の剣士の物語   作:すぴかさん

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 前回で出てきたキリトの装備はアリシのカセドラル編の服の金色の部分を赤にしたような感じです。
 …自分でも何書いてるのか分からなくなってきてるし息抜きに番外編でも書こうかしら

 今回はあのお方が出てきます。滅茶苦茶可愛いです。書いてて鼻血出るかと思った。
今回オリジナルのユニークスキルが出てきます。(名前だけだけど)
2019/5/16 4:59 色々と変更しました。


~感情とプログラム~

─2024年2月24日 12:56 第56層フィールド─

 

「──また、逃げちまったな」

 

 俺は先程の行いを悔いていた。

 この1年、謝り、本当のことを話すチャンスはいくらでもあった。

 それに、嫌われ、恨まれるかなんて話してみなければわからない。

 理性ではそれは分かっているのだが、本能がそれを認めようとしない。

 

 それに俺はサブGMの権限まで持っている。ログアウトができないことを始め、幾らかGMよりも機能は劣っているが、それでもGMと同じことが出来るのは確かだ。

 コンソールが操作でき、自分を破壊不能オブジェクトにしたり、周りの人を麻痺させたり等だ。

 

 そんな事を考えていると、目的の場所に着いた。

 

「あった…」

 

 木々の間に隠れるように存在する黒い石板。これがシステムアクセス用のコンソールだ。

 これでMHCP…ユイを呼び出せる。1年以上も出てこられなかったから何かしらバグなどがあるかもしれないが…

 

 俺はコンソールに触れ、キーボードを出現させ、コマンドを打ち込んでいく。

 カーディナルのユイの監視命令を解除し、ユイの干渉禁止命令も解除した。

 

 そして最後に「MHCP CALL」というコマンドを入力し、ENTERキーを押した。

 

 その瞬間、コンソールの上が青く発光した。これはこの世界に来て一番最初に、そしてつい先程にも見たものだ。

 ログインや転移をしたときの青い光が、人の形を象って行く。

 そして、光が収まったとき、そこには黒いロングヘアーで白いワンピースを着た10歳くらいの女の子が立っていた。

 

「ここは……」

 

「第56層のフィールドにあるコンソールだよ、ユイ。」

 

「あなたは……?」

 

「桐ヶ谷和人だ。こっちの世界では"ゼロ"それと、"キリト"だ。」

 

「じゃあ、あなたが私の…パパなんですね…!」

 

「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………パパァ!?」

 

 

 何故だ。俺はユイを呼び出して名前を名乗っただけなのに…ハッ!まさか!

 

「おいまさかそれ…茅場の入れ知恵…か?」

 

「?……違いますよ?お姉ちゃ…カーディナルさんが教えてくれました」

 

 ユイは一瞬「何を言ってるのかわからない」みたいな顔をしてから、真実を言った。

 だが俺はカーディナルにそんな機能があったという記憶はない。どういうことだ?

 てか、お姉ちゃんて。

 

「カーディナルさんは確かに最初はこの世界を監視して調整するだけの存在でしたが…

 私を外に出すときに溜まったバグを取り除いてくれたんです。その後、『これは良いものじゃな。』と言って何故かバグの一部をコピーして私に渡したんです。」

 

「うん…?と言うことはバグに何かしら言語化エンジンや感情模倣プログラムをアップデートするようなモノが入ってたのか…」

 

「そうなりますね。」

 

 つまり、バグによって、カーディナルとユイが超高性能AIになったと。カーディナルの奴、その時に俺がユイを作ったってばらしたんだな。

 

「まあ、これで俺の目的は達成だ。帰るか、ユイ」

 

「帰る…って何処にですか?」

 

「家に決まってるだろ?お前は俺の娘なんだから、一緒に住むのが当たり前じゃないか?」

 

「……………………………はい!」

 

 一瞬呆然としたユイだったが、すぐに明るい笑顔を浮かべた。

 なんだこの可愛い生き物。

 

 それはそうと、ユイの存在があるだけで今後の生活がかなり変わるかもしれない。

 特にユウキたちのことは。

 

─第55層 血盟騎士団本部─

 

 俺はユイを一度50層にあるホームに留守番させて、血盟騎士団本部に来ていた。このあととてつもなく恥ずかしい口上が待っているのだが…

 

「無事に取り戻せたようだな」

 

「血盟騎士団、影の副団長キリト。ただいま任務から帰還しました……これ毎回やるのか?」

 

「まあそう言うな。雰囲気は大事だ。」

 

「言ってるこっちは恥ずかしいんだぞ!」

 

「ふっ、じき慣れるさ」

 

 ──なんだよぅ、他人事みたいに…

 茅場は元々こんな性格なのか?Sなの?それとも中二心を忘れてないだけなのか?あぁっ…俺の茅場のイメージがどんどん壊れていく…

 

