バカとテストと召喚獣withグリモア! 〜君と僕で紡ぐ青春(いま)〜   作:ウォーズ -IKUSA-

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「前回のあらすじッ!」

Dクラスと同盟を結んだその後、Aクラスの七島真志がFクラスを牽制する。彼から強者の雰囲気を感じ取ると同時に、姫路姉弟とは特別な関係にあることを思わせた。
他にも様々な思惑があったりなかったり……? この先も油断できないよ〜……。


第9.5話 動き出す者たち Part①

戦後対談を終えたDクラスにて。

 

 

昇瑠side

 

 

「すまない、みんな。俺が油断してたばかりに負けてしまって……」

 

 

戦後対談が終わってクラスメイトの大半が帰った後、源二が残ったDクラス首脳陣に土下座している。

形としては和平で終結したとはいえ、Fクラスに負けたという現実は想像していた以上にのしかかっていた。

 

「今回は良かったが、普通なら設備を奪われても文句は言えなかった。俺は代表失格だ……」

 

「顔を上げてくれ、源二。Fクラスの戦力を測り損ねた俺にも責任がある。お前だけに背負わせはしない」

 

自分で全ての責任を背負おうとする源二を見ていられなかった俺は、手を差し出してこう告げる。

 

「そうだよ代表。あたしも智ちゃんとの戦いに負けちゃったからね……」

 

「私も近衛部隊としての役目、果たせなかったな。玲泉くんと同じように油断してたわ……」

 

「ウチも。みっちと違って吉井たちが来る前に、律と一緒に退場させられたし」

 

「ああ。全然役に立てなかったな、あたしら」

 

俺の言葉に続いて松島と玉野も同じように言った。後に続いたサイドポニーの女子は、間宮千佳(まみやちか)。Dクラス内では上位の実力で、気になる男子に告白してはフラれる……ということを繰り返していることを除けば、割と普通の女の子だ。

そして、ぱっつんショートの子は音無律(おとなしりつ)。音楽が好きで歌も上手いそうだが、ギターと歌詞のセンスが悪いと噂に聞いている。

 

「源二、敗北が悔しいのは良くわかる。俺たちも同じ気持ちだからな」

 

「昇瑠、みんな……。俺は……」

 

「それでも自分が許せないと思うなら強くなればいい。次に試召戦争を挑まれても、負けないように」

 

「……そうだな。昇瑠、恥を忍んでお願いしよう。俺を鍛えてくれないか」

 

「良いだろう。ただし、代表だからと言って手加減なしだ。やるからには本気で行くぜ!」

 

「よろしく頼むぞ……!」

 

問答を経て、源二が奮い立つ。気持ちの切り替えは上手くいったようだな。

 

「さて。源二もそうだが、お前たちも今以上に鍛えるぞ松島、間宮、音無、玉野」

 

「うん! やられたままではいられないからね!」

 

「ええ。ウチだって意地はあるから!(なんでこうなっちゃったのよ……)」

 

「貸した借りは返さないとな!」

 

「あんな思いはもうしたくないから……!」

 

「良い返事だ。しっかり付いて来いよ!」

 

「「「「OK(だよ)(よ)(だぜ)!」」」」

 

全ては蝶影様を見守る為にD(この)クラスに来たが……、思わぬ目標ができたな。俺も今より強くなろう。みんなの返事を聞いたとき、そう思った。

 

 

昇瑠side out

 

 

 

 

 

麗椰side

 

 

俺は獅雄麗椰(ししおれいや)。親の仕事の都合で文月市を離れていたが、1年の終わり頃に戻って来て振り分け試験でCクラスになった。

今日は新学期初日でFクラスがDクラスに試召戦争を仕掛けたという話題で持ち切りだった。中でも観察処分者の真境名晴陽と吉井明久が活躍した事実は揺るぎなく、俺自身としても興味深くはあった。

だがそれ以上に気になっていたことは、

 

「美春、元気かな」

 

Dクラスの清水美春だ。彼女は小学生の頃からの幼馴染で、いじめられていたのを助けてから気に入られて、何をするにも一緒だった。

最初は正直鬱陶しいと感じたこともあったけど、何だかんだで悪くないと思ってたな。中学に上がる前に離れ離れになったけど今でも思い出すよ、満面の笑みで俺の名前を呼んでついて来る姿を。

