タイムスリップ令和ジャパン   作:◆QgkJwfXtqk

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070 日本連邦-1

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 混迷を深めつつある世界にあって日本は、その世界戦略(ドクトリン)の策定 ―― 或は世界に対する日本の立ち位置を再定義する必要があると感じていた。

 圧倒的な国力に任せた場当たり的な対応、国際連盟と友邦国(G4)に任せた世界秩序の維持では無く、責任ある国家としての力の行使である。

 タイムスリップから15年が経過し、日本の国内状況の安定と好景気に支えられ、政府が長期政権となって余裕を持てた事が、この日本の再定義に繋がった。

 又、欧州に端を発して立ち上る戦雲を前に国内を引き締め、かかる戦乱に立ち向かえる準備を改めてしようと言う事となった。

 それは前年に行われたG4の連絡部会にて決定した将来に想定される対ドイツ戦役への備えを、日本連邦統合軍と言う部門にだけ限定するのではなく、国家としてどう立ち向かうのかと言う政治/戦略水準で考えようと言う発想であった。

 日本国会で喧々諤々の議論が繰り広げられ、拡大国家安全保障会議(NSC-U)では日本と各邦国の主要閣僚による日本の国家戦略に関する骨子の構築が話し合われる事と成る。

 

 

――シベリア共和国

 日本国及び日本連邦に参加する7ヵ国の経済共同体であり、互助を目的とする国家であると再定義された。

 この議論の中で対ソ連互助的な要素の強かったシベリア共和国は、同盟の延長線上としての帰属では無く日本連邦への国家統合に関し改めて国民投票を行う事と成る。

 とは言え、大きな混乱が起こる事は無かった。

 1つには隣国であり対立する敵 ―― ソ連がある以上は単独で国家の生存は困難であると言うシベリア共和国民の冷静な判断があった。

 それはシベリア共和国と言う国家の持つ性格でもあった。

 誰に、何処に帰属するかが問題では無い。

 ソ連の圧政から逃れ、人として生き続ける事が目的という、ある種の生存の為の互助会的な性格だ。

 であれば、圧倒的な国力を持つ日本連邦の庇護下に居続ける事に拒否は無かった。

 又、自由であり尊重されると言うものも大きかった。

 統治者としての日本は、シベリア共和国を植民地の様には扱わず、教育制度や統治システムを構築するにしてもロシア人の意見、風習、感情に出来るだけ配慮していた(※1)。

 その上で経済発展である。

 1936年の独立戦争終結後に行われた日本資本を中心とした投資は、シベリア共和国国民の生活水準を常に向上させる事に繋がった。

 寝ていても成果が得られる筈は無く勤勉である事は求められたが、努力に対する対価は常に約束されていた。

 その上で各種社会保障の充実に向けた努力も宣言されていた。

 全てが完璧な訳では無い。

 だが努力する事への成果は期待できる、未来を夢見る事の出来る国家へと育ちつつあった。

 この為、ソ連共産党出身者は日本こそが社会主義的国家ではないかと思う程であった。

 ソ連時代の弾圧を受けた記憶が濃厚であった事もあり、日本連邦への国家統合的参加に関する国民投票は可決される事となった。

 

 

――グアム共和国

 日本連邦に所属しながらもアメリカのグアムであり、その忠誠は米国に捧げられている特殊な国家としての位置づけに変化は無い。

 只、生活物資の大半が日本から輸入され、又、高学歴者の多くが日本に出稼ぎに行くようになっている為、生活スタイルに対する日本の影響は大きくなっていた。

 日本連邦の邦国として唯一、無条件での日本本土との人の流動が可能であると言うのが大きかった。

 日本連邦の中でグアム共和国は別格の地位にあると言える。

 又、グアム共和国軍(在日米軍)の高級将官は日本連邦統合軍幕僚本部に出向しており、日本への影響力も大きかった。

 この為、所属の定まらなかったタイムスリップ時点での日本滞在旅行者で英語を話せる者の多くがグアム共和国へ帰属する事となる。

 日本人でも米国文化に憧れた人間の流入があった。

 そして、アメリカの準州であると言う事から、アメリカからも少なからぬ人間の流入があった。

 これはグアム共和国軍の維持に向けた人員の融通と言う側面と同時に、米国の軍事技術と知見の吸収と言う狙いがあった。

 この為、グアム共和国は米国の文化を根幹に置きながらも、混沌とした国家へと成長していく事となる。

 

 

――台湾(タイワン)民国

 軽工業を主体とした日本企業の進出が行われており、その経済発展は目覚ましいものとなっていた。

 政治的に安定している台湾は、島国と言う事から大陸からの浸透などを警戒せずとも好い為、日本政府が企業の海外進出先として薦めていると言うのも大きかった。

 この事が、台湾民国の民意を益々もって日本側に引き寄せさせる事に繋がっていた。

 とは言え統治機構に関しては台湾での高等人材の教育が進んでいない為、未だ日本の支援に頼っている側面がある。

 

