バカとテストと召喚獣withグリモア! 〜君と僕で紡ぐ青春(いま)〜   作:ウォーズ -IKUSA-

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「前回のあらすじッ!」

宣戦布告後の昼休みを経てついに始まる試召戦争。回復試験の点数もそこそこに、僕とハルは戦場へ駆け出す。
Fクラスのデビュー戦……、派手に行くよ!


第7話 奮戦

〜Fクラス本陣〜

 

 

明久side

 

 

「来たな明久、晴陽」

 

僕とハルは各部隊の状況の確認の為、雄二のいる本陣に到着した。護衛として龍季がそばについている。

 

「ああ。それで状況はどうだ、雄二」

 

ハルの話し方が変わっているのを見て、雄二は少し驚いたような表情を見せたが直ぐに戻ってこう伝えた。

 

「秀吉が率いる先攻部隊が松島の部隊と、島田が率いる第2部隊がそれぞれ交戦中。いずれも援護が必要だ」

 

「OKだよ雄二。じゃあ早速行くからね!」

 

「頼むぞ2人とも」

 

「雄二のことは俺に任せな!」

 

2人の激励を背に僕たちは前線へと走って行った。

 

 

「ハル、君は美波たちの援護に向かって。僕は秀吉たちのところに行く」

 

「みちるがいるところだな。大丈夫か?」

 

「わからない。でも行かなきゃみんなが危ない」

 

「そうか。俺もだけど、無理はするなよ」

 

「うん。ハルも気を付けて」

 

こうして僕たちは別行動を取る。さて。みちるが相手だとちょっとキツイけど、やってみますか。

 

 

明久side out

 

 

 

 

 

秀吉side

 

 

「……戦況は不利」

 

「うむ……。じゃがあと少しで援護が来る。それまで持ち堪えるのじゃ!」

 

『『『『『了解!!!』』』』』

 

わしらは松島の部隊と交戦していた。とはいえ流石は上位クラス、実力が2枚も上手じゃ。

全力でないとはいえ、わしと康太と岸田と須川は防戦を強いられている。

 

「くっ! Fクラスのくせに小賢しいな。いい加減やられろよ!」

 

「お生憎様。やられろと言われて、はいそうですかってやられる馬鹿はいないわよ!」

 

それでも操作技術でなんとか凌いでいたときだった。

 

「あたしに任せて! 連中を一気に吹き飛ばすよ!」

 

「頼むぜ松島さん!」

 

松島の召喚獣が右腕を構える。左手をよく見ると、そこには腕輪がしてあった。

 

「マズイ! みんな離れるのじゃ!!」

 

「「「ええ (……承知)(わかった)!!」」」

 

「遅いよ! 腕輪発動、“ファイア・バースト”!!」

 

 

 

現代国語

 

 

Fクラス

 

木下 秀吉:32点

 

土屋 康太:9点

 

岸田 夏海:28点

 

須川 亮:16点

 

Fクラスモブ×6:0点

 

 

 

Dクラス

 

松島 みちる:304点

 

Dクラスモブ×9:平均118点

 

 

松島の腕輪による攻撃で、一気に6人が戦死する。わしと康太と岸田と須川も何とか回避したが爆風の余波でダメージを受けた。

 

 

 

「戦死者は補習ぅぅぅッ!!」

 

「鉄人だ! やめてくれ、補習室に行きたくない!」

 

「諦めろ、捕虜は全員戦争終了まで特別講義だ! いつ終戦するかはわからんが、それまできっちり指導してやる!」

 

「お願いします、見逃して! あんな拷問、耐えられない!!」

 

「拷問? 違うな、これは立派な教育だ! 喜ぶといい。終わる頃には趣味は勉強、尊敬するのは二宮金次郎といった理想的な生徒にしてやるぞ!!」

 

「それは教育じゃなくて洗脳……、いやぁぁぁぁぁッ!! 誰か助けてぇぇぇぇぇぇッ!!!」

 

 

西村先生が戦死した生徒(クラスメイト)たちを担いで補習室へと連れて行った。ふと思うんじゃが、あんな風に纏めて担いで行ける西村先生は人間なんじゃろうか?

