タイムスリップ令和ジャパン   作:◆QgkJwfXtqk

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183 新秩序への道-08

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 第2次世界大戦(ドイツ戦争)の終結、その区切りとして定められた陸海空による戦勝記念式典。

 併せて、陸の戦勝記念閲兵式の会場であるベルリンで平和条約を締結する事が決定した。

 国際連盟加盟国とドイツ(ドイツ臨時政府)との間で行われる正式な戦争終結と、ドイツと言う国家解体に関する条約である。

 既に日本、フランス、イタリア、ポーランドの4ヵ国による分割統治下にあるドイツにとっては事実の追認にしか過ぎない部分はあったが、それでも公式に国家消滅と言う事態を迎える事にはある種、判っていた衝撃とでも言うモノを与えていた。

 それに向けて旧ドイツ国内での人々の移動が本格化する事となる。

 国籍が完全に別れてしまう前に、家族の下へ移動するなどの動きであった。

 人口が労働力と言う側面がある為、フランスはかなりの難色を示す事となったが、その反応に好意的中立を表明したのはポーランドだけであり、日本とイタリアは無関心(局外中立)と言う態度を崩さなかった為、フランスの反応が通る事は無かった。

 結果、結構な旧ドイツ人がドイツ戦争での積極的な敵国では無かったアメリカへの渡洋を希望する事となる。

 アメリカは今後の国家運営 ―― 白人国家としてのアメリカの維持と言う潜在的な目標がある為、コレ(コーカソイドの移民者)を積極的に受け入れる事となる。

 尚、ブリテンであるが、この状況はフランスの国力低下を狙うチャンスであるが為に積極的な関与をしていた。

 大型貨客船の船腹に余裕のある日本にも声掛けをし、国際連盟による人道的行動として移住船を用意したのだ。

 この行動は、フランスの癇気に触れる部分があったが、同時に、アメリカ移住者の旧ドイツ国内の資産を合法的に安く買いたたく機会ともなった為、公式に否定的反応を示す事は無かった。

 結果、特に農業に於いて東フランス(旧ドイツ領)は大規模化が一気に進む事となり、フランスの農業生産力を押し上げる事となる。

 兎も角。

 政府レベルでは無く、一般人も又、戦後に向けた動きをする事となる。

 尚、このドイツの完全消滅に伴う混乱抑制の為、国際連盟総会では1年後を目途に戦勝記念式典の開催スケジュールは修正し、決定する事となる。

 

 

――日本/遣欧総軍

 完全な平時体制への移行とドイツ消滅と言う新しい状態に迎合する形で、遣欧総軍の組織改編が決定された。

 ドイツ戦争の勃発前、日本は4ヵ国に部隊を配置していた。

 ブリテン、フランス、イタリア、クウェートだ。

 主要敵国と言えたドイツの消滅に伴って、役割を終えたとして整理統廃合が決定した。

 いつの間にか世界帝国の一角となった日本であったが、だからと言って野放図な自衛隊()の展開を行う積りは無かった。

 嘗て(タイムスリップ前)の米国の如き、名誉と利益はあれども負担の大きい世界秩序の維持を1国で担う気は無かった。*1

 遣欧総軍の総司令部を兼ね、陸海空の整備拠点として充実した設備が整えられているクウェート基地は整理統廃合の議題に上がる事は無かった。

 日本信託統治領ドイツ(北ドイツ)に一定の部隊を駐屯させる必要が発生した事や、軍事的な関係 ―― 嚮導を担当する事となっているエチオピア軍との関係性がある為である。

 ブリテンの基地も同様であった。

 クウェート基地の補完施設、日本連邦統合軍のヨーロッパに於ける航空機整備と物資の集積拠点として整備されている為、とてもでは無いが基地の撤収と言う事は出来ないでいた。

 又、ヨーロッパ向けの工業製品の整備拠点としての役割も持っている事も、重要な点であった。

 対して恒常的な基地では無く駐屯地(臨時拠点)としてのみ整備されていたフランスとイタリアに関しては、物理的な意味での早期の部隊の退去は余裕であった。

 特にイタリアは、施設自体も既存のモノを提供されている形であった為に部隊の退去は簡単であった。

 問題はフランスである。

 実用的な意味で自衛隊のフランス駐屯の意味はない。

 だが政治的となれば話は別であった。

 G4(ジャパンアングロ)と言う意味で、ブリテンの駐屯は継続し、アメリカの場合は鎹たるグアム共和国軍(在日米軍)がある状況下で、フランスとは関係が疎遠化すると見られかねないと言うのは中々に厄介な問題を内包していた。

 特にアフリカと言う泥沼で国力を浪費せざるを得ない状況下なのだ。

 そこで、あからさまにG4(ジャパンアングロ)の中で立場が落ちると思われる事はフランスにとって受け入れ難い事態であった。

 日本としても、アフリカからの資源輸入と言う意味ではフランスとの関係の維持は大事である為、日本とフランスの外交折衝の場ではフランスの主張に同意する面はあった。

 又、日本政府としてもフランスと契約していた第1次世界大戦の古戦場の除染に関わる拠点は大事であった為、陸上自衛隊のフランスからの完全な退去は行わないと明言する事となる。