 

「少しは成長したのかな? まだあの頃のようについて来てくれるのかな?」

 

あれこれ考えていると、誰かが近付く。背丈こそ伸びているが、特徴的なツインドリルの髪型は見間違うはずはない。ずっと会いたかった幼馴染が目の前に来ていた。

 

「よう、美春! 小学生以来だな。俺だよ、獅雄麗椰だよ!」

 

声を掛けると美春は気付いたらしく、振り向いた。俺としては感動の再会を期待していたが、掛けられた言葉は残酷なものだった。

 

「何の用ですか、豚野郎」

 

「な……ッ!」

 

一瞬言葉を失った。あの頃の記憶にあった幼馴染の姿はそこにはなく、まるで虫ケラを見るような目でこう告げる彼女がそこにいた。俺はそれが信じられなかった。

 

「どうしたんだよ美春。俺がわからないのか」

 

「……ああ、あなたの名前を聞いて思い出しました。美春の気持ちを弄んだ最低野郎ですね」

 

「違うんだ。俺はずっとお前のことを……」

 

「うるさい! 美春はお慕いしている方がいます。あなたのことは過ぎ去った思い出です、わかったらこれ以上美春に関わろうとしないでください。さようなら、豚野郎」

 

一方的に告げると美春はこの場を離れて行った。

 

「どうしてなんだ……、美春……」

 

また会えたことは嬉しい。なのに、見ない内に変わってしまったという現実を見せられた俺はショックを受けた。

すれ違いは誰にでもある、時間を置いてもう一度話をしよう。でも今だけは泣きたい。

俺は静かに涙を流すしかなかった……。

 

 

麗椰side out

 

 

 

 

 

康太side

 

 

試召戦争を終えて解散した俺と夏海は、報道部の活動の為に学園を探索していた。ついでに、ノエルと島田とクルトもいるが……。

 

「……で、お前たちもついて来たのか」

 

「うん! あたしはみんなのサポ役なの♪ それで今日は報道部をお助けするから、遠慮なしだよ2人とも」

 

「その割にはノリが軽いわね?」

 

「えー、いいじゃん! こう人数が多いといつもと違うこと起きそうだし、何より探検隊っぽくていいよね♪ そう思うでしょ美波ちゃん、クルト?」

 

「え? まあ、そうね……」

 

「賑やかで楽しいと思うよ、ノエル!」

 

ノエルが2人に振ると、島田は戸惑うように答える。反対にクルトは煽っていた。

 

「「イェーイ!」」

 

「なんかごめんね土屋、夏海」

 

「……大丈夫だ、気にするな」

 

「部長以外ではあたしたち2人だけだったから、結構楽しいわよ」

 

「助かるわ」

 

謝る島田を夏海と一緒にフォローする。……実は美少女3人(1人は男)に囲まれているのは役得ではないかと思ったのは秘密。

 

 

 

ネタを求めて1時間と数十分、今日は収穫なしかと思い撤収しようか声を掛けようとしたときだった。

 

 

「きゅっ!」

 

黒髪ロングに大正浪漫時代の女子学生の服装をした召喚獣が、俺たちの前に現れた。

 

「えっと……、ミナミ。召喚獣って、普通は教師が召喚フィールドを展開して初めて召喚できるんだよね?」

 

「そうよクルト。でも誰かが召喚フィールドを展開した形跡はないわね……」

 

「じゃあ、この子は一体何なの……?」

 

目の前の光景に、クルトも島田もノエルも首を傾げている。もちろん夏海も冷静を装う俺も、疑問に思うばかりだ。

 

「きゅっ!」

 

「あっ! 待ちなさい!」

 

そんな俺たちの考えを他所に、召喚獣は背を向けて走って行く。夏海の声と共に後を追うが、どうも違和感を感じる。

 

「ねぇ。追いかけてて思うんだけど、この子あたしたちを誘ってない?」

 

「気が合うわね。ウチも全く同じこと考えていたわ、夏海」

 

夏海と島田の言う通りだ。単に逃げるなら、俺たちを撒けば良い。だが、目の前のそいつ(召喚獣)は道案内をしているように見える。

まるで、俺たちを誰かに会わせようとするように。

 

