バカとテストと召喚獣withグリモア! 〜君と僕で紡ぐ青春(いま)〜   作:ウォーズ -IKUSA-

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「前回のあらすじッ!」

数日前から『AクラスとCクラスが試召戦争をする』と噂になっていたけど今日この日、ついに現実の物に。
現状ではAクラス有利らしいけど、戦力が上手い具合にバラけているから油断はできない。
頑張れ、飛彩!


第11話 交戦開始

康太side

 

 

「えー、AクラスがCクラスに試召戦争を仕掛けたので本日は自習です」

 

福原先生がそう言って教室から出て行く。クラスメイトの大半は喜んでいるが、俺たちFクラス首脳陣は違っていた。

 

「Aクラスが試召戦争だって?」

 

「そうらしいな。でも何のために? 戦争を仕掛けるメリットはないハズだが……」

 

龍季の言葉に雄二がこう返答する。まあ、試召戦争のルールを知っていればこう考えるのが普通。

だが……。

 

「飛彩にとってはちゃんと意味があるんだよ」

 

「どういうことだ明久?」

 

「飛彩はね、常に本気で物事に取り組むんだ。勉強にしろ、スポーツにしろ、遊びにしろ……。今回の戦争もそう。Fクラス(僕たち)が挑むことを知ってるハズだから、一度経験した上で戦い方をAクラスのみんなに叩き込もうとしているんだ」

 

明久は唯島について語った。なるほど、幼馴染としてヤツを長く見てきたからなのか、その言葉に重みを感じる。

きっと、晴陽と晴明と夏海と南も同じように考えるだろう。

 

「そうか。ならば、いずれ戦う相手の実力をここで知っておく必要があるな。……康太」

 

「……なんだ雄二」

 

「AクラスとCクラスの試召戦争でAクラス陣営を探って来い。Cクラスも余裕があれば探って良いが、Aクラスの方を優先しろ」

 

「……了解」

 

雄二からの要請を受けて偵察の準備をする。

 

「康太、あたしも行こうかしら?」

 

「……大丈夫だ。今回は1人の方がやりやすい」

 

「わかったわ。でもヘマをしちゃダメよ?」

 

「……俺を誰だと思ってるんだ夏海? 報道部の名に懸けて役目を果たす。約束しよう」

 

そう言うと、夏海は笑顔で返した。

 

「……では、行くぞ」

 

「頼むぜ」

 

雄二の言葉を背に、俺はAクラス対Cクラスの試召戦争の場へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

そして現在。俺は戦場の天井裏に行くと、文月学園の制服に赤いマフラーを巻いている女子生徒が既にスタンバイしていた。

 

「ちわーッス☆」

 

「……お前は、服部梓(はっとりあずさ)……!」

 

彼女の名前は服部梓。風紀委員会に所属していて、中学生時代からの俺のライバルだ。真面目な生徒が多い風紀委員の中では観点が一般生徒に近く、晴明と並んで話しやすいと評判である。

 

「誰かと思えばつっちーじゃないッスか。せっかくの自習時間を敵情視察に費やしていいんスか?」

 

「……それはお互い様だろう。この戦争をお前が偵察するメリットがあるとも思えないが……」

 

「うーん。メリットという程じゃないッスけど、自分はCクラス……厳密に言うと、小山さんに用があるんスよ」

 

どうやら梓も思惑があってここにいるようだ。小山に用とは、Bクラス代表の根本絡みか。

 

「……とりあえず戦況を見守ろう。本来の目的とは別で、お前にも有益なハズだ」

 

「そうッスね。それじゃあ、両クラスのお手並み拝見と行きましょうか」

 

 

おそらくAクラスが有利だろうが、CクラスもFクラス(俺たち)のように戦力が揃っているから終わるまではわからない。

そんなことを考えながら、俺は梓と共に偵察をすることにした。

 

 

康太side out

 

 

 

 

 

 

〜Cクラス本陣〜

 

 

友香side

 

 

「どうしたの代表? 緊張してる?」

 

「宍戸さん……。ええ、大丈夫よ」

 

教室に本隊を構える中、落ち着かない私を宍戸さんが気遣って声を掛けた。召喚システムを管理している科学者にして、CクラスのNo.2でもある彼女には何かと助けられている。

 

「無理もないわ。初めての試召戦争、それもAクラスから挑まれるもの。そうなるのは寧ろ自然な反応、決して恥じることではないわ」

 

「ありがとう」

 

「普通にやり合っても勝機はないから、攻め手を多くして戦うのが得策。だから守谷さんを中心にした遊撃隊、十波くんと矢坂さんの別働隊で先手を取る。そして、残った本隊で代表を護衛しましょう」

