タイムスリップ令和ジャパン   作:◆QgkJwfXtqk

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172 第2次世界大戦-39

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 オランダの一個人によるやらかし(婦女暴行未遂)が日本の世論を動かし、世論におされた日本政府が国際連盟を動かす事となった。

 その余波を受けたフランスは、自らの占領地に対する法治の徹底を強化する事となる。

 社会的正義や、義侠心などからではない。

 フランスからすれば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのだ。

 自国民を意味も無く踏みにじる国家は存在しない。

 そういう事であった。

 だが同時に、保護されるのはフランス人とフランス人予定者であると言う事を明確に宣言したのだ。

 それは即ち、占領下にあるドイツの住人に対して服従(フランス人になる)か否かを強いる事でもあった。

 曖昧は赦さぬとの強い態度であった。

 ドイツ人である事を選ぶのであれば、一切の庇護は無い ―― 当然だろう。

 フランス政府にフランス人以外の人を保護する義務はないのだから。

 友好条約を結んだ相手であれば話は別であるが、ドイツは敵国である。

 そして将来的には、歴史上の存在となる(地上から消滅する)国家なのだ。

 保護する義理も義務も都合も無いと言うのが実情と言えるだろう。

 ある意味で新しいロマ族(ジプシー)やユダヤ人が生まれると言えばわかりやすいかもしれない。

 尚、立場としては前者が近い。

 ユダヤ人の様に、フランスの中にドイツ人と言う異物として残る事をフランス政府は許さないからである。

 将来の火種(民族運動の種火)を残さない、と言う意味であった。

 その態度は同じ欧州国家、同じ列強国家、文明国家(先進国)に行う態度では無かった。

 植民地(発展途上国)への振る舞いであった。

 フランスの占領地となった地域に住むドイツ人知識層は、フランスの態度に潜む本音を見て、衝撃を覚えた。

 恥辱に血を流す程に歯を噛みしめた。

 だが、出来る事は無かった。

 悲惨と言えるフランス占領下のドイツ人の待遇に対し、声を上げるべき場所も、相手も居ないのだから。

 正確に言うならば、フランス占領下のドイツ人が上げた声を拾う相手が居ないと言う事だ。

 否、一応は居る。

 ドイツ政府だ。

 ドイツ人の保護は、その民族国家であるドイツの政府が行うべきであるが、そのドイツはフランスの戦争相手国であったのだ。

 しかも、戦争と同時に内戦めいた紛争状態にも突入しているのだ。

 そんなドイツ政府に出来る事などある筈も無かった。

 国家と言う巨大な暴力装置を前に、貧弱な個人が出来る事など何も無いと言えるだろう。

 人権。

 自由であり平等である、人が持っている権利。

 だがそれらは、天なり神なりが与えてくれるモノでも、保障してくれるモノでも無い。

 ひとえに、その人間が属する国家が裏書するが故の権利でしかないのだから。

 その、悲しむべき現実を理解するが故に、ドイツ人知識層は口を閉ざすのだった。

 フランス政府を批判するのは簡単だ。

 だが、その意味は殆ど無い。

 何故なら、フランス政府は強権(銃口)を以って占領地のドイツ人にフランスへ帰化する事を要求していないのだから。

 只、フランス政府の管理下で行われる各種サービスが与えられないというだけであり、同時に、フランス企業などへの就職、及び取引も不審人物(国籍不明者)は不可能であると明示しただけであった。

 ドイツ人がドイツ人としてフランスの領土で生きる事は出来る。

 但し、文明国の人間として生きる事は不可能。

 誠にもってフランス政府の態度は悪辣であった。

 フランスの法曹界などでは、余りにも苛烈であり、法的にどうなのかと言う議論も発生したが、フランス政府はその声を無視した。

 フランスの政界が、反与党を隠さない野党ですらもドイツと言う国家を歴史上の存在にする為であると言う事で政府与党の政策を支持すると言う挙国一致の状態なのだ。

 同時に、それは法曹界も同じであった。

 法の問題はありえども、先ずフランス人としてドイツ滅ぶべし。

 そう言う人間が多数いたのだ。

 そもそも、フランス人の多数が、この10年以上もの間に渡って行われていたフランス政府による反ドイツ宣伝に染まって居たのだ。

 一部の、人権意識の高い弁護士などで対応できるものでは無かった。

 

 尚、言うまでもない話であるが、フランスに帰化したドイツ人に対する差別、或いは犯罪は徹底的に取り締まられた事は言うまでもない。

 又、フランス政府による生活支援 ―― 食料などの支給や、家が損壊していた場合の建て替え費用の補助や、医療サービスの提供は手厚く行われた。

 その事実が広く伝わると共に、ドイツ人のフランス帰化は加速する事となった。

 

 

