タイムスリップ令和ジャパン   作:◆QgkJwfXtqk

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 グアム共和国(グアム特別自治州)にて、G4共同で行われている次世代の空母着艦技術の研究と開発は比較的順調に推移していた。

 それは、技術こそ有してはいないが、それでも技術進歩の方向性は把握できるからである。

 又、最終的な解としての21世紀(米海軍)の集大成が現物として存在しているのだ。

 手探りめいて技術開発をする様な事態では無かったお陰であった。

 ジェット戦闘機と言うモノが日本と言う手本を得た事で長足の進歩を遂げてしまった弊害が、日本と共に努力する事で乗り越える事が出来る様になったのだ。

 又、日本が制御システムなどに関しての先端技術(スマート・デバイス)を提供していた事も大きかった。

 コクピットで簡単に後付け出来るソレは、最良の侵入速度や角度その他をパイロットに教えてくれると共に、詳しい情報を収集しているのだ。

 研究も良く進むと言うモノであった。

 又、携帯端末(スマート・デバイス)であるが、軍用とは言え基本が汎用品を転用していた為にGPS機能も有していた。

 これが洋上に於ける位置確認に大きな助けとなった。

 特に夜間での着艦試験をした際、自機の位置を簡単に把握出来た事が大きく評価されていた。

 滞空1000時間を超えるベテランのテストパイロットは、着艦技術の開発と共にこの携帯端末(スマート・デバイス)の導入を強く上申していた。

 上申を受けたアメリカ海軍上層部も悩む事となる。

 道具としての利便性は理解しているが、事、携帯端末(スマート・デバイス)提供(売却)をしても良いが完全なブラックボックスであると日本が宣言していたからである。

 同時に、携帯端末(スマート・デバイス)の機能ネットワークに接続されてこその道具である為に軍の情報、特に位置情報その他が丸ごとに筒抜けになる恐れがあるのだ。

 GPS機能、そしてGPS機能と紐づけされた地図情報は便利極まりないが、リスクが高いのではないかと考えられていた。

 アメリカは日本と深い同盟関係を築いているが、流石にそこまで知られるのは如何なモノか。

 そう言う話であった。

 実に悩ましい話であり、この悩みに関してはブリテンも同様であった。

 唯一、フランスだけは即答(シンキングタイムレス)で、ブラックボックスで良いから売れと言っていた。

 さもありなん。

 広大なアフリカで治安維持作戦を行っているフランスにとっては、どの様な場所であっても自分の位置を知れると言う点は何事にも代えがたい機能であったのだ。

 しかも、フランスがアフリカに投入している兵力、その数的な主力は傭兵(元ドイツ兵)インドシナ連邦軍(フランス海外県インドネシア人)なのだ。

 士気(モラール)や練度と言う意味で期待し辛いと言うのが実情であり、そんな大部隊であるが故に指揮するフランス人も十分な教育を受けた人間ばかりと言う訳では無かったのだ。

