タイムスリップ令和ジャパン   作:◆QgkJwfXtqk

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181 新秩序への道-06

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 アフリカ大陸。

 ドイツ戦争(World War 1944)の余波としての戦乱が収まって居ない唯一の大地であった。

 ドイツ、そしてNazis(親衛隊)関連施設を掌握した事で、1940年代を通してドイツが行ってきた不安定化工作の詳細を把握したフランスは激怒した。

 とは言え、報復するべきドイツはすでに無く、Nazisの関係者は別件で処罰していたので、拳を振り上げるどころでは無かった。

 そもそも、その様な事を考えている余裕などフランス政府には無かった。

 未だ戦火の絶えないフランス海外県(植民地)たるアフリカを安定化させる方が遥かに優先順位が高かった。

 国威、或いは威信と言う意味で、であった。

 同じアフリカであっても、ブリテンの支配下にある地域がある程度安定しているが為、国際連盟内でも比較されてしまうのだ。

 G4(ジャパンアングロ)

 世界を統率する帝国群の一角であり、国際連盟の敵であるドイツを打倒した最大の原動力たる大帝国。

 それがフランスにとっての自己の姿(理想像)であったのだから、アフリカ大陸の状況は不本意であり腹立たしい限りであった。

 更には、国際連盟の場でドイツ戦争終結式典が雑談の場などで各国代表団が、未だ国内(植民地)の安定化を図れないフランスの状況(konoza)事を揶揄する事も実に腹立たしい事であった。*1

 

 故に、躊躇と容赦のない武力鎮圧が選択される事となる。

 とは言え、ソレを成すには圧倒的な物量 ―― 人員が必要となる。

 フランスの支配領域(植民地)は、広大なアフリカの大地をブリテンと二分する広さがあるのだ、100万だの200万だのと言う程度の治安維持部隊で出来る事では無かった。

 アフリカの治安回復に、どれだけの労力(コスト)を消費する事になるのか。

 フランス政府は早急に検討を、日本(未来の知見)ブリテン(治安維持の成功者)の有識者を招聘して秘密裏に行った。

 時間が無い為、手早く、そして数値などに関しては粗いモノであって構わないと言うフランス政府の割り切りによって、その分析結果(レポート)はドイツの降伏から3週間も経ぬうちに出される事となった。

 そっけなく、フランスの未来図(Rapport.100ans)と題された内容 ―― 分析結果は、フランス政府関係者を青ざめさせるものであった。

 治安維持活動自体は成功する可能性が高い。

 だが、その対価として確実に、治安維持活動の成否を問わずに発生するのはフランスと言う国家の衰退であった。

 鉄道など(交通インフラ)も十分では無いアフリカで治安維持活動(独立運動の武力鎮圧)を実行する負担は、余りにも大きいと計算されていた。

 しかもドイツ戦争時の様に、例えば日本から格安で物資や装備が購入できない。

 装備はまだ良い。

 フランス製も必要十分な性能を誇っているし、生産で言えば併合した東フランス(旧ドイツ)の工業力も期待できるからだ。

 問題は、大量に消費する事になる食料や燃料などだ。

 食料はまだ良い。

 日本の技術協力(支援)によって生産力が格段に向上したアメリカやオーストラリアが、笑顔で売ってくれるだろう。

 問題は燃料だ。

 ヨーロッパ亜大陸に近い石油資源地帯の多くを支配しているのはブリテンなのだ。

 フランスからすれば、余り(全く以って)頭を下げたい相手では無い。

 否。

 この程度の不快感などは、問題では無かった。

 重要なのは、フランスと言う帝国内での東フランス人(旧ドイツ人)の影響拡大であった。

 そこには()()()()()()()()()()()()すら含まれていた。

 アフリカの治安維持活動にフランス人成人男性を投入する事でフランスの産業界から労働人口が奪われ、フランスの産業界は衰退する。

 その穴埋めに、フランスに編入した旧ドイツ領が活用される事となる。

 役目を果たしたのであれば、人は対価を要求する。

 フランス人としての立場の強化を東フランス人(旧ドイツ人)が言えば、却下する事は難しい。

 最短30年で、東フランス人(旧ドイツ人)のフランス大統領の誕生があるとすら書かれていた。

 この内容が、かつてのフランス領インドシナ同様の武断的処置に傾いていたフランス政府を冷静にさせたのだった。

 

 

――汎アフリカ警察連携機構

 武力蜂起に対しては、断固とした対応を取ると言う選択肢を手放す積りはないフランス。

 だが同時に、武力蜂起に必要な武器や資金などの流れを潰す事も大事であるとの判断から、アフリカ全域をカバーする警察の連携網構築を目指す事とした。

 独立運動に火を点けたのはドイツであり、最初の武器を提供したのもドイツであった。

 だが、それから後も、武力蜂起が継続している理由は、どこからか資金なり、或いは武器なりが流入しているからである。

 そう考えたのだ。

 アフリカは資源地帯であり、ダイヤモンドなどの換金力が高い地下資源などを密売すれば資金調達は容易である ―― そう日本が教えた(未来情報を伝達した)結果でもあった。

