の剣士の物語   作:すぴかさん

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対立っていっても前半だけですけどね…

ユウキ、ラン、HAPPY BIRTHDAY!!
誕生日の番外編を書こうと思ったんですけど、まだSAOの中で誕生日も詳しく知らないだろうし…。ということで誕生日の番外編はフェアリィ・ダンス以降となります…。(間に合わなかった言い訳)
メモデフのガチャは☆6スサノオと☆5憧れ出た。バンナムさん…。もう少し中学生の財布に優しくして


~対立~

─3月6日 第56層 パニ─

 

「村の中にフィールドボスを誘い込みます。」

 

 その言葉に会場が騒然とした。堪らず俺は大声で言い返してしまう。

 

「待てッ!そんなことをしたら村の人たちが…」

 

「それが狙いです。ボスがNPCを"殺している"間にボスを攻撃、殲滅します。」

 

 ──殺す?NPCを? 激昂したくなる気持ちを必死に抑えて、声を絞り出す。

 

「──NPCは岩や木のようなオブジェクトとは違う!だって彼等は……」

 

「生きている…とでも?あれは単なるオブジェクトです。例え殺されようとまた再湧出(リポップ)するのだから。」

 

「……そうか。それならば、俺はこの作戦から抜けさせてもらう。君のその考えには従えない。」

 

「うーん。いくらアスナでもボクもちょっとその考えには同意できないなー。」

 

 ユウキも俺の意見に同意した。恐らく俺に気を遣ってくれたのだろう。

 

「な…ッ!」

 

 そして、俺は逆隣にいたランに耳打ちする。

 

「ランはどうする?残るか、俺達と一緒に行くか」

 

「私は残ります。一応私もKoBの副団長ですしね。どうせ、二人でボス討伐に行くとか言うんでしょう?」

 

「君には全部お見通しか。じゃあ俺達は先に帰るよ」

 

「後でね、姉ちゃん」

 

 

─翌日 第56層 フィールド─

 

「確かこの辺りだよな」

 

「うん、そのはず」

 

「取り敢えずボスの確認をしておこう。ボスの名前は《Large Boar》。1層で出てきた《Flanzy Boar》の強化版だな。基本的な戦い方はフレンジー・ボアと同じだ」

 

「りょーかい!……ん」

 

「おっ…来たな」

 

 ──ブモオオオオオオオオッ!!!

 

 HPゲージは4本ある。つまりそれはボスモンスター級ということ。

 ──まあ、実際ボスモンスターなのだが。

 

「行くぞ。ユウキ!」

 

 俺はメニューを操作し、ストレージから、《クイーンズ・ナイトソード》を取り出し左手に装備する。

 

「うん!」

 

 ユウキは《ソニック・リープ》を発動し、一気に間合いを詰めた。

 そして、スピードの乗った重い一撃で1本目のバーを1割ほど削った。

 そしてすぐさま、次のソードスキルの体制に入る。

 元々硬直の少ないソニック・リープだ。《剣姫》スキルの影響で硬直は殆ど無いと言っていい。

 次にユウキが放ったのは8連撃、《ハウリング・オクターブ》。それだけでボスのゲージの1本目が全損し、そして2本目も少し削った。

 

 ──意外と紙装甲……なら攻撃が強いのか…?

 

「スイッチ!!!」

 

「うおおおおおっ!!」

 

 《二刀流》専用ソードスキル、《ダブル・サーキュラー》。

 これがまたかなり使える。硬直が少ない割に、2連撃でそこそこの威力がある。

 そして、硬直が解けた瞬間次の技。

 

 《二刀流》専用ソードスキル、《スターバースト・ギャラクシー》

 16連撃だが一撃一撃の与ダメージ数は少ない。その代わり、最後の数撃で後ろを取れるのが良いところだ。問題は───

 

「はあああああっ!!!」

 

 ───左手に握った剣が耐えきれるかどうか。

 

 一撃、また一撃、確実にボスに当てていく。

 縦に、横に、斜めに切り裂いて、ボスからの出血エフェクトは止まらない。

 

 正面からの最後の攻撃。ボスの脇を突きで掠めて背後へ回った時、

 

 ──パキッ

 

 左手の剣が折れた。

 

 技を中断してしまったため、俺には長い硬直が課せられた。その隙をボスは見逃さず、俺に思い切り突進してきた。

 

 ──ブモオオオオオオオオッ!!!