 故に、広大なアフリカの大地で行方不明になってしまう部隊が結構な頻度で発生しており、フランス軍内部で問題化していたのだ。

 勿論、フランス陸軍だけではなく、空軍でも問題は共有していた。

 土地勘の無い場所に、不十分な地図を片手に飛んで来いと命令されるのだ。

 任務遂行も帰還も、問題が頻発すると言うものであった。

 どんなベテランであっても土地勘が無ければ十分な能力を発揮できないと言うものである。

 故に、フランスにとっては多少の軍事機密が漏れたとしても問題ではなかったのだ。

 逆に日本がドン引きするレベルで大量発注を(俺の金を持って行けと)言い出していた。

 但し、整備拠点()をフランス領は無理でも日本領(北ドイツ平原州)に設置する事を要求していた。

 当然の要求と言えた。

 このフランスの要求を日本は飲む事となる。

 元より日本信託統治領(北ドイツ平原州)にも軍事拠点を設置する予定であった為、日本は遣欧部隊の整備拠点(デポ)として大規模な施設を建設する事となった。

 場所は元ドイツ軍の軍事拠点が複数残っていた為、コレを流用する事となる。*1

 併せてフランスは、日本が整備を進めていた衛星通信網(ジャパン・スターリンク)の定期使用契約を結ぶ事を選んでいた。

 ドイツ戦争時に、その効果を実感し、それが無くなって以降のアフリカでの治安維持戦で必要性を痛感していたのだ。

 無論、フランス国内では反対する人間もいた。

 フランスは大国として自前での通信衛星を開発するべきだと言うのだ。

 それは1つの意見であったし、科学者が声を上げるのも当然の話であった。

 だがフランス政府とフランス軍が欲しいのは今すぐの衛星通信網なのだ。

 通信衛星は勿論ながらも通信衛星を打ち上げる為のロケットすら影も形も無く、出来上がるとしても何時になるかは判らないのだ。

 コレでは比較対象になる筈も無かった。

 情報網と言う意味でフランスは日本との一体化を選ぶ事となる。

 それ程に、アフリカでの治安維持戦の負担は大きかったのだった。

 

 

――トライデント計画

 ジェット艦載機と空母の運用に関する知見が溜まると共にフランスは、アメリカとブリテンとに1つの提案をする事となる。

 ジェット艦載機の運用を前提とした全くの新設計空母を共同で開発しようと言う計画である。

 3国共同開発計画(トライデント)である。

 フランス、アメリカ、ブリテンと言う3国が協力すると言う意味での命名だ。

 元よりフランスはアメリカと共同で空母の開発研究をしていたのだから、躊躇は無かった。

 又、ジェット戦闘機対応空母と言う新世代兵器の開発に関して、投入コストを少しでも小さくしたいと言う気分(スケベ心)もあった。

 この提案にアメリカは二つ返事で乗っていた。

 既に50,000t級の大型空母建造計画を進めていたアメリカであったが、違う知見からの空母の研究開発と言うモノの意義は決して小さくはないからである。

 故にアメリカはフランスと共に自らもブリテンに参加を呼び掛ける事とした。

 この時点でのブリテン海軍は、海洋交易路の安全確保が主任務であると自らの役割を定義づけし、それに基づいた戦力整備を考えていた為、現時点で大型空母に対する欲求は低かった。

