バカとテストと召喚獣withグリモア! 〜君と僕で紡ぐ青春(いま)〜 作:ウォーズ -IKUSA-
AクラスとCクラスの戦後対談は、Cクラス側が横槍を入れないことを条件に、設備のランクは下げないと言う形で合意した。
僕たちFクラスの首脳陣は数日前に綺羅星さんと接触した康太たちの話からBクラスの現状を知る。そしてその不和を招いている中心人物が大文字代門だと言うことも……。裏で何か企んでいるヤツがいる以上何も起きない……ってことはないよね。
他方では、多目的広場で1人佇んでいた十波くんに立華卯衣さんが声を掛けて来る……。
話は1年前に遡る……。
〜回想〜
義行side
文月学園に入学して2週間ほど経った。同じ中学校出身の
やっとクラスメイトたちとも打ち解けて来たと実感したある日のこと。1日の授業を終えて家路に着いていると、遠くから悲鳴に似た叫び声が聞こえて来る。
「なんだ……?」
「そこを退いてぇぇぇッ!!」
気付いて振り返るも時既に遅し、走って来た女の子とぶつかった。俺は何ともなかったがその子はぶつかった拍子に尻餅をついてしまったらしい。
「おい、大丈夫か?」
「ひいッ!? す、すみ! すみません! どうかお許しぉぉぉぉぉッ!?」
起こしてあげようと手を伸ばすと、紫色のショートヘアが特徴的な彼女は俺の顔を見るや否や土下座する。大したことないハズだが、その怯えように戸惑いを隠せなかった。
「……あのな、怒ってないから顔を上げろ。そして俺の目を見てくれ。できるな?」
「は、はい……」
再び声を掛けると恐る恐るだが返事をし、とりあえず彼女が落ち着くのを待つことにした。
「ところでお前、どこのクラスだ? 校内で全く見かけなかったんだが……」
「ふぇ? あ、あた、あたしですか? それはですねぇ……、補習室! 補習室です!」
「補習室? どういうことだ?」
「あわわわ……、これには理由がありましてぇ……。どうか聞いてくださいぃぃ……」
ある程度落ち着きを取り戻した彼女は身の上を語り始める。数年前に両親を亡くして孤児院に引き取られたこと、そこで初めて友達ができたこと、孤児院の先生の勧めで文月学園に進学したこと。
そして人付き合いが苦手な為、基本的に補習室で授業を受けていることを話してくれた。
「という訳ですぅぅぅ……」
「そうか……、色々あったんだな。だが、なぜそのことを俺に?」
「あの……。変だと思うかもしれないですが、あなたになら話しても大丈夫かな……って何言ってるんだろあたしぃ?!」
“スッ……”
「あ……」
「落ち着け。お前の過去に何があろうと、そこまで気にしない。寧ろ初対面の俺にここまで話してくれて感謝するくらいだ」
「はい、ありがとうございます……」
再びあたふたし始めた彼女を優しく静止する。このときなぜかはわからないが、この子は俺が守らなければという気持ちが芽生えた。
「
「いるなら返事してくだせー」
しばらくすると、人を探しているらしき声が聞こえて来た。恐らく彼女を探しているのだろう。
「あ! 唯島くん、水無月さん! ここですー!」
「ここにいましたか」
声の主は俺たちと同じ文月学園の制服を着ている男女だった。確か2人は……。入試時の成績上位者、唯島飛彩と水無月風子か。そしてこの子は鈴村って名前なのか……。
「見つかって良かった……。急に走り出すからどうしたのか心配したぞ?」
「ひッ! す、すみませんッ!!」
「だいじょーぶですよ鈴村さん。ウチらはアンタさんのことはある程度わかってるつもりです。態々突っ込んでいたら身が持ちませんから」
「本当ですかぁ?」
「安心しろ、本当だ。わかったら早く帰ろう。天文部以外の生徒に見つかるのはマズイからな」
「はいぃ……」
