バカとテストと召喚獣withグリモア! 〜君と僕で紡ぐ青春(いま)〜   作:ウォーズ -IKUSA-

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どうもです!

2作目のバカテス小説、始動します!
はじめましての方も、1作目を読んでくれている方も、どうぞよろしくお願いします!

ではまずプロローグです、どうぞ!


Episode.0
第0話 分かれ道


明久side

 

 

これは、僕たちが振り分け試験を受ける数日前のこと。

 

「そろそろ振り分け試験だね。ハルと飛彩は、どのクラスに行くか決めてるでしょ?」

 

「もちろん、Aクラスだよ! その為に勉強頑張って来てるからね」

 

「当然だ。そうでなきゃ、こうしてハルとアキに勉強を教える訳がない」

 

話の中に出て来た2人の少年……、真境名晴陽(まじきなはるひ)唯島飛彩(ただしまひいろ)は僕が小学生の頃からの親友。

1年のとき飛彩とは違うクラスだったけど、今でもこんな風に勉強したり遊んだりしている。

 

「すまないなハル、アキ。“あんなこと”がなければ、お前たちが馬鹿を演じる必要なんてなかったのに……」

 

「飛彩……。まだ“あのこと”を気にしてるの? あれは僕が自分を抑えられなかったせいだから、飛彩が責任を感じなくて良いんだよ」

 

「そうだよ。“あのこと”に対する処罰が観察処分者(コレ)で済むなら軽いものさ」

 

 

そう。飛彩の発言で気付く人もいるだろうが、僕とハルは観察処分者だ。観察処分者とは、学園生活を送る上で問題のある生徒に課せられるペナルティであり、通称“馬鹿の代名詞”である。

なぜそのようなものに任命されたのか……。それはまた、別の機会に語ることにしよう。

 

 

「だから、僕もアキも気にしてないからそういう暗い話はしないで。 これから先の学園生活の方が大事だよ♪」

 

「……わかった。ありがとうハル、お前の明るさに救われるぞ」

 

「そういえば、環もAクラス目指してるんだよね? 誰と勉強してるの?」

 

「んー? 智花と怜と夏海とももと一緒に勉強してるって聞いたよ」

 

「そっかぁ、みんなもAクラスになれるといいね」

 

「その為にも俺も本気を出そう」

 

「じゃ、頑張ろ♪」

 

「「うん(ああ)」」

 

 

こうして僕たちは、試験直前まで勉強に打ち込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

〜振り分け試験当日〜

 

 

そしてついに振り分け試験の日になった。

この試験の成績の良し悪しで、今後の学園生活を左右すると言っても過言ではなく、みんな上位クラスを目指すべく懸命に問題を解いている。

 

(難しいっては聞いてたけど、あんなに勉強したんだ。大丈夫。今回の試験……、間違いなくAクラスに行ける!)

 

そう確信した僕は、順調にペンを走らせていると……。

 

「はぁ、はぁ……。ふぅ……」

 

隣の席から苦しそうな声が聞こえて来たので見てみると、声の主は僕の幼馴染の1人で、大切な人でもある女の子……南智花(みなみともか)だった。

フラフラになりながらも必死に試験を受けていたが、徐々にペースが落ちて行き、席から崩れ落ちてしまった。

 

「智花ッ!」

 

完全に床に落ちる前に受け止める。大事には至らないとは思うけど、念の為だからね。

 

「あ……。ア、キ……、くん……」

 

「大丈夫、智花ッ!」

 

「だめ……。わたしは、だいじょ……ぶ……。だか……ら、試験……、受け……て……」

 

消えそうな声でこう言う智花。こんな姿を見ると、胸が痛くなる。

 

 

“早く保健室に連れて行かないと”

 

 

そんなことを考えていると、試験官を務める教師が近付いて来た。

 

 

「何をしている吉井、席へ戻れ。南、体調が悪いのか? それなら保健室へ行っても構わんが……、試験途中の退室は無得点になるぞ」

 

「待ってください、先生! 付き添いは付けてあげないんですか!?」

 

「お前は黙っていろ吉井。さあどうする、南。退室するか?」

 