 そこまで来た時、フランスの理想主義の側面が出た。

 即ち、()()()()()()()()()()と言う目標が設定されたのである。

 この目標に沿ってフランス政府は、国際連盟安全保障理事会の場でアフリカに関係のある国家を招集し、小委員会を開催する事とした。

 フランス、ブリテン、イタリア、ソ連、エチオピア。

 そして日本である。*2

 巻き込まれた日本。

 特に外務省は、払う労力の対価 ―― せめての目標としてアフリカの脱暗黒大陸化の為、治安維持/警察機構の協力関係のみならぬアフリカの発展計画(Roadmap-AfricaCentury)をぶち上げるのだった。*3

 日本の反応に、関係諸国はアフリカが発展するのであれば利益であるとし、好評をもって受け入れるのであった。*4

 

 

――フランス装備開発

 治安回復に向けた硬軟の手段、その軟に関しては自治権の拡大その他も約束する事で独立運動予備軍を取り込む方針としていた。

 だがフランスは、覇権国家の1つ(ジャパンアングロの一角)として武断(武力行使)と言う選択肢を消す積りは無かった。

 それ故に、元ドイツ軍人やフランス領インドシナなどからの人員を動員しての大部隊を維持する積りであった。

 だが、その装備に関してフランスは満足していなかった。

 偵察力の低さである。

 ドイツ戦争で日本連邦軍と轡を並べて戦ったが為、日本が持つ機械的情報収集手段(各種センサー群)の性能を理解していた。

 だからこそフランスは、建軍予定の治安維持部隊たる大アフリカ軍(La Grande Afrique)向けの新装備を日本と共同開発する事を提案していた。

 16MCVなどを筆頭とした、装輪機動車両の開発である。

 重装備 ―― 戦車や装軌装甲車などを全廃する積りは無いが、アフリカの大地で要求されるのは高い戦略的機動力であるとの判断の結果であった。

 この要望に日本は、技術提供は出来ないものの各種先進装備(ミリ波レーダーやIRセンサー)の売却を約束する事となった。*5

 車両などはフランスが開発し、そこに日本製の機器取付とセッティングをすると言う役割分担である。

 戦闘偵察車両の開発がスタートする事となる。

 又、同種の偵察設備を搭載した哨戒/偵察用軽航空機の開発もスタートする事となる。

 

 

 

 

 

 

*1
 

 国際連盟の加盟国にとって、G4(ジャパンアングロ)は恐るべき国家群であり、世界の支配者面して好きに差配する鼻持ちならない覇権国家群(great powers)であった。

 その一角が、隙を見せているのだ。

 それはもう揶揄されるのも当然と言う話であった。

 

「世界は平和を取り戻し、秩序を取り戻しつつあるのに、かの偉大なG4の一角が遅れを取っているらしいぞ?」

 

「いやいや、そんな馬鹿な」

 

「我らが国際連盟加盟国、その筆頭にある安全保障理事会の常任理事国ですぞ! その能力を疑うなど、冒涜的ですな!」

 

 国際連盟の本部建物の何処其処で笑われたりもするのだ。

 ドイツを下し、ナポレオン時代以来の大欧州の盟主となったフランス! と調子に乗ってたフランス人にとってとてもでは無いが耐えられる状況では無かった。

 かといって、文句を付けようにも各国代表もさるもの。

 直接的な文言は選ばず、しかもフランスに伍する他のG4の傍で言うなどしていたのだ。

 個人的感情に基づいた態度が取れる筈も無かった。

 

 

