが自動化(AT化)されていた為、動かす事自体は困難ではなかったのが救いであった。

 日本で作られたイタリア語の、可愛らしい女の子のポンチ絵(漫画挿絵)付きマニュアルの威力もあって、習熟自体は簡単に進んでいった。*1

 

 

――イタリア空軍

 正直な話として、イタリアは空軍力の強化に力を入れていなかった。

 ヨーロッパの空軍力として最先端にいるブリテンやフランス、或いは可能な限り対抗しようとするドイツ等に伍していこう等と言う高望みは最初っから諦めていた。

 世界帝国として経済的余力があり、日本からの支援もふんだんに受けられるブリテンやフランスに立ち向かうのは論外であり、そもそもブリテンやフランスなどのG4に与する積りなのだから、対抗しようとして目を付けられては堪らないというのが本音であった。

 ドイツに関してはもっと簡単であった。

 かつては準同盟国であり、その伝手でドイツの航空機の開発情報(四苦八苦の内幕)をある程度は知っていたからだ。

 イタリアよりも技術力と経済力に優れたドイツですら苦戦しているのだ、技術開発をせぬと言う選択肢は選ばないが、注力したとして、それに見合う成果が得られるか、甚だ疑問と言うモノであったのだ。

 結果、イタリア空軍は己の役割を国際連盟の中に於けるG4の補完戦力と定める事とした。

 ドイツとの本土防空能力の他は、G4が戦争をする際に参陣し、無視されない程度の活躍をする戦力を用意すれば良いと言う割り切りである。

 結果、爆撃機や攻撃機といった装備の部隊はかなり小さな規模となり、空軍の主力は制空戦闘機部隊で占められる事となる。

 主力戦闘機は、フランスで開発されたものが採用されている。

 イタリアはG4の中ではブリテン寄りの政治的立場(スタンス)であったが、近隣の圧倒的格上国家(世界的帝国)を無視できる筈もないのだ。

 幸いにしてフランスは、ヨーロッパ亜大陸の盟主と言う自意識と、戦闘機開発を継続し続ける為の出資者(パトロン)としてイタリアを認識した為、割と気前よく新戦闘機をイタリアに提供し続けていた。

 その破格ぶりは、機体そのものは完成品の売却に限られたが、保守部品などの製造に関しては技術を提供し認めたと言う所に現れていた。

 結果、イタリア空軍は規模こそ小所帯であったが質の面ではG4に準じる戦力を揃える事に成功していた。

 ただ問題は、ドイツ本土への侵攻を考えた場合、対地攻撃能力の乏しさであった。

 ドイツ空軍は東西の戦線に戦力を集中させており、イタリアが航空優勢を得る事は、そう難しい事では無いと想定されていた。

 だが、その航空優勢を握って何が出来るか? となった際に、問題となったのがイタリア空軍の対攻撃部隊の貧弱さであった。

 この為、慌てて旧式化して退役寸前であった制空用のレシプロ戦闘機を改造し、対地攻撃能力を付与する事となった。

 爆撃機や対地攻撃機の早急な増産は、現実的ではないというのが理由の1つ。

 だがそれ以上に、ドイツとの戦争は早晩終わるのだから、そんなモノに備えてすぐさま陳腐化する爆撃機や地上攻撃機を揃えるのは効率的ではないとの判断からであった。

 既にイタリアでもジェット化された地上攻撃機は実験機として幾つも開発されている。

 終わりの見えている今の戦争に備えるよりも、将来に備えるべきだと考えていたのだ。

 イタリア空軍は冷静であった。

 

 

――イタリア海軍

 相応の苦労が想定される陸軍。

 面倒はあっても問題は無さそうな空軍。

 一番気楽なのは海軍であった。

 既にドイツ海軍は書類上の存在に成り果てており、後はアドリア海での作戦 ―― バルカン半島に残留しているドイツ軍対応と、国際連盟の各国海軍と合同で行う北海での示威活動程度なのだ。

 危険は少なく名誉は得られる。

 とは言え、アドリア海での作戦行動には、空母でのバルカン半島内陸部への航空支援も含まれている為、全く楽と言う訳では無かった。

 バルカン半島は、ユーゴスラビア独立派とドイツ占領軍との戦争であった。

 国際連盟は、戦争終結と独立後の国際連盟復帰(ユーゴスラビア王国の継承国家宣言)を条件とする形で支援を行っていた。*2

 主に偵察、そして時には対地支援。

 或いは支援物資の空中投下。

 それは決して安全な作戦では無いのだから。

 

