大淀さんが教えてくれている時間が正しければ、泳ぎ始めて1時間が経った。
クロールに始まり、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライ。この4種類をひたすらにローテーション、止まることは許されずに泳ぎ続けた。
そして、私は海と一つになったおぼれた。
「大淀君、叢雲君、建造成功した…よ!?」
「初雪……です……よろしく!?」
「あら、提督に初雪さん。
ん~、ちょうど(溺れて)キリもいいですし休憩にしましょうか」
初雪は後にこう語ったという。
「…もうやだ、帰りたい。」
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目が覚めてみれば、海の中ではなく床の上で寝転んでいた。記憶を失っていたみたいだ。
「大丈夫…?叢雲ちゃん」
声を掛けられた。
声のする方を、上半身を起こし探す。そこにいたのは…
「初雪…?」
見たことなどなかったが、わかる。
間違うなんてありえない。俺になかったはずの、艦としての記憶がそう告げていた。
ドサッ!
初雪が勢いよく抱き着いてきて、その勢いのまま初雪の下敷きにになるように床に倒れた。
「叢雲ちゃん…!こわ、かった、また…私の目の前で、沈んじゃうんじゃないかって…!よかったよぉ…!」
泣きじゃくる初雪の身体を抱きしめ、片手で頭をなでる。
「ごめんね、あの日からずっと苦しかったよね、辛かったよね。
また会えて、こうしてまた肩を並べて戦えるんだ。今度は、初雪をおいて行ったりなんかしないよ」
初雪と会うのは初めてだったし、俺自身意図して言葉が出たわけじゃなかった。
艦であった叢雲が、俺の身体を介して初雪に伝えたのかもしれない。
そういう事にしておこう。
程無くして、泣き止んだ初雪は俺の身体から離れてそっぽを向いてしまった。
「実際に肩を並べて戦ったのは、ガダルカナルで怒られた時くらいしか覚えてないし…」
「いやいや、もっと有ったっじゃないか、なんで寄りにもよってそのエピソードなんだよ」
初雪の顔を見れば、うっすら赤みがかっている。
「…恥ずかしがってるのか」
この独り言が聞こえていたのか、初雪の顔がもっと紅く染まった。
「う…!もういいし、引きこもる。」
パン!
「はい、休憩は終わります。初雪さんも、ちょうど艤装もそのまま装備してきているので、一緒に海上歩行訓練に参加してもらいましょうか」
手を叩き、初雪に対して死の宣告をする大淀さん。
どんどん顔が歪んでいく初雪の手を引っ張り、再び海に入っていくことにした。
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1週間がたち、出撃の日がやってきた。
出撃の日の朝、初雪と二人並んで司令官の前にたっていた。
「うむ。
先日から予定していたように、鎮守府近海海域奪還作戦を開始する!
本日マルハチマルマルよりその、第一作戦となる鎮守府正面海域を攻略する。二人には、叢雲を旗艦とし、初雪を随伴艦として出撃してもらう、細かい作戦はない。君たちの今日までの訓練の成果を示してくれ!
偵察してきてくれた妖精さんたちが言うには、駆逐イ級と軽巡ホ級の集まりだ。君たちの実力をもってすれば、チハとシャーマンみたいなもんさ。力でねじ伏せてこい!」
「了解、マルハチマルマルより、初雪を随伴艦に旗艦叢雲出撃します。」
「初雪、りょうかい…です」
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出撃ドック
「初雪、絶対一緒に帰ってくるよ。だから…」
「ありがと…がんばる」
「うん。」
初雪と少ない時間だったけど話して出撃準備を整える。
『半径1㎞敵影なし、ドック開けます。』
出撃ドック内に、大淀さんの声でアナウンスが入る。
「いよいよ、戦場だな。…出撃する!」
「ん、行きます。」
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結果的に言えば、誰一人ケガすることなく勝てた。
もうこれでもかって程には、圧勝だった
大淀さんの鬼のような訓練をこなした俺たちにとっては、イ級の砲撃も、ホ級の雷撃も避けるに容易く。
こちらは砲撃も雷撃も必要とせず、至近距離まで近づき主砲で一撃。どんな相手だろうと、零距離からの攻撃を避けること何て出来ずに沈んでいった。
「こんなんでいいんだっけ?」
「まあ、明日から本気出す…から見てて」
俺たちの初陣は幕を閉じた。
初めて、感想をいただけましたことにこの場をお借りして、感謝申し上げます!
投稿する時間は、これまで同様午前2時のまま行きたいと思いますが、私事で申し訳ございませんが投稿間隔を二日に一度になります。
感想や評価、お気に入り登録をしてもらえることで、私のモチベが上がり、叢雲が脱ぎます!(嘘です)
これからも、よろしくお願いいたします。
解説?
チハたん…九七式中戦車。九五式軽戦車 ハ号と共に日本の主力戦車だが機械的信頼性に関して優れないところがあったらしく弱かった。
シャーマン…M4中戦車シャーマン。第二次世界大戦時にアメリカ合衆国が開発・製造された中戦車。1970年まで現役で活動しており、日本にも供給されている。
未だに、秋津洲ちゃんは着任してもらえません。