「きゅっ!」

 

「君について行けば良いんだよね?」

 

ノエルの言葉に召喚獣は頷き、振り返るとそのまま進んで行く。どこへ向かうのかわからないまま俺たちは後へ続いて行き、そして……。

 

 

「……ここで良いのか?」

 

「きゅっ!」

 

俺の質問に召喚獣は声を上げる。目の前に見えるのは誰も使っていない空き教室だ。文月学園に入学して以来、ここに来るのは初めてかもしれない。

 

「これは入れってことだよね?」

 

「でも罠かもしれないわよ」

 

「だけど罠だったら、こんな回りくどいやり方はしないんじゃないかなぁ?」

 

「考えても仕方ないわ。どの道、この教室に入る以外の選択肢はなさそうよ。あんたもそう思うでしょ、康太」

 

「……ああ。ここまで来て引き返すのは、報道部員の名折れだ。全ての責任は俺が取る。行くぞ、お前たち」

 

「「「「ええ(うん)」」」」

 

俺たちは意を決して、空き教室の扉を開ける。同時に召喚獣も入って行ったのでこれまで同様、後を追った(もちろん、扉は閉めて)。

 

「きゅっ!」

 

「連れて来てくれたのね……、ありがとう」

 

召喚獣の元に辿り着くと、召喚主と思われる女子生徒の頭に飛び乗った。目を閉じている為表情が見えないが、ただならぬ雰囲気を纏っていた。

 

「……お前は?」

 

「あら、お友達も一緒でしたか。足音から察するに……5人くらいかしら?」

 

「足音? ひょっとしてあんた、あたしたちの姿が見えないの?」

 

「はい。わたくしの目は文月学園に入学して以来、景色も人も写していません。この子がわたくしの目の代わりになっているのです」

 

「きゅっ!」

 

この発言で俺たちは、目の前の女子生徒が失明しているということを察した。

よくよく考えてみたら、召喚獣は召喚主の分身である為意思を持つことはあり得ない。だが例の召喚獣は、まるで自分の意思で行動しているかのようだ。あの女子生徒の目の代わり発言と照らし合わせたら、理解できる。

 

「申し遅れました、わたくしは綺羅星日和(きらぼしひより)と申します。そこにいるのですね? お会いできて光栄です、土屋康太さん、岸田夏海さん、冬樹ノエルさん、島田美波さん、クルト・アードラーさん」

 

「「「「「!!!」」」」」

 

俺たちは心底驚いた。なぜなら、誰1人として彼女に名前を名乗っていないからだ。

 

「そんなに驚かないでください。わたくしはお話をしたいだけですよ」

 

「きゅっ!」

 

相変わらず物腰柔らかに語り掛ける綺羅星。穏やかなのになぜだろう、彼女からは晴陽や明久と同じオーラを感じる。

 

「……その言葉、信じて良いんだな?」

 

「はい」

 

念を押すと彼女は優しく微笑む。どうやら話をしたいということは本当のようだ。

 

「……良し。お前を信じよう、綺羅星日和。本題の前にいくつか聞かせてくれ」

 

「ええ。何なりと」

 

「……その召喚獣は一体なんだ? なぜ召喚フィールドもなしに実体化している?」

 

「この子は試験運用の一環として“学園内での召喚獣の常時召喚の許可”が例外的にされています。わたくしが盲目(こんな状態)ですから……」

 

「……そうか」

 

「じゃあ、意思を持ってるのはどうしてなの?」

 

「ごめんなさい、これに関してはわたくしもわかりません。ただ、召喚獣は科学とオカルトの融合の産物と聞いているので、何かしらの理由でそのような現象もあり得ると……」

 

クルトの質問については、流石に答えられなかったようだ。まあ召喚獣自体、未だに解明されていないブラックボックスだから仕方のないことだが。

 

「……わかった、質問に答えてくれて感謝する。今度はお前の話を聞かせてくれ」

 

「はい、あなたたちをお呼びしたのは他でもありません……。次の試召戦争について、お伝えしなければならないことがあります」

 

「きゅっ!」

 

綺羅星は語り出す。それは、これから俺たちが挑もうとしているBクラス戦に関わることだった……。

 

 

康太side out

 