「た、退室……、します……」

 

「そうか。なら、行ってよろしい」

 

 

こう告げただけで何もしない試験官に、心底腹が立った。苦しそうな生徒を思いやれない、こんなヤツが教師だなんて……。

 

 

「智花ッ! 大丈夫だよ、僕が一緒に行くから!」

 

「で、でも……。アキ……くん……」

 

「こういうときは、素直に甘えて良いんだよ?」

 

席を立って智花を支える。

 

「勝手なことをするな、吉井! お前も無得点にするぞ!!」

 

「こんなに苦しそうな女の子を、1人で保健室に行かせるなんておかしいですよ! なんで付き添ってあげないんですか!? 彼女を見捨てるくらいなら、無得点になる方を選びますよ僕は!!」

 

「き、貴様……」

 

「それでは失礼します」

 

そう言って智花を背負いながら、保健室へと向かう。

教室を出る前にハルと目が合った。

 

(ハル)

 

(なに? アキ)

 

(僕は智花を保健室へ連れて行くよ。ハルはこのまま、Aクラスを目指して)

 

(わかった)

 

こんな風にアイコンタクトを取って、教室から出る。

後で何言われるかわかんないけど……、まあ良いや。智花の体調が大事だからね。

 

 

明久side out

 

 

 

 

 

晴陽side

 

 

(行ったか……)

 

 

僕はアキと智花を見送った後、再び試験問題と向き合う。アキの想いを無駄にしない為に気合を入れて問題を解いて行くと、

 

「俺に意見しやがって。……学園のクズが……」

 

担当教師がこう呟くのが聞こえた。

 

「なに……?」

 

誰よりも真っ直ぐで、誰よりも友達想いなアキをクズ、だって……? 気が付けば、あの教師のシャツを掴んでいた。

 

「おい。アンタ今何て言った? その言葉、聞き捨てならねぇぞ!」

 

「貴様も俺に楯突くのか、真境名! こんなことをすると貴様も無得点に……」

 

「黙れ」

 

「ひっ!」

 

一喝すると、担当教師は情けない声を上げる。さっきまで強気でいた姿は見る影もない。

 

「真境名晴陽、退室します。……アンタ、最低だよ」

 

 

ただ立ち尽くす教師にこう告げて、僕は教室を出て行った。

 

 

 

 

その後、保健室で智花を寝かせていたアキと合流して、これまでの一部始終を話して聞かせた。

 

「それで退室したんだ? 僕は良いんだけど、環とももは納得するの?」

 

「ううん……。多分、怒られるだろうな……。だからちゃんと話はするよ」

 

「なら、僕も一緒にいるよ。元はと言えば僕が原因でもあるからね」

 

「アキ……。ごめん、ありがとう」

 

「良いんだよ。気にしないで」

 

 

 

振り分け試験終了後、環とももに事情を説明した。

案の定最初は怒られたが、アキも一緒になって謝ったので何とか許してもらえた。

 

結局Fクラスは避けられなくなったが、仕方ない。これからのことを考えて行こう。

 

そう思って振り分け試験を終えたのだった。

 

 

晴陽side out

 

 

 

 

 

飛彩side

 

 

「ハルとアキはFクラス……か」

 

 

俺は2人から聞かされたことを思い出して、こう呟く。

こんな結果になったのは残念だが、一方であの2人らしいとも思った。大切な人の為なら、損得抜きで手を差し伸べるのは容易なことじゃない。

それができるからこそ、俺はハルとアキを親友として誇れる。

 

 

「俺はAクラスで仲間たち(とも)を導く。お前たちも自分の仲間たち(とも)と共に立ち向かって来い……!」

 

 

2人と戦うことを心のどこかで楽しみにしながら、俺はこの日を終えた。

 

 

See you next stage……




明久「振り分け試験で智花を庇ったことでFクラスへ行くことが確定した僕とハル。結果については後悔してない、大事なのはこれからのことだ。きっと楽しいことが待ってる……ハズ?」


明久「次回ッ!『バカとテストと召喚獣withグリモア!』、『新学期!』。 Let's go……fight!!」

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