*2

 最初の国々は当然であったが、最後に名前を挙げられた日本代表は本気で理解しかねると言う顔をしたのだ。

 アドバイザーとしてなら兎も角、そういう風に述べた日本代表に対して、フランス代表はエチオピアは日本の準保護国ではないかと返していた。

 実際、ドイツ戦争に投入された日本連邦軍の数的な意味で主力となった人員はエチオピア人(エチオピア軍)であったのだ。

 エチオピアは日本連邦の外郭国家(準加盟国)であった。

 とは言え、安全保障条約や貿易協定の締結などは行っていても、エチオピアは独立国家であると日本は認識していた。

 が、日本の抵抗むなしく、フランスとソ連以外の全ての国家から参加を懇願される事となる。

 特にイタリアは、フランスの強すぎる影響力(干渉)を抑える為には日本が必要であると熱弁していた。

 イタリア領ソマリランドなどは兎も角、繁栄の礎たるイタリア領リビアが混乱するのはイタリアと言う国家の繁栄を左右する事態となる。

 だからこそ、日本の参加を欲したのだ。

 G4であるフランスとブリテン以外が汎アフリカ警察連携機構で主導権を握る事は出来ない。

 だからこそ、両国が対立して洒落にならない事態とせぬ為であった。

 対して、エチオピアが深刻で無かったのは、最後の最後には日本を頼れる(ケツモチに出来る)と考えているからであった。

 かくして参加する事となった日本。

 その手間の対価として、日本は()()()()に対してアフリカの希少資源の国際取引に関する組織の設置に関する協力を要請していた。

 積極的に動いたのはイタリアであったが、思惑があり止めなかったのはブリテンと見ての事であった。

 今回に関して言えば、殆ど八つ当たりめいた日本の行動であったが、ブリテンは資源の安定した売買が可能になるのは利益であると判断し、協力を約束するのであった。

 様々な思惑と共に参加した国々。

 尚、ソ連。

 この国が気楽にしていた理由は、ソ連にとって不都合な状態ともなれば無視してしまえば良いと割り切っての事(ゴーイング・ソ連ウェイ)であった。

 

 

*3

 日本国外務省による、ヤケクソとも暴走とも言える大計画(Roadmap-AfricaCentury)は、当初は外務省内部でのうっぷん晴らし的な側面を持った計画であった。

 大規模な海外投資(ODA)を行う事で国内企業に恩を売り、利権(天下り先)を確保すると言う生臭い側面もあった。

 だがこの妄想的な議論に政治、そして総務省と経済産業省が乗って来た為に話が変わった。

 理由は、日本連邦の各邦国への支援がひと段落 ―― 最低限度の文化的生活を保証できる目途が見えて来た事によって、日本の経済発展を支えた消費が低迷する未来の回避である。

 即ち、日本国の莫大な余剰生産力の消費先としてのアフリカの有望性であった。

 尚、話を聞いた財務省、その古株(事務次官)などは顔を真っ青にした。

 かつて(タイムスリップ前)と違い、融資向けの財布たる外貨準備高(円換の困難なドル債)が無い状況で、積極的な海外融資は国の財政に悪い影響を与えると考えたからである。

 政治家への面談(ご注進)によって状況を変えようとする財務省であったが、残念ながらその努力が実る事は無かった。

 そもそも、意味が無かった。

 シベリアを支配下に入れた事で資源国となった日本。

 そして、ドイツ戦争でのMLシリーズの売却などを通して本格化した日本の先端技術製品の輸出が、日本を変えたのだ。

 或いは、1つ巨大な輸出品を得たとも言える。

 ()である。

 絶大な影響力を得た日本の通貨たる円は、基軸通貨(ハードカレンシー)の地位を獲得しており、世界は円を買う時代になっていたのだ。

 刷れば刷っただけ売れる円。

 かつての米国のドルの立場に、円はなっていたのだ。

 その事に気付いた財務省官僚たちは、安堵の息を漏らすと共に、財務省設置法の改正による役割の変更を考えていくようになる。

 余談ではあるが、財務省と同様に顔を真っ青にして、真っ青にしたままに成っている省もある。

 防衛省である。

 何か有ったら呼び出される(便利使いされる)事が目に見えていたからである。

 慌ててグアム共和国軍(在日米軍)関係者と協議し、米国海兵隊などの運用/投入状況などの情報収集に勤しむ事となる。

 

 

*4

 ブリテンだけは、このアフリカの発展計画(Roadmap-AfricaCentury)の未来 ―― 経済発展したアフリカが、真っ当にして穏当な手段での独立運動を行う可能性に気付いていた。

 その為、ブリテン連邦各国の連携強化に着手する事となる。

 又、反フランス仲間でもあるイタリアにも、この情報を提供し、イタリア領リビアの内地化を進める様に提案していた。

 尚、フランスは勿論、ソ連に対しては、それらの情報と分析の提供を行う事は無かった。

 

 

*5

 日本政府は、今後の世界の見通しとして、ドイツ戦争の終結後の世界は大規模紛争の勃発が余り無い平穏な時代となると見ていた。

 それ故に、軍需生産力を大規模に維持する事は考えていなかった。

 敵と呼べるのはソ連だけなのだから、当然の話であった。

 だからこそ、フランスへの装備の売却と言う形となったのだ。

 当初、フランスは日本製の装輪装甲車の導入も視野に入れていた。

 それを日本は断ったのだ。

 外需を前提とした軍需生産力の維持は不健全であると言う判断からである。

 又、日本の軍需産業界からしても、MLシリーズの様な形での売却は余りにも薄利多売過ぎていて旨味が少なかった。

 その上、海外への輸出となれば、ドイツ戦争時の様な売りっぱなしは出来なくなり、現地での運用支援(カスタマーサポート)が要求されるのが目に見えていた。

 それ故に、装備の売り切りで終わる技術協力(B to B)が望まれた部分があった。

 

 




2023.05.20 文章修正
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