タイムスリップ令和ジャパン   作:QgkJwfXtqk

6 / 51
06.1926 令和の始まり

+

 アメリカ、イギリス、そしてフランスとの交渉により、食料と資源の輸入に成功した日本は、取りあえずは1息つく事が出来た。

 タイムスリップによる混乱と不安も、取りあえずの石油資源と食料が調達出来た事で治まる事となった。

 内需、日本国を運営していく上で必要な物資は、現段階のものでは全然足りるものでは無かった。

 又、輸入が出来る様になったとはいえ、それを運ぶための船団が、タイムスリップによって半減してしまっているのも痛かった。

 特に、宝石よりも貴重な日本人船員の多くが失われているのがとても痛い。

 だが、それでも尚、日本は国家の破断面を前に踏みとどまる事には成功していた。

 

 又、国際舞台に立つ事も可能となった。

 これを期に今上天皇明仁陛下は引き伸ばしになっていた退位を決意(※1)。

 日本政府も承認した為、1926年をもって浩宮殿下による皇位継承と改元が交付された。

 奇しくも1926年は昭和天皇の即位と改元の年であった。

 

 

――日本連邦国 成立

 新天皇の即位を祝う即位の礼が行われる。

 この際、列強各国、及び国際連盟へと加盟した各独立国、未加盟の国家へも招待状が送られた(※2)。

 併せて即位を記念する国際観艦式の開催も決定する(※3)。

 又、即位の礼に合わせて、日本国に北日本(樺太)邦国、朝鮮共和国、台湾民国、南洋邦国、千島共和国(※4)の5か国が参加する日本連邦国の設立が宣言される事となった。

 無論、形式としてのものであり、国家としての体裁を整えるのは当分先ではあったが、慶事に合わせるというが為、実施された。

 尚、諸外国からは天皇を戴く国家では変わりが無いため、インペリアル・ジャパンと呼称される事が多かった。

 特に北日本邦国人や朝鮮共和国人などが海外に渡った際に「帝國臣民」などと自称していた事も理由にあった。

 憲法は日本国憲法、法律も日本国に準じたものを使用する。

 その上で、各邦国に合わせた法律が施行されるものとされた。

 外交は日本連邦国としても行うが日本で行う、各邦国は独自での外交活動は禁止とされた。

 国防は日本国の自衛隊。各邦国で整備する治安維持と国境線の保護を主目的とする連邦軍、そしてそれらを束ねる統合軍が建軍された(※5)。

 

 

――経済政策、内需の拡大政策

 喫緊の課題となったのが、内需を動かす為の資源の輸入であった。

 アメリカ、ブリテン、フランスから輸入する諸鉄鋼材、食料、石油、天然ゴムなどの品目だけでは、日本国内の需要を賄う上で全く足りなかった。

 当座は、在庫を持って対処する形とはなるが、木材を筆頭に、早期の輸入を図るべき物資は山ほどに存在していた。

 この問題に対処する為、内閣府の下に戦略資源庁が創設された。

 経済産業省と外務省の人材に加えて、大手商社や地質等の学者などの人員を集めた、資源開発と輸入の専門庁である。

 調査部門には自衛隊からの護衛役まで配置する手厚さであった(※6)。

 取りあえず、植民地への投資が可能となっているブリテンとフランスの植民地からの資源開発と購入とが進められる事となった。

 又、植民地などで交易をする際に現金が必要となる為、現在のバーター取引外の現金(主にポンドとドル)を確保する必要性が出て来た。

 この為、戦略資源庁は資源調査と並行して、輸出可能な商品の市場調査も同時進行する事となる。

 対象は富裕層、及び官庁である。

 高額商品を大量に仕入れてくれそうな場所が、利益率も良いとされている。

 

 

――日の丸船団の構築へ

 半減した日本の船団の再構築は、急務であった。

 船も人も不足していた。

 パナマ船籍などの乗組員は、国籍の多くがフィリピンなどであった。

 この日本への定着、乃至は祖国への帰郷に関しては、日本と当該国との間での外交に委ねられた。

 日本としては重要な船乗りとして厚遇をし、諸外国側も未来を知る人間として厚遇を約束した為、綱引きが発生していた。

 只、祖国に帰った者の多くが、縁者も無く、生活水準の低さに根を上げて、日本への帰順を希望するのだった。

 

 

 

 

 

(※1)

 生前退位は御高齢もあって当初より予定されていたのだが、中国や韓国を筆頭とする周辺諸国との国際環境の悪化から国内を混乱させる事は本意ではないとの大御心により引き伸ばされていた。

 

 

(※2)

 海外からの賓客を招く事は、未来情報の漏えいに繋がるとの懸念が出されたが、遅かれ早かれ伝わるだろうし、そもそも、出島の様なモノを作って物資と情報のやり取りを制限するなど土台、困難という開き直りがあった。

