タイムスリップ令和ジャパン   作:◆QgkJwfXtqk

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184 新秩序への道-09

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 ドイツ戦争(World War Ⅱ)の終結は、後の歴史家によってG4(ジャパンアングロ)統治体制が確立した出来事であったとされた。

 実際、1946年以降は100年に渡って小規模な紛争、或いは内戦は兎も角として大規模、世界規模で影響を出す様な戦争は発生しなかった。

 とは言えそれは、世界がG4(ジャパンアングロ)に恭順する事を選んだ結果と言う訳では無かった。

 ソ連やチャイナなどを筆頭としたG4(ジャパンアングロ)を敵視する国家も存続していたし、それらの国々においては明確な反G4(アンチ・ジャパンアングロ)を鮮明にしている国家群も一定数は存在しているのだから。

 圧倒的な国力差から言えば、それらの国々を導く政治家なり、或いは政党なりをG4(ジャパンアングロ)が叩き潰す事自体は簡単であった。

 正道(経済的圧力)を用いるにせよ邪道(謀略暗殺等)を用いるにせよ、世界経済の殆どを掌握している様な国家連合(ジャパンアングロ)に出来ない事など無いのだから。

 だが、その筆頭である日本には、そんな面倒事をする気など一切なかった。

 日本に反発するなり、恨むなりするのもその国の自由であり、それぞれが自由にすれば良い。

 日本が欲しいと思ったモノを()()()()()で販売し、或いは商売の邪魔をしないのであれば問題はない。

 覇権国家群筆頭とは思えぬ、極めて鷹揚な態度であったからだ。

 無論、日本人が犯罪に巻き込まれた場合などは別であるが、それは、犯罪行為に対する対処でしかないのだ。

 そもそも日本人。

 ある程度の水準次第であるが日本人が現地で犯罪に巻き込まれたとしても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と考えている部分があった。

 国家による国民の保護と、国民の自由と言うバランス感覚は、割と独特な所があった。

 日本に次ぐ国力を誇っているアメリカ。

 此方も、伝統的孤立思想(モンロー主義)と言う訳ではないが、本質的には世界に対する関心は薄かった。

 世界観が極めて狭い事が理由だった。

 自国(アメリカ)自国影響下領域(ユーラシア大陸東領域と中米、そして南米)

 日本とG4(ブリテンとフランス)

 それにヨーロッパとそれ以外 ―― アメリカと言う大地が豊かであり、国家が存続する上で余り他国を必要としない事が理由とも言えたが、兎も角として一般的なアメリカ人(アメリカの資本家と有権者)の認識は雑極まりなかった。

 特に資本家はその傾向が強かった。

 資本主義に基づいた余剰生産力の消費先としてフロンティア共和国とチャイナ各国、それに日本(シベリア共和国)の市場開放が為されているのだ。

 アメリカ本土の開発も同時進行の状況下で、他所に目を向けている暇はないと言うのが正直な所であった。

 資源に関しても、G4(ジャパンアングロ)の支配領域でほぼすべての資源が得られる事が非G4(ジャパンアングロ)に興味を持たない理由にも繋がっていた。

 一部の善意に溢れた人間、或いは好奇心や名誉欲に溢れた人たちは非G4領域(ロスト・ワールド)の発展にも関心を寄せてはいたのだが、それらの人間による活動が政治的な意味(ムーブメント)を生む事は無かった。

 アメリカの普通の人々は、見知らぬ不幸せな人々に思いを馳せるよりも、明日には得られるだろう己の資産を夢見ていたからである。

 誠にもって資本主義であった。

 日本とアメリカと違い、世界に対する高貴なる責任を持っている ―― そんな自意識が強いのがブリテンであった。

 ブリテンはブリテン連邦の主催国であり、世界中に加盟国(半植民地)を持った大帝国である。

 経済力と言う意味では日本は勿論、アメリカにも後れを取っているが支配領域の広さだけを見れば堂々たる大帝国(the empire on which the sun never sets)であるのだから。

