タイムスリップ令和ジャパン   作:QgkJwfXtqk

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18.1931 日本統合軍

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 日本ソ連戦争終結後に行われた自衛隊と連邦軍の再編成は、ロンドン軍縮条約の影響も受けつつ、粛々と実行された。

 

 

――ロンドン軍縮条約

 ロンドン軍縮会議自体には、日本としては環太平洋域での敵対的な国家の不在から海洋戦力の拡張を必要とする事が無い為、気楽な形での参加となった。

 只、会議において日本の建造中の35,000t型甲種護衛艦が話題となる(※1)。

 日本ソ連戦争で猛威を振るった日本の軍事力と科学力。

 その新しい結実としての存在に、どの国も恐れを抱いたのだ。

 建造ペースも設計に着手してから恐ろしい程に短期であり、更には2隻をほぼ同時に建造している工業力も、その恐怖を増幅させた。

 その為、日本に対して新型戦艦の情報開示を可能な限り求めた。

 世界が安心の為に欲していたのは日本が建造する戦艦によって、既存の世界各国が保有する戦艦が陳腐化する事であったのだ。

 最大排水量で35,000t。主砲は14in.砲を上限とする枠こそあったが、100年先の科学力が何を生み出すかと恐れたのだ。

 戦々恐々としながら日本に問いただす事となったロンドン軍縮会議。

 だが問われた日本からすれば、機密の固まりと言ってよい防空システム回りに比べて主砲塔や装甲などの情報は機密性が乏しい部分であった為、拍子抜していた。

 情報開示を快諾した。

 その上で軍縮会議参加国に対し、建造現場での見学会開催を提案した。

 この情報に、軍縮会議参加国は狂喜した(※5)。

 対して、軍縮会議へ不参加であるドイツやソ連が猛烈な不満を表明する事となる。

 とは言え軍縮会議不参加国であり、では軍縮会議へ参加しますとか尋ねられれば拒否した。

 そんな国家へ配慮される事は無かった(※4)。

 

 

――自衛隊

 自衛隊の役割は再定義される。

 防衛を担う範囲が劇的に広がった為、軍事力の再編成を含めた改革が行われる事となった。

 

陸上自衛隊

 日本列島防衛を主任務とし、諸邦国への非常時の緊急展開を担当する事となる。

 機械化師団/旅団 装軌車両を主体とした重部隊。

 自動化師団/旅団 装輪車両を主体とした地域防衛部隊。

 機動師団/旅団  日本列島外への緊急展開も主任務とした部隊。

 機甲師団/旅団  機甲打撃力を有する部隊。

 

北部方面隊(北海道地方)

 北海道防衛と共にオホーツク共和国への支援を行う。

  第2師団 (機械化)

  第5師団 (機動化/オホーツク共和国への初動支援を担当)

  第7師団 (機甲)

  第11旅団(自動化)

  第16旅団(機械化/樺太駐屯)

東北方面隊(東北地方)

 東北地方の防衛を主任務とする。

  第6師団 (自動化)

  第9師団 (自動化)

東部方面隊(関東地方)

 東京を中心とした防衛を主任務とする。

  第1師団 (自動化)

  第12師団 (自動化)

中部方面隊(関西地方)

 関西を中心とした防衛を主任務とする。

  第3師団 (自動化)

  第10師団 (自動化)

  第13旅団 (自動化)

  第14旅団 (自動化)

西部方面隊

 九州防衛と共に朝鮮共和国と台湾共和国への支援を担当する。

  第4師団 (機動化/朝鮮共和国への初動支援を担当)

  第8師団 (機動化/台湾共和国への初動支援を担当)

  第15旅団 (自動化)

  第17師団 (機械化/朝鮮駐屯)

  第18師団 (自動化/台湾駐屯)

陸上総隊

 方面隊に所属しない部隊の管理も担当する。

  第1空挺団

  水陸機動団

  第1機動群 (グアム駐屯)

  南洋警備団(南洋共和国駐屯)

 

 

航空自衛隊

 日本列島の防空と、邦国での防空と対地戦闘を主任務とする。

 特に、敵領土への侵出爆撃任務に関しては、在日米軍を教師として急速な戦力化に努めている(※2)。

 現在、邦国軍向けの簡易汎用戦闘機の開発が山場を迎えており、その装備を前提とした建軍が行われている。

 又、航空自衛隊向けのF-3戦闘機の増産も順調に行われている。

 

北部方面航空隊

 東北以北の防空任務。

  第2航空団(1個飛行隊、樺太駐屯)

  第3航空団

中部方面航空隊

 日本中央部の防空任務。

  第6航空団

  第7航空団

西部方面航空隊

 西日本と朝鮮半島方面の防空任務。

  第5航空団

  第8航空団(1個飛行隊、朝鮮駐屯)

南西方面航空隊

 沖縄以南の防空任務。

  第9航空団

  第4航空団(台湾駐屯)

 

 