 

 

「くっ……。康太、岸田、須川よ。大丈夫かの?」

 

「……正直、厳しい」

 

「あたしも。これ以上は流石に……」

 

「俺も限界だ」

 

「みんな! 一気に決めるよ! 夏海ちゃん、あたしたちも負ける訳にはいかないの。悪く思わないでね!」

 

「ここまでなの……?」

 

多勢に無勢、その上満身創痍。打つ手がないまま、戦死を覚悟したときじゃった。

 

 

「やあみんな、待たせたね」

 

「「「「明久(吉井)!!」」」」

 

 

わしらの親友が助けに来たのじゃ。

 

 

 

秀吉side out

 

 

 

 

 

 

明久side

 

 

「やあみんな、待たせたね」

 

「「「「明久(吉井)!!」」」」

 

僕は先攻部隊の交戦地点にたどり着いた。あと少し遅れていたら、秀吉たちが戦死していたところだ。

 

「すまぬ明久。部隊の半数以上が戦死してしまって、残ったのはわしらだけじゃ」

 

「ええ。悔しいけど、これ以上は限界よ」

 

「でも無事で良かったよ。あとは僕に任せて、秀吉はみんなと撤退するんだ」

 

「了解なのじゃ」

 

「わかったわ」

 

「……委細承知」

 

「頼んだぞ」

 

そう言って秀吉たちを後方へ下がらせた。さて、みんなが粘ってくれたんだ。僕も頑張らないとね。

 

「Fクラス吉井明久。ここにいるDクラス全員と現代国語で勝負を申し込みます!」

 

『『『な、なんだと!!』』』

 

「本気なの、明久くん?」

 

「うん。本気だよ、みちる。試獣召喚(サモン)ッ!!」

 

 

 

現代国語

 

 

Fクラス

 

吉井 明久:75点

 

 

魔法陣から僕の召喚獣が姿を見せた。黒いロングコートを基調とした戦闘服を身に纏い、大太刀を装備している。

 

「ねぇ明久くん。点数低くないかな?」

 

「みちる。これにはちょっと訳があってね……」

 

「そう。……わかった、明久くんが良いならそれ以上は聞かないよ。みんな、点数が低いからって油断しないでね!」

 

『『『『了解ッ!!』』』』

 

みちるは僕の点数に疑問を持ちながらも、気持ちを切り替えて自分のクラスメイトたちを指揮する。

 

「覚悟しろ吉井! 1人で勝負挑んだことを後悔させてやる!!」

 

「行くぜ!」

 

Dクラスの生徒2人が突撃して来た。

 

「遅い!」

 

彼らの攻撃を即座に避けて、それと同時に大太刀の一撃を急所に当てる。

 

 

現代国語

 

 

Dクラス

 

DクラスモブK:0点

 

DクラスモブP:0点

 

 

 

「やられた!?」

 

「そんな。こっちの攻撃を当てる前にやられるなんて……」

 

自分たちより点数が低い召喚獣にやられたことで動揺が走る。

 

「点数が低くても操作技術を駆使するのと、急所狙いを心掛ければ戦えるのさ!」

 

「代表の言った通り、観察処分者とはいえ只の馬鹿じゃないってことか!」

 

「怯むな! 確かに2人やられたが、数ではまだこっちが有利なんだ。みんなで攻めよう!」

 

「そう言う訳だから明久くん。悪いけどここで退場してもらうよ!」

 

みちるがクラスメイトと共に、僕を取り囲んで攻め落とそうとする。

 

「うーん。これはちょっと分が悪いかな?」

 

「なら降参するの?」

 

「その気はないよ。どうやら僕にも援護が来たみたいだからね」

 

「えっ?」

 

「アキくん!」

 

 

この言葉と共に現れたのは智花だった。

 

 

 

明久side out

 

 

 

 

 

智花side

 

 

「アキくん!」

 

「やっと来たね、智花。回復試験は終わったの?」

 

「バッチリだよ! 夏海ちゃんたちは無事だった?」

 

「うん。もう撤退したから大丈夫」

 

「あとはみちるちゃんたちと戦えば良いんだよね?」

 

「そう。智花はみちるをお願い。僕は残りのメンバーを相手するよ!」

 

「OKアキくん! 行くよ、試獣召喚(サモン)ッ!!」

 

 

 

現代国語

 

 

Fクラス

 

南 智花:401点

 

 

 

 

魔法陣からピンクと白の魔法少女風の戦闘服を身に纏い、両手剣を装備したわたしの召喚獣が姿を見せた。

 

「勝負だよ、みちるちゃん!」

 

「智ちゃん! あたしだって負けないから!」

 