一連の流れを察するに、どうやら教師陣と一部の生徒を除いて鈴村と引き合わせてはいけないであろうことは理解できた。
「鈴村さんを見つけてくれてありがとーごぜーます、十波くん。アンタさんも気をつけて下校してくだせー。彼女のことはくれぐれもご内密におねげーしますよ」
俺が鈴村を見かけたのは偶然だったのだが……。
まあいい、ここは素直に受け取っておこう。
「わかった、約束は守ろう。……そうだ鈴村、お前にはちゃんと名乗らないとな。俺は
「あたしは真唯……、
「用は済んだな? 十波、学園内で彼女を見かけることがあったなら仲良くしてやってくれ」
「ああ、良いだろう」
「では行きましょーか、鈴村さん」
唯島に対してそう答えると、2人は鈴村を連れてこの場を離れて行く。
これが鈴村真唯との出会いだった。
〜回想終了〜
そして現在。俺は多目的広場で立華卯衣と話をしている。内容はほぼ鈴村のことで、補習室以外では天文部で活動していることや立華以外にも友達ができて楽しく過ごせていると聞いた。
鈴村と出会ってからというもの、学園にいるときは彼女のことを考える時間が増えて1人で寂しくないか、誰かに見つかっていじめられはしてないかと考えていたが、天文部での鈴村の様子を聞くとそれは杞憂だと知った。
「それで振り分け試験のとき、真唯ちゃんと私たちは『一緒のクラスになろう』って話をしてたの。結果としては離れ離れになったけど、真唯ちゃんのクラスにあなたがいて良かったわ。唯島くんと水無月さんと天文部以外で知っているのは十波くんだけだったから」
「そ、そうか……」
「クラスが違う関係上、私たちは部活以外で一緒にいる時間は短いから真唯ちゃんのことお願いね。……十波くん」
「任せておけ、立華」
返事を聞いた立華は、安心したような表情を浮かべて多目的広場を後にする。
そして自分を鍛え直すこと、鈴村をクラスに受け入れる手筈を考える為に俺もこの場を去った。
義行side out
晴陽side
Fクラス首脳陣の話し合いの後智花たちとは別れ、僕とアキは再び多目的道場へ向かった。……もう1人も連れて。
「なんで俺も一緒なんスか晴陽くん、明久くん?」
「ユリ先輩から呼ばれてたのに逃げたからだよ、真吾」
「うんうん、僕と焔と真吾は戦闘経験を積まないとね。……京先輩からもそう教わったでしょ?」
「まあ、草薙さんはそう言ってたッスけど……」
白いバンダナを鉢巻風に巻いている彼は
京先輩曰く、実力はまだまだだが格闘センスと身体能力、そしてタフネスぶりとガッツでは僕たち以上とのことで、型にはまればもっと伸びると評価されている。
「気分が乗らないときもあるかもだけど、苦手意識を持つのは良くないよ!」
「それは違うッス! 別につかさ先輩が怖いからとかじゃないッスよ!」
「あれ? 僕は一言もつかさ先輩だなんて言ってないよ? ……言い付けちゃおうかなー?」
「それだけはやめて、晴陽くん!」
「冗談だよ真吾。本当に言うわけないじゃん♪」
「うーん、なんか納得できないッス……」
少しむくれていた真吾をアキと一緒に宥めている内に多目的道場に着いた。
「加州! 今日こそはお前から一本取らせてもらうぞ!」
「せや! 1人じゃ無理でもオレと研吾が組めば加州はんに勝てるハズや!」
「良いですね。掛かって来なさい小嶋くん、拳崇くん! 全て捌いてみせますよ!」
そこでは3年裏Aクラス所属の
この内、加州先輩と研吾先輩は裏Aクラスの成績上位10位以内のメンバーであり(研吾先輩は若干劣るが)、文月四英傑である京先輩、庵先輩、虎千代先輩、つかさ先輩に匹敵する実力を持つ精鋭である。
そんな2人に着いていける拳崇先輩も充分すごいのだけど。
〜5分後〜
「ふ……、今回も引き分けか。拳崇もいて未だにこれとは……。まだまだ底が知れんな、加州則宗」