 

『『『『『『了解だ(よ)!!』』』』』』

 

「新野さんもよろしいかしら?」

 

「わかったよ、宍戸さん!」

 

宍戸さんの指揮にみんなが応えた。本当、どっちが代表かわからなくなるわね……。

 

「そんな自信なさげな顔をしないで。さっきクラスメイトたちの士気を上げたあなたはどこに行ったの? 誰が何を思おうと、C(この)クラスの代表は小山さんよ。しっかり構えていれば、必ずあなたに応えてくれるわ」

 

「……そうね、やってみる」

 

私の返答に宍戸さんが少し笑ったような気がした。さあ。言葉通り、私らしくやるだけよ……!

 

 

友香side out

 

 

 

 

 

 

竜弥side

 

 

俺は狡噛竜弥(こうがみたつや)。Cクラスに所属してる。

Aクラスとの試召戦争では前線の遊撃隊に割り振られていて、メンバーは俺、守谷、来栖、浅梨、リヴィ。そして麗椰だ。

このメンツになった理由は宍戸曰く、少しでも勝機を見出す為の手段……らしい。

 

「天才軍師のツクがいるからには必ず勝利を目指すわ! ついて来なさいよ、アンタたち!」

 

『『『『『『おおーッ(ええ)!!』』』』』』

 

「気合入ってますね、ツクちゃん!」

 

「フン、いつものことだろ」

 

「まあ……。やる気になっているなら、大丈夫じゃないの?」

 

守谷がクラスメイトたちを奮い立たせているのを見て、浅梨と来栖とリヴィがそれぞれ感想を述べる。

言い方は正直アレだが、自信に満ち溢れて物怖じしない態度に頼もしさすら感じられるのは素直に感心した。

 

「麗椰?」

 

「あ、ああ……」

 

「“心ここに在らず”って感じだな。大丈夫か?」

 

一方で麗椰が上の空だったから、それが気になった俺は彼に声を掛ける。

 

「何があったか知らねぇが、今は戦争中だ。油断してると自分だけじゃなく、仲間も危険だ。やる気がないなら下がってな!」

 

「ちょっと(ほむら)!」

 

「そこまで言わなくても……」

 

「獅雄の事情がどうであれ、悩んでたらやられる。アタシらは向かってくる敵を倒すだけだし、腑抜けたヤツを気に掛ける程余裕はないんだ。違うか?」

 

「ええ。悔しいけど、焔の言う通りね」

 

守谷と浅梨の言葉に対して、無情にもこう返す来栖とリヴィ。確かに言ってることは正しいけど……。

 

「けどよ……!」

 

「大丈夫だ、竜弥」

 

「麗椰……」

 

俺からも何か言おうとすると、麗椰が口を開いた。

 

「俺自身の問題だから気にするな。今は戦争に集中するさ」

 

「……わかった。何かあったら、遠慮なく言えよ? 相談乗るからな」

 

「ありがとう」

 

麗椰が多少だが、やる気を取り戻す。その様子を見た周りのみんなも緊張がほぐれたようだ。……相変わらず来栖は仏頂面だったが。

守谷曰く、「焔は普段からあんな感じだけど、根は悪い子じゃないから嫌わないであげて」だそうな。

 

「おいアンタら、静かにしな。連中、おいでなすったみてぇだぞ……」

 

来栖がそう呼び掛けると、Aクラスの先遣隊が近づいて来た。見たところ、久保利光と工藤愛子、佐藤美穂を中心に部隊を組んでいる。

 

「久保くん! Cクラスの先遣隊が見えたよ!」

 

「向こうの戦力がどれ程のものかわからない以上、慎重に攻めよう。みんな、行くぞ!」

 

『『『『『『了解(だよ)(です)ッ!!』』』』』』

 

どうやら俺たちの存在に気付いたらしい。側には我妻梅(わがつまうめ)先生と大門五郎(だいもんごろう)先生を連れている。

これでわかった人もいるだろうが、我妻先生と浅梨は歳の離れた姉弟だ。そんなこともあって(全員ではないが)Cクラス内では呼びが被らないように先生を苗字で、浅梨を名前呼びにしている。

 

「さあみんな、行くわよ!」

 

『『『『『『OKッ!!』』』』』』

 

守谷の号令と共に俺たちも進軍すると同時に、我妻先生と大門先生がそれぞれ、化学と保健体育のフィールドを展開する。

 

 

『『『『『『『『試獣召喚(サモン)ッ!!』』』』』』』』

 

 

 

 

保健体育

 

Cクラス

 

狡噛 竜弥:479点

 

来栖 焔:456点

 