 

――1945南部戦線春季攻勢

 併せて1000両を超える主力戦車を前面におし立てた大攻勢は、ドイツに対して予想された衝撃を与えた。

 或いは腹立たしさであった。

 イタリアの宣伝するP40/42戦車は、ドイツ陸軍戦車部隊にとって、厄介であっても極端に恐ろしい相手ではないのだから。

 ()()()()()()

 いまだ数の上での主力であるⅢ号戦車系列では対抗できないが、質的な意味での主力であるⅤ号戦車(主力戦車)であれば十分に対抗可能であり、或いはⅣ号戦車やⅥ号戦車と言った重戦車系列であれば、そこまで極端に恐ろしい相手では無いのだから。

 主砲の105㎜砲が強力であるが、十分な装甲を与えられている重戦車系列であれば正面からの殴り合いであれば打ち勝てるのだから。

 問題は、その戦車が手元に無いと言う事であろう。

 状態の良い戦車は片っ端から西部戦線(対フランス部隊)に引き抜かれており、野砲や対戦車砲すらも事欠く有様になっているのだから。

 その様な有様でもドイツ軍は折れる事無く抵抗を続けていた。

 1944年の冬と言う時期を活用し、入念な防護陣地を構築し、大量生産されていた対戦車砲を備え付け、遅滞戦闘を遂行していた。

 イタリア陸軍は、その防護陣地に正面から突撃する様な愚は侵さず、迂回突破その他の戦術を駆使して対抗した。

 自動車化された野砲部隊のみならずトラックの荷台に仮設した対地ロケット弾による支援、或いは戦闘攻撃機(レシプロ多目的機)による対地支援は、戦車を中心とした諸兵科連合部隊の突破を大いに助けた。

 その様はドイツ陸軍、装甲部隊が行おうとしていた電撃作戦(ブリッツクリーク)の様であった。

 ドイツ側は、イタリア陸軍を二流の軍隊と下に見ていた為、この状況に大いに慌てる事となる。

 故に、対策として徹底した焦土作戦を選択した。

 後退する際に食料燃料、道路インフラなどの徹底的な破壊を行い、イタリア軍の侵攻を少しでも遅らせる様に指示したのだ。

 ドイツの知る、段列の貧弱なイタリア軍であれば、それが効果を発揮する筈であった。

 だが、その願いは儚く消える事となる。

 燃料は溢れんばかりに持っていた。

 食料もアメリカが大量に融通していた。

 運ぶ車は腐る程に日本が与えていた。

 1945年のイタリアの段列は、その質及び量に於いてドイツなど比較に成らぬレベルへと到達していたのだから。

 結果、攻勢開始から2週間でバーデン及びヴュルテンベルクの2州を掌握する事に成功する事となる。

 イタリアの大勝利であった。

 マインツ市にて日本やフランス、アメリカなどの西部戦線部隊と邂逅したイタリア軍指揮官は、作戦第1段階勝利の電報(来た、見た、勝った)をイタリア本国に発したのだった。

 

 

 

 

 

 

*1

 イタリアの庶民のモータリゼーションに関しては、この日本製の車両群の影響が極めて大きかった。

 同時に、日本製の簡素化された廉価車両(安物)と言うMLシリーズであっても、エンジンやトランスミッションを筆頭に、その性能と信頼性、或いは整備性は当時のイタリアの標準的車両はおろか、高級車をも分野によっては凌駕しており、イタリアの自動車業界に莫大な影響を与える事となる。

 とは言え、イタリア車の需要も特に日本などでは消滅した訳でも無い為、イタリアの自動車業界がバイク業界ともども壊滅する事は無かったが。

 

 

*2

 国際連盟の本旨的には、非独立国家非加盟国への干渉は宜しくないと言うのが事実であったが、ドイツとの戦争を遂行する上で必要であると言う事から、フランスが強く主張した結果、実現する事となった。

 これに関しては旧ユーゴスラビア王国だけでは無く、バルカン半島の属するドイツ支配下の領域全てが含まれる宣言であったが、旧ユーゴスラビア王国以外では住人による大きな抵抗運動は発生していない為、実質、旧ユーゴスラビア王国向けの宣言となっていた。

 旧ユーゴスラビア王国以外のバルカン半島領域に関しては、ソ連が担当する形となっていた。

 この件に関して日本は、ソ連の国力消耗と戦後の東側(ソ連を首魁とする)陣営の成立を見据えて協力的であった。

 即ち、()()()()()作りである。

 

 

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