 何故なら、()と呼べる国家が少ないからである。

 敵対的な国家はあっても、G4や国際連盟に正面から喧嘩を売れる国家など、そうそうには無いと言う現実があればこそであった。

 だが、最終的にはブリテンも計画に参加する事となる。

 アメリカとフランスが空母整備計画に於いて先に行かれる事に対する不快感からであった。

 とは言え、ブリテンにとって50,000t級超過の大型空母を現時点で整備する意義は乏しい。

 結果、トライデント計画で空母を実際に建造するのはフランス。

 アメリカとブリテンは技術の研究と開発を協力する事となる。

 尚、日本が声を掛けられなかった理由は、技術的な先進性は持っているのだが、先進的過ぎてアメリカもブリテンもフランスも口を挟める余地がないからである。

 それでは、技術を開発するのではなく、技術を与えられると言う立場になってしまうのだ。

 電子装備その他、日本が先端(未来)に居る事はどの国も否定しないが、そこに近づく為の努力を怠る気はない。

 それが同格(ジャパンアングロ)と言う、覇権国家群に名を連ねる意地でもあった。

 尚、フランスが50,000t級の大型空母建造を欲する理由は、アフリカの治安維持戦であった。

 空母とは、航空機を大量に抱えて自由に移動できる航空基地であるのだ。

 即ち、アフリカの広大な大地で展開する陸上戦力部隊に適切な火力を提供する事が出来るのだ。

 フランスは、偵察と対攻撃手段としての空母を欲しているのだった。

 大型の理由もそこにある。

 安全な発着艦も大事であるが、大型の空母故に大量の航空機を運用できると言う点が重視されたのだった。

 故にフランス海軍は、フランス陸軍からの予算協力も受ける形で3隻の50,000t級空母建造を予定する事となるのだった。

 そして、この3隻もの大型空母建造計画がアメリカを刺激し、今の50,000t級空母の建造計画に続いて、更なる大型の空母を建造しようと考える事となる。

 最終的には両洋空母計画(2*2 Project)としてフランスを超える4隻の建造計画となる。

 尚、ブリテンは、この競争に付き合いきれぬと言う態であった。

 今現在のブリテンにとっては、30,000t級空母こそが使い勝手の良いサイズであったからだ。

 辺境の、設備の乏しい港でも運用可能な空母。

 ブリテン海軍は冷静であった。

 少なくとも、ブリテンの世論が沸騰するまでの間は。

 世界にアメリカとフランスの大型空母が出揃った頃の事だ。

 世界に冠たる覇権国家群(ジャパンアングロ)の一角たるブリテンが、何故、他の国の様な大型空母を保有しないのだと、国民は政府と王立海軍を批判したのだ。

 民意とは、民主主義国家にとって神であり、神の意志であるのだ。

 平凡な人間からなるブリテンの政府や海軍に抵抗する力などある筈も無いのだった。

 そんな大変な未来に気付く事無くブリテンは、大型空母の建造に鼻息を荒くするフランスを呑気に見守るのであった。

 

 

 

 

 

 

*1

 日本が本格的に北ドイツ平原 ―― ブレーメルハーフェン市近郊に設営を決定した整備拠点は、諸外国に売却した装備などの重整備(アフターサービス)も行う為もあってかなり大規模なモノとされていた。

 対象にドイツ戦争中にばら撒いた各MLシリーズも含んだからである。

 そして同時に、このブレーメルハーフェン基地(整備廠)で働く人間の為の仕事、即ち食堂や洗濯などの業務を外注と言う形で現地の雇用に繋げようとしていた。

 戦災未亡人や戦災孤児、男性や大人では無いが故に仕事の少ない人々にも生活の糧を得る手段を用意しようと言う事であった。

 ドイツ戦争に於いて、日本は民間人への被害が出来るだけ発生しない様に配慮はしていた。

 だが戦争である。

 どうしても発生してしまうものであった。

 又、被雇用者の家族であれば、医療などの福利厚生も提供する様にしていた。

 これは正に治安維持であった。

 とは言え問題が無かった訳ではない。

 ブリテンである。

 何故なら、ブリテン本島には日本連邦統合軍の基地と兼ねた共同での技術開発拠点が設けられていたのだ。

 自動化された16in.砲の開発などを行った整備研究拠点である。

 ブリテンの王族が音頭を取った縁もあり、オーガスタ基地等とも言われている。

 この基地が撤去される可能性に慌てたのだ。

 フランスとイタリアの軍事拠点は対ドイツを睨んだ日本連邦統合軍陸軍部隊の基地であったが為、ドイツ戦争終結後は部隊は基地に帰らず、事実上の撤退をしていたのだ。

 ブリテンが危惧を抱くのも当然であった。

 特にイタリアの領内にあった基地は、返還の具体的な計画(タイムスケジュール)が作られる所まで話が進んでいる程であった。

 フランスの基地に関して言えば、世界大戦(World War 1914-1918)時代の古戦場の化学汚染の除染拠点でもあったので完全な撤去は無いのだが、それでも実戦部隊の駐屯は終了する方向で話が進んでいた。

 日本連邦統合軍、と言うか陸上自衛隊にとって世界中に派遣されている戦力の減少は悲願ですらあったのだ。

 ドイツ戦争終結と言う新時代(デタント)をチャンスと見て積極的に動いているのだった。

 この動きを財務省も歓迎していた。

 海外に部隊を配置すると言う事は、当然の流れとして海外派遣手当と言うものが発生するのだ。

 財務省も全力で歓迎し、支えると言うモノであった。

 だが、ブリテンの危惧は杞憂に終わる事となる。

 何故ならば、ブリテンに配置されていた基地と整備研究拠点は航空分野も含んでいたのだ。

 F-6やF-7と言った輸出用の機体は勿論だが、日本の正規戦闘機であるF-3やF-35Bや、ヘリコプターの重整備拠点として大規模に作られていたのだ。

 逆に、日本が維持させてくださいと言う話であった。

 信託統治領(北ドイツ平原州)は、まだまだ治安も経済も安定していない為、ブリテンに置かれている基地は予備(バックアップ)としての役割も担えるからである。

 1940年代後半からはドイツ(北ドイツ平原州)の陸上部隊の整備拠点、ブリテンの航空部隊の整備拠点、そしてフランスの民需向け研究拠点と言う形となる。

 又、この流れの中で日本は、信託統治領(北ドイツ平原州)の経済的安定の為、ヨーロッパに進出する企業の実務(整備/補給)などの部門は北ドイツ平原州に設置する様に誘導する事となるのだった。

 

 

 

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