この章ではこの世界での艦娘の在り方、扱いをちょっとづつ出しつつも話を進めていきたいと思いませう。
「知らない天井だ…」
「目が覚めましたか?」
お決まりのセリフを言えたかと思えば、アスフォルトとの熱いキスを経験させてくれた女性が視界の隅からひょっこり顔を出してきた。
周りを見渡せば、よくある保健室のような部屋に俺が寝ているベットのほかに二つ並べてあった。
窓の向こうは既に薄暗く、これから明けるというよりかは夜に近づいているようだった。
再び視線を眼鏡の女性に戻す。
髪を腰まで伸ばし、眼鏡とカチューシャがトレードマークであろう女性だ。
うん、美人です。
「あぁ、あんたか」
「ご気分は?」
「良くも悪くも、初めてを失った気分さ」
「それは、良い経験をされたようですね。」
皮肉も通じなければただの自虐ってか
「それより、あの日の後日談が気になりません?
興味がおありでしたらお話ししますよ、橋間提督が来られるまでの繋ぎとして」
橋間提督…初めて聞くけど、提督=司令官 だとすれば、あの時の男が橋間提督になるわけで。これからの
「興味があるね、んでもってお姉さんの名前と司令官とどういう関係なんですかい?」
「そういえば、名乗り遅れてましたね。私は大淀型軽巡洋艦の1番艦、大淀です。
燕さん、いえ特型駆逐艦、5番艦の叢雲さんと一緒に肥前鎮守府に着任します。ですので、橋間提督とは上司と部下の関係となります。艦隊旗艦として特化設計された軽巡洋艦ですので、戦力としては期待しないでくださいね。それでも万が一の時には
そこで区切り、よろしくお願いします。と右手出されたので握手で返しておく。
「まず、一番重要な事ですが。いくら着任時期が同じといえど、あなたは新入り。私はほかの鎮守府からの異動。私の方が艦娘歴も長い先輩ですのでその辺は弁えておいてください。
艦娘の除隊時で一番多い理由は行方不明です。誘拐、凌辱、殺害、どのような
あ、この人は鎮守府内で一番怒らせてはいけない人だわ。
「わかりましたか」
「はい!知らなかったとはいえ、これまでの無礼を失礼しました!」
「わかっていただけたのなら良いんです。
では、本題に入りましょう。あの日からは二日経っており、ここはキュウシュウの北部にある肥前鎮守府です。
既にあなたが叢雲として
手術の内容をお知らせすることは出来ませんが、次起きるときにはその肉体で起きることは無いと考えておいて貰って結構です。
ここまでで何か質問はありますか?」
「では、いくつか…その手術の成功率は」
「約99%成功します。その為の適性検査です。後遺症等もまずないでしょうね。しかし、ごく一部で後遺症、手術失敗も確認はされています。ですので、最低限覚悟をしておいてください」
「その手術は大淀さんも受けたんですか」
「いえ、私はドロップ艦と呼ばれる、特定条件下によって海上にて自然発生した艦娘です。
ですので、私は手術を受けていません。先ほど手術内容をお知らせできないと言いましたが、正しくは私は手術を受けていないので知りえない。が正しいのかもしれませんね」
そこまで聞き終えたところで扉が開き、司令官が入ってきた
「やあ、目覚めたみたいだね!改めて自己紹介。私の名前は橋間 和義、階級は大佐だ。これからは大淀君共々よろしく頼むよ」
声はどこにでもいそうな中年男性そのものだというのに、見た目は服の上からでもわかるくらいに鍛えられているであろう肉体だ。
司令官だというのに今回は軍服ではなく、スウェット姿。だというのに、ヒシヒシと伝わってくるプレッシャー。
初めて会ったときは何も思わなかったのに、今回は違う。これが司令官か…
こりゃあ、俺が検査に落ちるのも頷ける。
「こちらこそ、後戻りできないところまで来ていることがわかりましたんで…
ですが、司令官一つ聞きたいことがあります。お時間よろしいでしょうか」
「もちろんさ、私が答えれる範囲なら何でも答えよう」
「ありがとうございます。では、一つだけ、貴方にとって艦娘は道具ですか?それとも仲間と呼べる存在ですか?」
「ふむ。」
顔色が変わったのを見逃さなかった。段々と険しい顔付に変わっていく。
「その質問に答える前に、私から質問させてくれないか」
「どうぞ」
「君にとってサッカーや野球において、ボールはどういう存在かな?」
「…道具ですかね」
「つまりは、そういう事だよ。
翼少年のようにボールは友達さ
私たちは戦えない、私たちだけでは深海棲艦共には勝てない。
戦うために、勝つために、生きていくために君たち艦娘が必要だ。君たちは仲間であり、娘のような存在だ。
道具扱いするわけが無いだろう?」
「わかりました。俺もあなたを含め、この国のために命を懸けます。
手術をお願いします。」