わたしとみちるちゃんは、対峙してしばらく睨み合った。そして次の瞬間……。

 

 

「「やあッ!!」」

 

 

お互いの得物をぶつけ合う。威力ではわたしの方が上だけど、リーチではみちるちゃんの方が有利だ。

 

「くっ……!」

 

「点数ではそっちに分があるけど今回はわたしが勝たせてもらうよ、智ちゃん!」

 

できれば使わずに倒したかったけど……、仕方ないね。

 

「腕輪発動、“ファイア・ショット”!!」

 

腕輪(ソレ)を使うのはわかってたよ!」

 

腕輪の攻撃を回避された。でもこれで良い。

 

「ううん、ファイア・ショットは牽制なの。だからわたしの狙いはコレだよ!」

 

「ま、まさかッ!」

 

「ええいッ!!」

 

回避直後の一瞬の隙を見逃さずに一気に踏み込み、両手剣で胴体を刺し貫いた。

 

 

 

 

 

現代国語

 

 

Fクラス

 

南 智花:298点

 

 

 

Dクラス

 

松島 みちる:0点

 

 

 

「わたしの勝ちだよ、みちるちゃん」

 

「そうだね、智ちゃん。もう少しであたしが勝ちそうだったけど」

 

「点数的にわたしが有利だったから勝てたの。同じ条件だったらわからないよ」

 

「だけど良い勝負だったよ。また戦おうね」

 

「うん!」

 

「終わったようだね」

 

アキくんが声を掛けて来た。どうやらアキくんの方も終わったみたいだ。

 

「すごいね明久くん。数では不利だったのにみんな倒しちゃうなんて」

 

「それ程でもないさ」

 

「今回は負けたけど、次はあたしが勝つよ!」

 

「僕たちも負けるつもりはないからね」

 

「話は終わったな? 戦死者は補習だぞ」

 

どこからともなく現れた西村先生に担がれたみちるちゃんたちを見送って、わたしとアキくんは改めて顔を見合わせた。

 

「お疲れ、智花。間に合って良かった」

 

「えへへ。アキくんにはまだ倒れて欲しくなかったからだよ」

 

「ありがとう。でもまだ終わってないから先を急ごう」

 

「わかったよ、アキくん!」

 

 

そしてわたしとアキくんは、合流地点を目指して戦場を駆けて行った。

 

 

智花side out

 

 

 

 

 

晴陽side

 

 

俺は美波たちを援護する為に、戦場を動き回っていた。そしてついに見つけたのだが、残っているのは美波とクルトとノエルだけだった。

しかもDクラスの誰かと交戦中なので、一先ず様子を見てみることにした。

 

 

 

生物

 

 

Fクラス

 

島田 美波:51点

 

クルト・アードラー:39点

 

冬樹 ノエル:48点

 

 

 

Dクラス

 

清水 美春:102点

 

 

 

「ミナミッ!」

 

「美波ちゃん!」

 

「大丈夫よクルト、ノエル。あなたたちには指一本触れさせないわ!」

 

「ああ……。冬樹さんと一緒にそんな豚野郎も守ろうとするとは、なんて優しくて凛々しいのでしょう、お姉様……」

 

戦っている相手は……清水さんか。これはまた厄介なのに絡まれてるな。

 

「美春。もういい加減にウチのことは諦めてくれないかしら?」

 

「嫌です! 美春はまだ諦めません!」

 

「何度も言ってるでしょ! ウチは普通に男子が好きなんだから!」

 

「そうだよミハル! もうやめようよこんなこと!」

 

「黙れ! 貴様の意見は聞いてないです、この豚野郎!!」

 

うわぁ……、何この修羅場は。マジで近付くの躊躇うぞ。

 

「えっと……、あたしは無視ですか?」

 

「心配しなくても大丈夫です、冬樹さん。お姉様と一緒にあなたも愛して差し上げます」

 

「で、できれば遠慮したいなぁ……」

 

「マズイわ! このままじゃウチらの貞操が危ない!!」

 

「安心してください。何も怖いことはありません、全てを美春に委ねてくださいまし!」

 

全然安心できねぇ! おい清水さん。君は一体何をする気なんだ!?