 だが、それらはブリテンと言う国家の繁栄存続の為の事であった。

 世界中に存在するブリテン連邦が、安全に経済活動を継続し、繁栄する為に世界の安定が必要と言うだけであった。

 即ち、世界を利用するブリテンが安全であれば、その他はどうでも良い。

 繁栄していても良いし、衰退していても良い。

 究極的に言えば、内戦なりの状況であったとしても、ブリテンがそこから被害を受けないのであれば、或いは利益を得られるならば問題はない。

 誠にもって合理的(自国利益優先主義)であった。

 無論、G4(ジャパンアングロ)の一角であり国際連盟の常任理事国としての責任を有している事を忘れてはいないが、世界の為にブリテンが無償奉仕する必要は無いとも考えているのであった。

 誠にもって無慈悲なる3国。

 対して、理想主義めいたモノを強く持つフランス。

 自由平等博愛を旗印とする国家であったが、今現在、世界に目を向けている余裕など無かった。

 漸くに果たせた、宿敵たるドイツの消滅。

 そのドイツの領土を自国内に取り込む作業に政治力を消費していると言う事が1つ。

 ヨーロッパで覇権的地位を持つに至った()フランス。

 だが現実はフランスの夢(一強多弱)ではなく、ブリテン系の影響下にあるポーランドや北欧、そしてイタリアとイタリアを盟主とする東欧諸国なのだ。

 フランスが剛腕を振るえる(他国を顎で使える)程の状況には無いのだ。

 そしてもう1つ、こちらが重大であった。

 巨大極まりないアフリカのフランス海外県(植民地)の独立運動への対応である。

 武力蜂起した連中を鎮圧し、同時に、政治的(平和裏)に要求してくる人々をなだめすかさねばならない。

 この2つの事態が同時進行しているフランスに、世界に理想主義を訴える暇などある筈も無かった。

 ある意味で世界は秩序の下にあると同時に、自由(混沌)と共に存在していた。

 

 

――南米

 南北アメリカ大陸に於いて圧倒的な地位を持つ国家はアメリカである。

 中米を自国の裏庭と認識し、南米も又、己の領域であると認識する覇権国家(独善的国家)

