真壁瑞希のお兄さん   作:黒村白夜

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もしも真壁瑞希の家族にお兄さんがいたらという、妄想短編小説になります。
アイマスの二次創作小説は初めてです。

「お兄さん設定とか無理ー!」などという方はブラウザバック推奨です。

時系列は、ミリシタにてプロデューサーからアイドルにスカウトされるシーン(エピソードコミュ1の前半)の後、家に帰ってからのお話となります。

よろしければ読んでいってください


瑞希のお兄さん

瑞人(みずと)兄さん、突然ですがお話があります」

 

 お腹も空き始める夕暮れ時。今日は偶然にも普段忙しい弁護士の父も集まり、家族全員で夕食となった。

 夕食を待つ、そんな時に妹である瑞希(みずき)は突然話を切り出してきた。

 

「本当に突然だな⋯⋯。何だ、学校のことか?」

「学校といえば学校のことなのですが⋯⋯⋯⋯実はアイドルにスカウトされました」

「えっ!?」

 

 思わず声をあげてしまうほどの衝撃だった。たまに来る冗談(ジョーク)の類かと思い、顔を上げて妹の顔を見るといつもと変わらない表情であるが、瞳の奥の熱を見るにどうやら本当のことようである。

 

「⋯⋯本当みたいだな」

「はい。この前の文化祭の来場したお客様の中に、アイドルのプロデューサーさんがいました。そこでスカウトされたのです」

「へえ。でもそうかー、瑞希がアイドルに、か」

 

 思えば俺の妹、真壁瑞希は可愛い。自身の妹という贔屓目で見ても可愛いルックスだ。さらに妹は俺と違って中々の才女である。

 才色兼備。その言葉が似合う、自慢の妹。

そんな妹がアイドルになると思うと、小さい頃から見てきた俺としては感慨深いものだ。

 

「…………」

「うん、どうした?顔を背けて」

「こっちから脅かしたら、倍になって返ってきたぞ。……ドキドキ」

「あ、声にでていたか?」

「はい。小さい声ですが聞こえてました。……まだドキドキしているぞ」

「すまんすまん。で?瑞希の気持ちとしてはどうなんだ?」

 

 そう尋ねると、目の前の瑞希は顔を俯かせてしまった。

 

「⋯⋯正直に言えば、なりたいです。TVの中のアイドル達はみんなキラキラしていて、憧れます」

「じゃあなってみればいいじゃないのか?瑞希は可愛いし、何より真面目だ。アイドルのレッスンとかもしっかりやれると思うぞ」

 

 子供のころ、2人で見たTVの内容を思い出す。内身は今でもよくある、最近売れたアイドルやら歌手の紹介や歌を披露してもらう番組だ。その番組を見ていた時、瑞希はいつも通りの顔つきで、けれども目はランランと輝いていた。

 きっとその時から、心の中のどこかで「なってみたいな」というつぼみがあったのだろう。

 そのつぼみが開こうとしているのだ。兄としてはつぼみを咲かせてやりたいと思うのが当然だ。

 

 だが、当の本人は俯いたまま動かない。微動だにしなかった。

 

「瑞希?」

 

 心配になって声をかけるが反応がない。少し不安になってきたので、もう少し大きな声で呼びかけようとしたときだった。

 

「⋯⋯⋯胸が⋯⋯⋯」

「む、むね?」

「あと3年待てば、母のようなナイスバディーになれるはず。⋯⋯将来にかけるぞ」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

 特に大事ではなかったので安心したが、兄としては少々入りずらい悩みだった。

 つまり瑞希としては、あと3年待ってナイスバディーになってからアイドルになりたいようである。

確かに瑞希は少々足りなく、母はナイスバディ-だ。遺伝的に考えれば、瑞希の将来性は確かにあるだろう。

 

 だが、それでは恐らく駄目だろう。相手方が3年も待ってくれるかどうか分からない。そもそもあくまでスカウトなのだから、アイドルにならないと分かったらそのプロデューサーはまた別の子を探すのだろう。つまり瑞希がアイドルとしてデビューするタイミングは、今を逃せばもしかしたら一生来ないかもしれないのだ。

