タイムスリップ令和ジャパン   作:◆QgkJwfXtqk

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177 新秩序への道-02

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 戦後の中欧(旧ドイツ)が4分割と為る事が決まったが、何処に分割線を設定するのかに関しては未だ具体的では無かった。

 新しい国境線となるのだ。

 判りやすい分割線が大事であると言うのがその理由である。

 後、日本とイタリアは少しでも自分の負担が減る様に画策(外交)していた。

 何とも喜劇的色彩を帯びている分割協議であったが、そこに手を挙げる国家があった。

 オランダである。

 旧ドイツからの賠償としての領土割譲を要求してきたのだ。

 とは言え強行的な態度ではない。

 ある種の自業自得と言う形で、旧ドイツ領(日本の管理区域)の一部割譲を受ける権利を喪失したとの自覚がオランダ政府にはあるからだ。

 だが、国内世論(感情)がドイツ戦争によって荒廃した国土への賠償を強く要求したのだ。

 賠償その他、ドイツ戦争での戦災問題を担う国際連盟安全保障理事会ドイツ戦争処理委員会としては、オランダには旧ドイツ海軍艦艇の提供その他を行う積りとしていたが、それに納得しなかったのだ。

 仕方のない話である。

 国際連盟としては、ドイツ戦争を終結させる事に大なる影響を担ったG4(ジャパンアングロ)に比べてオランダは役割を果たしたとは言い難い為、軽視する所があった。

 だが、オランダからすれば話は別である。

 国際連盟加盟国としての役割を果たした ―― 国内を戦場として、戦争初期にはドイツ軍の攻勢の一端を受け止めたのだ。

 その功績には報いて貰わねばならぬと言うモノであった。

 実に、オランダの国内世論(感情)であった。

 同時に、安全保障理事会のみならずG4でも、オランダの気持ちは判ると言う部分もあった。

 感情と言うのは合理ではないのだから。

 とは言え、なら旧ドイツ領の割譲を、と簡単にはいかないのは、人道問題があった。

 オランダ人憲兵の引き起こした問題もあったが、同時に、オランダ国内のドイツ系国民に対する排斥行動が散見されたのだ。

 運動と言う程に大きな流れ(ムーブメント)とはなってはいないが、それでも座視すれば深刻な問題を引き起こし兼ねないと危惧される程度には、危険な状況であった。

 その状況は、ドイツ嫌いのフランスをして、その儘の割譲には危惧を覚える程であった。

 負担を減らしたいだけの日本は言うまでも無いだろう。

 楽になりたい。

 だが、楽をする為に不幸を生むのは御免被ると言うものであった。*1

 とは言え、ドイツ戦争で国際連盟加盟国として役割を果たした(血を流した)と言えるオランダが、その義務(槍働き)への対価が欲しい言えば、それを全否定するのも難しいのだ。

 その果たした役割がG4(ジャパンアングロ)は当然として、イタリアやポーランドにも劣るとは言え、血を流したと言う事実は重い。

 結果、話し合いは紛糾する事となる。

 それでも拗れなかったのは、オランダ政府が自国民のやらかしを理解していたからであった。

 だが、それ故に解決に至るまで時間を消費する事となる。

 

 

――ポーランド

 旧ドイツの領土分割に関してやる気の無い日本とイタリアとは違い、ポーランドは本気であった。

 欧州の雄として飛躍する為、ドイツの人や産業を可能な限り吸収する積りであった。

 別段フランスその他、G4と対立しようと言う訳では無い。

 だが隣国にして伝統的敵国たるソ連は健在なのだ。

 ソ連から国を守るためには、ポーランドは国力を更に高めねばならないのだから。

 とは言え、過度過大な要求を出す積りは無い。

 ドイツを切り取り合う国家は、フランスであるからだ。

 G4(ジャパンアングロ)の一角であり、ヨーロッパ亜大陸の雄国であるのだ。

 その機嫌を損ねる事は些か以上に悪手であった。

 それ程の国力差をポーランドもフランスに対して感じていた。

 だからこそ、()()()()()となるのだ。

 その為にポーランドはブリテンに接近していた。

 ブリテンがヨーロッパ亜大陸にフランスの1強体制が出来上がる事は望んで居ないと言う事を、ドイツ戦争以前からのブリテンとの外交で理解しての事であった。

 対価としてポーランドは、海軍の整備に関してブリテンの影響下に入る事を約束していた。

 駆逐艦以上の大型艦はブリテン製を購入するし、その作戦行動に関しても()()()()()()()()()()()()

 そして、ポーランドの港湾の優先的使用権も得られるとしていた。

 ポーランドとしては大きな譲歩であった。*2

 これ程の努力をしているポーランド。

 とは言え、G4並みの覇権国家になりたいと思っている訳では無い。

 だが、G4から一方的に下に見られるのは国家の矜持として受け入れがたい。

 そう言う話であった。

 故にイタリアの様な、準G4と言える位置にまで国家を育てる積りであり、であればこそ、バルト3国や北欧諸国との間で連帯を強化しようとしていたのだ。

 

 

