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ドイツ戦争の終結と共に、正式に確立した国際連盟による国際秩序体制。
多くの国家にとって、ソレはある意味で福音であった。
その実態が
修正された国際連盟規約は、改めて国家の独立性の相互保証と内政不干渉を宣言していた。
その内容には、実行力のある戦争と紛争の抑止力として国際連盟安全保障理事会の下部組織として国際連盟軍総本部を常設する事も含まれていた。
元をただせばドイツ戦争時に設置されていた参戦国の統括調整機関であり、その能力を拡張したものであった。
有事に際しては編制される国際連盟軍 ―― 国際連盟参加各国から派遣されてきた軍部隊を統括し、戦略を策定する組織であったが、同時に平時から軍同士が交流し、或いは演習をする場合などの調整をする事を目的としていた。
安全保障理事会が阻止するべしと定めた戦争や紛争、それらを抑止する為の実行力を涵養していく為の組織であった。
平時から軍同士が交流する事で有事に容易に連携できる事が目的であり、同時に、軍同士に
それは同時にある程度の軍の情報が他国、国際連盟に加盟している非友好国に流出する事にも繋がる。
それが気に入らない国家もあった。
チャイナやソ連、そして南米の国々である。
南北アメリカ大陸を自らの領域としているアメリカは、折に触れて南米に干渉してきていたのだ。
とは言えアメリカは、
だがそれもアメリカ政府に限った話であり、アメリカの企業群は南米の御主人様面をして政府に
この背景の1つにはそれなりの貿易を日本と行っていた影響もあった。*1
結果としてロシアやチャイナ民国、南米諸国の多くが国際連盟軍総本部への参加を停止するとの宣言をする事となっていた。
軍、軍事は独立国家の専権事項である為、その行為が大きな問題となる事は無かった。
だが、明確に国際連盟の中に1つのヒビが入ったと言う事は確かであった。
――アルゼンチン
気の早い事に
独立国家としての尊厳の為の選択であった。
その原資となったのはドイツ戦争を筆頭とした1940年代の戦時に稼いだ外貨である。
豊かな農地を持ち、食料生産能力 ―― 特に牛肉の輸出は、大軍を動かす日本やアメリカ、そしてフランスにとって極めて有難い存在であり、盛大に買い込んでいたのだ。*2
又、フランスはアフリカのドイツ戦争終結後も、治安回復戦向けとしても買い続けていた。
その総額は、莫大と言っても良かった。
だからこそソ連と共同で戦車と戦闘機の開発と配備を進める事が出来たのだ。
国内への投資を主張する閣僚、或いは市民などもそれなりには居たが、アメリカへの根深い反発が政府の選択を許していた。*3
目的は勿論、
とは言え、それは簡単な話では無かった。
ソ連自体の技術力も、日本やアメリカは勿論、ブリテンやフランスにも劣っているのだから。
だが、そこに慈雨めいた話が舞い込む事になる。
ドイツ戦争で活躍した戦車や戦闘機の売却話である。
言い出したのはフランス。
アフリカでの治安回復戦で必要な食料類の膨大さと、その値段に音を上げた結果であった。
本来、フランス自体も農業大国であるのだが、その生産物はドイツ戦争で荒廃した
アルゼンチンは軍備を欲しがっていた。
そして、フランスにはドイツ戦争で使っていた戦車や戦闘機が余剰となって余っている。
コレを対価にしてはどうだろうかと考えるのは、儘、
アルゼンチンからすれば、ソ連との共同開発装備群が完成するまでの時間稼ぎとなる話であった。
そして、ソ連からすれば技術的な方向性の確認と言う意味で、先進国の装備を調査出来ると言うのは大きな話であった。
とは言えソ連。
この降って湧いた好機を逃すまいと、内心の喜びを隠す為にソ連-アルゼンチン間の協力関係に水を差す行為だと国際連盟の総会で、フランスの行動を非難する芸の細かい事をしていた。
――ブラジル
アルゼンチンの軍備拡充に穏やかで居る事が出来ないのは、南米の
アルゼンチンとの関係性は、そこまで劣悪と言う訳では無かったが、国の沽券というものがあるのだ。
この為にブラジルは関係の良好な
アメリカから技術提供を受けたブラジル国産戦闘機開発計画である。
とは言え、アメリカは首を縦に振る事は無かった。
ブラジルも国際連盟軍総本部への積極的参加をしていなかった為、軍事技術の提供に問題を抱えると言うのがアメリカの言い分であった。
国際連盟の安全保障体制に深く関与していないと言う事は、潜在的な反国際連盟国と言う認識が、国際連盟安全保障理事会に存在するが為の事だった。
その拒否にブラジルは悩む事となる。
ブラジルにとって国連軍総本部への本格的参加の停止は、それ程に大きな理由では無かった。
それ程に強い反
アルゼンチンからブラジルは独立国では無い等と煽られては我慢ならぬと言う話である。
何とも政治であり、国民感情であった。
かくして
その代わり、アメリカは第2世代戦闘機の
ブラジルとの国際関係が悪化しない様にと、アメリカが提示したのはそう多くは無い数であったが、値段が比較的手頃であった為、ブラジルは受け入れる事としたのだった。
尚、戦車に関してはドイツ戦争参戦時に38式装甲車のシリーズ ―― 38式火力支援車と言った
鉱物資源や食料品の輸入などの貿易を日本と行っていた為、南北米大陸の支配者たるアメリカなどと気取って居ても
又、貿易相手となった日本企業の腰が低かった事の影響もあった。
日本企業のビジネスマンは、札束で殴る行為は普通にするが、あからさまに下に見下す事は無く、事によっては
この頃、日本は既にオーストラリアでの
日本のオーストラリア投資は牧場自体への投資に終わらず、電力その他のインフラに始まって冷蔵庫その他の企業の進出まで行われていたのだ。
その大規模さ故に、結果が出るまで少しだけ時間を必要としているのだった。
勿論、軍事力の整備には重工業も必須である為、ソ連の支援を受ける形で国内産業の涵養は行われていた。
又、その事を、ある種、実態よりも大げさに宣伝した事も、アルゼンチン国民の反発を招かなかった理由ともなっていた。
勿論ながらも、フランスにも最先端と言える戦車や戦闘機の売却に関しての
アルゼンチンは国際連盟加盟国であり、その正規軍が相手であれば不法な取引では無い。
又、アルゼンチン国内で大規模な内紛の兆し、国民の弾圧目的でも無いのだ。
そして何より、売却リストに上げられているモノは、ドイツ戦争終結でも止まらぬ技術革新によって既に旧式化した物であるのだ。
戦闘機で言えばレシプロ戦闘機の最終型から第1世代型戦闘機。
既にアメリカやブリテンも含めて
脅威では無い。
そうフランスが考えるのもやむを得ない話と言えた。
少なくとも、フランスからすれば。
2024.03.02 文章修正