――ポーランド

 ポーランド国内での戦争であり、一般のドイツ人(ドイツ国籍者)が殆ど居ないポーランドにとって問題は、ドイツ人捕虜の扱いに関してであった。

 とは言え簡単な話では無い。

 不発弾処理や地雷撤去、撃破され路上や農地に放棄されている戦車などの撤去と言った危険な重労働をドイツ人捕虜に労役として課していたのだ。

 又、手頃な労働力として危険物撤去作業後には、こちらも戦争で破壊された橋や道路、鉄道などのインフラ再建にも投入されていた。

 食料や被服、医療などの対価をポーランド政府がケチる事は無かったが、それでも()()のだ。

 又、危険物の撤去作業からインフラの再建作業を行う事は1つのメリットがあった。

 ドイツ人俘虜労働者の労働、その質的な向上である。

 捕虜として強いられる危険作業。

 作業に投入された当初、賢いドイツ人は危険作業に対して本気は出さない ―― 特に、不発弾の発見や地雷の除去等は。

 等と気取っていた。

 監視役のポーランド人はドイツ語など理解出来まいと侮り、類似の内容を放言するモノすら居た。

 だが、そんな傲岸不遜と言ってよいドイツ人捕虜の態度も、地雷を撤去した筈の地雷原での道路整備作業が告げられた瞬間、霧散した。

 ドイツ人俘虜の誰もが顔を真っ青にして理解した。

 危険作業を監視していたポーランド人将兵が、ドイツ人俘虜労働者の手抜き的な動きを指摘し、或いは罰しようとしなかった理由を知ったのだ。

 ドイツ人俘虜は、自らの死刑執行装置を作り出したと言う事を。

 慌ててポーランド人監督に、作業のやり直しを要求した人間も居たが、その要求が通る事は無かった。

 何故なら当のドイツ人が口にしていたのだ。

 完璧主義のドイツ人が作業したのだ。

 もはや問題は無い、と。

 正しく自業自得であった。

 否、そこまで見通した上でポーランド人は対応していた。

 当然、その作業はドイツ人俘虜作業チームでも特に態度の悪い(あからさまに手を抜く)人間が選ばれての事であった。

 勿論、翌日に五体満足無傷で俘虜収容施設に帰れた人間は居なかった。

 そしてポーランド人は、この()()()()()()()の再発防止を目指して注意喚起するとして、全ての俘虜収容施設に公布したのだ。

 見事な一罰百戒であった。

 尚、このポーランドの対応(ブリテンの入れ知恵)に憤慨したドイツ人高級将校の一部俘虜が抗議活動(ハンガーストライキ)を実行したが、ポーランド政府は対応する事は無かった。

 個人の自由、個人の権利は認められている。

 故に、個人の選択を邪魔する積りは無い(死にたければ死ね)としての事であった。

 ポーランド政府の対応に、余りにも()が無いと憤慨するドイツ人俘虜も出たが、ポーランド政府が対応する事は無かった。

 言ってしまえば、無法なドイツによるポーランド侵攻によって生じた無辜のポーランド人被害者 ―― ドイツ軍占領下で行われたポーランド一般市民の被害に比べれば如何ほどの事は無いからであった。

 そもそもの話だ。

 命を懸けた抗議行動(ハンガーストライキと言うもの)は、ある意味で相手との信用(ある種のプロレス関係)があってこそであり、そんなモノはドイツ軍がポーランドの国境を蹂躙した時点で消滅していたのだから。

 ある意味で、ドイツ人はようやく自分たちの置かれた状況を理解するに至ったとも言えた。

 

 

――ソ連

 取り敢えず軍の行動を停止させ、軍紀の粛正を図る事となった。

 勝手な行動をした将兵の処罰も厳格化した。

 日本を筆頭にした国際連盟安全保障理事会(ジャパンアングロ)が本気で行動していたのだ。

 ドイツ人と並んで敵扱いされては困ると言うのがソ連政府の本音であった。

 只、転んでもただでは起きぬとばかりに、日本に対して支援を要請するのだった。

 軍の食糧事情を詳らかにし、安全保障理事会が求める水準(綱紀粛正)を達成する為、国際連盟には食料や燃料などの支援が必要だと訴えたのだ。

 ソ連軍の食料や燃料事情を知った日本代表は、そんな状況でドイツとの戦争をするべきでは無いのでは? と言う善意率の高い質問をした程であった。

 コレに対してソ連代表は、ドイツは国際連盟の敵である。

 そしてソ連は国際連盟の誠意ある加盟国である。

 故に、ソ連は軍が十分な余裕がなくとも国際連盟の敵を討つ為の協力を惜しむ積りは無いと断言した。

 大した態度(タヌキ振り)であった。

 無論、日本代表がソ連の本音を見抜けぬ筈も無かったが。

 とは言え、ドイツ戦争に於ける戦場外での被害の低下が日本(日本の世論)の意志である為、そこを攻める様な事は無かった。

 食料や燃料、それに被服などの提供を日本は約束するのであった。

 

 

――イタリア

 ソ連軍の侵攻が止まった事による()()を一番に被ったのはイタリア軍であった。

 フランスはドイツの東欧領解放を強く要求し続けており、イタリア軍が担当する領域は当初のソ連と折半が想定されていた頃の、単純に二倍になったのだ。

 イタリアの軍と政府の補給担当は顔を真っ青にしていた。

 とは言え、日本から届いた車両と物資によって不可能では無いと言うのが、ある意味で絶望であった。

 逃げ場は無いのだ。

 国際連盟に於いてG4に準じた大国(列強)と言う地位を持った対価とも言えた。

 尚、ソ連軍部隊が進出した結果、ドイツ軍とソ連軍、それに武装した現地住人(ユーゴスラヴィア人独立派)と言う三つ巴で滅茶苦茶な事になった旧ユーゴスラヴィアの安定化もイタリアは要求されているのだ。

 ムッソリーニの飲酒量が増えていくのも仕方のない話であった。

 世界に冠たるイタリアと言う名誉の対価、失われたイタリアの回復として、この過労状態は適切であろうか? と愚痴り続けていた。

 とは言え痛飲で無いだけマシだと、かつての同盟国指導者(ヒトラーとスターリン)であれば答えただろうが。

 

 

 

 

 

 

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