一話 失敗
西暦2218年、地球の天然資源は枯渇したが宇宙探査により見つけた謎のエネルギーである圧縮エネルギーを発見しこれを様々な物質に変換することで人類は生活を行ってきた。
圧縮エネルギーは白い20㎝あまりの球体で無限にエネルギーを排出し続ける所謂永久機関である。
人類は様々なものに変換が可能な圧縮エネルギーなら、そこから量産が可能なのではないかと考え着いた。
そこから圧縮エネルギーを増やす研究を行ったのだが、結果は簡単にわかることだった。
念じるだけで増えるのなら圧縮エネルギーだって同じようにやればいいだけの話なのである。
地球連合は宇宙からの来訪者に備え、軍事力の強化に全力を注いだ。
まず、機動艦隊の設立。
宇宙では基本的に戦いに用いられるのは戦艦であり、地球の対宇宙ミサイルでは太刀打ちはできるが手間がかかるなどの問題が発生しているのだ。
そこで、噂の圧縮エネルギーを動力とした超高出力の戦艦の製造に着手した。
春菊計画である。これまでの戦艦のデータを破棄して一から設計図を組み立てて地球全てのテクノロジーを結集した機動戦艦を2年という少ない年月で完成させた。
試験運用にてテストパイロットを務めるのは春菊計画の発案者であり、設計を一から組み立てた博士である。
彼の熱意によって政府は許可した。
試験運用当日…。
燃料や弾薬の詰め込み作業が終わってシステムチェックが行われている。
エンジンに異常なし。主兵装・副兵装ともに異常なし。補助OS・補助AIともに異常なし。
システムオールグリーン。
遂に春菊が飛び立つ瞬間が来たようだ。
発進シーケンスが読まれてゆく。
5,4,3,2,1…発進。
背部にあるギガントブースターから発射される衝撃波は周りにあるものを吹き飛ばす。それほどの威力がなければこの超重量の機動戦艦が浮力を得ることは無いだろう。
勢いが付き始めたら高度を瞬く間に上昇し始める。
1000,2000,5000,10000と高度を高めてゆく。
気づけば周りは暗くなっており、宇宙に出ていた。
艦内には重力発生装置が作動しており、そのせいか宇宙に出たことが全く分からないのだ。
それについては問題がないので良しとしよう。
試験運用の本題に入ろう。
今回の試験内容は、宇宙の来訪者を春菊の武装をフルに使って殲滅するといった内容だ。
早速宇宙人の艦隊(数は20)をレーダーにて発見。
既に射程距離圏内に入っているので対惑星兵器である核融合ミサイルを三発のみ発射する。
発射してから30秒後着弾し眩い選好が辺りを包み、衝撃波を発している。
これは兵装のごく一部であり、まだこの戦艦の本気とは程遠いだろう。しかし、これにて宇宙の来訪者の反応がなくなったので帰還指示が出ていた。
致し方なく、春菊は帰還のために大気圏に突入した。
その時博士は壮大なミスに気づいた。
本来ならば大気圏突破のために圧縮エネルギーを用いたバリアフィールドを装備しておくのだが、今回の運用が楽しみでついバリアの搭載を忘れてしまったのだ。
既に大気圏に突入しているため後戻りができない。
直に衝撃が当たっているため、艦の一部がはがれて取れてゆく。
航行不能なまでにダメージを受けたため、艦内にアラームが鳴り始める。
今回のイレギュラーな出来事には想定がなされていないため、AIやOSは頼りにならない。
どうしようもない状態で20歳である博士は悟った。
これはもうあきらめるしかないと。
機動戦艦春菊は博士の悟りの通りになすすべなく大気圏の中を燃え尽きていき圧縮エネルギーに引火し、地球の八分の一が消えるほどの大爆発を引き起こして地球が大被害を被る人類歴史最悪の黒歴史となったのだった。
永久機関による爆発は大規模なものだと相場が決まっていると思います。