 そんな誰に向けるわけでもない考えを脳内で巡らせていると、ドアがコンコン、と2回の軽い音を鳴らした。

 

「入りたまえ」

 

「「失礼しま…ゼロ君(さん)!?」」

 

 振り返ると、そこには血盟騎士団副団長であるアスナとランがいた。

 

「……俺は邪魔みたいだし、帰るとするよ。またな、ヒースクリフ」

 

「……息災で」

 

 俺は団長室を出て、ゆっくり歩きながら本部出口に向かった。

 

 本部から出て少ししたところで、後ろから誰かが走って追い付いてきた。

 

「待ってください、和人さん」

 

 俺が足を止めて首だけ振り返ると、そこにはユウキの姉であるランが立っていた。

 言われることなんて分かってる。ランの大切な妹を一人にしたんだから。

 

「藍子…」

 

「なぜ、木綿季を一人にしたの?」

 

「俺にはもう、あいつの隣にいる資格が無いからだ。勿論、お前らにも。」

 

「…。」

 

「そうだ、最後に1つ。もしユウキかランのどちらかに『剣姫』のユニークスキルが出ているなら、後でヒースクリフを通して俺に連絡してくれ。じゃあな」

 

「え…?」

 

 俺はランにそう告げると、その場から立ち去った。

 『剣姫』スキルの名が出たときの彼女の顔が面白かったのは、墓場まで持っていく秘密にしよう。

 

─50層 アルゲード 宿屋─

 

「ただいま」

 

「お帰りなさい!パパ!」

 

「……うぉぅ…」

 

 なんだこれ可愛い……娘にデレデレの世のお父様方の気持ちが分かった気がする。

 

「どうしたんですか?」

 

「いや、ユイを見てると癒されるなぁ、って思って」

 

「それはMHCP冥利に尽きますね!」

 

「…そうだな」

 

 頭を撫でてやると、ユイは「むふー」と鼻息を立てて満面の笑顔になっていた。

 これだけで今まで悩んでいたことが全て馬鹿らしくなってくる。

 まるで犬や猫のような…はっ!もし猫耳アイテムがあるなら、それをユイに装備させて…絶対可愛い。あ、同じ装備をしたユウキを隣……に……

 

「……ははっ。なんでこういう時真っ先にあいつの顔が浮かんでくるんだろうな」

 

「パパ?」

 

 ──ピロリン♪

 

 何処からか、そんな音が鳴った。音の主はメッセージウィンドウだった。送り主は…ヒースクリフ。

 内容は、

 

『ユウキ君とラン君、二人ともに《剣姫》スキルが出現しているようだ。同じユニークスキルが二人同時に出るとは驚きだが…。どうかね、仲直りがてら一戦交えては。どうせ《二刀流》スキルを習得しているんだろう?』

 

 と言うものだった。二人同時とかもうユニークスキルってなんぞ?って話になるなぁ…。

 取り敢えずスキルの説明だ。《二刀流》は男性プレイヤーで最高の反応速度を持つ者に与えられるユニークスキル。

 そして《剣姫》は女性のプレイヤーで最高の反応速度を持つ者、そして《二刀流》使いと……ああああ!!!これ以上言いたくねぇ!

 というか、自分でも気付かないうちにユウキはともかくランにもそんな感情を…。どうすればいいんだろう…

 

 俺と、ユウキと、ランはメディキュボイドを使っているから、このユニークスキルを取れる確率は非常に高かった。

 

『お前それ二人と──しろって事じゃねえかよ!とり合えず、KoB本部の応接間に明日午前10時にランとユウキを集めてくれ。勿論、他の中に誰も入れないでくれ』

 

『了解した。そのように伝えておく。』

 

 と、明日の10時から予定ができた。

 ユイはどうしようか。長い時間一人で居させるのもちょっと可哀想だし…

 

「ユイ、明日の朝10時頃に俺は血盟騎士団ってギルドの本部に行く。ユウキとランって人に会うんだけど、一緒に来るか?」

 

「……はい!実はモニタリングしてるときからそのお二人のことが少し気になってたんです。それに、もしかしたらどちらかが私のママになるかもしれませんしね!」

 

「ママって…さ、さ、流石にないだろ。現実でもずっとぼっち(ソロプレイヤー)だった俺が…あ、は、は、」

 

「?でも、お二人に《剣姫》スk」

「それ以上言わないでくれよ…」

「???は、はい」

 

 なんだろう。ユイの頭の上に幾つかクエスチョンマークが見える気がする。

 純真無垢ってのも怖いときがあるんだな。

 

「ま、取り敢えず今日は寝よう。お休み」

 

「おやすみなさいです、パパ」




遂に次回、和人くんが決意を…!


















次回、《重い告白》
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