バカとテストと召喚獣withグリモア! 〜君と僕で紡ぐ青春(いま)〜 作:ウォーズ -IKUSA-
Aクラスを目指して振り分け試験を受けていた僕は、体調を崩していた智花と共に途中退室してFクラス行きが確定した。
後悔はしてない。智花も一緒に行かなきゃ意味がないからだ。あの後晴陽も途中退室したことが分かって、最善かどうかはわからないけど、結果には良かったのかも……。そう思うことにしたのだった。
第1話 新学期!
晴陽side
春。それは出会いと別れと始まりの季節だけど、みんなは好きかな? 僕は好きだ。新しいクラス、新しいクラスメイトと学園生活を送ることを考えるとワクワクするからね。
そんな訳で、これからのことを想い期待に胸を膨らませ、僕ともも、妹の環は文月学園へ続く上り坂を歩いていた。
「んー……、今日も良い天気だねぇ。それにしても環ー、どうせ起こしてくれるならもっと優しく起こして欲しかったな……」
「たまきは何度も起こそうとしたよ? 1回で起きてくれないお兄ちゃんが悪いんだよ」
「う……、返す言葉もございません……」
「まあまあ、たまちゃん。時間は充分あるし、遅刻する訳じゃないから許してあげようよ。ね?」
「ももちゃん……。じゃあお兄ちゃん、たまきを撫でて」
そう言って環は頭を差し出して来た。
「環? ここでやるの?」
「いいから撫でて、お兄ちゃん!」
「……はい」
僕は環の頭を優しく撫でた。今みたいに機嫌が悪いときと、落ち込んでるときとかはこんな風にしている。幸いにも、僕たち以外に人がいなかったのは助かった。
「えへへ、これで今日からまた頑張れるよ。お兄ちゃん、ありがとー!」
“ギュッ”
「おっと!」
「良かったね、たまちゃん♪」
上機嫌で僕に抱きつく環を見て、笑顔になるもも。環が満足して離れると再び通学路を歩いて行き、しばらくすると見慣れた顔触れが見えて来た。
「あれは……。おーいアキー、智花ー、怜ー、夏海ー!」
「ん? ハル、環、もも。ここだよー!」
アキも僕たちに気付いて手招きする。
「みんな、おはよっ」
「「「「おはよう(おはよっ)」」」」
ここにいるみんなは小学生の頃からの幼馴染同士で、大切な人たちだ。こんな風に登校するのは最早、いつものことと言っていい。
「途中退室って聞いたけど大丈夫だった、智ちゃん?」
「大丈夫だよ、たまちゃん。心配してくれてありがとね」
「だがこんなことになったのは私の責任だ。一緒に勉強しているときに気付いていれば……。すまない、智花」
「いいよ、怜ちゃん。もう過ぎたことだから。Fクラスになっても夏海ちゃんと晴陽くんはいるし、それに……、アキくんがいてくれるから不安はないの」
「智花……」
悔やむようにこう言う怜。智花がこう返すと、アキは嬉しそうな表情を見せた。
「ほほう……。朝からお熱いですな、お2人さん♪」
「ちょ……! そんなんじゃないよ、夏海ちゃん!」
2人の様子を夏海がからかい、その後も僕たちは歩いて行く。
目的地である文月学園に到着すると、校門に大柄な男が待っていた。
「「「おはようございます、鉄……西鉄先生」」」
「「「「おはようございます、西村先生」」」」
「おはよう吉井、真境名兄妹、南、神凪、岸田、桃世。ところで吉井、真境名兄、岸田」
「「「はい、先生」」」
「西村先生と呼べ。補習の時間を増やされたくないならな」
「やだなぁ西村先生、冗談ですよ♪」
「それならいいが……」
この男性教諭は
「まあいい。お前たちにこれを渡そう、受け取れ」
『『『『『ありがとうございます』』』』』
そう言って西村先生は封筒を取り出し、僕たちに一通ずつ渡した。
「これに入っているのは、クラス分けの用紙ですよね?」
渡された封筒を手に、僕は西村先生に聞いた。
「そうだ」
「でも、なんでこんなやり方をするんですか?」
「普通なら掲示板に張り出すが、
「はい。納得できました」
環の疑問に西村先生がこう答えると、環も含めてみんなが学園の事情を垣間見るた気分になった。僕たちは封筒を開け、それぞれ中の入っていた紙を開く。
「やったぁ、Aクラスだ!」
「あたしもだよ、たまちゃん!」
「うむ。私もだ」
「本当に!」
「そうだよお兄ちゃん。見て♪」
僕たちが確認すると3人の紙には、
“真境名 環 Aクラス”
“桃世 もも Aクラス”
“神凪 怜 Aクラス”
と書かれていた。
「頑張ったね、3人とも」
「「「うん(ああ)」」」
「良かったな真境名妹、桃世、神凪。これは日々の積み重ねの結果だ。今後も精進するように」
「「「ありがとうございます、西村先生」」」
その間に僕たち4人も紙をチェックすると、