 

 牙で攻撃された俺のHPはもう少しでレッドゾーンというところまで陥った。

 

「ゼロッ!!」

 

 ユウキが叫んで《デッドリー・シンズ》を放つと、ボスのHPは消し飛び、ポリゴンの欠片となった。

 

「悪いな。助かった」

 

「んーん、大丈夫。それよりもう1本の剣は二刀流の上位スキルに耐えられなかったね…」

 

「そうだな。そろそろエリュシデータと同等の剣が欲しいところだな…」

 

「あっ…アスナたちが来たよ」

 

 アスナたちフィールドボス討伐隊が、俺達の所へやって来て、驚愕の表情を見せている。

 

「ま、まさかあなたたち二人で…?」

 

 アスナの間の抜けた表情に俺達は顔を見合わせ、にっこりと笑って、

 

「「ぶいっ!!」」

 

 ピースサインを送ってやった。

 

 

─第22層 ログハウス─

 

「「「ただいまー!」」」

 

「お帰りなさいです!パパ!ママ!」

 

 ユイが笑顔で俺たちを出迎えてくれた。俺は可愛さに負けて抱き締めて頬擦りをしてしまう。

 

「う~ん。ユイは可愛いなぁ~」

 

「ふふふっ。くすぐったいですよ~パパ」

 

「ずるい!和人ばっかりユイちゃんを独り占めして!」

 

「私達にもユイちゃん成分を分けてください!」

 

「わっ、わぁぁぁ」

 

 3人の人に抱きつかれてユイが困ったように悲鳴をあげた。

 

 ──この日々がずっと続いたら良いのに。

 

 このSAOという檻に囚われているのに、そんなことを思ってしまった。でも、いつか俺達の現実の体にも限界が訪れる。それを分かっていながらそれを思ってしまったのだ。

 

 ──これが、日常になってしまってるんだな。

 

 自分達がある意味、最悪と言える精神状態となっていることを実感した。

 ……まあ、それは今はいいのだ。それより──

 

「……なあ、最近アスナ怖くないか?」

 

「……確かに。」

 

「そうですねぇ…。私は和人さんとユイちゃんがいるからある程度発散できますけど、彼女は立場もそうですし色々ストレスとかが溜まってるんでしょう」

 

 ──やはり精神的に参ってきているプレイヤーも多くいるようだ。

 これじゃあMHCPを作った意味がないじゃないか。

 などと考えているとユウキが突然話題を変えた。

 

「そういえばさ和人、KoBの副団長ってどういうこと?」

 

「……なぜそれを」

 

「クリスマスの時にメンバー表を覗いたら見つけたんです。」

 

「そうか…。あれはヒースクリフが俺の事情を聞いて……『ふむ。ギルドの影で暗躍する副団長……。これは良いな。和人くん、これからはKoB団長直属、"影の副団長"となりたまえ。私からの任務を終えて戻ってきたときには"影の副団長、ただいま帰還しました"と言うのだぞ。』って……。あいつ良い歳して厨二病抜けきってないんだよなぁ…。」

 

「「……………………。」」

 

「ふふっ。ヒースクリフさんって、面白い人なんですね!」

 

 ユウキとランは唖然とし、ユイは楽しそうに笑っている。

 

「というか三人目の副団長って、どうなんだろう…。普通副団長つったら二人までじゃねえのかよ」

 

「か、茅場さんのこだわり?じゃないかな?」

 

「……そうだろうな」

 

「はい。暗くなる話はここまでにして、ご飯にしましょうか」

 

 茅場に少しばかり呆れたが、それでもデスゲームを作ったということ以外は尊敬している。

 しかし、95層を過ぎると俺はGMになってしまう。

 94層までにGMである茅場を倒すことができればゲームをクリアすることができるが、95層以降は俺を倒さないとゲームをクリアすることができない。

 つまり94層までに倒すとなると、師でもある茅場を一方的に殺さなくてはならない。

 しかし、それを避けて100層で茅場と一緒に死ぬとなるとそれは木綿季たちに殺されなくてはならないということで──。

 

 明るい雰囲気のログハウスの中、俺一人だけが、神妙な顔つきを変えることができなかった。




次回、《圏内事件》
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