海上自衛隊

 拡大した日本の領海防衛を担当する為、OPVの増産と地方隊の拡大が行われている。

 大型艦の建造に関しては必要性の乏しさから中断されているが、軍縮条約参加に伴う政治的事情により戦艦2隻が建造中である。

 但し、将来的な戦争を想定した上での護衛空母や船団護衛艦の研究は行われている。

 地方隊は、領海警備を任務とする関係上、海上保安庁と密接な関係を結ぶ事となる。

 特に南洋その他の日本列島外に配置される海上保安庁部隊は海上自衛隊の地方隊で船舶の補給整備なども行うようになっている。

 

戦闘艦

 空母型護衛艦     2隻

 ヘリ空母護衛艦    2隻

 ヘリ搭載戦闘護衛艦  2隻

 多目的輸送護衛艦   2隻(揚陸任務艦)

 ミサイル護衛艦   12隻(僚艦防空機能保有艦)

 対潜護衛艦      2隻(対潜能力強化型艦)

 汎用護衛艦     14隻

 多機能護衛艦    22隻

 哨戒艦       32隻

 

地方隊

 領海警備を任務とする為、各邦国に地方隊が別個に建軍されている。

 

 グアム共和国のみ、在日米軍が主導している為、その名誉と実力を尊重する形で地方隊を設営はしておらず、海自連絡員の駐在と海上保安庁の派遣に留まっている。

 尚、在日米軍に残されている大型空母や揚陸艦などは整備の問題からグアム共和国では無く、日本国内に駐留している。

  横須賀地方隊

  呉地方隊

  佐世保地方隊

  舞鶴地方隊

  大湊地方隊

  大泊地方隊   (樺太地方隊)

  仁川地方隊   (朝鮮地方隊)

  高雄地方隊   (台湾地方隊)

  トラック地方隊 (南洋地方隊)

 

 

――連邦軍

 日本ソ連戦争の終結によって、早急な戦力化を急ぐべき周辺国家との軋轢は無くなった為、自衛隊に比べると、その戦力の涵養に関してはゆっくりとしたものとなっている。

 但し、台湾方面に関しては、チャイナの一部急進的愛国主義者が台湾はチャイナ固有の領土であり日本はチャイナへ返還するべきであると声明を繰り返しており、日本とチャイナの間での政治的な問題と化しつつあった。

 日本は台湾の民意(※3)を元に拒否するも、チャイナとしては面子の問題から引き下がる事が出来ず、日本とチャイナの間での政治的な問題化しつつあった。

 この為、日本と台湾民国政府は台湾軍を大規模重武装化する事でチャイナに対する抑止力とする事し、台湾民国軍への重装備配備は最優先で行われる事となった。

 

 オホーツク共和国では補修部品の枯渇からロシア系重装備の稼働が困難となってきた為、日本製の装備への切り替えが進む事となる。

 

 

 師団/旅団番号に関して、管理の簡便さから統一化する際にグアム共和国(在日米軍)より、ロシアの後塵を拝するのは何とか成らぬものかとの相談があり、グアム共和国はオホーツク共和国より後に日本連邦へ参加したものの、部隊番号は相前後する事となった。

 

 機械化師団/旅団 装軌車両を主体とした重部隊。

 自動化師団/旅団 装輪車両を主体とした地域防衛部隊。

 機甲師団/旅団  機甲打撃力を有する部隊。

 

北日本(樺太)邦国

 第1旅団    (自動化/101旅団)

 第2旅団    (自動化/102旅団)

 第1独立機甲連隊(機甲 /701連隊)

朝鮮共和国

 第1師団    (機械化/201師団)

 第2師団    (自動化/202師団)

 第3旅団    (機甲 /203旅団

台湾民国

 第1師団    (機械化/301師団)

 第2旅団    (機甲 /302旅団)

 第3旅団    (自動化/303旅団)

南方邦国

 第1連隊    (軽自動/401連隊)

グアム共和国

 第1師団    (機械化/501師団)

オホーツク共和国

 第1師団    (機械化/601師団)

 第2旅団    (自動化/602旅団)

 

 

 

 

 

(※1)

 この時点でやまと型護衛艦の1番艦は建造行程の7割が終了しており、その姿が呉の造船ドックで現れつつあった。

 戦艦であると同時に、老朽化問題の出ていたこんごう型DDGの役割を一部代替する防空艦としての僚艦防空能力が付与されてた艦であった。

 VLSやミサイルに関しては、既存艦に搭載されていたものを在日米軍の了解と監視の下でリバースエンジニアリングを実施し、特許権を暫定的に在日米軍が持つものとして、その承諾の下で製造している。

 飛行甲板に関しては、第3砲塔発砲時の爆風から逃れる為、第2煙突と格納庫を一体化させ、第2煙突と第3砲塔の間に設ける形となる。

 

 艦名 やまと(やまと型防空護衛艦) 

 建造数   2隻(やまと むさし)

 基準排水量 34,300t

 主砲    45口径13.5in.3連装砲 3基9門

 副砲    62口径5in.単装砲 6基6門

 VLS     Mk41 64セル(前部32セル 後部32セル)