 とは言え、戦前の体制を維持すると言うのは難しい。

 結果、数ヶ月に及ぶ交渉の果てに、日本連邦統合軍のフランス駐屯地は維持。

 但し駐屯地に駐留するのは機甲部隊などでは無く化学戦部隊であり、フランスの古戦場の浄化の実務と除染技術の開発。

 そして日本とフランスによる装備共同開発の研究施設として再編成される事となる。*2

 尚、古戦場の除染に関する技術開発であるが、ここはフランスのみならず国際連盟加盟国の全てに門戸を開き、NBCのみならず地雷や不発弾その他の()()()()()を目的とした国際連盟安全保障理事会隷下の技術開発/教育機関(Peace Maker Institutes)として発足する事となる。

 

 

――ブリテン

 治安と言う意味ではフランス植民地(海外県)とは比べ物にならないブリテンであったが、仮想敵国(ライバル)たるフランスが優良な装備を導入すると言う事に冷静で居る事は難しかった。

 とは言え、緊急的にその手の車両を必要とする訳ではない為、AML装甲偵察車を研究し、独自技術での装輪偵察車の開発に取り掛かるのであった。

 将来的な、ブリテン連邦加盟国に配る(売りつける)為であった。

 特にアフリカの国々である。

 コレは、戦争の危険性が乏しいと考えられている現在、一番の脅威と言えるのがフランス海外県(植民地)から流れ出て来る難民であるからだった。

 特に武装した難民は危険度が高かった。

 一応の独立国としての体裁を整えているブリテン連邦加盟国であったが、経済的基盤が乏しい為に軽装備警察が治安維持部隊の主力であると言う国も多かったのだから。

 この為、ブリテン軍は現地治安維持部隊と連携して機動し、火力支援などの打撃を担当する緊急展開部隊の整備に力を入れる事となるのであった。

 

 

 

 

 

 

*1

 G4覇権体制(パクス・ジャパンアングロ)が支える国際秩序と貿易規範の維持は日本の利益であり、その運営費から逃げる積りは無いが、何が哀しくて極東の島国(小国)が、と言う訳である。

 日本連邦の大多数を占める日本人の意識はその様なモノであった。

 とは言え意識は変わりつつもある。

 日本が現体制となって(タイムスリップしてから)既に20年以上が経過しており、日本連邦のみならず、日本本体の内側でもロシア系日本人やアメリカ系日本人等がそれなりの政治的役割を果たし、影響力を持ち始めたからである。

 彼ら彼女らは、自らは日本人であると言う自意識(アイデンティティ)を強固に持ちつつも、同時に民族的教育(歴史)に基づいた感覚と言うモノも併せ持っていたのだ。

 そこにはジャパン系日本人やコリア系日本人も含まれていた。

 又、数の少ないが稀人系等とも言われるタイムスリップに巻き込まれ、日本に定住した旧外人(特別日本国籍者)も、それなりの日本社会での生き方と、政治的主張の表明方法を覚え、情報を発信するなどしていた。

 ある意味で日本も国際化したと言えるだろう。

 某欧州系日本人の社会学者は、米国が人種のサラダボウルであった事になぞらえて()()()()()()()()()状態と言っていた。

 主要なのは(日本系日本人)であるが、その味付けは多人種日本人の影響を受けると言う意味で。

 日本人歴20と余年。

 欧州系日本人もいつの間にか日本に染まって(食い意地の張った日本人になって)いたのだった。

 

 

*2

 対人センサーや通信機器(MLシリーズ)といった日本製の部品を大量に導入して製造される事となる装輪偵察車両はAML装甲偵察車と命名され、量産される事となった。

 当初、日本は装備の提供とセッティングが主業務であったが、担当する技術者が雑談の際に様々な知見を与え、フランスの技術者がそれを吸収し、研究し、開発する車体に反映させた事で日とフランスの合作めいた車両として完成する事となる。

 空間装甲の多用や、居住性の向上その他。

 そして車内空調設備(クーラー)など、予定外の日本製部品も大量に導入されていた。

 結果としてAML装甲偵察車は、一般向け自動車よりも快適との評判を得る事となる。

 尤も、日本製部品を大量に導入した結果、生産コストは当初予定の倍を優に超える事となってしまった為、日本製部品を制限した安価な量産型も平行して整備される事となった。

 特に火力支援型であるAML-60シリーズは60㎜迫撃砲を主砲として搭載する為のスペース確保として、センサーその他は撤去されている。

 コレは、運用思想がネットワーク戦を前提とし、AML装甲偵察車などの情報を基に運用される為で出来た処置であった。

 本来はAML装甲偵察車が主であり、AML-60などは従の立場にある。

 だがAML装甲偵察車シリーズを導入した国家の中には、予算不足からAML-60型ベースの車両のみとする国も少なく無かった。

 

 

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