獅雄 麗椰:417点

 

Cクラスモブ×7:平均212点

 

 

 

Aクラス

 

工藤 愛子:515点

 

Aクラスモブ×9:平均327点

 

 

 

 

化学

 

Cクラス

 

リヴィ・アルテミナ・ボードディッヒ:461点

 

守谷 月詠:435点

 

我妻 浅梨:423点

 

Cクラスモブ×7:平均208点

 

 

 

Aクラス

 

久保 利光:440点

 

佐藤 美穂:398点

 

Aクラスモブ×8:平均339点

 

 

 

 

『『『『『『な、何だアレは!?』』』』』』』

 

「CクラスにもAクラス並みの成績を持つ生徒がいるのですか……!」

 

「あはは……。コレちょっとヤバイかもねー……」

 

「想像以上だよ……」

 

 

久保たちを筆頭にAクラス陣営に動揺が走った。そりゃそうだ。普通、C(この)クラスでは見ないような点数だからな。

まあ、苦手科目の場合ここまでは取れないけど。

ちなみに召喚獣の見た目だが、俺は赤と黒ベースのライダースジャケットを纏っている。守谷は緑のチャイナドレス風の戦闘服に軍師帽を被り、リヴィは守谷の戦闘服のデザインと色違いを、来栖はノースリーブパーカーを羽織った動きやすい衣装、浅梨は白い魔法少女といった出で立ち、麗椰は黒一色の軍服を纏っていた。

 

 

「来ないの? それならツクたちから仕掛けるわ! 腕輪発動、“戦術指揮”!!」

 

守谷が腕輪を発動させると、化学のフィールド内の味方の能力が上がった。

 

「竜弥。アンタは焔と麗椰と一緒に、愛子の部隊を攻めなさい。良いわね?」

 

「任せとけって、守谷」

 

「行くわよ! 全軍、攻撃開始!!」

 

『『『『『『了解ッ!!』』』』』』』

 

そしてすかさず攻め入るのを忘れない。俺は守谷の指令を受け、来栖と麗椰を中心とした部隊で工藤の元へ向かう。

 

「くっ! 負けないんだから!」

 

工藤も腕輪を発動させて、巨大な戦斧(アックス)に雷を纏わせる。

 

「みんな構えろ! 来るぞッ!!」

 

「いけぇ、“雷の斬撃(サンダー・スラッシュ)”ッ!!」

 

 

 

 

保健体育

 

Cクラス

 

狡噛 竜弥:409点

 

来栖 焔:386点

 

獅雄 麗椰:347点

 

Cクラスモブ×7:0点

 

 

 

Aクラス

 

工藤 愛子:425点

 

Aクラスモブ×9:平均327点

 

 

 

 

放たれた雷の刃で、俺と来栖と麗椰以外のクラスメイトが一気に戦死させられた。何とか避けた俺たちも70点程削られている。

 

 

「戦死者は補習……!!」

 

『『『『嫌だ! 補習室は嫌だぁぁッ!!!』』』』

 

 

戦死したクラスメイトたちは大門先生が担いで連行して行った。柔道部の顧問である彼は教師陣の中でも1番デカく(204㎝)、西村先生とはまた違った迫力がある。

うん。化け物だな、大門先生(あの人)も。

 

「あとはキミたちだけだよ♪」

 

「ちっ……」

 

工藤が勝ち誇ったように笑った。他のAクラス生徒も無傷だし、依然として向こうに分がある。

 

「オイオイ、勝った気でいるのが早くないか? まだ3人残ってるんだぜ?」

 

「負け惜しみを!」

 

「たかが3人で何ができると言うんだ? こっちは1人も減ってないぞ!」

 

俺が挑発すると2人の生徒が噛み付くように言った。まあ、そいつらの言葉は正しい。傍から見れば俺たちが不利だからな。

 

「何ができる……ねぇ。テメーら、アタシたちの点数見ただろ? 工藤にできることがアタシたちにできないと思っていたのか?」

 

「強がりを言うな!」

 

「強がってるのはお前たちの方だろ?」

 

『『『『『『なっ……!!』』』』』』

 

来栖がさらに煽って反論したところに、麗椰も追い打ちを掛ける。工藤以外は揺さぶられていた。

 

「みんな怯まないで! ボクが狡噛くんたちを倒すから、援護をお願い!」

 

『『『『『OK(よ)、工藤(さん)!!』』』』』

 

「一声で士気が戻った……。この部隊の中心格だけはあるみてぇだな」

 

工藤が鼓舞するのを見て来栖が思わず舌を巻く。俺と麗椰も同じことを思った。

 

「面白れぇ……、だからこそ勝ちたくなったよ。 来栖、麗椰、行くぜ!」

 