 だが、そのアメリカの目がチャイナ経営に向かう事によって、干渉を受ける機会が減り、南米の諸国は自由を得たと言えるだろう。

 その状況下で、それぞれの国は国力増進に努める事になる。

 とは言え一足飛びに民主主義国家としての熟成を得る事も、国力の増進が果たされる事も無い為、各国は地味に不満を募らせていく事となる。

 又、その一助となったのが旧ドイツからの避難民 ―― ドイツ軍人やドイツ人技術者の影響であった。

 戦争に負けた事、そして強いドイツへの自負があったが故に、卑怯な手段を使った反G4 (アンチ・ジャパンアングロ)と言う意識が強かったのだ。

 未来技術(タイムスリップ)とか言う卑怯極まりない日本。

 国土が強大過ぎて卑怯極まりないアメリカ。

 日本とアメリカの背中に隠れた卑怯極まりないブリテン。

 フランスの癖に戦争に勝とうとして来る卑怯極まりないフランス。

 悪いのは全てがG4(ジャパンアングロ)だと方々で言い続けたのだ。

 だがそれは単純な反G4(アンチ・ジャパンアングロ)と言う訳では無かった。

 実利に基づいた行動であった。

 ドイツは悪く無い。

 ドイツの技術も悪く無い。

 そう言い続ける事で、自分たちの技術なり情報なりの価値を吊り上げようと言うのだから。

 その影響もあったと言う訳ではないが、南米の諸国では軍事装備の近代化が強く意識される事となった。

 ドイツ戦争での圧倒的かつ無慈悲なまでのG4(ジャパンアングロ)の軍備を見ていた為、その力が自分たちに振るわれる事を恐れたのだ。

 戦車。

 ジェット戦闘機。

 空母。

 陸海空の軍に於ける三種の神器であった。

 とは言え、空母の装備は予算的な意味で現実的で無かった。

 本来であれば。

 ブラジルがドイツ戦争に参戦したご褒美とばかりに日本から格安でML-039(MLシリーズ)、17,000t級護衛空母*1を1隻購入していたのだ。

 ブラジル海軍の手に届いたのはドイツ戦争後であったが、それでも南米の海洋戦力均衡(パワーバランス)を破壊する力を持っていた。

 その影響力は、特に政治的な意味で顕著であった。

 特に隣国アルゼンチンは慌てて航空母艦の入手に走る程であった。

 とは言え、戦争終結に伴って安価な日本の武器供与(MLシリーズの提供)は終了していたのだ。

 故に別の国、アメリカやブリテンなどからの購入を図っていたが、結果は芳しく無かった。

 予算的問題から、当初は中古空母の導入を検討していたのだが両国は共に余剰となった空母が存在していなかったのだから仕方が無い。

 ドイツ戦争に際して、共に戦時消耗を前提とした空母や旧ドイツの潜水艦部隊を警戒した対潜護衛空母の建造などをしていなかったのだ。

 国際連盟加盟国 ―― G4(ジャパンアングロ)の洋上戦力が圧倒的であったが故の事だった。

 実際、旧ドイツ海軍潜水艦部隊は開戦後に北海を越える艦は1隻とて存在しなかったのだ。

 如何にドイツ戦争が一方的な戦争であったかの証拠とも言えた。

 尚、アメリカ海軍の一部からは、ドイツ戦争に際して予算拡大を用いて装備の更新を行うべきだとの主張も出ていた。

 だが、どうせならドイツ戦争の戦訓と日本の空母運用を研究した上での次世代艦を整備するべきだと言う常識的な声に打ち勝つ事は出来なかった。

 対してブリテン海軍は、戦後には確実に予算縮小が来るので無理な海軍拡大は自滅行為だと判断していたのだった。

 兎も角。

 中古空母を入手する事が不可能となったアルゼンチンであったが、新造に関しては二の足を踏んでいた。

 予算を大きく超えるからである。

 又、見積もりを確認した際に得た情報から、アメリカにせよブリテンにせよ空母の運用コストが余りにも莫大であると知った事も躊躇する原因であった。

 頭を抱えたアルゼンチン。

 ドイツ戦争に参戦していれば、或いは旧ドイツ海軍の空母を得る事が出来たかもしれないが、それは空想の話でしかなかった。

 未竣工も含めて2隻が生き残っていた旧ドイツ海軍空母であったが、既に戦時賠償として移管先が決定していた。

 グラーフ・ツェッペリンはオランダが譲渡先であった。

 問題は2番艦のペーター・シュトラッサーだ。

 何と同じ南米のチリの手に譲渡される事が決定していたのだ。

 ブラジルと同様にドイツ戦争に参戦していたチリは、実際に戦争で果たした役割は大きく無かったが為、未完成であったペーター・シュトラッサーが賠償艦(ご褒美)名目で押し付けられたとも言えた。

 1万tを超える大型艦と言うモノは、実利は無くとも面子には大きく影響を与えるのだ。

 実際、チリ政府は微妙な顔をしたが、チリ国民は1等国の証だと大歓迎していた。

 その情報を知ったアルゼンチンは頭を抱えた。

 ブラジルに続いてチリまで空母装備である。

 ここで空母を保有しないと言う選択肢はアルゼンチンには存在しなかった。

 だが、政治的な選択肢と同様に、予算も無いのがアルゼンチンであり、アルゼンチン海軍であった。

 海軍と政府関係者での連日連夜の激論が交わされた。

 結論は出ない。

 出る筈もない。

 そこに、そっと接近した国家があった。

 ソ連である。

 友好国と外貨、そしてソ連領アフリカ(コンゴ)での治安維持部隊向けに回す安価な食料を欲していた為、比較的良心的価格での空母建造を提案したのだ。

 アルゼンチンはこの提案に飛びつく事となる。

 

 

――ソ連

 1万t以上の大型艦の設計と建造経験の乏しいソ連にとって、他国の金で大型艦を建造すると言うのは良い経験となる話であった。

 だからこそアルゼンチンに声を掛けたのだった。

 造船技術に関して言えば旧ドイツ人造船技術者の存在が大きかった。

 ドイツと言う国家消滅の機に、移住を積極的に促した成果であった。

 旧ドイツの造船技術は二流海軍に相応しい二流艦船を生み出した等と揶揄されており、その悔しさが旧ドイツ人造船技術者のソ連への移住に繋がっていたのだ。

 とは言え、如何に技術的なあてが出来たとしても、予算としてはソ連も大型艦を作る事は厳しかった。

 経済的理由だけでは無く、政治的な問題もあった。

 G4(ジャパンアングロ)、特に日本と対立している(日本から敵視されている)と言う事が大きな問題であった。

 とは言え海洋戦力、その領域と言う意味でソ連は日本には接していない。

 黒海がトルコと言う門番が居る(モントルー条約がある)が故に完全に守勢的である為、バルト海とバレンツ海に置かれた2つの艦隊が世界展開可能なソ連の海洋戦力であるのだが、現代的な(最新鋭と呼べる)大型艦は所属していない。