――アメリカ

 ドイツ戦争に関して、誠に積極的では無かったG4はアメリカであった。

 1943年にチャイナとの戦争を終えたばかりであり、名誉も利益も得ていたのだ。

 である以上は、旧世界(ヨーロッパ亜大陸)と言う過去 ―― 経済的市場としても旨味の少ない場所で血を流す必要性を感じないのも当然であった。

 アメリカはG4の一角と言う認識は抱いていたし、世界の主導的地位に居ると言う自覚もあったが、その先とも言えるアメリカによる世界秩序(パクスアメリカーナ)等は面倒極まりないと欠片も関心を抱いていないのだから当然であった。*3

 取り敢えずアメリカは、フロンティア共和国の経営と開拓に満足していた。

 そしてフロンティア共和国を介してのシベリア開発に自由に投資できる事も、アメリカの経済界を満足させる状況であった。

 最先端、或いは大規模機械化と言う意味では日本に対して勝ち目のないアメリカであるが、そんなアメリカでも戦える部分はある。

 そして、その利益もかなりのモノであるのだ。

 である以上、既得権益体制が組みあがっているヨーロッパ亜大陸に旨味を感じないのも当然の話であった。

 只一つ、ドイツ人問題を除いて。

 人権問題に対する意識では無い。

 難民となったドイツ人、それを発展に伴う人手不足な面のあるフロンティア共和国やアメリカ本土で受け入れても良いと言う話であった。

 フランスやポーランドの下に入りたくない。

 裏切り者であるイタリアの下に入りたくない。

 異教にして異民族(非コーカソイド)である日本の下に入りたくない。

 だからこそ、故郷を離れる事にも躊躇は無い。

 そう言う人間は一定数居た。

 それらの人間はアメリカの声掛けに喜んで手を挙げるのであった。

 

 

 

 

 

 

*1

 日本の国内世論も、独系日本人による希望(泣きつき)もあってドイツと言う国家は兎も角として、無辜のドイツ人に対しては同情的である事も、この日本政府の気分と言うモノを後押しした。

 国会では、野党が旧ドイツ国民に対する政府の姿勢を問う事となり、外務大臣から旧ドイツ国民へ最大限に配慮すると言う文言を引き出す事に成功していた。

 

 

*2

 大陸国家であるポーランドにとって、海軍はそう大きな存在では無いにも拘わらず、ブリテンが対価として受け入れたのは、ポーランドを介して北欧の6ヶ国を影響下に置けると言う事を評価(査定)しての事であった。

 ヨーロッパ亜大陸(フランス1強体制)に打ち込む楔として、イタリアとは別のモノを求めての事であった。

 そもそも、イタリアがフランスに転ぶリスクもあるのだ。

 分散と言うのは大事であった。

 又、形としては反共連合的関係にする事で日本の支援も引き込む事も考慮されていた。

 ブリテンと言う国家は誠に攻勢的(アクティブ)なプレイヤーであった。

 

 

*3

 国際連盟安全保障理事会などの場での態度から、アメリカが()()()()()()()()()()を抱いていない事に日本政府は納得と安堵をしてはいたが、同時に疑問をいだいていた。

 その為、内閣府の諮問委員会や、グアム共和国軍(在日米軍)に設けられている分析研究機関(シンクタンク)に確認を依頼した。

 外交などで、相手の意図を理解しないと言う事の危険性を把握すればこそであった。

 日本は広大なシベリアを得た結果、強大と言って良い国家へと拡大する事となっている。

 だが、その日本をしても、タイムスリップ前のアメリカの成長余力は脅威であり、本気で覇権国家への脱皮を図られた場合、時間は掛かっても対等な場所に駆け上がってくるだろうと認識していた。

 日本の知る米国とはかくも恐ろしいものなのだから。

 今の日本の要職に居る人間は、嘗ての日米間で行われた政治的対立と暗闘めいた応酬を直接見聞きしていた最後の世代なのだ。

 故に、米国/アメリカに対して強い親しみを覚えていても、同時に、心の底での警戒感は拭い去る事の出来ない部分があった。

 その点では、グアム共和国軍(在日米軍)の退役した元高官ですら同意する部分があった。

 情報漏洩に対する細心の注意を払って行われた、だが、出来る限り急いで行われた研究。

 そして検討会。

 得られた結論、それは、アメリカが大きく血を流していないからと言うモノであった。

 戦争被害が少ない為、アメリカの本土も日本と同様に平和であり、経済的影響すらも乏しかった。

 だからこそ、有権者たちは戦争の対価を求めなかったのだ。

 死んだはずの親兄弟子ども。

 その対価、或いは死ぬに値する大義と言うものが必要とされなかったのだ。

 だからこそアメリカと言う国家は、超大国へと進もうとはしなかったと説明されていた。

 又、グアム共和国軍(在日米軍)を介して米国の戦後の苦労と、白人国家としての米国の終焉を知らされていたのも大きい。

 如何に開明的(リベラル)な人間であっても、(アメリカ)と余りにも違う未来(米国)になりたいかと言われては、簡単に頷けるものでは無かった。

 黒人差別その他、アメリカに改めていくべき部分はあったが、ではその果てとしての米国の姿は理想であるかと言われて、諸手を挙げて同意できなかった。

 そう言う事であった。

 

 

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