 

 

 

 

〜翌日〜

 

 

晴陽side

 

 

いつものように明久たちと登校した僕はFクラスの教室に入って行く。今日は珍しく、クラスメイト全員が遅刻することなく揃っていた。

 

「えー、みなさんおはようございます。HRを始める前に、諸事情で昨日は来られなかった生徒がいますので紹介しますね。では2人とも、入って来てください」

 

「「はい、わかりました」」

 

福原先生の言葉に、2人の生徒が返事する。

 

「ウッヒョー、1人は女子だぜぇ!!」

 

『『『『バンザーイ!!!』』』』

 

((((((((ハァ……))))))))

 

僕たちは呆れてため息を吐くしかなかった。って言うか、もう1人が男子とわかると無視したな? まったくコイツらは……。

 

叢雲歩夢(むらくもあゆむ)だ。1日遅れだけど、よろしくな!」

 

『『『『イケメンは敵……!!』』』』

 

もうここまで露骨だといっそ清々しい。……待て、今あゆむって言ったかな? アキも晴明も反応してたけど。

 

篠原直美(しのはらなおみ)です。インターンに参加してたのでFクラスになってしまいましたが、みなさんと仲良くなりたいと思っています。よろしくお願いしまぁす♪」

 

『『『『よろしく、直美ちゃんッ!!!』』』』

 

「「フンッ!!」」

 

FFF団はとってもわかりやすい反応で、篠原さんを歓迎する。それを見た龍季と美波は、心底嫌そうな顔をした。

 

「はいはい。嬉しいのはわかりますが、静かにしましょうね」

 

福原先生が教卓を叩いて注意すると、“また”教卓がボロボロに崩れ落ちる。これに慣れてしまった自分が怖い。

 

「えー……。替えの教卓を持って来ますので、みなさん待っててくださいね」

 

教卓を取りに福原先生は出て行った。その直後、先程自己紹介した男子生徒が僕とアキと晴明に手招きする。とりあえず、みんなには一言言って廊下に出た。

 

「久しぶり、みんな」

 

見た目こそ随分変わったが、纏っている雰囲気は変わらない。

叢雲歩夢。僕たちが中学生になってからの親友だ。

 

「アユ! 僕らの方こそ久しぶりだね!」

 

「本当だよ。中学2年の冬に引っ越しちゃうんだからね」

 

「ああ。だけど、文月学園に入学していたのは驚いたぞ。そうなら、俺たちに言ってくれたら良かったのに」

 

「悪い悪い、リハビリが長引いて伝えるのが遅くなったんだ」

 

「そうなんだ〜」

 

こうして昔話に花を咲かせて行く。以前お見舞いに来たときよりも明るくなってて良かったよ。

 

「そうだ、お前たちのことも聞かせてくれないか? 学園長から聞かされるまではFクラス(ここ)に来たことが信じられなくてさ」

 

僕たちは一瞬顔を見合わせたけど、すぐに向き直って今日までのことを話した。

 

「そうか……、智花が……。でもお前たちはこの結果に後悔してないだろ? 晴明はちょっと違うかもだけど……」

 

「「「当然だ((もちろんさ))!」」」

 

「ふ……、これも巡り合わせってヤツか。篠原さんもそうだけど、またよろしく頼むぜ♪」

 

そう言って僕たちは互いにグータッチを交わす。それから雄二たちにもアユを紹介する為に教室へ戻った。

 

 

See you next stage……

 




「千佳と律って、Dクラスだったんだ?」

「うん。今作ではそういう設定だってさ。まだ見ぬキャラはいるので、徐々に解禁して行くよ♪」

「誰がどう出るか想像しながら、今後の展開を楽しんでくれるといいなぁ〜」

「……とまぁ、今回はこの辺で」

「じゃあ、また次回に会おうね!」

「シーユー♪」



飛彩「Fクラスの大金星を知った俺たちAクラスも、兼ねてより予定していたCクラスとの戦争に臨む。例年であれば負けることはないとされるが、今年度は一味違うと言う。……ならば見せてもらうぞ、Cクラス(お前たち)実力(ちから)を!」


飛彩「次回。『バカとテストと召喚獣withグリモア!』、『第2の初陣』。 Let's go……fight!!」
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