「オレも今までで一番動いたで、研吾……」
「簡単に一本取られては『五剣』のトップの名折れですから。まあ、一番の驚きは拳崇くんが成長したことでしょうか。もっと向上心があれば尚良しです。……さて。小休憩が終わりましたら君たちも相手しましょうか真境名くん、吉井くん、矢吹くん。丁度3人いることですし」
「「!!!」」
「あ、気付いてましたか」
「伊達に裏Aクラスにいるわけではありませんから。
加州先輩の言葉を肯定するように2人も頷いた。僕たちが道場に来た時点で気付いてたとは……、なんて人たちだ。
「……晴陽、明久。お前たちに聞きたいことがある」
「「はい、研吾先輩」」
「
「知ってるも何も、同じ中学校出身で僕たちの友達ですよ。真吾は学校違ってましたけど」
研吾先輩が蒼祐のことを聞いたので、アキがこう答えた。確か1年の頃中国武術研究会に入部したって聞いて……、いつの頃からか参加しなくなったのを覚えてる。
「去年の2学期後半辺りからパッタリと顔を見せなくなってな。問いただしても『迷惑を掛けたくない』としか言わず、連絡も殆ど取らなくなってしまったのだ。お前たちから何があったか聞いてはくれないか?」
「オレからも頼むで。蒼祐のヤツが来なくなってからアテナも心配しとる。もししょーもない理由なら先輩として叱らなアカン、この通りや」
研吾先輩と拳崇先輩が頭を下げてお願いして来た。マイナーな部活故に入部希望者が少ない中入部して来た貴重な後輩を気に掛けているのがわかる。
「わかりました研吾先輩、拳崇先輩。僕とアキが引きずってでも連れて来ますから」
「俺はすることないッスか?」
「真吾はDクラスの同盟があるでしょ? そのときにお願いすると思うから、心算はしててね」
「OKッスよ」
「お前たち……、ありがとう」
研吾先輩が改めて礼をする。このやり取りの横で加州先輩が何か思案する仕草を見せていたのだが、僕たちはそれに気付くことはなかった。
「さて、小休憩も終わりました。これからスパーリングをローテーションで組みます。3人とも準備運動をしてください。終わり次第始めますよ!」
「「「はい、よろしくお願いします!!!」」」
アンダーウェアと道着に着替えた僕たちは小休憩を挟みつつ、下校時間になるまで加州先輩たちと様々な形でスパーリングをする。
終盤になっても勢いが衰えない3人を前に、終わる頃には僕もハルも真吾もヘロヘロになっていた。
寮に戻って風呂と夕飯を済ませてからは、対Bクラス戦の為に勉強し、蒼祐とどう向き合うか思案する。
「ふぅ……、勝つこと以外にもやることが増えたな。……大丈夫だよね、多分」
誰にも聞かれることのない独り言を呟いて、その日は眠りに着いた。
See you next stage……
「以上、第15.5話でした♪ 楽しんでくれたかな?」
「今回回想のみの登場になった鈴村さんに限らずチョイ役だったり、名前しか出てないキャラも多いけど、本編の進行に合わせて徐々に登場するから気長に待っててね」
「次はBクラス戦なんだけど今で言っとくね、3話以上消費するよ」
「それだけ見せ場があるってこと?」
「うん。でも作者のハードルは上げ過ぎないでよ? 善処はするそうだけど……ね」
「そんな訳で次回にまた会おう!」
「シーユー♪」
晴陽「宣戦布告へ赴いた僕たちは、Bクラスにいた友人と語らいながらも本来の役目を果たすと悪い意味で噂の大文字代門と向き合う。その側には研吾先輩からの依頼対象である蒼祐の姿も。更には誰かの視線も感じ取ったんだけど……、アイツは一体何なんだ!?」
晴陽「次回ッ!『バカとテストと召喚獣withグリモア!』、『Bクラスへの挑戦』。 Let's go……fight!!」