 

――朝鮮(コリア)共和国

 タイムスリップ以前の日本と大韓民国との問題に端を発した関係の問題に関しては、今だ尾を引いているというのが現実であった。

 日本企業の進出は余り進んではおらず、経済的には台湾(タイワン)民国の後塵を拝していた。

 だが、そうであるが故に朝鮮総督府時代からのコリアに居たジャパン人が日本との折衝を行い、半島北部での鉱山開発を根幹とした経済発展に努力していた。

 とは言え、大きな経済の柱は傭兵であり続けていた。

 アメリカの要請を受けてフロンティア共和国へと派遣している兵員は、年間で5万人を越えており、莫大な外貨を齎していた。

 又、日本とフロンティア共和国との間での貿易中継点としても活躍しだしていた。

 日本の了解の下でアメリカ企業も進出してきており、フロンティア共和国に最もアクセスし易い日本連邦領と言う面から、地道ながらも堅実に発展しつつあった。

 フロンティア共和国との経済的な結びつきが強い朝鮮(コリア)民国は、グアム共和国とは別の意味でアメリカの影響が強い国家であった。

 尚、教育に関しては、大韓民国での失敗を精緻に調査し、間違っても反日運動が起きぬ様に考えられた日本との統合を目指す方針が採られていた。

 この点に関して、北日本(ジャパン)邦国や台湾(タイワン)民国と強い共同歩調を採っていた。

 

 

――北日本(ジャパン)邦国

 日本人と似て非なるジャパン人と言う位置づけは、中々に難しい側面を抱えていた。

 基本的に日本帝國の末裔と言う意識が強く、尚武の気風がある。

 とは言え、意思疎通の簡便さがあって、日本企業の進出熱は高い。

 国土的には産業の育成が難しい場所である為、漁業が主体となっている。

 日本としては、ある意味で一番に経済発展に向けた協力を行っている邦国であるが、同時に日本帝国時代の文化も尊重する必要がある為、その政策に関しては難しい部分がある。

 この為、ジャパン人の若手人口の少なからぬ数が、経済活動に勢いのあるシベリア共和国に出稼ぎに出ていた。

 その上で、ロシア系日本人の嫁を見つけて帰国する例が多く、日本帝国の末裔であると同時に、日本より混血の進む国家に育ちつつあった。

 又、旧日本帝国軍人の多くは日本連邦統合軍 ―― 自衛隊へ参加する事となる。

 

 

――オホーツク共和国

 グアム共和国と並ぶ、タイムスリップ以前の国家 ―― ロシアの存在感を残す国家ではあったが、国家の維持に必要なインフラや物資を日本に頼る他ない為、国土の狭さもあって急速な日本化が進む国家であった。

 日本ソ連戦争によって旧ソ連軍人が一時期、大量に居たのだが、主要産業が漁業であった為、シベリア共和国が日本連邦に参加すると共に、海の苦手な者を中心に出稼ぎ、乃至は移住を行った。

 繁栄しているとは言い難いが、北樺太の油田によって安定して国家経営が出来ていた。

 ある意味で、邦国群の中で一番に呑気な立場の国家となっていた。

 

 

――南洋(ミクロネシア)邦国

 国家としての基盤の無い状態であった為、独立から10年以上も経過しても完全な自治は見えてこないのが実状であった。

 現地語での高等教育が困難であり、島々での文化の相違から日本語が完全に共通語として定着している。

 本来、日本としては日本本土から離れた南洋(ミクロネシア)邦国を維持する積りは余り無かった ―― 放棄するのも寝覚めが悪いと言う程度の意識で受け入れ、将来的な独立を目指した領域であったが、教育方面からの急速な日本化が進んでいる為、国民が自己を日本人として認識する様になっていた。

 主要な産業は観光と漁業、駐屯する日本連邦統合軍(※2)と言う有様で在り続けた。

 現在、本格的な宇宙開発拠点としての整備が検討されており、南洋(ミクロネシア)邦国としては新しい産業に繋がると賛成の方向で動いている。

 

 

 

 

 

(※1)

 シベリア共和国に対する日本の配慮は、日本がオホーツク共和国との関係で積み重ねた経験が元になっていた。

 無論、国家統合 ―― 日本連邦への完全な参加に伴う日本語教育や日本国憲法を前提とした人権教育 ―― 日本人化が要求され、実行される事とはなっているが、それも3世代50年程度の時間を見越した、時間を掛けたものとされた。

 

 

(※2)

 領海警備部隊が主であり、南洋方面での緊張が無い為に、大きな部隊が駐屯する事も無かった。

 とは言え港湾設備は十分なものが手配されており、官民の遠洋航海訓練の支援に使われたりしている。

 

 

 

 

 

 




2019/12/02 文章修正
2020/02/15 文章修正
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