 ロシア帝国時代の遺産は残されていたが、それらを戦力に数えるのは聊か、流石のソ連人でも恥と思う程の状態であった。

 だからこそ、海洋戦力の近代化はソ連海軍軍人にとって悲願であり、スターリンにとってはソ連の国威を示す大型艦の整備は重要な目的であった。

 だが、下手に動いて日本から睨まれては困る。

 だからこそ、軍事的取引としてアルゼンチンに建造を持ちかけたのだった。

 即ち、技術の実証実験である。

 実験目的であるからこそ、ソ連の予算も出せるし、だからこそ廉価な価格をアルゼンチンに提案できたのであった。

 両者にとって利益のみ(Win-Win)の関係であった。

 かくして締結されたソ連とアルゼンチンの空母建造計画。

 それは最終的に、基準排水量32,000t級大型空母建造計画として形になる。

 

 

 

 

 

 

*1

 ML-039はポーランドの要求で開発設計され建造された航空母艦であり、その原設計は海上自衛隊がタイムスリップ直後の時代に計画した両用戦指揮/UAV母艦じゅんよう型であった。

 その船体は商船規格(基準)で設計されている。

 これは船体価格の低減を狙っての事では無く、元々が民間の造船所が受注と建造可能な護衛艦として企画されていたが為の事だった。

 タイムスリップによって世界経済と分断されたが為に受注が激減してしまった民間造船所に仕事を用意すると言う主旨であったのだ。

 それ故の商船規格であった。

 尚、政治の要求による艦艇の整備を受け入れる事となった海上自衛隊側は、であるならば是非も無しとして、その運用人員に関しても極端に割り切る事となった。

 省力化である。

 被弾時などの対応を自動化で相当規模で割り切り、即座に沈没しない事を目的に限定。

 そして、その浮いている時間で乗員は直ちに艦から退避する事にしたのだ。

 海上自衛隊は伝統的に(太平洋戦争の戦訓で)、艦艇を消耗品と見る癖があったが、それを1万t級の艦にまで適用しようと言うのは、矢張り、割り切りであった。

 付け加えるならば、政治の要求で整備する事になったのだ。

 であれば、喪われた時のケツモチも政治にしてもらおう。

 そういう話であった。

 かくして生まれる予定となった基準排水量13,000t級のじゅんよう型護衛艦であったが、

実際に建造される事は無かった。

 当初予定と違って、民間側が旺盛な大型船舶の発注に乗り出したからである。

 特にタンカーの需要は大きく、又、貨物船も大量に建造する事となったからである。

 かくして建造計画が流産する事となったじゅんよう型護衛艦であったが、その設計の知見は後に、やましろ型ヘリコプター搭載護衛艦として利用される事となる。

 やましろ型護衛艦はじゅんよう型護衛艦の設計を踏襲した結果、広い船体に少ない乗員が乗り込むが為に全ての乗員に小さくとも個室が割り当てられる事となっていた。

 又、操船に関しても自動化を進めていた為、極めて楽であった。

 被弾時の事を考えると良いことばかりでは無いが、もとよりやましろ型も戦時対応の急造艦指定であるので、と割り切られる事となったのだ。

 そして、本17,000t級護衛空母はやましろ型の遠い姉妹と言うべき艦として完成する事となった。

 やましろ型と同様に、じゅんよう型に比べて大型化している。

 これは一般的なレシプロ戦闘機も運用ができる上で、将来的にはG2レベルのジェット戦闘機まで限定的には運用できる様に格納庫を拡大したからであった。

 

 艦名 17,000t級護衛空母

 建造数   3隻

 基準排水量 19,100t

 兵装    60口径40㎜単装砲 4基

 航空    39機

 速力    31ノット

 主機    ディーゼル

 

 

 

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