杉本たちはコタンに帰る途中で少々寄り道をしていた。
「ねえ見て杉本、れんげ福寿草の花が咲いてるよ」
「ヤダかわいい。春が来たんだなー」
「イトウって結構うまいらしいぜ、何とか取れないかな?」
「簡単に言うな、『イワンオンネチェプカムイ』だったらどうする?」
「なんだいそりゃ?」
「むかし猟師が追っていたヒグマが然別湖を泳いで逃げた。しばらくするとヒグマが水面から消えたので見に行くと、巨大なイトウがいてその口からヒグマの前足が見えたそうだ。イワンオンネチェプカムイはイトウの主だ」
「主ねぇー」
そう言って白石は桟橋を歩くと、バキッと壊れて川へ落ちてしまった。
「ここすげえ深い!!助けて冷たい!!」
「何やってんだ役立たず。ほら捕まれ」
すると巨大な魚が白石を飲み込んだ。
「イワンオンネチェプカムイだ」
「白石が食われた~~~」
「白石~」
誰かが飛び込む魚を捕まえた。
「大丈夫か白石?」
「あっ、人魚だ」
「キロランケニシパ」
「アシリパか?」
みんなでたき火をあたることにした。
「大きな皮が取れるぞ、これ1匹で服が1着作れる」
「魚の皮で服を作るの?」
「チェプウルといってな雨や風も通さない。一着の服に少なくとも50匹以上の皮が必要だ。靴や小刀のさやにも使う」
「いろんな利用法あるんだなイトウの皮は」
「でもな、イトウは皮がうまいんだ。皮を残して利用するか、それとも食べちゃうか」
「食べちゃえば~~~」
「うちも食べたいん」
あむあむ、はふはふ
「イトウおいしいん」
「香ばしくって本当にヒンナだぜ」
4人はイトウの串焼きを食べていると、キロランケは杉本の正体と自分が第七師団にいたことを話した。
「アシリパはどうしてこの男たちと一緒にいるんだ?」
「相棒だそして白石は役立たずだ、宮内は私の友達だ」
「そうかアシリパがそう言うなら信用できるだろう」
「よろしくなのんキロリン」
「キロリン?」
「気にするなれんげはいつもこんな感じだから」
キロランケは杉本たちにアシリパの本名(小胡蝶辺明日子)とのっぺらぼうの正体がアシリパの父親だと知らされた。
「信じない自分の目で確かめるまでは私はのっぺらぼうに会いに行く」
「でものっぺらぼうがアシリパさんの父親なら囚人を見つけなくたって金塊のありかを聞けるはずだ」
「無理無理、俺は全国の刑務所に入ったがあそこは段違いに厳重だ。ただし、他の人間ならな」
杉本たちはアシリパのコタンへ帰ると武器の調達のために馬に乗って札幌を目指していった。
今回は会話が多かったですが、これからもよろしくお願いいたします。