 

「やめてミハル! どうしてもミナミとノエルを連れて行くなら、ボクを倒してからにして!!」

 

「「クルト!!」」

 

クルトが美波とノエルの前に立ち塞がった。これには清水さんも少し驚いたようだが、

 

「言われなくても貴様は最初から排除するつもりですわ。ここで死になさい、クルト・アードラー!!」

 

そう言って剣をクルトの召喚獣に突き立てたときだった。

 

「そこまでだ清水さん! 試獣召喚(サモン)ッ!!」

 

 

生物

 

 

Fクラス

 

真境名 晴陽:98点

 

 

 

 

召喚獣を呼び寄せて、清水さんの攻撃からクルトを守った。俺の召喚獣は制服に紫の陣羽織を纏った戦闘服と日本刀を2本装備している。

 

「「晴陽(くん)ッ!!」」

 

「ハルヒッ!!」

 

「き、貴様ッ! 邪魔をするなッ!」

 

突然の乱入に、清水さんが怒りを見せる。

 

「助けに来たぜ美波、ノエル。それから良くやったなクルト、男らしかったぞ。あとは俺に任せろ!」

 

「「「うんッ!」」」

 

「さて清水さん、話はある程度聞かせてもらった。好きだから諦めたくない気持ちは理解できる。でも、相手の気持ちを無視するなんてのはどうかと思うぞ」

 

「うるさい! お姉様だって美春のことが好きなんです! きっとそうだ、そうに決まってます!!」

 

ダメだ。興奮し過ぎて俺の話を聞こうとしない。

 

「そんな一方的に好意を押し付けていい訳ないだろ! ふざけんな!!」

 

「……コロス。ミハルノジャマヲスルヤツハ、ミンナコロシテヤル……!!」

 

完全な殺戮マシーンへと変貌を遂げる清水さん。こうなってしまったら時間を掛けずに速攻で仕留めたいところだ。多分大丈夫だろうけど。

 

「シネ、ブタヤロウ!!」

 

「おっと!」

 

ものすごい勢いで突撃して来た。当たればちょっとヤバイかもしれないけど、攻撃が直線的なので避けやすい。

 

「来い。次で終わりだ」

 

「イワズトモ……!」

 

再び突っ込んで来た清水さんを回避と同時に急所を斬り裂いて戦死させた。

 

 

 

生物

 

 

Fクラス

 

真境名 晴陽:98点

 

 

 

Dクラス

 

清水 美春:0点

 

 

 

 

「戦死者は補習ぅぅぅッ!!」

 

「西村先生。清水さんには道徳の補習も追加でお願いしますね」

 

「いいだろう。さあ来い清水、これからたっぷりと指導してやるからな」

 

「覚えておいてください真境名晴陽、クルト・アードラー! それとお姉様! 美春は絶対に諦めませんからね!!」

 

正直諦めて欲しい。美波は間違いなく、君を恋愛対象として見てないから。

 

「ふぅ……。間に合って良かった」

 

「ありがとう晴陽。アンタのおかげでウチとノエルの貞操は守られたわ」

 

「どういたしまして♪」

 

「ところで晴陽くん。ちょっと話し方が変わってるけど、どうしたの?」

 

ああ、この3人は初めて見るのか。これは説明しないとな。

 

 

 

〜説明中〜

 

 

 

「そうなんだ。それなら納得だね」

 

「わかってくれたら嬉しい。3人とも点数が残り少ないだろ? 早く回復試験受けて来な」

 

「ハルヒはどうするの?」

 

「俺はアキと合流する。まだ敵も残っているしな」

 

「わかったわ。じゃあ、あとはお願いね」

 

「回復したらあたしたちも来るよ!」

 

「ああ!」

 

 

サムズアップを返して美波たちと別れる。

それから俺はアキと合流する為に、この場を離れて行った。

 

 

See you next stage……




「Dクラス戦の前半は僕と智花とハルが頑張る感じだったね」

「清水さんは早く片付いたけど、アレは正直ホラーだったな……」

「お疲れだね、よくやった……と思うよ」

「ありがと」

「次回はDクラス戦のクライマックス。締めくくるのは……、おっと次回のお楽しみ!」

「それじゃあまた会おうね!」

「シーユー♪」



明久「清水さんを退けたハルが僕と智花と合流する。途中で蝶影ちゃんも従えて、Dクラス代表の源二を捉えたけど多勢に無勢で窮地に立つ。……しかしこの戦いを決めたのは彼だった!」


明久「次回ッ!『バカとテストと召喚獣withグリモア!』、『決着』。 Let's go……fight!!」

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