 特に、インフラ整備で日本から民間人も海外へと派遣する為、どれ程に契約で縛ったとしても無理であろうと言うのが有識者会議の結論であった。

 であれば、世界の事は世界に任せるという、良くも悪くも適当な対応を行う事が決定された。

 

 

(※3)

 国際観艦式の開催に関しては、観艦の賓客としての招待を即位の礼の際に行ったが、各国は日本の洋上戦力の様子を見る為として、観艦式への参加を表明する事となる。

 最初に手を挙げたのがフランス。

 当初は謝辞をした日本であったが、祝いたいとの好意を盾に言われては固辞できるものでもなく、フランス艦の参加を受諾する。

 であればとアメリカとイギリスも手を挙げ、後はなし崩しの様に参加国が増えて行った。

 尚、この時点では立場の未確定であった在日米軍もCVNを参加させる事とはなっていた。

 

 

(※4)

 北方4島を含む千島列島は、日本と一緒にタイムスリップした。

 故に、露国人が在住していた。

 日本としては人道的支援として食糧援助をしつつ、その帰属に関して頭を悩ませた。

 全島を日本に編入するつもりではあるが、現住する露国人を粗末に扱うのは目覚めが悪いというものであった。

 だが、問題は意外な事に簡単に片付いた。

 千島列島の露国人が、自分たちで投票と意思統一を行い、日本への帰順を申し出たのだ。

 そこには千島列島に駐留する露国軍も含まれていた。

 朝鮮/台湾方式での日本への、日本連邦(当時は構想段階)への参加表明、それも露国大使館を通じてだ。

 彼らの殆どが、ソ連に郷愁は感じていた。

 同時に、スターリンに対する恐怖を感じていた。

 言わば露国から日本への亡命であった。

 但し、極々少数の人間が日本への帰順を拒否し、こっそりとソ連へと渡っていたが。

 

 

(※5)

 将校の教育に関しては意思疎通を図る意味でも、日本国での実施に一元化する事となった。

 この為、防衛大学校の規模拡張と空陸海の教育施設も拡張される事となる。

 余談ではあるが、緒邦国人が日本の本土で生活する最初の例であったが為、悲喜交々の物事が発生し、又、この場を介する事で日本の情報が各邦国へと伝わって行った。

 

北日本(樺太)邦国

 ソ連との国境を抱えている為、邦国軍として国境警備担当の3個歩兵連隊が編制される事となる。

 基幹となるのは、日本帝国陸軍樺太駐留部隊であった。

 小銃などの装備は日本陸軍のものが使用されるが、自動車に関しては日本製のトラックなどの各種車両が提供されている。

 大量調達の関係上、トラックメーカーの民生品規格を配備している。

 日本帝国陸軍軍人のみで構成されている性格上、日本帝国陸軍の気風を一番に色濃く残している。

 

朝鮮共和国

 ソ連、チャイナと国境を接する関係上、邦国軍は国境警備担当として2個自動化師団が編制される事となる。

 基幹となるのは日本帝国陸軍経験者であるが、大多数は朝鮮共和国人が採用されている。

 装備は北日本と同様の調達となっている。

 

台湾民国

 国境線を接する国家が無いが国土が広い事もあり、2個歩兵連隊による警備部隊が編制された。

 装備は北日本に準じる事となる。

 朝鮮共和国と同様に台湾人が将兵の中心となっている。

 又、水上警備部門が発足した。

 此方は元々は日本帝国海軍が担当していた海洋保安業務を引き継ぐ事を目的としている事もあり、当座は海上保安庁から人員を派遣し教育し、船舶も海上保安庁からの移管したもので発足する形となった。

 新編という事もあり、構成員の殆どが台湾系日本人である為、台湾では誇り高く扱われる事となる。

 

南洋邦国

 その国土の関係上、設立されたのは海洋警備部隊としての性格が強い組織となった。

 歩兵は首都に置かれた1個歩兵連隊(1個大隊規模)のみでありながら、これは邦国としての名誉を重視した結果である。

 装備は関東処分で発生した余剰装備が充てられた。

 台湾民国と同様に海上保安庁の肝入りで部隊が編制される事となる。

 尚、日本帝国の管轄下になってまだ時間も少なく、教育制度その他の整備が行われていなかった為、南洋邦国人による部隊編成は困難であり、日本や他の邦国で雇用された人間が派遣され、編制されている。

 

千島共和国

 駐留していたロシア軍を元に編成される。

 日本とソ連との緊張も無い為、3個連隊の歩兵部隊に再編された。

 これはロシア製装備の整備が今後、困難になる事が予想された為、予備として保管はするものの、主力装備から外す為である。

 日本が細心の注意を払って対応する邦国でもある。

 又、将兵の交流と相互理解は最優先で行われている。

 

 

(※6)

 海外で展開する陸上自衛隊という事で、後の時代にはスパイもの的な娯楽作品の題材とされる事が多かった。

 とは言え、スパイ的な作業など殆どなく、調査団の護衛任務が主であったが。

 

 

 

 

 

 




史実より8年程遅れて令和スタートです。

 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。