“真境名 晴陽 Fクラス”
“吉井 明久 Fクラス”
“南 智花 Fクラス”
“岸田 夏海 Fクラス”
予想通り、Fクラスと書かれていた。
「それから吉井、南。すまなかったな」
「「どうしてですか?」」
「あのようなアクシデントがあったんだ。本来なら再試験をさせてあげたいが、依怙贔屓すると示しがつかないということで却下されてしまった。本当にすまない……」
「顔を上げてください。あれは、僕がやりたいと思ったからやったことなんです。西村先生が責任を感じる必要はないんですよ」
「アキくん……」
「そう言ってくれると助かる。……吉井、お前のしたことは人として正しい。中には批判するヤツもいるだろうが、その優しさを大事にしてくれ」
アキの返答に対して、西村先生はこう告げる。“あのとき”も今のように親身になってくれたこともあって、西村先生は僕たちの恩師だ。彼のおかげで僕は
「だが真境名兄、岸田。お前たちまで退室したのは、感心せんな?」
「申し訳ありません。ですが何も知らない、知ろうともしない人にアキを貶されるのは見過ごせなかったんです。自己満足と言われたらそれまででしょうけど」
「あたしは智花だけがFクラスなのは忍びないと思ったのと、もうひとつは……。勘、ですね」
「ふむ……、そうか」
僕と夏海の返事に頷く西村先生。側から見れば、確かに僕たちの行動は自己満足だ。でも自分で選んだことだから、後悔はしてない。
「それと吉井、真境名兄。唯島からお前たちへ伝言を預かっている」
「飛彩が?」
「一体なんですか?」
「『アキたちのことをよろしくお願いします』……とな。立場上依怙贔屓はできないが、可能な範囲でサポートすることを頼まれた」
「そうでしたか……(ありがとう、飛彩)」
「あと少しでHRも始まるだろう、早く行くと良い」
『『『『はい!!』』』』
西村先生に挨拶をして、僕たちは校舎へ向かって行った。
「す、すごい……」
「アキくん……。これって教室なんだよね?」
「それにしては、立派過ぎると思うが……」
3階に上がった僕たちは窓からAクラスの教室を眺めると、目の前の光景に圧倒されていた。
教室の面積は通常の6倍で中の設備も豪華と言って良く、どれだけお金を掛けているんだろうと全員が思った。
「私たちとはここまでだな」
「そうだね。……みんな、飛彩の力になってあげてね」
「おっけー! ひーくんのことは、たまきたちに任せて、お兄ちゃん♪」
「できる限り、手を尽くそう」
「ありがとう。また放課後にね」
「うん! ハルくんと明久くんと智ちゃんと夏海ちゃんも頑張ってね♪」
「わかったよ」
「みんなもね」
「ありがとう、ももちゃん」
「任せなさい♪」
「あ、それから……」
何かを思い出したように、ももは鞄の中を探ると。
「はい、今日のお弁当♪」
「いつもありがとう、もも」
「どういたしまして、ハルくん♪」
お弁当を渡してくれた。これも去年からだが、今年はより特別に感じるのは、Fクラスに決まったからだろうか。
「お? 晴陽も隅に置けないねぇ〜」
「な……。そう言うの良いから、夏海!」
この様子を見てまたも夏海がからかって来る。僕たちの間では、よく見る光景のひとつだ。
「とにかく、もう行こう?」
「「「ああ(うん)(ええ)」」」
Aクラス組と別れた僕たちは、Fクラスへ向けて進んで行った。そこで目にしたものは……、
「これは……。……ハル」
「わかってるアキ、考えてることはみんな一緒だから」
「なら、口に出して言いましょうか」
(コクッ)
「せーのッ、」
「「「「ここって教室?」」」」
目にしたものは、Fクラスのプレートが掛けてある掘っ建て小屋。そう形容するしかないものだった。
「Aクラスを見た後だと、落差が酷すぎるよ……」
「同感ね……」
「信じたくないけど、この現実を受け入れよう……。みんな、覚悟はできたかな?」
「OKだよ、ハル」
「わたしも大丈夫」
「ええ、できてるわ!」
「じゃあ、行くよ……」
意を決して、僕たちはFクラスへ足を踏み入れる。
これから共に過ごす仲間たちの待つ場所へ。
See you next stage……
「第1話はこんな感じ。どうだった?」
「始まったばかりだけど、1作目と同じように楽しんでくれると嬉しいな☆」
「それじゃあ、また次回で会おうね!」
「「シーユー!!」」
晴陽「期待と不安が入り混じりつつ、教室へ足を踏み入れると手荒い歓迎が待ち受ける。
それを何とか退けた僕らの目の前にいたのは、中学時代から顔馴染みのアイツらだった!」
晴陽「次回ッ!『バカとテストと召喚獣withグリモア!』、『仲間たち』。 Let's go……fight!!」