タイムスリップ令和ジャパン   作:◆QgkJwfXtqk

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005 フランスの迷走

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 日本がタイムスリップ後に主たる外交相手として選んだのはアメリカとブリテンであった。

 だがそれ以外の国家との外交交渉を行っていない訳では無かった。

 当然ながらもチャイナやソ連とも接触を行った。

 その中で、特に激烈な反応をしたのはフランスだった。

 発端は仏大使だった。

 日本政府の遣欧派遣団に随行した際、混乱予防として決められていた未来情報の提供自粛*1を破り、フランス政府へと提供したのだ。

 とは言え日本政府も情報の管理に関しては手を尽くしていた為、伝える事が出来たのは、未来でドイツと戦争になり、フランス国家が塗炭の苦しみを味わうという情報だけであった。

 又、日本がフランスと比べて遥かに高度な文明水準にある事は、1925パリ万博に日本館とは別個に臨時出展したパビリオンで伝わった。

 フルカラー写真に始まって各種工業製品その他の展示物。

 その中でフランス人の目を引いたのは、公害対策であった。

 有毒な物資を除去する技術と言う項目に、フランス人は自国領内に存在する世界大戦の古戦場 ―― その毒ガスの汚染地帯対策を日本に要求したのだ。

 日本側はアフリカからのレアメタルなどの資源輸入を対価として受け入れる事となった。*2

 日本国によるフランス北部の古戦場危険地帯の除染と再生計画は、フランスが想定するよりもずっと手早いものとなった。

 この事を知ったフランス内の政治集団が、日本を親フランスとし、利益の供与を行わせる為の政治外交活動を行った。

 それは難航していたワシントン軍縮条約に関する日本の処遇問題である。

 日本、ブリテン、アメリカの交渉内容を把握はしていなかったフランスは、会議場にて日本に対する厚意の表明を行った。

 35,000t級 14in.砲を搭載する戦艦2隻の新造許可である。

 同時に、戦艦は2隻を上限として、その余剰となった保有枠を空母と巡洋艦の枠に転用させる。

 これをもって日本のワシントン軍縮条約体制への継続的な参加を要求したのだ。

 なし崩しでの決着を目論んでいた日本、ブリテン、アメリカは慌てた。*3

 日本は必要性の薄い戦艦を建造するなど面倒くさいと思い、ブリテンとアメリカは、日本が何を生み出すかで戦々恐々となったのだ。

 とは言え、条約型戦艦を2隻だけ。

 他の洋上戦力に関しては既存の予定通りであった為、発言を受けての直近では混乱したものの、それ以降はブリテンとアメリカは好意的に受諾する事となる。

 そうなったが為、日本は必要性の乏しかった戦艦というものを建造する事となった。*4

 

 

――植民地経営への組み込み

 日本とブリテンとの交渉を見ていたフランスは、遠隔地であるベトナムでの鉄道建設などを日本に委託する事を考えた。

 天然資源が採れるので、港湾設備などの建設費用も出させる事で、資源の提供を対価に出来ると踏んだのだ。

 日本も、天然ゴムなどの供給元として有望であった為、このフランス政府の思惑に乗る事となる。

 

 

 

 

 

 

*1

 これは、未来情報を元に今、生きている人の選別が行われるのではないかとの危惧が成された為の要請であった。

 それも日本政府の独断では無く、米国や英国大使館を中心とした在日本大使館協議会が日本政府の要請を受けて検討し、承諾した内容である。

 この為、情報提供事件発覚以降は在日仏国大使館及び仏国人に対する待遇は極端に悪化する事となる。

 又、この行為が、後に独国大使館員の隠れネオナチ ―― ナチスシンパによる暴走を生み出す。

 

 

*2

 日本側からの要望では無く、フランス側からの要請であった為、この費用に関しては適正利益を確保する事に成功した。

 大型重機の投入や、毒ガスの化学物質中和剤の研究が行われた。

 化学物質の研究に関しては、研究施設をフランス領内に設置した為、その知見はフランスの科学技術の発展に貢献する事となる。

 又、後にはこの経験で日本の持つ土木技術に着目したフランスは、アフリカやベトナムでのインフラ整備を日本に委託する事となる。

 尚、毒ガスによる汚染地帯の浄化であるが、領域が極めて広大である事から、現地調査をした陸上自衛隊経由でフランス政府には100年からの時間が必要である旨、報告書として提出されている。