 瑞希というつぼみをしおれさせないために、今瑞希の背中を押すしかない。

 胸に関して触れないように慎重に言葉を考えて、俺なりの考えを伝えていく。

 

 

 

 

 

「瑞希、俺は”今”の瑞希が大好きだよ」

「⋯⋯⋯」

「将来の瑞希でも過去の瑞希でもない、”今”を生きる瑞希が大好きだ。その瑞希がアイドルとして輝く姿を、俺は見てみたい」

「⋯⋯⋯」

「だから俺は”今”からアイドルの真壁瑞希を応援するよ」

「⋯⋯⋯」

「って自分で言ってなんだけど少し照れ臭いな⋯⋯。まあ、端的に言うと俺は瑞希がアイドルになるのを応援するよってことだな。両親が反対しても俺は味方でいるよ」

「⋯⋯⋯」

「⋯⋯⋯瑞希?」

 

 

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ぷはっ。驚きのあまり呼吸を忘れてました。これで二度目です」

 

 どうやら俺の言葉が予想外過ぎたらしい。呼吸を忘れるほどとは、瑞希らしいといえば瑞希らしいと思うが。

 

瑞人(みずと)兄さん、ありがとうございました。おかげで気持ちが固まりました」

「そうか。なら良かった」

「つきましては、どうぞゲーム(・・・)を進めて下さい」

「はいはい。じゃあこれな」

 

 そう言って瑞希のカードを引くと、スペードの7だった。俺の持っているカードと同じ数字である。カードを2つ合わせて捨てて、俺のあがりとなった。

 

「あ。負けてしまいました。なぜでしょうか?学校の皆さんとカードゲームをすると勝てるのに、瑞人兄さんが相手だと、いつも負けてしまいます」

「ふふふ⋯⋯、どうやらアイドルの話をして動揺を誘うつもりだったようだが⋯⋯。甘かったな」

「むー。次こそは、必ず勝ちます。次は————」

 

 瑞希が次のゲームを提案しようとした時、下から「2人とも手伝ってー!」という母の声が聞こえてきた。今日の料理は張り切って作るといっていたから、張り切りすぎて手伝いが必要になったのだろう。

 

「ゲームはご飯が終わってからだな。そういえば、アイドルの話はしていないのか?」

「はい、まだしていません。夕食が終わってからするつもりです」

「そうか。じゃあ2人を説得する必要があったら俺もカバーに入るから、安心して話をしな」

 

 そう言って2人一緒に部屋から出ようとすると、

 

「⋯⋯瑞人(みずと)兄さんは、なぜここまで私に良くしてくれるのでしょうか?」

 

 瑞希の声が聞こえてきた。

 恐らくはただの純粋な疑問が漏れ出したのだろう。それくらいか細い、小さな声だった。

 わざわざ答えるようなものではなかったが、聞こえたからには答えずにはいられなかった。

 

 

 

 

「決まっているだろ?俺は瑞希の兄で、瑞希のことが大好きなファン1号だからだよ」

 

 

 内心恥ずかしいなと思いつつ、2人で階段を下りていく、その途中でまた瑞希がつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「⋯⋯⋯ありがとう、お兄ちゃん」

 

 

 

わずかに聞こえた瑞希(いもうと)の感謝は心の中にしまっておいたのだった。 

 

 

 




いかがだったでしょうか。

楽しんでくだされば幸いです。

最後にこの場所にて、お兄さんのキャラクターの設定を載せていきます。

真壁瑞人(まかべみずと)
妹の瑞希のお兄さん。大学生だが頭の良さは平凡。たまに単位を落としたりもする。
幼いころからよく一緒にいるので、瑞希の考えをある程度理解できる。つまりポーカーフェイスが効かない。本人曰く、顔をよく見ればわかるらしい。
人の考えが読めることに長けているので空気を読める。
対面式のゲームならば大体勝てる。ただし、家庭用ゲーム機の等のゲームは苦手。


といった感じです。


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