「「わかった(ああ!!)」」

 

俺と麗椰が部隊員に、来栖が工藤にそれぞれ攻めて行く。

 

「喰らいな! “獣王拳”『灼熱』!!」

 

『『『『『うわぁぁぁッ!!!』』』』』

 

 

 

保健体育

 

Cクラス

 

狡噛 竜弥:349点

 

 

 

Aクラス

 

Aクラスモブ×5:0点

 

 

 

 

炎を纏わせた攻撃で5人を戦死させる。そして……。

 

 

 

「“焰の弾丸(フレイム・バレット)”!!」

 

『『『『そんなバカな?!』』』』

 

 

 

Cクラス

 

獅雄 麗椰:317点

 

 

 

Aクラス

 

Aクラスモブ×4:0点

 

 

 

 

麗椰もアサルトライフルの一斉掃射で4人を倒す。これで残るは工藤だけだ。

 

「みんなッ! ……こうなったら刺し違えてでもキミを倒すよ、来栖さん!」

 

「良い気迫だ。でもよ工藤、1つ言っておく。この勝負、アタシの勝ちだ」

 

「やってみなきゃわかんないジャン? この一撃で決めてみせる!」

 

そう言って工藤は、さっきクラスメイトを一掃した攻撃をコンパクトにして、戦斧(アックス)で斬り掛かった。

 

「バイバイ、来栖さん!」

 

「……なるほどな、良い攻撃だと思う。でもそんな大振りじゃアタシに当たらねぇぞ!」

 

「嘘……ッ!」

 

決まれば戦死するであろう工藤の攻撃を避けてみせた来栖。彼女の反撃が始まる。

 

「ボディがガラ空きだ! “マグラッシュ”!!」

 

 

 

 

Cクラス

 

来栖 焔:326点

 

 

 

Aクラス

 

工藤 愛子:0点

 

 

 

 

来栖のブレードトンファーによる連続攻撃が決まり、工藤の敗北となった。

 

「うう……、負けちゃった……」

 

「へへ、燃えたろ……」

 

工藤の言葉を背に、勝利した来栖が人差し指の指先を口元に持って来てこう呟く。

多分3年生の草薙先輩のマネだろうけど、何も言わないでおいた。

 

「戦死者は補習(よ)(……)!!」

 

戦闘終了を見届けた我妻先生と大門先生が、工藤さんも含めたAクラス生徒を担いで補習室へと連れて行った。

……というか我妻先生もできるのか?! 西村先生の弟子っては聞いてたけど、ヤベーだろ!

などと思いながらも少しの間、俺たちは勝利の余韻を噛みしめるのだった。

 

 

Aクラス対Cクラス 遭遇戦:Cクラス勝利

 

 

 

竜弥side out

 

 

 

 

 

 

 

Another side

 

 

Cクラス遊撃隊が勝利を収めたころ……

 

 

()っこ……」

 

「小夜子……、アンタはアタシが……!」

 

 

かつては競い合った親友(もの)同士が対峙する。

 

また別のところでも……

 

 

「冬樹ディセ、ビショップ・ニルヴァーナ。俺の相手はお前たちか(本当は鈴村がいて欲しかったが、仕方ないな)。……いいだろう、相手になってやる」

 

「君ですか、十波義行(となみよしゆき)くん……(主力が1人なのが気掛かりですが、考えるだけ無駄のようですね)。私たちの前に立つ以上、容赦はしません! 行きますよ、ビショップくん!」

 

「了解だ、ディセ。俺たちだって負けられねぇ!」

 

 

少年たちが向き合っていた。

 

戦いは始まったばかりである……。

 

 

See you next stage……




「こう言うことだったんだ」

「そう。原作よりも早いタイミングで負け戦が来ちゃったんだよ……」

「しかも改定前からこの展開は決まっていたという……。工藤さん、本当にゴメンね……」

「その分良いとこもあった……と思いたい……!(でもネームドに負けたのはなぁ……)」

「久保くんと佐藤さんについては、また後ほど加筆予定だよー」

「え、マジ?」

「うん、マジ。まずは投稿を優先しましたと」

「だからもう少し待っててね?」

「今回はここまで。じゃあ、また次回にお会いしましょー!」

「「シーユー!」」



優子「A・C両クラスが激突したのと同時刻、アタシは矢坂小夜子と向き合う。アタシが認めたライバルだって、……親友だって思ってたのに……。覚悟しなさい小夜子、アンタなんかに負けないんだからッ!!」


優子「次回ッ!『バカとテストと召喚獣withグリモア!』、『優子VS小夜子』。 Let's go……fight!!」

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