 これにフランス政府は了解する。

 この環境改善に必要なコストはフランスが1元の窓口となるが、同時に、この経費の半分をドイツ側にフランス政府は押し付けた。

 一方的な要請、要求、命令に対しドイツ政府は、そもそもとしてベルサイユ条約の中に北フランスの戦災補償は含まれていた筈だと反発、フランス-ドイツ間の政治的な緊張に繋がる。

 

 

*3

 主たる軍縮対象が戦艦であったが為、日本は戦艦を保有しない事と、空母の更新に関して条約の枠内で行う形とする事で、オブザーバー参加という地位へと日本を落ち着ける事を考えていた。

 それがフランスの()()によって御破算となったのだ。

 

 

*4

 政治からの要請だけで戦艦の建造を簡単に決定出来た理由は、建造費用だった。

 大和型戦艦の建造費用を元にした試算をした際、2,000億程度という数字が出た為、その程度であれば特に問題なく建造は可能だと判断されたのだ。

 実際問題として、艦歴を重ねたこんごう型護衛艦の更新も検討されており、そちらの更新が1隻辺り1,500億と見られていた為、こんごう型の更新を数年遅らせるだけで対応可能なのだ。

 とはいえ、建造を命じられた海上自衛隊は全くと言っていい程にやる気が無かった。

 2020年代に入って漸く得られた増員で低充足の艦を満たし、念願の60,000t級正規空母を運用しようとしていたのだから、新たな必要性の乏しい艦に人員を喰われてはと思うのも当然であろう。

 不満はあれども政治に逆らえる筈も無く、結局、こんごう型イージスシステム艦の代替として、エリア防空システム艦として建造検討を開始した。

 エリア防空能力を持ち、戦艦としては基準で20,000t級、主砲は5in.砲単装砲を4門積んだ程度でお茶を濁そうとした。

 それに待ったをかけたのが陸上自衛隊である。

 米海兵隊から戦艦が揚陸作戦時の火力支援手段として実に有力であったという情報を受け、積極的な建造を支援する事となったのだ。

 又、フランス政府からの助言として、この時代は政治的には戦艦の保有こそが国力と国威を証明するものであると伝えられた為、日本政府は海上自衛隊に「一見して戦艦と判るフネ」としての建造を命令する。

 1年の検討期間後、最終的には35,000型甲種護衛艦として建造される事が決定する。

 基準排水量35,000t 13.5in.砲3連装3基を搭載する、堂々たる戦艦となる。

 基本設計は日本帝国海軍戦艦群の最終形である大和級を手本とする事となる。

 速力は、護衛艦として最低でも30ノットとされた。

 主機はガスタービンを採用する。

 主砲に関しては、大口径砲の製造技術を持たない為、ブリテンで余剰となっていたキング・ジョージⅤ級などの予備砲身の提供を受け、砲塔自体は機力による自動化を極限まで推し進めたものを新造する事となる。

 又、砲身に関してはサーマルジャケットを兼ねた水冷ユニットを被せる事で、機力による発砲速度の上昇に備えるものとされた。

 尚、この計画が公表された時、帝国海軍趣味者の間では、B-65型超甲巡の焼き直しだと言ったモノが居たが、それは正鵠を射たものであった。

 艦橋こそパゴダ型ではなく、あさひ型のデザインを踏襲した上で大型化高層化したものであったが、それ以外の船体の形や主砲の配置などはB-65型超甲巡によく似ていたのだから。

 艦名はやまと。

 35,000tのフネに付ける事には批判もあったが、戦艦はこの2隻をもって最後になる事が想定されていた為、この艦名が採用される事となった。

 

 




2019.04.22 文章追加
2019.05.08 文章修正
2020.08.25 文章修正
2020.08.25 脚注修正
2022.06.07 文章修正
2022.10.18 構成修正
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