 他     CIWS 2基  SeRAM 2基  3連装短魚雷 2基

 航空    ヘリ格納庫(SH-60級1機 UAV2機が可能/常用予定無し)

 

 

(※2)

 侵出型高速攻撃機として開発が決定された。

 当初はB-52爆撃機を手本として検討されていたが、日本が保有する技術で短期的に開発出来るものを前提に再検討した結果、B-1爆撃機の様な音速爆撃機(仮称:XB-1)が選ばれた。

 但し、開発に時間が掛かる事が想定された為、戦争の危険性が指摘されている1940年代に戦力化されるべき爆撃機の早期調達が提起され、P-1哨戒機をベースとした爆撃機の開発も決定した。

 元より9t級の搭載能力を持っているP-1は、機体後部のソノブイランチャー部分を爆弾庫へと改設計し、各種の対潜機材を撤去する事で16t級の爆弾搭載能力が期待出来ていた。

 

 

(※3)

 日本連邦国の構成国家台湾民国として建国される際に行った国民投票は3択で行われている。

 日本帰属、チャイナ帰属、自主独立。

 その結果として日本への帰属が決まって居た為、日本はチャイナの言い分を認めなかった。

 対するチャイナは日本の不正選挙であると宣伝し、又、台湾への宣伝工作を行う。

 日本帝国から日本の統治下に入っても、特に大きな不満は無かった為、台湾人のチャイナへの帰属意識を高めようと言う工作が成功する事は無かった。

 それどころか、台湾を訪れていたチャイナの外交官の横柄な態度に、台湾人はチャイナへ幻滅する事となり、かえってチャイナへの反発が生まれる有様であった。

 

 

(※4)

 直接、日本の情報を得る事は出来なかったドイツとソ連であったが、関係を深めていたイタリアから情報を得る事には成功した。

 その後、ソ連は日本ソ連戦争にて傷付いたソ連の軍事的権威を回復させる為、そして日本への牽制としてウラジオストクに50,000t級16in.砲戦艦2隻を配備する事を決意する。

 とは言え、ソ連の重工業では即座の建造は困難であった為、スターリンは早期整備を目的に基本設計と1番艦の建造を海外 ―― ドイツに発注する事とした。

 そのドイツであるが、ソ連が発注しようとする戦艦は過去に類を見ない大排水量と大口径砲を備えた大型艦となる為、設計と建造に時間が掛かる事は明白であり、その事を正直にスターリンに連絡していた。

 この為にスターリンは50,000t級就役までの繋ぎとして、何より自身の苛立ちを紛らせると同時に日本への牽制と嫌がらせを目的として通商破壊艦、ドイッチュラント級装甲艦を発注する事となる。

 発注を受けたドイツは慌てた。

 ドイッチュラント級装甲艦は28㎝と大口径砲を有してはいるが、戦艦と戦うには余りにも装甲が貧弱であったのだ。

 その事が艦の売却後に判明しては沽券にかかわると判断したドイツは、ソ連に対してヴェルサイユ条約の制限に縛られない様に強化するという建前で2ヶ月の設計改修時間を取る様に交渉した。

 強化されると言う事であればとソ連側は受諾。

 こうして、28㎝砲3連装2基搭載する20,000t型装甲巡洋艦として建造される事となる。

 ソ連はこの艦を日露戦争時、日本を相手に優れた戦績を残したウラジオストク巡洋艦隊の指揮官に因んでバローン・エヴァルトと命名する(※後にアドミラル・エヴァルトに改名)。

 名前からもスターリンの期待の程が判ると言う艦となった。

 設計図を渡されたソ連では2隻が建造される事となる。

 

 

(※5)

 やまと型護衛艦は、見学したロンドン軍縮条約参加国にとって良い意味で常識を越えた戦艦であった。

 主砲の13.5in.砲はブリテン製の中古品であったが、増設された砲身冷却システムや自動化された砲塔 ―― 装弾システムは、衝撃だった。

 どれ程の装填速度を有するのか想像も出来ないものであった。

 防御に関しては、詳細を把握する事は出来ないものの、艦内を歩くだけで合理的である事が見て取れた。

 又、可燃物が徹底して撤去されており間接的な防御力の向上に腐心しているのが見て取れた。

 だが同時にそれは、今、ロンドン軍縮条約参加国が行っている戦艦設計を洗練させた範疇に留まっていたのだ。

 布張りのレシプロ機と第5世代型ステルス機を比較するような、される様な悲惨な思いはせずに済んだのだ。

 「日本も、人間の国家であった」そんな感想をやまと見学団の残したほどであった。

 だから気付かなかった。

 気付ける筈も無かった。

 やまとの本質がレーダーと電子機器、そしてミサイルにある事を。

 広域防空艦である事を。

 その意味の分かるのは在日米軍関係者のみ。

 そして在日米軍関係者は、戦艦にまでソナーと短魚雷まで装備させた海上自衛隊に呆れていた。

 

 

 

 

 

 




2019.05.10 修正実施

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